番組審議会報告とはProgram council report

「番組審議会」とは、放送法という法律で定められた審議機関のこと。
テレビ局が放送する番組の充実・向上と適正をめざして審議するために設置されています。
讀賣テレビ放送番組審議会 委員は、さまざまな分野の有識者10名で構成されており、
原則として審議会を月1回開催しています。
あなたが知っている番組について話し合っていることもありますので、
ぜひ一度読んでみてください。
いつもとは違った視点でテレビを見るようになれるかもしれません。

※読売テレビの番組は、放送基準にもとづいて製作しています

第640回2023.3.10

3月の番組審議会は、10日(金)に開催されました。

今回は2月19日(日)に放送された
『伝説のアナザーネーム その名に秘められた変革者たちの物語』
について、委員の皆様からご意見をいただきました。

また2月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要も報告されました。


□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦(書面参加) 古川綾子

『伝説のアナザーネーム その名に秘められた変革者たちの物語』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「功績によって『アナザーネーム』をつけられた4人を紹介。
非常に良い切り口の企画で、
限られた時間の中でそれぞれの功績をわかりやすく伝えていた。
画期的な発明をした技術者だけでなく
勇気や情熱で世の中を変えた「普通の人」もとり上げ、
全体に飽きさせない構成で面白く見られた」
「取り上げられた人たちに共通する思いは『利他の心』。
そのメッセージは現代の私たちも勇気づけ、
また若い層にも刺さる。
広い世代に受け入れられるエンタテインメント番組だった」

などの評価の声を多くいただきました。

また番組の大きな柱となる再現ドラマについても、

「それぞれの奮闘を伝えるドラマ部分のレベルの高さが光る。
当時の空気を再現するためのロケーションや小道具の工夫、
また別府温泉のエピソードでは地元・大分の俳優を起用するなど
地域性へのこだわりもよくわかった」

と好評でした。

また番組のMCについても、

「MCの香取慎吾さんと松岡茉優さんは
コメントも的確でコンビネーションも非常に良い。
番組の大きな魅力となっていた」

と、非常に高い評価をいただきました。

番組にさらに期待する点としては、

「時間の制約で落とした部分が多かったと思うが、
『ミスター・ロケット』の佐々木正さんが苦しんだはずの
戦時中の兵器開発への悔恨などは
もっと掘り下げてほしかった」
「YouTubeに『未公開部分』としてアップされているなかにも、
放送で取り上げたらもっと楽しくなったのでは、
と思わされたエピソードもあった」
「『アナザーネーム』がいつ誰によってつけられたかが
明らかにされていたので、
実際にそのように呼ばれていたことがわかり面白さが増した。
一方で、『誰もが知っている有名なアナザーネームの持ち主』を入れるなど、
もっとインパクトがあれば、とも思わされた」

などが挙げられました。

今回は、
インターネット上の仮想空間・メタバースを使った公開収録の形で
番組が制作されました。

メタバースの使用については、

「メタバースを使った収録だったが、
参加者が感じていただろう楽しさが放送では伝わっていなかった。
2500人という参加者のボリュームや
1万件超というリアクションの多さ、
香取・松岡両MCの発信したコメントももっと反映させてほしかった」
「メタバース収録はまだまだ過渡期だろうが、
これからは欠かすことのできないリソースであることは間違いない。
メタバースを使ったテレビ番組の見せ方や楽しみ方の模索は
これからも続けていってほしい」

というご意見をいただきました。

『伝説のアナザーネーム その名に秘められた変革者たちの物語』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。

第639回2023.2.10

2月の番組審議会は、10日(金)に開催されました。

今回は1月17日(火)に放送された
ytvドキュメント 『水道クライシスー巨大地震 その時 水は届くのかー』
について、委員の皆様からご意見をいただきました。

また昨年12月と今年1月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要も報告されました。


□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦(書面参加) 古川綾子

ytvドキュメント 『水道クライシスー巨大地震 その時 水は届くのかー』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「阪神淡路大震災から28年という節目の日の放送。
震災から得たはずの教訓として水道の問題に焦点を当てるという意図は
よくわかった。
番組冒頭部分を占める震災当時の映像は、
経験を風化させないという点では大事な部分ではあるが、
番組のテーマが『水道』というところからすると
いささか長かったのではないか」
「日本の水道が抱える問題点がわかりやすく整理されていた。
高度経済成長期に施設された水道管の老朽化が進み、
また水道管のつなぎ目部分が問題となる耐震化率も低いままという現状を教えてくれる良い番組だった」

まず、日本の水道の抱える問題点を
わかりやすく浮き彫りにしていたという評価はいただきました。

そのうえで……

「水道事業の広域化やAIシステムの利用による効率化など
問題の解決につながりそうなトピックも紹介されていたが、
番組として展望が開けるような提言が欲しかった」
「広域化については国の介入が不可欠なはずだが、
果たして取り組みは十分なのかという行政への追及ももっとするべき」
「水道管更新を阻む大きな要因の水道事業の財政についても、
水道使用量の変化の見通しや耐震化にかかる費用などの
シミュレーションは可能なはず。
そうした具体的なデータをベースにしたアプローチの提言なども、
番組として恐れず打ち出してもよかったのではないか」

というように、
より説得力のある切り口での問題点の追及がほしかった、
という声もいただきました。

また、

「費用だけではなく、
生活道路を掘り返す水道管の入れ替え工事は
地域住民の生活に大きな影響を及ぼす作業だ。
『待ったなし』の状況で、
多少の不便を受け入れるコンセンサスの形成も必要だろう。
今回のような番組を通した視聴者啓発はテレビの大きな役割だ」

のように、
視聴者へ、ときには耳の痛い提言も積極的に行っていくことも求められました。

ytvドキュメント『水道クライシスー巨大地震 その時 水は届くのかー」について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。

第638回2022.12.9

12月の番組審議会は、9日(金)に開催されました。

今回は10月8日(土)に放送されたten.ドキュメント
『漂流する”夢の島”ー日本初 大阪IRの行方』について、
委員の皆様からご意見をいただきました。

また11月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要も報告されました。


□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織(書面参加) 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子

『漂流する”夢の島”ー日本初 大阪IRの行方』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「IR計画が浮上した経緯や問題点が
コンパクトにわかりやすく整理されていた。
IRに関心がなかった人でも
番組を見ればひととおりの知識を得ることができるという点で、
たいへんに優れた番組だった」
「賛否が拮抗するテーマをバランスよく扱おうという意図はよくわかった。
結果としてカジノに否定的な意見がやや強く印象づけられたという
気もするが、行政へのチェック機能は果たしていたのではないか。
ただカジノによる観光政策は世界中の都市で採用されている。
IR計画の効用をふまえた議論も、もっと必要だったのではないか」

このほかにも、

「今回のIR計画のきっかけとなったシンガポールのカジノと
現在の大阪IR計画との乖離など、
要所で数字をきちんと示して説明されている点が
わかりやすさにつながっている。
シンガポールとの対比でいうと、
税制をはじめとする双方の制度や経済規模、
国全体としての取り組みなど背景の違いをはっきりと示してほしかった」
「賛否双方の識者だけでなく、
一般の人へのインタビューも生々しい声が聞けた。
カジノに大金をつぎ込んで世界を飛び回っている
ハイ・ローラーといわれる人たちなどへのインタビューもあれば、
さらに面白かっただろう」

またこの番組は放送後にネット上にもアップされています。

「番組全体がYouTubeにアップされているが、
ひとつの番組をこのように様々な形で発信する試みは非常に良いと思う。
社会情勢もあり、区域整備計画の認定までにはまだ紆余曲折があるだろう。
その節目をとらえて、またこういう番組を作り続けていって欲しい」
『漂流する”夢の島”ー日本初 大阪IRの行方』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。

第637回2022.11.11

11月の番組審議会は、11日(金)に開催されました。

今回は9月22日(木)から4回にわたって放送されたオムニバスドラマ
『さよならの向こう側』について、委員の皆様からご意見をいただきました。

また10月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要とともに
2011年度上半期の番組種別も報告されました。


□出席委員
勝田泰久 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子(書面)

ドラマ『さよならの向こう側』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「いい役者、いいスタッフを使って丁寧に作られたドラマだ。
『死の世界の案内人』、
『死者が最後に会いたい人はだれか』という設定には既視感はあるが、
生と死は隣りあわせだと改めて思わされる。
自分だったら誰に会いたいと思うだろうか、と考えさせられた」
「案内人役の上川隆也さんは声に説得力があり役柄にぴったりだった。
また第2・3話に登場したビデオ店のアルバイト店員役の
渋谷謙人さんのキャラも非常に印象に残るなど、
役者の熱演が印象に残る」

半面、物足りなさを感じたというご意見もいただいています。

「『自分の死を知っている人には会えない』というハードルを
どのように越えるかがポイントで興味をそそられた。
最後に会う相手が息子や父親、恋人という
ヒューマン・ドラマ的な結末ばかりだったが、
そこから外れたパターンも見たかった。
ハードルの超え方もいささかご都合主義的なやり方が続いたように思える」
「最終話で、案内人の生前の夫婦のドラマが描かれると期待したが、
肩透かしを食った思いがした。
放送分を十分に作りこむことで
Huluなどのスピンオフへも食指が動くのではないか。
是非、さらなる企画を期待したい」

Huluでのスピンオフ配信について、
担当者は次のようにご説明しました。

「このドラマも地上波放送分で完結という意図で制作しており、
 Huluへの誘導を意図していたということはありません。
 ご覧になって物足りなさを感じられたというご意見をいただき
 真摯に受け止めたいと思います」

「『他人の記憶に残ることが生きることの意味だ』、
『死と向き合うことで生き方を見直す』というメッセージを強く感じた。
ある程度年齢を重ねた人にとっては、
心を揺さぶられるドラマだったのではないか」
「音楽も、ことさら視聴者を泣かせようするのではなく、
淡々とした楽曲を使っていた。
ストーリーのあざとさを抑制するような音楽の使い方で感心した」
ドラマ『さよならの向こう側』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。

第636回2022.10.14

10月の番組審議会は、14日(金)に開催されました。

今回は9月18日(日)放送の
NNNドキュメント’22
『みいちゃんのお菓子工房~場面緘黙症(ばめんかんもくしょう) 少女の夢』
について、委員の皆様からご意見をいただきました。

また9月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要の報告とともに
来年4月に施行予定の『読売テレビ放送基準』の改正についても諮問し、
「妥当」との答申を受けました。


□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子

NNNドキュメント’22『みいちゃんのお菓子工房~場面緘黙症 少女の夢』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「場面緘黙症という病気の存在を知ることができ意義のある番組だった。
主人公のみずきさんのごく普通の笑顔と、
人前での『動かない、しゃべらない』姿とのギャップの大きさに驚かされた」

一般には知られていない病気について知ることができた、という声は、
多くの委員から聞かれました。


半面、場面緘黙症は知られていない病気だけに、
情報量に物足りなさを覚えたというご批判もいただきました。

「この病気をより深く理解するためのデータをもっと盛り込んでほしかった。
また、同じ病気に苦しむ人や家族の方へのヒントになるような部分や、
場面緘黙症の人にどのように接したらいいかなどの情報が
足りなかったのではないか」

今回は取材に際してなるべく対象者の負担にならないよう、
遠くからカメラで撮影する方法を多用しました。
映像については、このような評価もいただきました。

「専門家の話を聞いて晴れやかな顔になるお母さんと廊下で待つみずきさん。
ロングショットで粘り強くおさえた映像のカットバックや
廊下で出会うお母さんとみずきさんの全身を押さえたロングショットが
感動的だった。
また最後のキャンプ場でのみずきさんの笑顔のカットも
遠い位置からカメラで追っていた成果だろう。
伝えられなかった情報はあるだろうが、粘り強い取材が光っていた」

さらに、番組の意義は認めつつも、こんなご意見も。

「ケーキ作りに才能を開花させたみずきさんの姿にはほっとするが、
一方で、ケーキ店が心の負担になっていたのではないかというところに
複雑な思いがした。
また番組の取材自体が
みずきさんにとっては負担になっていたのではないかという気もする。
お母さんの口をとおしてでも、みずきさん本人の気持ちを知りたかった」

といった、評価との裏表となるようなご意見もいただきました。


このご意見に対しては、

「『病気について多くの人に知ってもらいたい』、
『親としてなにかアクションを起こしたい』という親御さんの思いは切実で、
番組も思いにこたえてると思う」

というご意見とともに、

「番組としては、さらに一歩進んで、
『こういう病に苦しむ人も受け入れる社会、
多様性を受け入れる社会の構築が必要だ』という
強いメッセージの発信まで踏み込んでほしかった」

という声もいただきました。

NNNドキュメント’22『みいちゃんのお菓子工房~場面緘黙症 少女の夢』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。

第635回2022.9.9

9月の番組審議会は、9日(金)に開催されました。

今回は、毎週月~金曜日の朝放送の『朝生ワイド す・またん!』について
委員の皆様からご意見をいただきました。

そのほか、
7月と8月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要も報告されました。


□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁(書面) 松尾徳彦 古川綾子

『朝生ワイド す・またん!』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「朝のあわただしい時間帯に、
肩のこらないやわらかい印象を与えてくれる番組だ。
ニュースやスポーツなどの話題を繰り返す構成でテンポもバランスもよい。朝にながら視聴をしやすい番組になっている」
「リニューアルでMCとして起用された局アナ陣が
最近ではずいぶんこなれてきた。
親しみやすい印象だ。
他局の朝の番組と比べても騒がしいバラエティー色が抑えられ、
そこが見やすさにつながっていると思う」

番組のもつ『明るさ』や『テンポのよさ』に対して評価をいただきました。


また、

「流行や雑学、知ってためになる情報などを扱う各コーナーには
相当な手間と労力がかかっているだろう。
これらがアップされているユーチューブのアーカイブも面白く見られる」

など、各コーナーの情報性とともに、
アーカイブ動画をネット上でご覧いただけるという点も好評でした。


一方で、

「『関西一の笑顔』という番組の狙いは実現できていると思う。
半面、早朝からのテンションの高さや笑顔が苦しく感じられる視聴者も
いるのではないか。
また天気予報画面の色づかいは大阪らしいともいえるが、
毒々しくも感じられた」
「ニュース項目のなかには、
何度も繰り返さなくてもよいのではないかと思われるものもあった」
「元タイガースの鳥谷さんや元サッカー日本代表の大久保さんの
スポーツ解説は聞きごたえがあり好感を抱いた。
ほかの分野のゲストコメンテーターも、さらに充実させてほしい」

といった、評価との裏表となるようなご意見もいただきました。


さらに、

「財界の重鎮の訃報に伴うパワハラ的なエピソードの扱いが気になった。
メディアとして、
常に研ぎ澄ませた意識をもって、番組の隅々にまで目を光らせてほしい」

という声もいただきました。

『朝生ワイド す・またん!』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。

第634回2022.7.8

7月の番組審議会は、8日(金)に開催されました。

今回は、5月25日(水)放送ytvドキュメント『太陽と海陽』について
委員の皆様から様々なご意見をいただきました。

そのほか、6月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要も報告されました。


□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子

ytvドキュメント『太陽と海陽』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「『色素性乾皮症』という難病の子供とそのご両親を描いたドキュメンタリー。
非常に重いテーマだが、多くの人に病気のことを知ってもらいたいという
ご両親の切実な気持ちを受け止めて真摯に制作されている。
視聴者の多くが、知らなかった事実を知ることができただろう。
大いに意義がある番組だったと思う」

難病を扱ったドキュメンタリーで、視聴感は重苦しくなります。
ただ登場するご家族たちの前向きな姿に心がうたれた、という声を
多くいただきました。

「同じ病気をもつ子供がいる家庭を訪ね母親が現実に直面する場面など
辛い部分が多いが、登場する人たちの前向きな態度には救われる思いがした。
また子供を受けいれようとする幼稚園の園長や、
屈託なく触れあおうとする幼稚園児の姿にはかすかな希望も感じられた」

一方で、難病治療をめぐる現状の問題点などについては
もっと深い掘り下げが期待されました。

「前向きなご両親の姿を大きな柱とした
オーソドックスな作りのドキュメンタリー。
病気のメカニズムのより詳しい説明や、
ほかの難病のケースにも通底するようなビジョンが示されていれば、
とも思わされた」
「遺伝子治療など国の取り組みの遅れや治療コスト、
あるいは難病の子供を社会がどう受け入れるかなどの問題を
もっとはっきり打ちだして、
番組のメッセージを明確にさせたほうがよかった」

また、今回の番組に限らず、
広く「ドキュメンタリー番組」に関する期待や要望も出されました。

「『多くの人が知らないことを知らせる』、『マイノリティーの声を伝える』が
ドキュメンタリーの大きな役目だと思う。
今回のドキュメンタリーも、
たまたまテレビをつけた人の目に留まったはず。
答えがない辛いテーマであっても、テレビが取り上げることは必要で、
大いに意義がある。
今回は十分に触れられなかった問題点にも目を配る形での
続編を期待したい」
ytvドキュメント『太陽と海陽』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。

第633回2022.6.3

6月の番組審議会は、3日(金)に開催されました。

今回は、5月15日(日)放送『草彅やすともの うさぎとかめ』について
委員の皆様から様々なご意見をいただきました。

そのほか、5月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要も報告されました。


□出席委員
勝田泰久 佐古和枝(書面参加) 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子

『草彅やすともの うさぎとかめ』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「自然体で誰も傷つけないバラエティという
制作者の意図どおりのテイストの番組。
草彅剛さんと海原やすよともこさんを組みあわせた
絶妙のキャスティングのたまものだ」

5月からのレギュラー化に先立って放送された特別版でも
草彅さんとやすよ ともこさんとのやり取りが際立っていると好評でした。

「最近のテンポの速いバラエティとは対照的で、
ストレスなくのんびり落ち着いてみられた。
トークのテイストやセットの雰囲気など、今では死語となりつつある
『古き良きお茶の間』という言葉がぴったりなコンテンツ。
これから先、やすともさんと草彅さんとの相乗効果によって、
面白いトークのアンサンブルがどんどんと繰り広げられていくだろう」

番組の柱となっているのが「うさぎとかめ」の対決VTR。
今回のお題は『パンケーキ作り』。
プロのパティシエに1時間だけ教えていただく「うさぎ」と
一週間、ネット情報だけの情報をもとにおいしいパンケーキ作りに挑む「かめ」。
毎回それぞれのやり方で、タレントが競いあいます。

「プロに一時間だけ教わるウサギと、
一週間ひとりで努力し続けるカメの対決という構図が斬新」
「今回のパンケーキ作りの対決では、
カメとしてエルフ荒川さんが一週間、
ネットの情報だけをたよりにおいしいパンケーキ作りに挑戦。
ときにはノーメイクの素顔でひたすらパンケーキを焼き続けた。
荒川さんの頑張る姿には非常に好感を抱き、感情移入しながら見続けた。
結局勝負には敗れたが、勝者側を指導したシェフが
荒川さんの良いところをほめるという配慮があったところにも、
番組の温かさを感じた。」

新たな展開が次々に生まれそうな番組テイストに期待する声を
多くいただきました。

「他局の番組のポスターがセットのなかに飾られていたり、
草彅さんとやすともさんが共演したCMがトークの話題になるなど、
いろいろな枠を超えた番組だ。
今後も次々に面白い展開が生まれるだろう」
「日曜お昼の新たな定番番組の誕生という感がある。大いに期待したい」
『草彅やすともの うさぎとかめ』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。

第632回2022.5.13

5月の番組審議会は、13日(金)に開催されました。

今回は、3月24日(木)放送『THE 5連覇無双』について委員の皆様から
様々なご意見をいただきました。

そのほか、4月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要と
2021年度下期番組種別も報告されました。


□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子

『THE 5連覇無双』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「超有名鮨店の店主という「絶対王者」に、
ひとネタに自信がある鮨職人の挑戦者5人が挑むバトル。
カメラワークがきれいでBGMもよい。
絶対王者の、温度にまで気を配った調理法や、
挑戦者たちそれぞれの技や工夫に驚かされた。
鮨という料理の奥深さがよくわかった」
「料理学校の学生という挑戦者の包丁さばきや仕上げもたいしたもの。
また5連覇目の師弟対決も興味深い趣向で、
圧倒的に強いはずの絶対王者が果たして勝つのか、
という緊張感が保たれていた」
「挑戦者や勝敗の判定人など、
人選でのジェンダーバランスもきちんととられていた」

一方で、勝敗を判定する判定人や料理のプロセスを見届ける見届け人については
以下のようなご意見がありました。

「判定人は一般人とのことだが、それぞれがどんな人なのか、
簡単でもよいのでプロフィール、属性の紹介が欲しかった。
また判定人が3人というのは少なすぎる。
判定人にはもっと多くの人数が必要だろう」
「『大食い』や『激辛』などはテレビで表現できるが、
『おいしさ』をテレビで伝えるのはむつかしい。
判定人のほかふたりの見届け人が配置されていたが、
味の表現やリアクションも単調だった。
全般に、見届け人の位置づけや役割がよくわからなかった」
「判定人の感想をきちんと紹介してほしかった。
特に挑戦者を勝ちとした判定人のコメントを聞きたかった。
また食べる役割の出演者として、料理のプロがいてほしかった。
プロがいれば、一般人では気づかない料理のポイントの指摘も
期待できたはずだ」

また、今後の展開に期待する声も寄せられています。

「全体としては非常に面白く見られた。
『5連覇』というコンセプトで、料理以外のバトル企画もできるだろう。
MCのテンションや空気感、勝負の判定の見せ方なども工夫して
チャレンジしてほしい」
『THE 5連覇無双』について、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。

第631回2022.4.8

4月の番組審議会は、8日(金)に開催されました。

今回は、『テレビについて感じていること ytvに望むこと』というテーマで、
委員の皆様から様々なご意見をいただきました。

そのほか、3月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども
報告されました。


□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子

『テレビについて感じていること ytvに望むこと』というテーマで
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。

「『テレビ離れ』といわれるが、地方波テレビ放送の影響力は大きい。
テレビの力の強さを自覚してほしい。
地上波には世の中の出来事をきちんと伝える役割が求められる。
ウクライナの戦場など、自分で直接確かめられないことはテレビ報道に頼る。
確かな情報・事実を伝えるメディアとしての信頼性を維持していってほしい」

このように、地上波テレビ放送の影響力や役割の大きさを改めて自覚するよう求める
ご意見を多くいただきました。

そのうえで、

「情報番組などで、無責任な言い放しのコメントでも
テレビで放送されれば視聴者には『事実』として受けいれられてしまう。
専門性や政治的中立性への目配りが欠けると、
テレビへの信頼がゆらぐ結果となる。
重要なテーマを誰に語らせるかは非常に大事だ。
コメンテーターの選択には、テレビ局の見識が問われる。
人選は慎重にしてほしい」

のように、起用する専門家や出演者の選択の重要さを強調する声もいただきました。

また地上波テレビ放送の特性をふまえ、このようなご意見も。

「ネットやBS、CSなど選択性の強いメディアと違い、
テレビはつけ放しにして受動的に視聴することが多いのではないか。
『なんとなく』見ているなかで、時に面白い番組に出くわしたりする。
自分で選んだものではないからこそ、
テレビには発見や出会いがあると感じる。
そのようにして出会う番組は、信頼でき質の高いものであってほしい」

またテレビにはSDG’sをふまえた厳しい目も向けられていました。

「ジェンダーバランス、女性の描かれ方への感度は常に鋭くあるべきだ。
他局の番組でも女性出演者への敬意を欠いた発言や
役割の与え方が目につく。
ジェンダーについての視聴者の目は厳しくなっている。
ジェンダー問題を強く意識した制作態度が、
『テレビは変わった』という視聴者の評価につながると思う」
『テレビについて感じていること ytvに望むこと』というテーマで、
委員の皆さまからいただいた主なご意見をご紹介しました。
  • 2022年度讀賣テレビ放送番組審議会 委員
  • 委員長  勝田泰久   大阪経済大学前理事長
  • 副委員長  佐古和枝   関西外国語大学教授
  • 副委員長  北前雅人   大阪産業大学  理事長
  • 委員  藤野可織   小説家
  • 委員  小林順二郎   国立循環器病研究センター 名誉院長
  • 委員  梶山寿子   ノンフィクション作家
  • 委員  島尾恵理  弁護士
  • 委員  白羽弥仁   映画監督
  • 委員  松尾徳彦   読売新聞大阪本社 執行役員編集局長
  • 委員  古川綾子  上方芸能研究者