番組審議会報告とはProgram council report
テレビ局が放送する番組の充実・向上と適正をめざして審議するために設置されています。
讀賣テレビ放送番組審議会 委員は、さまざまな分野の有識者10名で構成されており、
原則として審議会を月1回開催しています。
あなたが知っている番組について話し合っていることもありますので、
ぜひ一度読んでみてください。
いつもとは違った視点でテレビを見るようになれるかもしれません。
※読売テレビの番組は、放送基準にもとづいて製作しています
第630回2022.3.11
3月の番組審議会は、11日(金)に開催されました。
今回は、2月27日(日)放送、
ニッポンのレジェンド発掘SP 『さいしょの人はスゴかった‼』について、
ご意見をいただきました。
そのほか、2月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども
報告されました。
□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子
ニッポンのレジェンド発掘SP 『さいしょの人はスゴかった‼』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「QRコードや電子炊飯器など、
現在では当たり前になっている技術や発明が
どのようにして生み出されたかが描かれた番組。
知的な部分とバラエティー的な楽しさとのバランスがよい
エンターテインメント番組になっていた」
「MCの香取慎吾さんの『人を想う気持ちが新しいものを作る』という
締めくくりのコメントがすべてを表している。
技術者の名前などはなかなか世には出ないが、
世のため人のためという気持ちから困難に向かう人たちの姿に感動した」
のように評価する声を多くいただきました。
また個別のコーナーについても、
「電子炊飯器開発や料理レシピ、
さらにはボディシェアリングの開発など、
番組全体として女性の力を大きく取り上げていた点が印象的だった」
「再現ドラマのクオリティーが非常に高い。
電子炊飯器発明の再現ドラマで、
子供が帰宅して玄関から座敷に入り横移動する
ワンカットのカメラワークは秀逸だった」
などの評価をいただきました。
そのなかで、
「パネル展開でのコーナーでは、
もう少し『偉大さ』がわかればと思わされるところもあった。
またそれぞれの人たちが発明を成し遂げたあと報われたのかどうかなど、
後日談も知りたいと思った」
というご意見もありました。
出演者については、
「ひな壇タレントは使わず、シンプルな進行で非常に見やすかった。
MCの香取さんと渡辺直美さんの存在感が際立っていた。
渡辺さんはニューヨークからリモートでの出演だったが違和感はなく、
香取さんとの仮想空間での対面実験などは
むしろリモート出演が生きていた」
のように評価する声を多くいただきました。
ニッポンのレジェンド発掘SP 『さいしょの人はスゴかった‼』 について、
委員の皆さまからの主なご意見をご紹介しました。
第629回2022.2.10
2月の番組審議会は、10日(木)に開催されました。
今回は、去年の12月16日(木)に放送された
『たとえるバラエティ クイズ! 鼻からスイカ』
について、委員の皆様からご意見をいただきました。
そのほか、
去年の12月から今年の1月にかけて
視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦(書面) 古川綾子
『たとえるバラエティ クイズ! 鼻からスイカ』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「深夜の時間帯に、どこからでも気楽に見られる番組だった。
個々のネタはそれぞれ面白く見た。」
気楽に見られるバラエティー番組、という声をいただきました。
ただ、番組のコンセプトである『たとえ』については……
「『たとえ』を素材にしているはずが、
『たとえ』でないものも対象になっていたために
番組全体の印象がぼやけてしまった。」
「電子レンジのチン」など語源や由来のネタのように、
言葉自体にフォーカスした知的な掘り下げがほしかった。」
というご意見を多くいただきました。
番組タイトルの『鼻からスイカ』は、女性の出産時の痛みのたとえとされています。
タイトルについては、
「『鼻からスイカ』というタイトルはインパクトが強いが、
そういうたとえがあるとは知らなかった。
あえてタイトルにする必要があっただろうか。」
「スタジオセットで、鼻からスイカが出たりするところのルールも
よくわからなかった。」
そのほか、
「不倫ネタは、
見ていていい気持ちがしなかった人は多かったのではないか。」
「職業の描き方で、ステレオタイプのところが気になった。」
「『プロポーズの言葉』についての街頭インタビューは面白かったが、
『女性が名字を変える』を前提とした結婚観を
無条件に好意的に受け止めた形になっていた。
それぞれの思いは大事にしながらも、
スタジオ展開等の工夫によって
現代の番組としてアップデートされた価値観を打ち出せたはずだ。」
といったご意見もいただきました。
また出演者については、
「NMB48の渋谷凪咲さんが面白く好感が抱けた。
また梅沢富美男さんの存在感も際立っていた。」
という声をいただきました。
『たとえるバラエティ クイズ! 鼻からスイカ』について、
委員の皆さまからの主なご意見をご紹介しました。
第628回2021.12.10
12月の番組審議会は、10日(金)に開催されました。
今回は、11月27日(土)に放送された
『増田のニュースドライブ~2021年総決算 コロナ&重大ニュースSP』
について、委員の皆様からご意見をいただきました。
そのほか、
11月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員(書面参加を含む)
勝田泰久 佐古和枝(書面) 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子
『増田のニュースドライブ~2021年総決算 コロナ&重大ニュースSP』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「お笑いコンビ・ますだおかだの増田さんが、
コメンテーターとともに『大阪市西成区の住宅崩落』、『入管問題』、
『コロナ対策』という三つのニュースの現場に赴くという、
ほかにはない形式の番組。
笑いをおりまぜ、肩ひじを張らずに気楽にニュースに接することができた」
個別のトピックについては……
「住宅崩落の被害にあった住民の方や
入管で長期間拘留されてたミャンマー人男性の証言など、
生々しい話が光っていた。
大阪のコロナ対策で注目される施設についても、
『野戦病院』というイメージが先行していたが、
実際にどのような施設かがよくわかった。
一方で、トピックに対するより深い掘り下げという点については、
「入管の実態などは取材が困難なのだろうが、
そこは果敢に挑戦しなければならなかったのではないか。
また大阪のコロナ対策に触れるなら、
大阪府知事への直撃なども必須だ」
「入管問題で登場した八代弁護士は
『自分は専門ではない』といいながらも、
入管の問題点をコンパクトにきちんと説明していた。
メディアで知られた人による的確な説明で
視聴者の理解も深まると思われるが、
一方で、住宅崩落では建築や地質、
入管問題では外国人の不法滞在問題など、
専門家の出演はやはり必要だったのではないか」
「限られた時間の番組では
論点や意見は単純化されて取りあげられがちだが、
例えばコメンテーターから賞賛された大阪のコロナ対策については、
『医療従事者の動員は十分にできるのか』など、
反論や様々な評価は示すべきだった」
のようなご指摘をいただきました。
MCの増田さんについては、
「増田さんのツッコミ力、いじり方が生きている。
ほどよい軽さで笑いをとりながら、
聞くべきことを聞いていく進行は心地よく、
番組の大きな魅力となっていた」
という評価をいただいています。
『増田のニュースドライブ~2021年総決算 コロナ&重大ニュースSP』について、 委員の皆さまからの主なご意見をご紹介しました。
第627回2021.11.12
11月の番組審議会は、12日(金)に開催されました。
今回の対象番組は、9月28日(火) 深夜に放送された
『平成紅梅亭 東の旅SP』です。
『平成紅梅亭』は、
いつもはスタジオから落語をお届けする形で放送していますが
今回は落語3席に加え、
その落語にまつわる地を紹介するロケも行って放送しました。
そのほか、2021年度上半期の番組種別ごとの放送時間の報告や
10月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員(書面参加を含む)
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子
『平成紅梅亭 東の旅SP』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「新たな落語ファンの掘り起こしをめざし、
上方落語の代表的なネタ『東の旅』の舞台となったスポットを
ロケで紹介しながら高座を見せるという新しいスタイルに挑戦した番組。
落語家(桂吉弥さん)と
アイドルのふたり(NMB48の安部若菜さんと小嶋花梨さん)を配した
ロケ部分は、よいナビゲーションになっていた」
落語家とふたりのアイドルという取りあわせへのご意見は……
「アイドルのふたりのうち安部さんは落語通、
小嶋さん落語の初心者という、いい取り合わせだった。
落語に全く触れた経験のなかった小嶋さんが、
ロケを経て、最後に落語を聞いて、
どんな感想を抱いたかは知りたいところだった」
昔の上方落語に登場する場所を実際にたどるという、
ロケ部分については……
「ロケで紹介されていた暗峠などは、画面としては地味だが、
こういう企画ものでないと目にする機会がない場所だった。
ただ『東の旅』の目的地である伊勢神宮や
『三十石』に登場する伏見寺田屋などのスポットは、
もっときちんと見せてほしかった」
「伊勢から京都経由となる旅の帰り道も、
もっと丁寧に図示されていたら、
落語もより身近に感じられただろうと思われた」
また、現代の視聴者に昔の落語を届ける際の配慮としては……
「ロケ部分での落語解説に登場する難しい言葉、
『葬礼(そうれん)』などの言葉は、
テロップでフォローするなどの配慮が欲しかった」
番組で放送された落語の高座は『七度狐』『軽業』『三十石』の3席でした。
「3席の落語は、全般に地味な噺で
少し長いと感じさせられるところもあったが、
なかでも吉弥さんの『三十石』は、
船頭の歌う唄や
艪のきしむ音などの描写で、船旅の風情を色濃く漂わせていた」
『平成紅梅亭 東の旅SP』について、
委員の皆さまからの主なご意見をご紹介しました。
第626回2021.10.8
10月の番組審議会は、8日(金)に開催されました。
今回は、『TOKYO2020 オリンピック・パラリンピック放送、報道について』
と題して、当社での放送に限らず、
広くオリンピック・パラリンピック放送についての
ご意見をいただきました。
また9月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員(書面参加を含む)
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子
『TOKYO2020 オリンピック・パラリンピック放送、報道』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「当初は開催に懐疑的な声があったが、
始まるとどんどんのめりこんでいって、
競技自体はテレビでおもしろく見られた。
今回から取り入れられたスケートボードなど新しい競技でも、
瞬時に技の名称をアナウンスする中継アナウンサーの技量には
感心した」
「今回は、サーフィンやスケートボードなど
新しい競技がオリンピックに新風を吹き込んでいた。
中継を通して、なによりも競技者自身が
のびのびと楽しんでいる空気が感じられた」
「パラリンピックの競技では
ルールとハンディキャップの関係などが
わかりやすく解説されたとともに、
感動を無理やり引き出そうとするところがなく、
より純粋にスポーツとして楽しめた」
このように従来はあまり放送されなかったパラリンピック種目や
今回から新たに採用された種目の魅力に気づかされたというご意見を
多くいただきました。
一方で、
「当初のキャッチフレーズは『震災復興』、
次には『コロナに打ち勝った証』、
最後はスポーツ自体の感動によって反対の声を吹き飛ばす形になった
オリ・パラだった。
今回の大会では、SDG’sやジェンダーの問題、選手の亡命や難民選手団の
存在といった政治とスポーツとの関係、
巨大化したスポーツイベントとしてのオリンピックの在り方など浮き彫りになった問題は多い」
「ボランティアの弁当大量廃棄の問題なども報じられているが、
コロナ禍での開催実態も含めて、
きちんとした評価や検証がなされなければならない」
など、大会で浮き彫りになった問題についての検証は必要といった
ご指摘もいただきました。
『TOKYO2020 オリンピック・パラリンピック放送、報道』について
委員の皆さまからの主なご意見をご紹介しました。
第625回2021.9.10
9月の番組審議会は、10日(金)に開催されました。
今回の対象番組は、7月18日(日) 深夜に放送された
NNNドキュメント’21『遺族とマスコミ~京アニ事件が投げかけた問い~』
です。
また7月と8月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員(書面参加を含む)
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子
NNNドキュメント’21『遺族とマスコミ~京アニ事件が投げかけた問い~』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「重いテーマを扱ったドキュメンタリーで、
考えさせられるところが多かった。
被害者の遺族と向きあった記者の誠実さや心の揺れが
画面から伝わってきた」
このようなご意見のほかに、
事件報道に際しての被害者の実名報道について、様々なご意見をいただきました。
「実名報道はメディアの大原則とされるが、
一方で一般の市民感情からすると
『被害者の氏名を公表するかどうかをなぜメディアが決めるのか』
『遺族が拒否するなら実名で報じるべきではない』、
という疑問や不信感が先に立つ」
「京アニ事件の犠牲となった娘さんの実名報道を受けいれ、
在りし日の娘さんの仕事ぶりに思いをはせる父親の姿は
深く印象に残る。
また犠牲となった方の氏名を報道することで、
事件に対する記憶や思いも新たになるところもある。
実名報道の意義はあるだろう」
被害者の実名報道について、社側は、
「個人の権利と公益性が対立した場合どちらを優先するかという問題は、
報道に限らず色々な現場で起こりえます。
公益性の観点から実名報道を行うときでも、
独りよがりにならないよう、大いに議論しなければなりません」
としています。
また委員からは、
「番組のなかで、実名報道の公益性や記録としての意義など、
報道するメディア側の論理やメッセージを
はっきりと提示するべきだった」
という声のほか、
「テレビの番組でよく見受けられるような、
事件直後に犠牲者の遺族から
『辛いです』『信じられません』などのコメントを聞き出すための取材は
本当に必要なのだろうかという声も多い」
「今回の番組のなかでは、
『実名報道』の問題と
被害者の遺族に取材が殺到する『メディアスクラム』や
『被害者への取材のあり方』の問題とが混在していた。
結論がでないテーマだが、
このような番組を通して
健全なメディアとしての在り方をさぐっていってほしい」
「国民の知る権利、報道の自由は当然なければ困る。
コロナ禍のなか、
強権国家がいかにも素晴らしい国家のように感じる面があるが、
あくまでも報道の自由、あるいは国民の知る権利が守られ、
併せて個人のプライバシー、個人の人権が 守られる世の中でなければいけない。
そのためには健全なメディア、これは絶対に必要だと思う」
という声もいただきました。
NNNドキュメント’21『遺族とマスコミ~京アニ事件が投げかけた問い~』
について、委員の皆さまからの主なご意見をご紹介しました。
第624回2021.7.9
7月の番組審議会は、9日(金)に開催されました。
今回の対象番組は、6月11日(土) 深夜に放送された
ytvドキュメント『学校安全の現在地~附属池田小殺傷事件から20年~』
です。
また6月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員(書面参加を含む)
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子
ytvドキュメント『学校安全の現在地~附属池田小殺傷事件から20年~』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「大きな事件事故も、日々のさまざまなニュースの中で
記憶から薄れてしまいがちだろう。
事件への思いを新たにし教訓を思い起こさせられたという点で、
節目のタイミングでの『周年報道』の重要さを思い知らされた」
「感傷を排除した淡々とした表現によって、
事件の当事者だった先生たちの悔恨の念や
再発防止を誓う心の切実さが伝わってきた」
学校の安全を守ろうという附属池田小学校の真摯な取り組みの実際が
よくわかったという声が多く寄せられました。
「記者の問いに考え込んだ校長の長い沈黙の中に、様々な思いが詰まっていた。
また朝礼で校長が児童に向けた言葉もカットせず丁寧に伝えていたことで、
当事者だった人の思いの深さがよくわかった」
淡々としたトーンのドキュメンタリーだったこそ
強く訴えかけるものがあったという評価をいただきました。
一方で、
「防犯ブザーなど校舎の設備をはじめ、
迫力のある訓練や児童への安全教育など
附属池田小の取り組みの真剣さがまざまざと伝わってきた。
ただ、ほかの学校では安全のための設備や取り組みは十分なのだろうか。
『学校の安全は先生が守る』ということで果たしてよいのか、
という問題提起をより強く押し出してほしかった」
のように、
番組としてのメッセージをもっと強く打ち出してほしかったという
ご意見もありました。
「昨今では『安心安全』という言葉が日常的に飛び交うようになっている。
『安心安全』という言葉のもつ重さを改めて感じさせられた。
事件事故は残念ながら繰り返される。
再発防止のためには、
事件事故の教訓を忘れないことがは最も必要なことだろう。
教訓を風化させないために、
このような番組の発信を是非継続していってほしい」
ytvドキュメント『学校安全の現在地~附属池田小殺傷事件から20年~』について、
委員の皆さまからの主なご意見をご紹介しました。
第623回2021.6.4
6月の番組審議会は、4日(金)に開催されました。
今回は元NNNパリ支局長による報告が行われ、
新型コロナ関連をはじめとする
海外報道のありかたなどについてのご意見をいただきました。
また5月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子
委員の皆様からは、以下のような声が寄せられました。
「限られた人員で
広範なエリアや多岐にわたるジャンルをカバーしていると知り、驚いた」
「視聴者は、海外のことを深く知ることがなかなかできない。
現地で得られる膨大な情報から、
現地にいなければ伝えられないことを選択し、
日本の視聴者のためにという意識での取材を続けていってほしい」
このようなご意見に対してのお答えです。
「一つのニュースにどれだけエネルギーをかけるかというところでいうと、
現実問題として割り切らなければいけないところもあります。
また何を基準に伝えるかという点は、すごく難しいテーマです。
国際ニュースを日本の視聴者に
どれだけ関心を持って見てもらえるかという点については
NNNの国際部としての課題です。
ヨーロッパでこういう動きがあるのだけれど
日本の視聴者にどういうふうに伝えるのか、というところについては、
日々出先から東京の国際デスクや国際部長と相談しながら進めていっています」
また2019年のノートルダム大聖堂の火災を伝えるリポートに対しては、
「パリのノートルダム寺院火災の取材では、
集まったパリ市民たちからわき起こった讃美歌の合唱をリポートしていた。
現地の人たちの感情をリアルに伝えており、深く共感できた」
という評価もいただきました。
新型コロナをめぐる海外からの報道に関しては……
「新型コロナ対策について、
海外の成功例を知りたいという欲求は視聴者には大きいだろう。
日常を取り戻しつつあるといわれるフランスのコロナ対策は
どうだったのか。
病床や医療従事者の確保の実際や、
一般人がワクチンを接種するまでのしくみなど細かな点も
日本の社会にとって参考になるはずだ」
これについては、
「ワクチンの数の供給量というのがやっぱり全然違います」、
「フランスの場合はマクロン大統領がいち早く、
『これは、もう戦時体制だ』という宣言をしました。
医療従事者の動員も、
フランス政府は早くドラスティックにやっている感じがしました」
またフランスでの日本への関心についても、
「フランスでの日本への関心はアニメや漫画が入口といわれる。
最近ではサブカルチャーの分野でも中国や韓国への関心が非常に高まり、
もはや日本のみが関心を独占しているわけではない。
フランスでは日本についての関心の入口はほかにないのか、
日本関連の情報の発信の実際を知りたく思った」
というご意見がありました。
この点については、
「任期の後半がコロナ一色になり、
文化方面のリポートをする機会にはなかなか恵まれませんでしたが、
フランスとかパリの文化は、
日本の視聴者に関心が高いんじゃないかなと思います。
フランスの文化が日本より優れているという伝え方ではなく、
フランスの人たちはこういうふうなものに関心を持って、
こういうところに価値を見出して豊かな生活を送っている、というリポート。
ライフスタイルとか、文化に対する価値観を伝え、
『フランスの人たちはこういうことに価値観を持って生きている、
では翻って私たちはどうか、
そういう考え方をして日常生活を振り返ってみたら
もっと日本の日常生活が豊かになるんじゃないか』、
というようなヒントのようなことを伝えたいなと思っていました」
としています。
以上、6月の番組審議会で出された委員からの主なご意見をご紹介しました。
第622回2021.5.14
5月の番組審議会は、14日(金)に開催されました。
今回の対象番組は、5月1日(土) 12時54分~16時00分に放送された
『カミオト 上方音祭』です。
また2020年度下期の番組種別のほか、
4月に視聴者の皆さまから寄せられた声の概要なども報告されました。
□出席委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥仁 松尾徳彦 古川綾子
『カミオト 上方音祭』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「GWの昼間、あっという間の3時間だった。
社屋の屋上での場面など迫力があり見入ってしまった。
関西弁の歌のランキングや大阪の駅メロなどの企画も楽しく見られた。
司会の海原やすよともこも大健闘だった」
コロナ下での3時間の生番組。
家族そろって楽しんで見ていただける音楽バラエティ番組として
評価する声をいただきました。
一方で、厳しいご意見も多数いただいています。
「年配の視聴者向けの歌手も出演しているものの、
全体としては若い視聴者向けのテイストは明らか。
視聴者としてシンパシーを抱けないままだった」
アーティストの選定、バラエティ色の打ち出し方など、
幅広い年齢層の方々に楽しんでいただくことの難しさを感じさせられたご指摘です。
「キュウソネコカミのライブハウス企画では
店長の若者に向けてのエールの温かさがリアルに伝わってきた。
一方で高校生とアーティスとのコラボ企画では
高校生の出番も少なく、物足りなかった」
番組では「音楽」を切り口にして、
コロナ下でなかなか以前のような生活を取り戻せない若者たちを応援するため、
アーティストとのコラボ企画がありました。
評価をいただいた企画もあれば、そうでない企画もでてきた結果となりました。
「『名探偵コナン』に関する企画や、
読売テレビのキャラクターのシノビーのコラボ企画があった。
少々長すぎたのではないか。
特にシノビーについては、読売テレビキャラクターであるという説明が
番組中には全くなかった。
知らない人にはなにをやっているのか、さっぱりわからなかっただろう」
「音楽によってエールを」というテーマとのことだったが、
エールを送られた感は薄かった。
エールが向けられる先をもっと表に出してもよかったのではないか。
また内容が豊富である一方で、素材をただ並べただけという印象が強い。
もっと丁寧なつくり込みをしてほしかった」
この番組は、関西ローカル放送ということもあり、
地元・関西のカラーをつよく打ちだした番組となっています。
この点についてのご指摘も。
「『関西』という一点でこれだけの番組が成立したことに改めて驚かされたが、
従来の『関西』のイメージを上書きしただけ、という感は免れない。
できあいの、ステレオタイプの関西像でなく、
新しい関西像を生み出す番組にぜひチャレンジしてほしい」
関西のテレビ局として、
委員の皆様からのエールをいただきました。
『カミオト 上方音祭』について、委員からの主なご意見をご紹介しました。
第621回2021.4
4月の番組審議会は、委員の皆さんから書面にてご意見をいただく形で開催いたしました。
今回の対象番組は
毎週金曜日 19時00分~19時56分 放送の『大阪ほんわかテレビ』です。
委員の皆さんには、参考用として
1月15日放送分を視聴していただきました。
また3月に視聴者の皆さまから寄せられた声なども
委員に報告されました。
□書面参加委員
勝田泰久 佐古和枝 北前雅人 藤野可織 小林順二郎
梶山寿子 島尾恵理 白羽弥 松尾徳彦 古川綾子(新任)
『大阪ほんわかテレビ』について
委員の皆様から寄せられた主なご意見は以下の通りです。
「日ごろ疑問に思いながら、
なかなか知ることができなかった情報を教えてくれる貴重な番組だった。
『知りたい欲求』と『楽しく見られる』ことをともに満たしてくれた」
盛りだくさんな情報エンターテインメント番組という評価を多くいただきました。
かつては日曜の夜に放送されていた『ほんわかテレビ』。
金曜の夜7時という時間帯にあわせた番組のテイストについては、
こんなご意見もありました。
「話題が次々に展開されるスピード感が
視聴者をつなぎとめるのには大事なのだろう。
『軽い』番組と見えながら、
実は知的好奇心を刺激する蘊蓄があちこちにちりばめられ、
家族そろって楽しめる情報番組だと思った」
「放送時間帯の特性からか、
いきなり番組が始まってさまざまな情報が押し寄せてきたのには
驚かされた。
雑多な情報が凝縮されて詰め込まれているところが、
長所にも短所にもなっている」
また、出演者の役割については……
「以前は
『喫茶店のカウンターに集まる常連たちの会話』という番組の世界が
はっきりと打ち出され、わかりやすかった。
今は様々な制約もあるのだろうが、
スタジオ出演者たちの人物設定の説明が十分でない。
大阪らしいユーモアあふれる切り返しや、
番組タイトルにあるような「ほんわか」としたやり取りを見たい気がした。
スタジオトークが情報整理の役割をもっと効率よく果たせたら、
より見やすくなるのではないか」
「事前に打ち合わせをしているはずのレポーターが、
あたかも初見であるかのようにふるまうなどの演出はよくみかけるが、
こういう手法も一考する時期なのではないか。
リポートするものがきちんと情報を調査し、それを報告するといった
真っ当さが必要ではないか。
その意味ではブックオフの買取倉庫のリポートは面白く見られた」
リポーターについて番組担当者は、
「リポーターの反応に関しては、すべてが予定調和というわけではなく、
実際に初見でリポートしていることが多いです。
視聴者に近い目線で物事を紹介できるように心がけていますが、
逆にうまく伝わらなかったり、わざとらしくなっていたりするかもしれません」
としています。
『大阪ほんわかテレビ』について、
委員からの主なご意見をご紹介しました。
- 2021年度讀賣テレビ放送番組審議会 委員
- 委員長 勝田泰久 大阪経済大学前理事長
- 副委員長 佐古和枝 関西外国語大学教授
- 副委員長 北前雅人 大阪産業大学 理事長
- 委員 藤野可織 小説家
- 委員 小林順二郎 国立循環器病研究センター 名誉院長
- 委員 梶山寿子 ノンフィクション作家
- 委員 島尾恵理 弁護士
- 委員 白羽弥仁 映画監督
- 委員 松尾徳彦 読売新聞大阪本社 執行役員編集局長
- 委員 古川綾子 上方芸能研究者