第485回 番組審議会議事録

1.開催年月日
平成19年9月14日(金)
2.開催場所 読売テレビ役員会議室
3.委員の出席 委員総数 10名
出席委員数 7名
出席委員の氏名 熊谷信昭、秋山喜久、林 千代、阪口祐康、佐古和枝、川島康生、菊池卓雄
欠席者の氏名 金剛育子、馬淵かの子、吉岡征四郎
会社側出席者 ・土井共成 (代表取締役会長)
・髙田孝治 (代表取締役社長)
・越智常雄 (代表取締役専務)
        編成・制作スポーツ・東京制作・報道担当
・三山秀昭 (取締役)
        内部統制・コンプライアンス・コンテンツ・事業担当
・本田邦章 (取締役報道局長)
・森岡啓人 (執行役員コンプライアンス推進室長)
・位寄雅雄 (執行役員編成局長)
・村上博保 (執行役員制作スポーツ局長)
・妹尾和已 (制作スポーツ局チーフプロデューサー)
事務局 ・新谷 弘 (コンプライアンス推進室次長兼
        番組審議会事務局長兼視聴者センター部長)
・菱田千佳 (コンプライアンス推進室番組審議会
        事務局次長)
・森本泰輔 (コンプライアンス推進室考査・著作権部)
4.審議の概要 報告 「『平成紅梅亭』」を中心とした読売テレビの演芸番組について
報告者:妹尾和巳(読売テレビ制作スポーツ局チーフプロデューサー)
9月度の番組審議会は9月14日(金)に、読売テレビ本社で開催された。
審議会では、7月17日に放送した「平成紅梅亭」を視聴したあと、読売テレビの番組と関西の芸能について意見交換が行われた。
委員からは、「文化を創り、育てるのもテレビの役割であり、その意味でも伝統文化である落語を大切にしていくことはいいことだ、深夜の時間だけでなく昼間の時間でも再放送できないか」といった意見が相次いだ。
また、演芸番組全体については「演者やネタの内容などを厳しくチェックし厳選されたものを放送すべきだ」といった指摘があった。
出席は、熊谷信昭、川島康生、秋山喜久、林 千代、阪口祐康、佐古和枝、菊池卓雄の各委員と読売テレビからは、土井会長、髙田社長以下12名。
5.審議内容 別掲の通り
6.審議会の意見に対して取った措置
特記事項なし(議事録は関係部署に配布)
7.審議会の答申・意見の公表
●9月27日(木)付け読売新聞夕刊に議事の概要を掲載。
●10月13日(土)午前5時14分から放送の「声~あなたと読売テレビ~」の中で議事の内容を放送。
●本社コンプライアンス推進室に閲覧用として議事録を備え置く。
●インターネット読売テレビホームページ「テレビの門・話し合ったもん」で議事録を公表。(http://www.ytv.co.jp)
●社内LANにて全ユーザー(全社員および関連スタッフ)に議事録を配信。
8.配布資料 ●報告概要
●2007年8月に寄せられた視聴者からの意見・苦情
9.送付資料 ●民放連機関誌「月刊民放」
●民放連機関紙「民間放送」

【審議内容】

社側
 おはようございます。皆さま、お揃いになりましたので、9月の番組審議会を始めさせていただきたいと思います。
 まず、委員の方々の出欠の状況ですけれども、きょうは馬淵副委員長と金剛委員、それから吉岡委員がやむを得ないご事情があって欠席されております。私ども読売テレビ側は、レギュラーメンバー全員出席をさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 今回は『平成紅梅亭』という番組のテープをお送りいたしました。これは7月17日にオンエアした分なんですけれども、ご案内にも書きましたけれども、その回のご批評ということも含めてですけれども、大阪のテレビ局ですので、いわゆる上方の芸能、演芸というものと読売テレビの番組が、どう向き合っているかというあたりをご説明をして、ご議論いただければ幸いかと思います。
 早速ではございますが番組のご視聴は、落語の番組ですので、「こんな番組だったな」と、ちょっと思い返していただくために、さわりの部分だけVTRをご覧ください。
  
        <VTR視聴>

社側
 きょうは、まことに簡単ですが、ここまでとさせていただきます。この後、今のタイトルにありましたとおり、5人の演者さんが、落語をするわけですけども、それをダイジェストにしてお見せするというのは、どうかなと思いましたので、タイトルだけご覧いただきました。
 この後は、この席に、こういう演芸番組を主に担当しております制作スポーツ局の妹尾がおりますので、お手元の資料を中心に、さっきも申し上げました上方の演芸と、読売テレビの番組のかかわりということについて、ご説明をさせていただきたいと思います。
 では妹尾さん、よろしくお願いします。

社側
 制作の妹尾でございます。よろしくお願いをいたします。私、普段レギュラー番組としましては『週間えみぃSHOW』という上沼恵美子さんが日曜昼司会でやっております芸能ワイドなんですけれど、その番組を担当しておりまして、そのほか『平成紅梅亭』を中心としまして、いろいろな漫才番組ですとか、吉本さんとか、米朝事務所さん、松竹さんと、向き合っておりまして、複数の特番ですとか、お笑いを中心にしました番組を担当しております。本日はよろしくお願いいたします。この資料に従いまして、きょうは議論のほうをお願いしたいと思います。
 昨今、非常に落語ブームということで、先日、ジャニーズの国分太一が『しゃべれども、しゃべれども』という落語家を演じて、その映画がヒットしましたり、それから何といいましても、昨年できました『繁昌亭』でございます。天神橋、天満宮のところにできましたが、私、昨日も行ってまいりましたけど、もう連日大入り満員ということで、ちょうど今週末、9月15日が『繁昌亭』の1周年ということで、今1周年記念特別興行をやっておりまして、9月15日当日には、ざこばさんですとか、三枝さんが集まって記念興行を行うと。
 非常に連日満員でございまして、出ている噺家さんのほうも、ちょっとびっくりしていると、三枝会長もびっくりしているということで、昨日も三枝会長いらっしゃいましたけど、本当に、こういうふうにお客さんが、やっぱりいるんだなということで、漫才なんか、吉本のNGK、「なんばグランド花月」なんかも連日満員なんですけど、落語のこういう定席小屋をつくって、果たして、お客さん入るのかなということで大変心配なさったんですけど、1年を迎えまして、もう満員だということで、非常にびっくりされているという状況でございます。
 それで本日は『平成紅梅亭』ということで、平成7年にスタートしました。今から12年前になるんですが、3か月に一度、深夜帯ではございますけど、基本ネタのほうはノーカットで放送しております。ですんで落語の時間が延びれば、そのまま編成さんと議論をしてノーカットで放送する。2時間半になったり、時には2時間40分になったりとか、深夜ですが放送しています。
 本日は『紅梅亭』の番組の企画立案までの経緯、それから『紅梅亭』の今後のあり方、それから『紅梅亭』以外に、どういうふうに演芸界と向き合っているかということをお話しさせていただきたいと思います。
 『平成紅梅亭』の原点ということでございまして、歴史をひも解きますと、その昔、『南地紅梅亭』というのがあったということです。明治の中期に、あの法善寺横町というところがあります。あのミナミにあります。そこに「金沢亭」という席と、それから「今嘉の席」という二つの寄席があったということです。その二つの寄席が人気を競り合っていたんです。法善寺横町のところで。
 そんな中で、「今嘉の席」は、書いておりますように、資産家によって買い取られて、東京にございます「白梅亭」の向こうを張って、こっちは「紅梅亭」と名づけられたということになっているそうであります。
 一方の「金沢亭」ですが、例の吉本興業の吉本せいさんが買い取って「南地花月」となったという、一方の「紅梅亭」は、落語を中心にして、初代・春團治さんが出演して、上方落語の殿堂として、その名をとどろかせていたということです。宇井無愁さんという上方落語を著していらっしゃるんですけど、そういう中で、こういうふうな歌も読まれているということです。書かれているのは「紅梅亭は本格古典派の牙城」だという、最後まで「紅梅亭」では漫才を入れなかったと、吉本の向こうを張って、「紅梅亭」のほうは、もう落語を中心にしていたということでございます。
 しかし、やはり「紅梅亭」に対抗して、その吉本せいさんがやっていらっしゃった「花月」が、やっぱり漫才とか、奇術ですとか、いろんな演芸のほうを取り込んでいる。やっぱりそちらのほうにお客さんは流れていくということで、結局、「紅梅亭」も、この吉本せいさんの「花月」に吸収されて、ここで「紅梅亭」という名前は一度消滅してしまうという歴史があったようでございます。
 めくっていただきまして、ここで当社の『平成紅梅亭』ということになります。放送スタートは平成7年、今から12年前です。そのとき、当時プロデューサーで有川いうものがいまして、オール阪神さんなんか、よく物真似をされる非常に個性豊かなプロデューサーだったんですけど、その有川が非常に、漫才、落語といいますか、演芸に傾注していまして、当時、我々読売テレビとしましても、開局以来、やっぱりお笑いソフトというのは、在阪局におきましては非常にコンテンツとしましては中心的な存在であったと、非常に力を入れていたという流れがございまして、しかし関西におきましては、落語の定席小屋がない。東京におきましては「鈴本演芸場」ですとか、「末廣亭」ですとか、落語を中心にした寄席というものが存在しているんですけど、関西におきましては一切なかった。
 当時、お亡くなりになりましたが、桂 吉兆さんですとか、松葉さんが若手として非常に台頭してきて、一生懸命頑張っていらっしゃったんですけど、それを披露する場がなかったということでございます。定席の小屋がなく、いわゆる一門会ですとか、それから地方の独演会ですとか、そういうところでしか、お客さんの前に登場することができなかった。
 そこで有川の発案なんですけど、そういう状況であるならば、いっそのこと定席小屋を一般的に建てるのも大変なんで、じゃテレビ局の中にセットとしてつくり上げようと、スタジオの中に、もう定席小屋をつくって、何か月かに一度、そこで思いっきり噺家の皆さんにネタを披露していただいて、それを、いっそのこと番組として、落語中心の演芸番組の企画をしようと。それで、その定席小屋の名前も、明治にあった「紅梅亭」というのを、もう一度、蘇らせようということで、平成に蘇った「紅梅亭」ということで『平成紅梅亭』という番組になったという経緯があったようでございます。
 基本的には年4回ということで、『平成紅梅亭』ですけど、やはりひも解きますと、第1回から、しばらくの間は、やはり吉兆さん、松葉さんが毎回登場しております。当時やっぱり非常に最前線に立っていたということで、有川もブッキングの段階におきまして、吉兆さん、松葉さんを中心に組んでいたと。
 トリには米朝師匠ですとか、春團治さんですとか、非常に、やはり噺家さんの中では、こういう番組ができたんなら、じゃあ思いっきりそこで頑張ろうという非常な意気込みがあったんでございましょう。非常に積極的に、読売テレビの『平成紅梅亭』に協力していただいております。それで今日に至っております。
 来月10月9日に収録があるんですが、そこで実に70回を迎えるということで、深夜帯ではございますけど、非常に根強いファンに支えられて『紅梅亭』のほうも、めでたく来月で70回を迎えるということです。
 文献で調べてみると、「南地紅梅亭」と今『紅梅亭』の収録を行っております当社の1階ホールの面積が、ほぼ偶然にも一緒だったと、ですから空間的にも、明治中期の「紅梅亭」を非常に、におわせるような状況でありますということです。基本的にはネタはノーカットで放送しております。
 それから、これは当時としましては非常に最先端であったんですが、スタート時から収録はHDでございます。ハイビジョンで行っておりまして、画角も今はもう主流になっておりますが、16:9と、いわゆる横長の画面で、スタート時から、それを行っていたと。
 16:9の画面というのが非常に落語にフィットしたというのを歴代いろいろなプロデューサー、ディレクターがいるんですが、「収録をしていると、それを実感した」ということでございます。よく話の途中で噺家さんが手を広げたり、動きが、鳴り物があって踊ったりするという場面に、非常に16:9の画面はフィットしたということと、それから会場のルーズショットを撮ったとき、寄席の空気が非常に伝わったということで、技術的にも、この『紅梅亭』というのは、いわゆる古きものでございますけど、技術的には、非常に今の時代にフィットしたソフトであったということでございます。
 めくっていただきまして、こういうことも行いました。『平成紅梅亭』の番組が8周年を迎えました平成15年でございますが、集大成といいますか、サンケイホールで5月2日、3日、ゴールデンウィークでございますが、『紅梅亭特選落語会』というのを2日連続で行いまして、その模様をハイビジョンで放送したという。
 メンバーでございますが、当時、平成15年でございますが、非常にやはり『紅梅亭』に対しての皆さんの思いが深いということでございまして、ご覧のような桂 米朝師匠ですとか、三代目春團治さんとか、文枝師匠、お亡くなりになりましたが、松之助師匠、露の五郎師匠、いわゆる一門の大御所が集大成といいますか、集まって華やかな舞台を彩っていただいたという。
 ちなみに、この『特選落語会』はDVDで発売しておりまして、マニアといいますか、落語通の間でも非常に人気を博しているという状況でございます。
 『平成紅梅亭』、当番組の今後ということでございますが、先ほどから申し上げておりますように、在阪局におきましては多分、NHKにおきましては「上方演芸ホール」というのを定期的に放送はしているんですが、そちらのほうは、どちらかといいますと、落語あり、漫才ありということで、いろんなジャンルの演芸を取り込んで、若い視聴者も対象にしたような内容でございますが、本格的な落語を中心にした寄席番組といいますのは、もう現在におきましては、この『平成紅梅亭』のみという状況でございます。これは東京におきましても、おそらく、こういう番組は、まだ存在してないと思いますので、これは非常に誇らしいことかなというふうに思っております。
 私は先ほど申し上げましたように、昨日も『繁昌亭』に行ってまいりましたが、連日もう満員、満員ということを記録しておりまして、「どうしてかな」ということで、本当に噺家さんの間では非常に話題になっているそうでございますが、一方では、一部では、日中、行き先のない、いわゆるご老人が、行き先が見つかったということで、あるいは涼を求めて、そこに集まっているんじゃないかというような話もあったんですが、そうじゃないんです。
 私も、きのう行きましたけど、真剣に皆さん、ほとんど寝ているんじゃないかなというふうな予想だったんですけど、本当に真剣に落語を聞いておりまして、前座からトリまで、中トリのときにトイレへ行く以外は非常に、もう座って耳を傾けている。
 それで噺家さんが話すごとに若手、それからベテラン関係なしに、もう笑いの渦といいますか、やっぱり大阪の今の人々が、こういう落語の定席小屋を待っていたんだなということが非常に分かったという状況でございます。
 それから最後になりますが、『平成紅梅亭』におきましては、来年、当社が開局50周年を迎えるにあたりまして、『平成紅梅亭』を中心にしたスペシャル番組、大きなちょっとイベントを絡めたような企画を、現在、考えている最中でございます。
 といいますのが、米朝事務所の桂 小米朝さんが、来年秋に米團治さんを襲名されるという、これは小米朝さんにおきましても、非常に大きなことだということでございまして、米朝事務所だけでは大きなイベントを執り行うことが無理だということで、どうやら松竹芸能さんに相談を持ちかけたようでございますが、松竹芸能さん及び米朝事務所さんの連合体で、来年秋、この大きなイベントといいますか、襲名披露を行いまして、それを何とか読売テレビのほうでサポートしながら、スペシャル番組なんかを企画できたらなというふうに私ども考えております。
 その他、『平成紅梅亭』を中心にしまして、私どもが上方演芸界と、どういうふうにやっていくかといいますと、上から順番に『ZAIMAN』ということで、これは吉本興業さんとタッグを組んでやっているんですが、3か月に一度ということで、吉本興業さんからも、この番組におきましては非常に信頼をいただいておりまして、毎回々々これは売り物なんですが、新ネタを全コンビが披露すると。だから、この番組のために総勢19組ぐらいが登場するんですが、この番組に向けて全コンビが新ネタをつくって、この番組で披露するということで、演者さんのほうからも、「この番組があるおかげで、3か月に1回、新作ができる」ということで、持ちネタが増えるということで、いわゆる定期テストみたいなことでして、自分らにとっても、この番組があるおかげで、ずっと新しいネタでやっていけるということで好評を博しております。
 それから『笑いの超新星』ということでございまして、昨年まで当社が行っておりました『上方お笑い大賞』の中の新人賞レースを独立させまして『笑いの超新星』ということで、年3回開催しまして、年末に決勝戦を行って、その年、一番輝いた新人を決定するというようなことをやっております。
 それからご覧いただきましたように『うめだ花月』『松竹角座』とも、こういうふうに向き合って定期的に、その現場の劇場で収録をしまして、それで放送していると、ネタ中心でございます。漫才ネタを中心にやっています。
 それから、こちらのほうも有川の流れもあるんですが、春・夏期に大枠のお笑いスペシャルということで、『思い出の漫才コンビ』、一度はご覧いただいた方もいらっしゃるかと思いますが、今では亡くなったり、解散したりして見られなくなった漫才コンビを一般にアンケートをとりまして、ベストテン形式にしまして発表していくというようなこともやっております。
 それで書いております『上方お笑い大賞』が昨年で終了いたしましたので、それに取って代わります大きなお笑い番組を年末に、何とか、これ花火を打ち上げてみたいなというふうに思っております。
 そこには『繁昌亭』さんのほうでも、この1年頑張った噺家さんに賞をお贈りしようということで、「繁昌亭大賞」というのを三枝会長のほうが設けられまして、例えば12月初旬に、その繁昌亭大賞が、受賞者が決定しますので、そういう方を、この年末の大型のお笑い番組にお呼びして、ネタを披露していただこうかなというようなことも考えております。
 最後になりますが、吉本興業さんが、来年春に、京橋に花月を一つ増やされるということで、今まで「うめだ花月」はあったんですが、それと並行して、どうやらこの読売テレビのお膝元の京橋にも、集客においては非常に、また別の可能性があるということを考えられまして、京橋の駅前に新しく「京橋花月」をオープンされるということで、これはもう何といいましても、この読売テレビの本当に玄関口ですんで京橋は、非常にここを中心に、読売テレビを中心にして「京橋花月」のオープンキャンペーンみたいなのを、ぜひというようなことも制作のほうで考えております。
 ということでございまして、吉本さん、松竹芸能さん、米朝事務所さん、口を揃えておっしゃるんですが、これほど上方演芸といいますか、漫才、落語に力を注いでくれているテレビ局は、ほかにないと、やっぱり手前味噌になりますが、読売テレビさんが一番だということを平素から、おっしゃっていただいていまして、ABCさん、毎日放送さん、それぞれお笑い番組、抱えていらっしゃるんですけど、これほどの数といいますか、それから中身といいますか、向き合って、おつきあいをしてもらっているのは、やはり読売さんだということを、若いマネジャーさんから幹部の方々まで、口を揃えておっしゃっていただいておりますので、今後も、私は、このお笑い番組に命を賭けてやる所存でございますので、皆さん、よろしくお願いしますということで、何の報告かよく分かりませんが、私の所信表明みたいなものですみません。
 以上、報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

社側
 私どもから、お話しすることは以上でございます。委員長、よろしくお願いいたします。

委員長
 どうもありがとうございました。「花月」の由来も初めて教えていただきました。ありがとうございました。
 先ほど来、ご説明がございますように、お送りいただいたビデオは、深夜の放送なんで、ご覧になってない方も多いかと思いますが、これは参考までの一例ということで、きょうは読売テレビさんの演芸番組全般についてのご意見を承りたいというふうに伺っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

委員
 私も自分を振り返ってみて、子どものころというのは、まず吉本からスタートしまして、関西の芸能という意味では、それで次に漫才になって、ある日、大学ぐらいの時に、私、東京へ行ったんですけれども、その時ぐらいから何か、ふと、あるきっかけで落語に興味を持ちはじめて、行って見るとなかなか面白いと、年齢によって楽しむソフトというのは変わってくるんだなあと、きょう、またこれ見させていただいて、改めて、ふと振り返らせていただきました。
 そうすると、テレビ局というのは、あまねくいろんな形の情報を提供し、娯楽の面でも、あらゆる世代にということもあると思います。そうすると、いろんな形で、いろんな大小、いろんな分野の演芸を取り上げて、その娯楽を提供していくというのが非常に有益な一つのことだなと。
 それと、もう一つは、情報を発信するというのだけじゃなくて、文化をつくっていくといいますか、芸能を通じて新しい生活スタイルを提案する。あるいは、文化をつくっていく、育てていくという、これもやはりテレビ局というマスメディアにとっては、一つ重要なことなんだろうというふうに感じました。
 そういう意味で見ますと、一番最後のほうに、こういう形で読売テレビの「上方演芸界との向き合い」というような形で、いろんな若い視聴者向けのものもあれば、あるいは、育てていこうという企画もある。あるいは、高齢の方向けの番組もあるというような、そういう意味で育てる。あるいは、多様な年齢層に娯楽番組を提供するという趣旨に合致しているのかなと。
 たって別にあれするわけじゃないんですが、私も昔、ちょっと米朝の文庫本か何かで読んだんですが、昔あって、今はもう演者が消えてしまった分野というのが多々あるようなことが書かれていました。ここを見てみると、落語、漫才が中心、ある意味、現在ではもう確立している分野ですね。そうじゃなくて、ちょっと昔あったんだけど廃れちゃった。あるいは、それをもう一度盛り上げようというようなところも何かの形で取り上げていただければ、これまた一つの角度かなというふうに感じました。以上です。

委員長
 なるほど、ありがとうございました。  お隣の委員は、鋭いジョークが本当にお得意なんですが、漫才、落語はお好きなほうなんでいらっしゃいますか。

委員
 落語は大好きなんですが、この番組が上方の伝統的な芸能である落語というのを、あまり視聴率を気にされずに続けておられるというのは、非常に素晴らしいことだというふうに思います。
 それだけだとコメントにならないんで、あえて小憎いことを言わせていただきますと、我々、学生時代に習ったのは「思想とは言語である」というような、それはちょっと極端かもしれませんけれども、言葉によって思想なり、考え方を表すんだというのが今の人間ではないかなと。
 それが映像文化によって、非常にビジブルなもの、あるいは、キャッチフレーズみたいなもので、虎の姫退治とかいうことで、一つの思想なり考え方というものを表現してきたというところに今の日本のいろいろ物事を考える力が弱くなってきているんじゃないかなということがあると思いますので、そういった中でテレビ業界、これから、どうしていくかと、もちろんビジブルだというのは非常に強みではあると同時に、物事の考え方を進める上では、ややマイナスの面もあるんじゃないかと。
 そういう意味で落語というのは、過去における生活なり、伝統なり、ものの考え方なり、話題なり、そういったものを一つの集約したものであるので、それをテレビ業界でとらえて、皆さんにどう訴えていくかということによって、何か、そのビジブルな世界と言語の世界との結びつきというものが出来てくるんじゃないかなというふうに思いますんで、出来れば、これを深夜番組ではなくって昼間、皆さんが聞けるような時にも何かの形で放送できる。
 2時間半というのは無理かもしれませんけども、出来るだけ皆さん方が日本語の美しさなり、日本人のものの考え方なり、あるいは過去において、こういった生活、風俗習慣があった。現代落語としての面白さということで、言葉というものの大事さというものを再認識してもらうのに、こういった落語というものをうまく使っていけないかと、そうすることによってテレビとしての新しいジャンルが何か出てくるんじゃないかなと。
 今は吉本興業なんかが、ズッコケて笑わしていますけども、それだけじゃなくて、本当の意味でのものを考え、あるいは言葉において楽しさというか、そういったものが表現できるようなことも工夫していく必要があるんじゃないかなというふうに思いますんで、ちょっと落語から離れるかもしれませんが、落語というのは日本人の持っている非常にいい文化だと思いますので、皆さん、興味も持っているし、最近『繁昌亭』が満員だというのは、そういったことももう一遍みんなで考え直してみる。
 あるいは言葉の面白さというものを見合わせてみようという時なんで、テレビそのもの自身もビジブルな世界だけじゃなくて、そういう言葉を大事にした見せ方というものが、何かあるんじゃないかなというふうに思いますんで、あんまり何も言わないとお昼ご飯が食べられないものですから、一応、屁理屈を言わしていただきました。

委員
 私も、最近は漫才よりも落語がいいなという、そういう年になったのかなという感じなんですけども、関西の落語家の方とも、いろいろ付き合いがてきたりなんかする関係もあるんですけども、だからテレビで落語があると、割りと見るようにしているんですが、実は知らなかったんです、この番組。深夜って何時ごろからですか。

社側
 1時を過ぎているような状況でございます。終了が3時半とかいう場合もあります。

委員
 ああ、そうなんですか。今度から気をつけて見るようにします。本当に、こんないい番組があるんだと思って見せていただきました。
 いただいたビデオが、柳家三三さんだったんで、委員がおっしゃったように、なんてきれいな表現なんだろうと、すごく久しぶりに日本語の伝統って、今の学生なんかは多分、落語の語っている内容自体も、あまり分からないでしょうし、言葉遣いも「はばかり」といっても分からないと思うんですね。恐らく昔の人たちは、こういう落語を聞きながら、笑いながらいろんなことを覚えていったんだと思うし、やっぱり、そういうふうなのが大切だなと改めて思いました。
 それと、関西で落語を聞きに行こうと、『繁昌亭』は行ったことないんですけども、若手の人たちが小規模で、あちこちやっていらっしゃるんですね、そうすると、どうしても、「ここに行ったら、あのグループ」みたいな感じなんで、こういう番組にしていただけると、いろんな落語家さんが聞けるし、よかったなと。
 やっぱり伝統あるものというのは、そして今の時代とちょっと接点が少なくなっている伝統というのは、サポーターがいないと、どんどん消えていくので、そういう意味でも読売テレビさんが、こうやって続いておられるというのは、すごくいい、テレビ局としても、いい伝統じゃないかなと思いました。
 だから、せっかくだから、もうちょっと見られる時間帯にしたらいいなと、もったいないなという気がしたのが一つと。
 もう一つ、もし余力があれば、多分この『紅梅亭』というのは、みんなが見たくなって見させるのか、入れるのか、それとは別に若手の人たちに出番をつくってあげると、次の世代を育てていくみたいな、漫才のほうではありますよね。「新人賞」とか。
 落語家さんのほうも、やっぱりそういう次の世代の人たちを育てるというようなのをつくってあげるといいんじゃないかなと思いました。

委員長
 平成7年に『平成紅梅亭』を始められたころには、落語を中心としたテレビ番組というのは皆無に近かったというふうにおっしゃったんですが、何かNHKでは随分古くから寄席の番組をやっていたような気がしていたんですが。

社側
 定期的に「日本の話芸」というのを月に一度、時間帯にしますと11時から1時間ぐらいでやっていましたですね。だから、出演者は一人ないし二人という状況で、一人やったら、じっくり聞かせるということで。

委員長
 そうですか。委員いかがですか。

委員
 落語と寄席というものの近代史を教えていただいて大変参考になりました。
 私、質問なんですけども、演芸というのは一体、何ですかね、落語と漫才ですか、講談は入らないんですか。

社側
 いや、入ると思いますね。

委員
 講談というのは消えてしまったんですけども。

社側
 いや、まだ、そういう世界では続いておりますし、浪曲も入ります。

委員
 私ら子どものころは、やっぱり講談が一番好きでして、その次が落語で、漫才というのは、どうもあんまり好きではなかったんですけど、そんな順番で聞いておったんですけど、なぜかというと、やっぱり、先ほども申し上げましたけど、落語というのは言葉も美しいですし、講談は一番、何といいますか、義理人情とか、倫理観とかいうものがベースにあるんですね。
 落語はその次で、もう漫才になるとハチャメチャで最近のバラエティショーと一緒で、何か悪いことを奨めるような話まで出てくるんで、これは、どうにも気に入らなかったんですけども、落語は、しばしば車を運転しながらでも聞いておったんですけども、『繁昌亭』ができてから、私も一遍行ったんですけども、やっぱり、これ見たほうが面白いなというふうな気がいたしました。
 先ほど委員がおっしゃいましたようにビジブルにするということは、ちょっとした身振りでも、ただラジオを聞いているだけよりも面白いなと、そういう点からいうと、テレビでおやりになるのは大変いいんじゃないかと、私も同じように、なぜ、あんな虐待された時間帯で(笑い)もうちょっといいところをいただけたらいいのになという気がいたしました。
 そうは言いましても、私は漫才はあんまり好きではないといいますけども、漫才やらなかったら、やっぱり、つぶれるんかもしれませんね。昔の『紅梅亭』のように、落語一本で通すというのは、なかなか難しんでしょうかね。

社側
 漫才は7、8分で終了しますが、落語となると、やっぱり30分近くかかってきますので、そうしますと、やはり、どうしてもじっくり見せられる時間帯に収まってしまうというもので。

委員
 きょうのお話と『繁昌亭』を聞きに行ったといいますか、見に行ったといいますか、その感じからいたしまして、やはりもう少し落語というものは自己主張されていいんではないかなという気がいたしました。以上です。

委員
 『平成紅梅亭』は私も何度か見せていただいて、ちょうど落語とか演芸を聞くには、いい空間じゃないかと思います。2、3年前に、米朝さんと露の五郎さんと、ある漫才さんと、見に行ったんですけれども、文化庁の主催で、後ろの方まで声が聞こえないんでね、ちょっとザワザワしたとこがあるんです。やっぱり落語というのは、あまり大きいところでは難しいけれども、『紅梅亭』は非常にいい空間でよかったと思います。
 とりあえず今聞いたことで、すぐ言いますと、漫才は7、8分で終わるといいますけど、終わらせるのは局じゃないかと思うんです。本来は、もっと以前では、ダイマル・ラケットさん、30分以上、しゃべり続けたら30分でも50分でも、ずうっとありました。いとし・こいしさんも、そうです。
 やはり3分とか5分の中で、落語家さんの枕でも、もっと長いんです『繁昌亭』で見ていると、本ネタに入るまでの、それを今みたいな形にしたのは、読売だけじゃなくて、責めているのは、ほかの局もすべてそうですけれども、テレビ局がしていっているような気がします。
 それと演芸全般について、ちょっと述べさせていただきましたら、大正から昭和初期にかけて舞台の芸人さんは、非常に自分を卑下して、自分はこれだけ貧乏や、これだけ容貌、悪い声とか、顔の善し悪しより、それから下ネタという形で、見ている人たちに対して、見ている人は「あっ、今舞台に出ている人よりは、自分たちのほうが幾らかましや」という優越感で見ていたんです。見る人が優越感を持っていたんです。
 だから、やる人は笑わせるんじゃなくて、笑って下さいという形で演技していた。それで、そこの中に裸とか、貧しさとか、容貌とかいうのを入れて、最近の漫才さんの中には、すぐに裸になるとか、下ネタするとか、自分の楽屋ネタを言うとか、そういうような切り売りでやっている。
 できれば、ここにいろいろ漫才の新しいオンパレードとか、番組がある時にプロデューサーなりディレクターの方が事前に、そういうのをチェックしていただいて、裸になるとか、誰でも下ネタをやる。あるいは、裸になったら、これは瞬間的には笑うけれども、長続きはしないと思うんです。過去、2、3年見ても、消えていっている人がいっぱいいます。
 できれば、その現場のプロデューサーやディレクターの方が、ネタをチェックしていただいて、やはり漫才をもう少しレベルアップしていただいて、昭和初期の10年前後にエンタツ・アチャコさんが漫才師として、自分が子どもに言えるようなネタをやりたいという形で、しゃべくり漫才いうのを始めて、その中で型破りの表現力とか、話の中身の面白さ、笑いのテクニックで早慶戦いうものをし、それ以来、今70年経って、また大正から昭和の非常に猥雑な原状に戻っているように思うんです。
 それはやはり、視聴率競争とかあって、それで落語家さんとは違う意味の使い捨ての漫才師さんというのを現場がやっているように思えてなりません。やすし・きよしさん、ヤスキヨさんとか、いとし・こいしさん、ダイマル・ラケットさん、それから古くはエンタツ・アチャコさんが、そのしゃべりの中身の面白さで勝負していた。そういう時代に持って行くために、もう少しやっていただけたらありがたいと思います。
 「スタジオ演芸館」という正統派の演芸番組が読売にもありました。それから、準演芸番組で「お笑いネットワーク」この時は私も何遍か収録に立ち会わせていただいて、「きょう何やるねん」ということをプロデューサーが聞いて、それをチェックしながら事前にきちんとやっているのを見せていただいている。それが今、4~5分ネタでチェックもしない。
 それで、あるテレビ局へ行った時も、テレビ局のプロデューサーに、今これ若手がやっているのを見て「面白いですか」と聞いたら「うん、面白くない、分からん」て、だからタッチしない、若手のプロデューサーに任していると、これでは私は、しゃべくり漫才はなくなっていくんじゃないかと思ったんですけれども、今、妹尾さんが「お笑いに命を賭ける」と言われましたが、そういうとこらへんまで言えて読売の本当に演芸と言われる中で、あの番組に出て一人前やといわれる漫才さんを育てる意味で、ネタそれから、それぞれの漫才師さんが目指すような番組にしていっていただければいいなと思っております。
 落語の場合には、古典落語があって、その古典落語を演者さんが演じることによって、例えば、鋳掛屋は米朝さんを超えられるか、代書屋も超えられるかというようなネタを、それぞれが一門が競い合っているという意味では非常にレベルは高いと思うんですけれども、出来れば漫才も、漫才に古典はなく、名作はないって、落語しかないといわれる中で、きちんとした、そういうものを育てていっていただけたらいいなと今回は、愚痴とお願いにしておきますけれども、命を賭ける妹尾さんにお願いすることで、よろしくお願いしますということで演芸全般の意見を述べさせていただきました。以上です。

委員
 初めてです。どうぞよろしくお願いいたします。
 演芸番組について何かといわれまして、実は大変困ったなと思っておりました。私のテレビ視聴の歴史の中で記憶があるのは、今もやっている『笑点』ぐらいしか見たことがありませんので。それで漫才ブームといわれたのが、10数年前でしたかね、その時には、確かテレビを見た記憶があるんですが、その後は、演芸は私の世界から、すっぽり落ちておりまして、久しぶりにというか、初めて落語の番組をビデオで拝見いたしました。
 大変面白いものであると実は感心いたしました。例えば、小米朝といって名前をかすかに知っている程度ですが大変面白い落語家さんですね。こういう方たちが現に、ここで活動しているということを知っただけでも私にとっては、大変いい経験になったと思っております。
 確かに文化でありますから、ぜひこれを育てて次の世代に伝えていただきたい。私みたいな人間も、きっとまだほかにもいると思うんで、何人かの先生方がおっしゃいましたけども、例えば、昼間再放送する機会があったらどうかとかというようなことを私も感じたものですから、そういうことが可能であればお願いしたい。本日は感想だけですが申し上げて終わります。

委員長
 ありがとうございました。追加のご意見ございませんか。
 私自身も、落語も漫才も大好きなんですけども、落語は今でも本物の落語が伝統的に伝えられていると思うんですけれども、漫才のほうは、委員がおっしゃるように、最近の漫才というのは、バカバカしいというか、若いのが何かふざけながらやっているのは、実に面白くない。
 私が中学生、高校生のころには、横山エンタツ・花菱アチャコの「エンタツ・アチャコの漫才」なんか本当に面白いと思って大ファンだったんです。最近になっても、夢路いとし・喜味こいしとか、お一人が亡くなっちゃったけども。それから、やすし・きよしの漫才とか、ああいうのは本当に面白かったと思うんですけれども、最近の漫才は面白くないです。
 漫才も落語も、その他の演芸番組一般について言えることなんですけれども、どんな番組についても内容は大事ですけれども、特に漫才、落語の類いの番組は、よほど中身を吟味して、いいものを放送していただかないとファンを減らしていくことになるんじゃないかと思うんです。
 学者でも、落語やなんか好きな人がいましてね。ノーベル物理学賞を受けられた朝永振一郎先生なんかは落語が大好きで、あれ自分で一席うかがっていたんですよ、あの人は。それで最近、やはりノーベル賞を受けられた小柴先生から聞いた話ですけど、朝永先生が昔、初めてイギリスに行ってロンドンにおられたころ、郊外に用事があって行かれて、ロンドンへ帰る時に、汽車の駅に行って切符売り場の窓口で、ロンドン行きの切符を買おうと思って「ツー・ロンドン」と言ったら、OKと言ってロンドン行きの切符を2枚くれたというんです。
 それで、これはいかん、言い方がまずかったんだと思って、「ノーノー、フォーロンドン」と言ったら「オオ、ソーリー」と言って今度4枚くれたというんです。それでね、これはもう、どう言うたらいいんだろうと思って「ええと」というたら、OKと言って今度は8枚くれたんです。
 そういう話がありますが、英語が得意でなかった昔の日本人の話ですけど、そういうようなことを言う真面目な物理学者もいるんです。落語なんかの好きな学者は結構いるんですよ。
 私も、うちのすぐ近くに鶴瓶が住んでいまして、親友なんですけど、非常に感心することもいっぱいあるんです。
 休みの日には、すぐ近くの寿司屋でたまたま会ったりして、私はビール飲んだり、酒飲むんですけど、隣にいる鶴瓶は、ビールを一口も飲まないんで、「あなたお酒嫌いなんですか」というたら、「大好きです」というんです。それじゃまあ一杯ちょっとどうですかと言ったら、「いやいや、きょうは夜中の1時から深夜の放送をやらなければいけない」と、まだ夕方の8時とか、そのころに、深夜放送に出ないといけないんで、お酒は我慢すると言って飲まないんです。私は感心しました。
 私なんか講義の始まる直前までビール飲んでいましたからね。本当に立派な人だと思いましたけども、いろいろ芸人さんにも感心させられることも多いんで、いい芸人さんを選んで、中身もよく厳選して、みんなが、こういう日本の伝統的な芸能を、しかも、ユーモアとか遊びの心やセンスが本当になくなっていて、政治家にしたって可哀想なところがあると思うんですけれども、演説の時に、半分ジョークのようなつもりで言っても、もうそれをまともに取られて大騒ぎになったりするのは、あんまり国の雰囲気としては、いい雰囲気だとは思えないんですけどもね。そういうことにならないように、マスコミの皆さま方も、楽しい国や明るい国、面白い国になるように、一つお願いしたいと思います。
 何か追加のご意見ございますか。

委員
 漫才の台本というのは、今、言われているみたいに瞬間的な笑いじゃなくて、やっぱり、そこに世の中の批判とか、共感とか、そういうようなものがいるのに、それが全然入ってないんです。だから戦前はミヤコヤフミオ・シズヨという人は石田梅岩、石文心学、これを根にして書いていて、それで庶民の共感を呼んだとか、今はもう全く、そういうのがないに等しいですので。

委員
 昔はありましたね。

委員
 非常に聞いていて共感できた。「あっ、よう言うてくれた」というようなことを、戦争中はやっぱり、言ってはいけない言葉をどうしても言わないといけないので、それをごまかしているっていうような形で、うまく言葉遊びしていたのに、最近は全くバカバカしいです。

委員長
  ほかに、よろしゅうございますか、それじゃどうぞ。

社側
 ありがとうございました。
 それでは、先月、8月に視聴者から寄せられました意見について簡単にご紹介いたします。
 総数が7,337、平均的な月よりは少し多くなっています。ちょっと制作現場に気をつけてほしいことを抜き出して書いておきました。
 1点目は、日本テレビが作った番組なんですが、境界性人格障害という病気をお持ちの方が危険なことをする可能性があるという誤った印象を与える放送があったものですから、結構厳しいご意見をいただきました。やっぱり病気というものを取り上げる時には、慎重でなければいけないということだと思っております。
 それから私どもの番組で血液型の特集をいたしましたところ、これにも非常に厳しいご意見をいただきました。お遊び程度で扱うのはいいんですけれども、血液型が本当に人格や性格を決めているかのごとき扱いは、以前はお笑いで済んだんでしょうが、だんだん見ている方のほうも厳しい目になってきているという感じを持っております。
 それから、最後にですけれども、朝青龍のことについてということで、非常にたくさんのご意見をいただきました。これについて別にコメントする気はないんですけれども、最近、面白い傾向というか、この数年、出てきていまして、テレビの番組についての意見ではなくて、報道されていることについてのご意見をテレビ局に言ってくるという例が非常に多くなってきておりまして、2、3日前に、安倍総理が辞めるという会見を2時から始めた途端に、視聴者センターが目の前にあるんですが、電話がダアーッと鳴りだして「辞めなくてもいい」とか「辞めろ」とかという、ご意見が一斉にかかってくるという、そんなような状況に、だんだんなってきております。
 まあ、テレビ局ですので、それについてお答えのしようがないのですが、ある意味では、ただで世論調査ができているようなものでもあるし、そのご意見から、いろんなことをくみ取ることも可能かなという感じがしております。「声」については以上でございます。
 それから、来月は10月12日、金曜日、この同じ場所、同じ時間で開催をさせていただくつもりにしておりますので、またよろしくお願いいたします。
 きょうは本当に貴重なご意見をたくさんありがとうございました。



  • 平成19年度読売テレビ番組審議会委員
  • 委員長    熊谷信昭   兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
  • 副委員長    馬淵かの子   兵庫県水泳連盟   顧問   元オリンピック日本代表
  • 副委員長    川島康生   国立循環器病研究センター   名誉総長
  • 委員    秋山喜久   関西電力株式会社  顧問
  • 委員    金剛育子   能楽「金剛流」宗家夫人
  • 委員    林  千代   脚本家
  • 委員    阪口祐康   弁護士
  • 委員    佐古和枝   関西外国語大学教授
  • 委員    北前雅人   大阪ガス株式会社   代表取締役副社長執行役員
  • 委員    谷  高志   読売新聞大阪本社   専務取締役編集担当