第482回 番組審議会議事録
1.開催年月日 |
平成19年5月11日(金) | |
2.開催場所 | クラブ関西 | |
3.委員の出席 | 委員総数 | 10名 |
出席委員数 | 10名 | |
出席委員の氏名 | 熊谷信昭、秋山喜久、金剛育子、林 千代、馬淵かの子、阪口祐康、佐古和枝、川島康生、吉岡征四郎、河内鏡太郎 | |
会社側出席者 | ・土井共成 (代表取締役会長) ・髙田孝治 (代表取締役社長) ・丸山和男 (代表取締役専務) 編成・コンテンツ・制作スポーツ・東京制作・ 報道担当 ・越智常雄 (専務取締役) 内部統制・コンプライアンス・総務・労務・事業担当 ・吉野俊太郎(取締役報道局長) ・久保哲郎 (執行役員コンプライアンス推進室長) ・位寄雅雄 (執行役員編成局長) ・村上博保 (執行役員制作スポーツ局長) ・諏訪道彦 (東京制作局エグゼクティブプロデューサー) ・松下泰紀 (コンプライアンス推進室視聴者センター部長) |
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事務局 | ・菱田千佳 (コンプライアンス推進室番組審議会事務局) ・森本泰輔 (コンプライアンス推進室考査著作権部 兼法務コンプライアンス部) |
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4.審議の概要 | ||
「日本のアニメと海外展開に関して」 報告者:諏訪道彦(読売テレビ東京制作局エグゼクティブプロデューサー) |
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5月度の番組審議会は5月11日(金)に、クラブ関西で開催された。 審議会では、「名探偵コナン」を例に挙げて「日本のアニメと海外展開」について報告した。 委員からは「世界共通語であるミステリーという内容が外国で受ける要因ではないか」、「日本の誇るべき文化であるアニメの水準を今後も追求してほしい」、といった意見が相次いだ。 また、「世界に向けた日本の文化の担い手である事を意識して番組作りにあたってほしい」「放送されている国で日本について誤解されたりいやな感じを持たれないようにする配慮を持ってほしい」といった要望もあった。 このあと、4月に読売テレビに寄せられた視聴者からの意見や抗議、苦情などについて概要を報告した。 出席は、熊谷信昭、川島康生、秋山喜久、馬淵かの子、金剛育子、林 千代、佐古和枝、阪口祐康、吉岡征四郎、河内鏡太郎の各委員と読売テレビからは、土井会長、髙田社長以下13名。 |
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5.審議内容 | 別掲の通り | |
6.審議会の意見に対して取った措置 特記事項なし(議事録は関係部署に配布) |
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7.審議会の答申・意見の公表 ●5月24日(木)付け読売新聞夕刊に議事の概要を掲載。 ●6月9日(土)午前5時14分から放送の「声~あなたと読売テレビ~」の中で議事の内容を放送。 ●本社コンプライアンス推進室に閲覧用として議事録を備え置く。 ●インターネット読売テレビホームページ「テレビの門・話し合ったもん」で議事録を公表。(http://www.ytv.co.jp) ●社内LANにて全ユーザー(全社員および関連スタッフ)に議事録を配信。 |
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8.配布資料 | ●報告概要 ●2007年4月に寄せられた視聴者からの意見・苦情 ●番組審議会平成19年度開催予定 ●平成18年度番組審議会議題一覧 |
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9.送付資料 | ●民放連機関誌「月刊民放」 ●民放連機関紙「民間放送」 |
【審議内容】
●社側
それでは皆さん、お揃いになりましたので始めさせていただきます。
きょうの出欠の状況ですけれど、委員の先生方は10名全員ご出席いただきましてありがとうございます。会社側の方は、いつものメンバーに加えまして、きょうは東京制作局長の本田が出席しております。
●社側
東京制作局長の本田です。どうぞよろしくお願いいたします。
●社側
私どもの番組審議会は、ご存じかとも思いますけれど、5月が新年度です。委員の先生、皆さまにつきましては、皆さん再任していただくということでご了解をいただいております。
そこで、まず新年度の委員長を互選していただくことになるわけですが、事務局より熊谷委員長に、引き続きお願いするということでご承諾をいただいておりますが、ご異議ございませんでしょうか。
(「異議ありません」の声あり)
よろしくお願いします。
それから副委員長につきましては、熊谷先生より、馬淵先生、川島先生で今年度もよろしくと伺っております。併せて、よろしくお願いしたいと思います。
では、新年度ということで、髙田社長より一言ごあいさつをさせていただきます。
●社側
きょうはお忙しいところ、全員ご出席いただきましてありがとうございました。新年度、引き続き私どもの番組審議をよろしくお願いをいたしたいと思っております。
ご承知のとおり、最近テレビ業界、例の関西テレビの『発掘あるある大事典』番組捏造問題をきっかけに、テレビに対する風当たりが、今まで以上に大変厳しいものがございます。
幸い、弊社の番組につきましては、番組審議会の皆さん方の日ごろからのご指導もありまして、この1年間、世間の顰蹙を買うような番組は一つもございませんでした。これも先生方のおかげだというふうに思って感謝をいたしております。
今開かれている国会に放送法の改正案がかかっております。政治日程上、今国会で成立するかどうか微妙だという見方もございますけれども、放送法には大きく五つの改正のポイントがございます。
一つは、NHKの経営改革の問題、二つ目は国際放送の位置づけの問題、三つ目はワンセグ放送、いわゆる携帯電話でテレビを見るワンセグ放送がございますけれど、現在は、今テレビに映っているのと全く同じ番組が流れておりますけれども、これを違った独立放送を認めようと、こういうことが法案に盛り込まれております。
四つ目は、デジタル化で大変お金がかかるものですから、ローカル局が経営破綻を来しかねないということで、放送持株会社を認めようということも盛り込まれております。
最後の一つは、法案を改定する作業の中に、先ほど申し上げました関西テレビの番組捏造問題が起こったものですから、急遽、法案の中に、番組を捏造した場合には、再発防止計画を義務づけるという項目が入りまして、これにつきましては、私ども民放連、それから日弁連、その他関係団体が、この法案の中に再発防止計画を盛り込むということについては強く反対をしております。
それはどういうことかと申しますと、放送というのは公共の電波を使っているわけですから、電波法あるいは放送法ということで、さまざまな制約があるわけでございます。例えば、公序良俗に反するような番組をつくってはいけないとか、民主主義の根幹を揺るがさないように特定の政党、特定の宗教に加担してはいけないとか、さまざまな制約がございます。
そういう中にあって、今度の放送法では、虚偽の番組をつくった場合、これは行政処分の対象として、再発防止計画を義務づけようと、こういうことでございます。
私どもは、どういう点から反対しているかといいますと、やはり番組が虚偽かどうかということについて、番組内容にまで政府が介入するのはいかがかと、これは私ども放送業界の自助努力に任せて委ねてほしいというのが、私どもの主張でございます。
そういう中で、きょうの新聞に載っておりましたけれども、NHKと私ども民放連で設置しております第三者機関の放送倫理・番組向上機構、いわゆるBPOというものがございます。このBPOと民放連が、きのう記者会見をいたしまして、番組捏造などを自主的に調査する新しい組織の放送倫理検証委員会というものを、12日付で設立をするということを発表しております。
これはどういうことかといいますと、先ほど申し上げましたように、番組の内容が事実かどうかということは政府に委ねるんじゃなくて、この検証委員会のほうで調査をして、この番組が虚偽であるということが分かったら、その当該の放送局に対して再発防止計画を義務づける。もし、それに従わない放送局があれば、今度、民放連のほうで処分をする。あくまでも放送業界の枠組みの中で、そういう捏造番組をつくらない仕組みをつくろうということでやっているわけです。当面、政府にはお世話にならないで、我々自身の手で、番組の捏造というものを回避しようという狙いでございます。
読売テレビとしても新年度も引き続き、政府はもちろんのこと、新しいBPOの新組織にお世話になるような、捏造まがいの、番組はつくらないように努力をしてまいりますけれども、委員の皆さま方にも、これまで以上に、ご指導を賜りますようお願いして、私のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
●社側
それでは審議に入らせていただきます。きょうご審議いただきますのは、アニメーションについてです。
読売テレビでは、ご存じかと思いますけれども、これまでに『巨人の星』とか『宇宙戦艦ヤマト』とか『ルパン三世』など、数々のヒットアニメを制作、放送してきております。アニメは我が社にとっても重要なコンテンツの一つになっております。
先生方には、事前に3月に放送しました『名探偵コナン』のVTRを今回をお送りさせていただきましたけれど、きょうは11年にわたって長寿番組になっております、この『名探偵コナン』を例に挙げまして、アニメーションの海外展開についてご報告させていただいた上で、皆さんのご意見をいただきたいというふうに考えております。
東京制作局でアニメ番組のプロデューサーをしております諏訪からご報告をさせていただきます。よろしくお願いします。
●社側
皆さん、おはようございます。読売テレビ東京制作部でアニメーションを制作しております諏訪と申します。きょうはよろしくお願いいたします。
今お話しいただきましたように、読売テレビでは、アニメの歴史は40年を超えておりまして、昭和41年に『黄金バット』という作品を出して以来、全部で30作品ほど、ずうっとアニメを放送させていただいています。
私は1986年に『ロボタン』という作品を放送してから約20年、ずっとアニメーションを担当しておりまして、何度か、こういう席でも、読売テレビのアニメということで、皆さんにお目にかかっていただいたことがあると思います。
きょうは、その海外展開ということなんですけども、実際、今『名探偵コナン』という作品は放送が、今言われたように12年目になっておりまして、今回、今現在は映画が公開されておりまして、これも11作目になっています。この映画は、今現在、興行収入は20億円を超えまして、非常な大ヒットを飛ばしておりまして、これも11年続いているということで、非常に評価を得ておりますし、実は読売テレビ玄関前に『名探偵コナン』の銅像も立っておりまして、これはほかの民放局では、今まで例がないということで、非常にそういう意味でも評価を得て注目をされていただいております。
海外で、今、日本のアニメが非常に人気があるというようなニュースをお聞きするかと思いますけども、どのアニメでも海外で評価を受けるかというと、そうではありません。日本のアニメで、やっぱり一番受けるというものが、日本の中で受けるのが、まず第一だと思いますけれども、海外で受けるために、どんな戦略がいいのかということに関しては、まず日本で面白いものをつくって、それをやっぱり見ていただくというところから、いつも始まっております。
最近、逆に日本のアニメが受けるのは一部であるというのが、正直、出てきております。今現在、毎週100本に近いアニメーションがつくられておりまして、その中で、どれもが海外に行くというわけではありませんが、正直どれもが海外戦略を見てつくっていると言っても過言ではありません。
ただし、やはり海外で受けるというのは、我が社では『コナン』とか『犬夜叉』というのが、もうここ累積1億円以上の海外ビジネスの収益もありますし、そういうことで、ただアジア、ヨーロッパ、アメリカ、いろんな地区によって受ける作品に特色がありますので、それぞれが、そういった戦略を持っていきたいなと思っております。
『コナン』でいきますと、アジアには非常に初期から入っていたんですけども、ただし、お国事情によって、中国とか、韓国とか、後で入っていくというところもあるんですけども、現実的に、どんな形で放送されているのか、言葉で吹き替えると、どんなものなのかというのを、まず最初に、ちょっと一部、見ていただきまして、それでまた、お話しさせていただきたいと思います。VTRのほう、お願いいたします。
英語と中国語と、それから日本語で短いシーンを撮っております。
<VTR視聴>
短いシーンでやっておりますけども、これらが英語とか、中国語とか、皆さんに資料が行っていると思いますけれど、その中で「コナンシリーズ海外販売エリア」は24カ国とありますけども、結局、言葉、言語は1カ国ではありませんので、数えると40を超える国に『コナン』は今放送されているというふうに報告を受けております。
それが実際に、今のような向こうで、その当事国で吹き替えされ、それがそこの子どもたちなどに一定評価を受けているというふうに聞いております。
我々からすると、本当は日本語でつくった『名探偵コナン』が、当然、完成品でございまして、それを吹き替えて、そのイメージがうまく伝わるかどうかは、正直、こちらから本当は英語のニュアンスも含めて選んでいきたいというふうに思ってはいます。ディズニーなんかは、そういう戦略で、日本なんかのキャスティングも非常に厳しいオーディションをしてやっていますけども、ただ、いかんせん1本の映画にかかる費用というか、そういうのも、やっぱりありまして、我々としては、中国語なり、それから英語なりは、その現地のディストリビューションというんですか、制作会社のほうにお願いをして、その国の一番事情が分かるような、そういう吹き替え、そして、そういう言葉などを、キャラクターなどを出していただければ、それでいいと、そちらのほうで、そちらのほうの国を担当する会社が、そちらのほうの国でヒットするような作品をつくってくださいということでお願いしております。
ですから、コナン君が年齢的に、今なんか聞いていただくと分かりますけど、中国人のコナンの子は、ちょっと年が上に聞こえるかなとか、アメリカ人のコナンの子は、これ非常にコナンというのは、7歳というふうに言いながらも、本当は17歳でして、モノローグの言葉なんかは、ちょっと大人の感じで言わなきゃいけないですし、実際にコナン君がしゃべると、可愛いコナンの声と、自分の実際、考えているコナンの声というのは、ちょっとまた、しっかりした推理を聞かせなきゃいけないというようなこともありまして、実は主演の高山みなみというのは、三つの声色を分けているんです。
そういうことを、じゃ英語の人とか、中国語の人とかに、やっぱり強要できるかというと、どうもそうではないらしくて、これは声優文化というのが、特に日本で一番発達しておりまして、最近、特に言われるということが、日本は海外の作品を日本語に吹き替えて、かなり高レベルな理解ができるように味わっているんです。
じゃあ日本の作品は海外でどうだというと、実はアニメが売れているのは、日本のオリジナルとしてのアニメが売れています。これはブランドというふうに思っていただければ分かると思うんですけども、アメリカとか、ヨーロッパで、日本アニメは、内容が面白いというのは、まず大事なんですけれども、それ以上に日本のアニメということが一つのブランドとして受け入れられている面があります。
その昔、日本も高度成長のときに、例えば、何でもヨーロッパもの、アメリカものがいいみたいな雰囲気があった時期があると思いますけども、それに近い感覚があるということで、日本は声優文化で、外の文化を吹き替えをして、しっかりとした理解をさせようとしておりますけども、海外は逆に、そういう声優文化がないものですから、なかなか吹き替え、日本のものをきちっと理解をして、それをじゃあ国の人たちに見せようという土壌に欠けるんです。
そういう意味で、逆にこちらの海外戦略というのも、一つまた違った目線を持っていかなければならないなというふうに思っているところもあります。
コナン君の映像、また続いてありますので、もう1回、見ていただきます。
<VTR視聴>
今ご覧になっていただいて、結局、コナンの何を伝えようかというところなんですけども、やはり我々としては、ミステリーというのが、一つの世界共通語だと思っておりまして、こういう小さい子どもがミステリーの名探偵というのを担っているんだというあたりが、やはり我々も、それが魅力ですし、これは世界各国、どんな子どもたちも、もしくは大人たちも、そこを見てくれているんじゃないかなと思っております。
それで今、例えば全米ですと、タイトルは『名探偵コナン』ですが、『Detective Conan』というふうに出したいとは思うんですが、どうしても、いろいろ事情があって、これはコナンというのが、確か『コナン・ザ・グレート』という映画が、先に昔あったものですから、それで使えないということで『Case Closed』、『一件落着』というタイトルで実際に放送されております。
これは、ほかの国でも、どうもコナンならコナンという言葉ではなく、別な形でつくられていることもありまして、それは各国の事情を我々が理解するまで、やっぱりどうしてもいけませんので、それは、そのお国柄でお任せしているというような状態ですが、いずれにしろ、そういう海外番販というものの収益は、ビジネスは、うちのコンテンツの大きな一つの柱になっていることは確かです。
最近というか、3月に私、外務省の招聘をいただきまして、中国のほうへ、いわゆる日本アニメについての講演というんですか、パネルというんですか、それに行ってまいりました。大連と上海と杭州の3カ所を回りまして、それぞれ200人以上のところに、ぎっしり若い人たちが詰めかけてくれました。
彼らの望むことは、中国で今のような、はやっている人気がある日本アニメのようなものを中国ですぐできないかという、そういう希望があるんですね。中国でも、もちろん若い方がすごくいますし、我々こうやって、いろいろとお話をしていますと、やっぱり人口が10倍だけいるだけあって、才能がある人も10倍いるんだみたいな印象は正直あります。
ですから絵を描かせても、びっくりするようなクオリティーのものを描いたりする人たちが、やっぱり大勢いますので、彼らが、もし集合体になってきたら、もしかしたら日本なんかはひとたまりもないかもというふうに思ったりもします。
ただし、結局は、それを日本は、やっぱり組織だって今まで作品をつくってきた。そういう系統を立つということが、やっぱりまだ、そういう歴史が浅いというんですか、欠けるところがありまして、結局、簡単にいうとプロデューサーとか、ディレクターの不在というのが、どうしても叫ばれています。
これは特に、才能がある若い人たちにとっても痛いことでして、そういう人材を、まず先に育てることが急務だということですが、その辺の話を、ずうっとしてきても、いずれにしろ何か焦っているなという感じがしまして、日本文化の一番いいところも、全部、中国でいうとお隣の国ですんで取り入れて、いろんなことで、今、やはり中国の成長が著しいので、今、日本の文化というのは何かというと、アニメというのが一番見やすいところなので、その辺について頑張ってやろうとしているというところがあります。
もう一人のキャラクターに毛利小五郎というのが、実は映像で用意しております。これは神谷 明さんという著名な声優が当てておりますけども、それを英語が先に出ますけども、英語、中国語、それから日本語のやつを、もう1回見てください。
<VTR視聴>
この英語の方だけは、私かなり会って打ち合わせをさせていただいております。神谷 明さんという方は、すごく小柄なんですけども、この英語の俳優さんは、すごくでかい方で、ただ、それが神谷さんの声を聞いて、こういうふうに演じるということにすごく喜びを見いだしていると、「アメリカでは、こういう仕事そのものがあると思っていなかった」とおっしゃっています。
現実に、さっき声優の話をしましたけども、声優としてビジネスで、まあ正直、飯が食えるみたいな文化は、やはり日本特有のものだそうで、当然アメリカとか、中国とかなんかは、俳優さんなり、そういう声をやる人がいるんですけども、それは、その声だけで生きていけるかというと、そういう組織、システムになってないようです。その方も舞台俳優の方でありまして、その後は、またロサンゼルスで公演があるというふうに言って出て行かれました。
また、録り方もまた全然違うんです。日本のアニメーションというのは、役者さんが全員スタジオに揃って、みんなで合わせていきます。これは大事なことは、ドラマは掛け合いでドラマをつくっていきますので、目の前にある人に、どういうリアクションをしていくかというのが、セリフが決まっていますけども、そこに演出とか、演技とかの感情を込めていきます。
ところが、どうもアメリカとか、中国とか、ほかの国の吹き替えは、スケジュールの問題だそうですけども、一人ずつ呼んで、抜いていくそうです。このほうが、向こうからいうと、30分なら30分という拘束で済むから、こっちのほうがいいと。我々全員が揃えると、やっぱり3時間、4時間かかりますので、そちらのほうが不合理だというような、これも「そうかな」と思うような意見をというか、向こうのやり方というのがあったりして、それも非常に何か面白いなと思っております。
いずれにしろ、我々が持った、この作品を、いかに我々が持った面白さを外国に伝えるかということで、これからは、もう一つ、演出とか、そして音楽とか、いろんな関係を持って戦略を練っていく。そして、それにふさわしい作品をつくっていくということを、今心がけております。
その中で、今現在は月曜夜7時には『結界師』という作品、そして7時半には『名探偵コナン』を放送しておりますけども、『結界師』なんかも、そういう日本のこの資料の下に「日本の神秘性」とかありますけども、和的なもの、例えば、すぐ「日本て何」というと忍者みたいなものが出ている時代がありましたけども、何か和的なものでミステリアスなものというものを、きちっと打ち出していく、ドラマの中に入れていくという作品が多分一つの手だろうということで、『結界師』なんかでも作品を放送させていただいておりますし、アニメーションというのは、海外のためにつくるわけではなく、まずは日本の子どもたち、そして大人たちのためにつくった上で、それが海外に伝達していくことによって、日本の文化の主張ということをできればいいなというふうに思っております。
『コナン』は、一口に12年目と言いましたけれども、その間には、一つは大きな歴史の転換がありました。制作の歴史の転換は、セル画からデジタルというふうに制作の様式が変わったことです。
セル画というのは、1枚1枚、透明なアクリルのようなものに描いて、それを1枚1枚撮影していった。ところが、今はパソコンに絵を取り込んで、そこに色をつけて、それをデータとして保存し、VTRで放送するといった形になっています。
なかなか、そう言ってもお分かりになりにくいので、きょうは、もう一つ、映像として、『名探偵コナン』というメーンタイトルが出てきます。歌で。その歌の背景などが、そのときに演出もあるんですが、セル画で出てくるのが、はじめの二つです。三つ目からは、それがデジタルになっているものを『名探偵コナン』のタイトルの歴史みたいにして6点、短くまとめてみました。後ろの映像が、いわゆる背景が、どんどん、どんどん、凝っていくということあたりを注目して見ていただけると面白いかなと思います。VTRお願いします。
<VTR視聴>
これは11年前に一番最初のオープニングテーマです。
これは二つ目です。
これは5年前ぐらい前ですかね。
これは、つい最近のものです。
これは前回、前のやつです。
これは現在、放送中のものです。
ありがとうございました。今の最後の爆発は、現在、放送なので、演出家と「爆発したんで、次にどうする」という話をしておりますが、こうやって見ていただいてもお分かるように、やっぱり演出は、我々の作品も、どんどん、どんどん、つくっていますので進歩するのは当たり前なんですけども、それ以上に、その技術から、いろんなことをやれる、パソコンにしても、コンピューターにしても、我々は武器が増えたんだと思っております。
いわゆる筆ペンが、ペンが、そのままパソコンという武器になったんで、そういうツールをどう使うかによって、作品がどんどん変わっていくんだということを我々も意識しておりますし、こうやって並べてみると、過去が悪いということは全然なくて、やはり、それ相応のアニメーションの歴史などを、そのまま背負って、ここ10年『コナン』は頑張ってきたなと、我々は思っておりますし、だからこそ次にどうするんだということに関して、いずれも、やっぱり問われて、頑張っていかなければいけないなと思っております。
ここにも「演出力の歴史的積み重ね」とかありますし、ここで一番僕は本当に、この「手塚治虫の存在」と最後に書いておりますけども、日本のアニメーションというのが、ここまで、まず来れたというのも、やはり皆さまご存じのような手塚治虫という人が、漫画という文化をきちんと子どものときから触れるようなものにした、ストーリーアニメを、漫画というストーリーの、漫画てストーリーじゃないみたいな風潮が、もしかしたら手塚治虫がいなかったら起きていたかもしれない。
ところが、その漫画という題材にストーリーをきちっと入れたということで、今我々が平気で、こういうアニメなり、漫画なり、ものを文化として、やっぱり視聴できるようになったという、そういうことは、僕は、まぎれもない事実だと思っております。
そんなようなこともありまして、最近、特に外務省などが、こういう、『名探偵コナンが外務省を探る』といった小冊子を出しております。これは『コナン』のキャラクターたちが、外務省の中を訪問して「こんな仕事をやっているよ」というのを出しているんですね。
まあ、そういうこともありながら、そうすると今度は、これも外務省なんですけども、これには『コナン』は実は載ってないんですけれども、イギリスがつくった、こういう雑誌で日本の文化、「クリエーティブ・ジャパン」という、こういうのを英語で本をつくり、それを日本の文化をどういうふうに伝えるかということを、あの手この手で現実にリリースを始めております。今回、中国に行ったのも、そのうちの一環ですし、実は「次回やるならばブラジルに行ってほしい」みたいなことも正直言われております。
いずれにしろ日本ということを少しでも、何か、どうもいろいろ見ていると日本というのは、世界によって、あんまり好かれている国ではないような印象がどうしてもあるんですが、その中で、それも本当に残念なんですけども、実は、やっぱり日本という国が、いかにやっぱり文化的にも、そして好かれるべき国で、いい国だよ、面白い国だよ、楽しい国だよ、みたいなことを伝えるためにも、アニメということをツールにしようとしている外務省の意図がはっきりありますので、その辺、もし可能ならば、読売テレビのアニメとか、読売テレビの作品で、そういうのもお手伝いできたらなというふうに思っております。
最後に最近こんな話があったというのを、ぜひお伝えしたいと思っているんです。3年ぐらい前の話なんですけども、朝日新聞に載ったんで、ご存じの方もいらっしゃると思いますけれども、中国で、例の日本と中国のサッカーの試合があって、1-0で日本が勝って大暴動になった事件、事件というか、ことがありまして、なぜ暴動になったかというと日本が勝っちゃったわけで、それが中国の北京の郊外で行われたサッカーの試合です。
そのときに朝日新聞の女性記者が、混乱の中をタクシーに乗って帰ろうとしたのですが、その朝日新聞の女性記者は、中国語が非常に堪能なものですから、そういうムードがあるので、どうも中国人のつもりで、中国人のふりをして、日本人とばれないようにしようと努力をしていたらしいんです。
でも車の中で会話をして、そういう努力をして「私は中国人ですから、もし日本人だと思うと、今きょうの試合が分かっているんで、どういう目に遭わされるか分からない」みたいなこともあったんでしょうね。中国人のふりをして会話をしていたんです。
ところが、よくしゃべる人が運転手さんなんで、いろいろしゃべっていると、あるときに彼女が日本人だとばれてしまったらしいんです。それで20代の後半の女性なので、その車でタクシーで、どうされるか。まあ、そんなことはないとは思うんですけども、やはりどうなるのか、「しまった、ばれた」と思って、そのばれた後の次のタクシーの運転手の一言を、どう言ってくるだろうかと非常に戦々恐々として待った。
彼から出てきた言葉が「アトム、ドラえもん、コナン」なんです。これは自分の息子が、自分の子どもが、『アトム』と『ドラえもん』と『コナン』を見て非常に面白いものを味わっていると。私が、これが記憶に残ったのは、もちろん『アトム』と『ドラえもん』と『コナン』ということが入っていたので、「おお、このベスト3に『コナン』が来たわ」というような形で、非常に私の記憶に残るんですけども、これはまた、そのタクシーの運転手が言うには、自分の子どもは小さいころから、それから自分も日本のアニメに関しては非常に感謝していると、いろいろな楽しい思いをさせていただいて、いいものを見せてもらっていると、こういうことを、要は日本人と分かったら、きょうのサッカーの試合があったので、日本人だからといって責めるわけじゃなく、逆に日本人ってすごいよね。日本っていいよねというような話をされたということが非常に印象に残っています。
結局、いろいろなことの前に、『アトム』とか、『ドラえもん』とか、そして『コナン』が、いわば国際親善大使として、その国の中に入っていっているんだということが事実としてやっぱりあります。今回のこの中国などから、いわゆる海外番販も、その延長の使命を我々は担っているわけでして、読売テレビできちっと放送をさせていただき、日本で、まず支持を受けた上で、なおかつその面白さを世界に発信していくということは、我々にとって非常に大きな使命でもありますし、ことアニメーションができる数少ない使命というのか、ほかのものではなかなかできない、そういうものが、やっぱりこういう今の話の中にも入っていると思いますし、非常に何度も言いますが、『コナン』というのが、そうか、正式に実はあんまりたくさん番販は中国にされてなかったんですが、ただ漫画は単行本なども、よく入っていますし、よく売れておりますので、そういう中で、そういう話があったということをお話しさせていただいて、とりあえず私の話をいったん終わりにさせていただきまして、何か、もし今後ご質問とか、そういうのがありましたら、またお話を追加させていただきます。とりあえず聞いていただいてありがとうございました。
●社側
どうも、いつもと違ったテーマ設定、少し違った進行となっておりますが、それでは熊谷委員長よろしくお願いします。
●委員長
どうも、ご説明ありがとうございました。それで、どなたからでも結構ですので、ご意見を承りたいと思いますが、きょうのテーマについては、ご意見に加えて、いろいろご質問もあろうかと思いますので、質問も含めてご自由にお願いしたいと思います。
●委員
ちょっと初めに一つ質問と言いますか、今のアニメーションの制作面から見たときに、日本の先ほどの説明でも、セルからデジタルになっているとか、そういうような進化といいますか、お話がありましたけど、海外と比べたら、そういった制作技術という面では、非常に日本は優位性があるというふうなことはありますか。
●社側
優位性は絶対あると思いますが、その対コストに対しての工夫というのが、正直お金と時間をかければ、いいものが出来るはずですね。ただ、どうしてもそのものに限界があると、その限界の中で一番いい効果を出すために、どういう演出にして、どういう制作態勢でいこうかということに関しては、やっぱり一日の長があるというんですか、そういうふうに僕らは思っていますし、現場もそういう思いで頑張っているということです。
●委員
感想めいたことになりますが、やはり今おっしゃったような、そういう優位性、表現する技術の優位性みたいなものと、やっぱり内容の面白さといいますか、先ほど、ちょっとお話しました。そういう点があるんで海外で広く受け入れられていると、そういうことになっているんだろうなというのが正直な感想です。
ミステリーというのが、世界の共通語だというふうに先ほどおっしゃっていましたけれども、そうだと思いますけども、やっぱり謎解きの面白さとか、もう一つは登場人物のキャラクターが、非常に何といいましょうか、良識的といいますか、世間の良識を、ある程度バックボーンとしてあるんで、みんなが安心して見ておられるという、そういう面の安心感があって、だから、いくら表現がよくても、アニメーションとして優れていても、内容がなければやっぱり海外でも、あまり普及しないと思いますので、両方がやっぱり備わって成功しているんではないかなというのが意見というか、感想でございますけど、以上ございです。
●委員長
ありがとうございます。
委員、いかがでございますか。
●委員
今回この40を超えた国ですか、世界中に日本のアニメが発信されているということが、これほどまでに世界に人気があるのに改めてびっくりしましたけど、本当にアニメの内容の深さといいますか、質の高さというのが、この『名探偵コナン』が、これだけ長寿番組になったことでも実証されるように、それがやはり質の高さといいますのが日本のアニメの特徴だと思います。
それで、最近ですと『千と千尋の神隠し』に代表される、本当にアニメというのは日本の文化の一つの象徴、絵画的な素晴らしさと、内容の深さと、そしてまた、その声優の素晴らしさ、声優というと『ムーミン』の岸田今日子のことを思い出します。そういういろんな日本の文化が組み合わされて、そこに一つの世界を醸し出しているので、アニメてすごい世界だなということを、すごく子どもたちと一緒に見たりしていても感じますので、京都でも漫画ミュージアムができたりとか、すごく漫画の素晴らしさというのがあります。
一つ、またお願いは、すごく人気が出てくると、だんだんに制作が雑になったりとか、やっぱり質の高さというのを、いつまでも追求してほしいなと、見る側としての要望です。以上でございます。
●委員長
委員、いかがですか。
●委員
『名探偵コナン』は、小学校1年生の孫と、いつも誰が犯人かと言いながら見せていただいていて、先ほど言われたみたいに、推理しながら見ていく、そこにやはり手塚治虫さんが漫画文化をつくられたときに、ストーリー漫画だけてはなくて、そこにきっちりとテーマを盛り込んでいらっしゃる。
それがやっぱり正義は勝つ、必ず悪人は逮捕されるというようなものは、盛り込まれている部分で、安心して見ていけるのかなと、手塚治虫さんが描かれたのは、例えば、『リボンの騎士』なんかは、今はちょっと日本の皇室でもそうですけれども、女では絶対国は駄目だという場合に、生まれた子が女であったので男として育てる。それに対して悪魔があばこうとする。
そういうものを、その『ブラックジャック』でもそうですけど、『鉄腕アトム』もそうです。何か、あの時代から、もう既に今現在をテーマ的にとらえられている、それが漫画とはいえ、非常に先見の明があったという部分で、
いいものがあると、それと世界的に日本のアニメというのは、やはり器用であるというのか、色彩感覚というのが、そういうものが、例えば、さっきの『千と千尋の神隠し』でも『ハウルの動く城』でも、あれ(DVD)を買って自分が一番好きな、非常にきれいなシーン、花とか、グリーンとか、その辺をちょっと、何かで行き詰まったりとか、雨の日とかに見ていると、本当に、ホッとするような音楽と映像、色彩で癒される部分があるので、アメリカなどのアニメとは、非常に違う繊細な部分を描いているジブリなんかで、部分が、それがコナンの中にもあると思うんですけれども。
私、10年前から、専門学校の漫画科で漫画シナリオ、アニメシナリオを教えているんですけれども、10年前には、3、40名だったのが、今現在、1年、2年、3年の専門学科で200名以上超えております。その中には、アメリカ、台湾、韓国、そのほか南アメリカからでも、留学生が来ております。
その人たちに漫画原作シナリオの中のストーリー、つくり、それからテーマを盛り込むことという形で、日本のアニメを自分が国へ帰って作りたいという意味で、何人か来られている。その人たちが、日本人よりも非常に熱心で日本語でシナリオを書けるということに、どれほどの意気込みをもって来られているかというのが、よく分かるんですけれども、それに大学にも漫画学科ができているということを考えたときに、これは日本の誇るべき文化であるという形で、私もストーリーアニメ、漫画の中に絶対的にテーマを放り込んで、起承転結で、きちんと書くようにという形で、非常に厳しく教えておりますけれども。
『結界師』でも『犬夜叉』でもそうですけれども、この日本の陰陽師じゃないけれども、神秘性を含んだものを入れていくという形の中で、なかなかアニメとはいえ、捨て難い魅力があるということを見ながら、『コナン』も『ブラックジャック』も、『巨人の星』も、『宇宙戦艦ヤマト』もそうですけれども、きちんと描けているところ、それから最近の漫画原作をもとにドラマ化されているというものがあるのを見ながら、非常に質の高いものがあるような気がして見せていただいております。
そういう意味では『コナン』、今回もそうですけれども、非常に質は高いと思って、これからも見せていただこうと思っております。以上です。
●委員長
委員、いかがですか。
●委員
孫がいるんで、しょっちゅうコナンを見せられているんですけども、非常に大人が見ても面白い番組だと思いますので、長寿番組の秘訣というのは、さっき非常に苦労しておられるというバックを聞いて、より感銘を受けたんで、ぜひ続けていただきたいと思います。
ただ、これから、どういうふうにして、飽きずに新しいものを作っていくかというのを、今のお話だけど、韓流ブームみたいに、色と音楽を非常に誇張して映像文化が出てきているという、見るだけじゃなしに、見る中に色彩とか、バックミュージックというものを非常に重視しているという点で、その辺も、どう取り入れていくかということと、そのどこで生きるかということが、ある程度、ピークをちょっと過ぎたところで切らないと、あれだと思いますので、永遠に続けられるのか、どこかで切っていくのか、切るんなら、その次の読売テレビとしての経営的には、ヒット番組を作らないかんと思いますので、その辺を考えながら経営的にやっていくということが非常に大事かなと。
内容的にいうと非常に問題がないと思うんですけども、あれ何かジェットコースターか何かで首がポーンと飛ぶとこがあったと思うんですけど、ちょっと、これも子ども番組としては、ああいう殺し方がいいのかどうかなんというのは、ちょっと疑問なんで、子どもに見せるということを前提にする場合には、あんまり残忍性を持たないほうがいいかなというのが、強いて言えばケチかなと。
海外に向けては、国際親善大使としてのアニメの役割というのは非常に大きいと思うんで、吹き替えられるときに、要するに言葉で現地語からみたら非常に卑猥とか、あるいは、何か下品というか、そういう単語も時々あると思うんで、その辺は現地の人と、よく相談しながらしないと、日本のイメージを多分、このコナンで今、かなりの人が日本人の、さっきおっしゃった神秘性だとか、文化性とかいうものを評価されると思うんで、それだけに吹き替えるときの言葉で、日本人が気がつかないような言葉に対するリアクションというか、「あんな言葉を使っている」というふうな言葉があるのかどうか、その辺。
それから風習の違いですか、この前、日中経済討論会で白バラを付けようとしたら、えらい怒られたんですが、バラというのは、白はお葬式らしいですね。ほんだから、それは分からないし、それから靴の並べ方でも日本人は、お客さんが来たらすぐ、こう逆に向けると、これは韓国では「帰れ」という意味らしいんです。その辺の風習の違いも、ちょっと頭に置きながら、海外ということを意識した制作というのがいるのかなというふうに思います。いずれにしても番組としては非常に素晴らしい。
最初の髙田社長のお話の報道の自由の話、これ非常に大事なことだと思いますけども、ある大学教授がアメリカの大学へ行って、ベンチの上へカメラを忘れてきたんです。すぐに急いで取りに帰ろうと思ったけども、その一緒に案内してくれた教授が「絶対なくならない」と、「もしも、それがなくなるんだったらば、大学の自治は返上しますよ」ということで、あれは大学が自衛官みたいなのをつくって、ちゃんと大学の中の秩序を維持している。そういった意味で、責任と自由というものは裏腹になっているという意味では、今言われたようになかなか。
委員会をつくられるんですか、そういったもので「自分たちできちっと管理するから任せ」というふうなことを主張していただくということが必要かなというのと同時に、今度は捏造というのは真実を曲げるということだと思うんですけど、その真実という意味が、日本人は一つだと思っているんだけども、今、世の中の動きというか、世界的には真実というのは三つあるんだと、リアリティーとファクトとトゥルースと、この三つがありますよと。
だから、O・J・シンプソンの話でよく例が出るのは、殺したか殺さないかというのはリアリティーですな、ファクトとしては3億分の1の誤差しかないDNAが一致したというファクトがあるわけです。ただし、トゥルースは無罪ですね、あれ。そういった意味で、社会的な評価というのは、我々はこれ正しいことだと思っていても、社会がそれを納得しなかったり、正しいと思わなかったらば真実ではない、捏造だと、こういうふうな話になるのと。
一方、娯楽性と真実というのは、どうせこれは娯楽だからと、こういうふうに気楽に見てくれればいいんですけどね。ただ、全部本当のことを言ったら面白くないですわな、それだったらもう単なる科学雑誌になっちゃうんで。
その辺が、アニメになってくると許されるのか、普通の報道では許されないのか。アニメでも、ストーリーだと、かなり無理がありますわな、それもけしからんと言われるようになると困ってくると思うんで、その辺で常に社会的に見て、真実だという、捏造じゃないんだと、あるいはもう、娯楽性のために話が飛んだほうが面白いですわな。そういうところの区別を、いつも考えながらつくっていかないと、変なところで足をすくわれるんじゃないかなというふうに思います。以上です。
●委員長
なるほど。委員、いかがですか。
●委員
私は、この番組はもう非常に大好きでして、時間が7時半なので見られないんですけれども、いつこれが審議会で取り上げるのだろうかと、実は心待ちにしておりまして。
きょうは海外展開という、ちょっと違った切り口があったんですけれども、私は3歳の双子の子どもがおるんですけれども、見ていて思うのは、子どもに受けるというのは、ある意味、その共通項があるのかなと、つまり、日本のアニメーションを見ても、御社の『アンパンマン』を見ても受ける。ところが、海外の、私なんかが見ても全然わからない、面白くも何とも思わないような、これはキャラクターものですけども、見て受けると、あるいは『機関車トーマス』を見て受ける。
やっぱり、それを見ると、大人から見たら、ずうっと自分の人生経験があって違った受け止め方があるかもわかりませんが、子どもには何かしら、その受けるという共通項が何かあるんじゃないかなという、それは世界各国を問わずですね。というのをちょっと感じることがありまして。
そういう意味でいえば、アニメ、特に子どもを対象にするアニメで海外展開をしていくというのは、それはビジネスとしては十分成り立つし、そういう基盤は当然あるだろうというのは、ちょっと自分で子どもを見ながら思ったところがあります。
これは、ちょっと全然それとは違う話ですけれども、きのう、うちの事務所でちょっと飲んでおりまして、皆さんちょっとご存じない方が多いかと思うんですが、ある漫画があって、それがアニメーションであると、そしたら、激論が起こりましてね。「漫画のあの場面は、どうしても欠かせないはずなのに、なぜアニメでは、あの場面がないんだ」とかですね。つまり、何が言いたいかと言いますと、日本は、私も子どものころからそうですけど、漫画がものすごく受けて、アニメも受けていますけれども、ある意味、そういう意味で言えば目が肥えていると言えば目が肥えているんだろうなと。
特にこの『コナン』のように漫画からアニメーション化したというような、漫画で読んで、それなりの人気が出ているものをアニメーション化するというパターンが多いですから、見る人間というのは、まず漫画のイメージを持って多分見ていると。
そうすると、そこのギャップがもしあると、これはもう非常な反発を、もう一番おわかりやと思うんですが、受けると。そのイメージの中には、場面もあれば、あるいは声優の自分の持っているイメージ、あるいはキャラクターのイメージの違いという、ここの埋め方というのが、これどうされておられるのか出来たら、お教えいただきたいなと思うんですけれども。
●社側
原作と違うとか、それから声優のキャスティングが何か変だとかいうのはすごく当然よく聞いている話でして、よく言われます。ただ、僕らはだから、それはまず第一に、原作者というのはかなり強い立場なもんですから、原作者として、ここは絶対に変えてはいけません。でも、こちらから幾つか、例えば、10の項目のうち5の項目は変えたらだめですと、あと5の項目は話し合いによっては、そういう方向ならいいですよ、みたいな会話をかなり執拗にさせていただいています。
それと、これも先生にも伝えているんですけれども、やはり原作というのは、一つ僕らは面白いと思うから、その原作をお借りするわけです。その面白さに対して、ある程度のアレンジをやっぱり加えるというのが当然、紙に書いてあるものから、立体的に絵と音がつくわけですから、絵も動いてですね。そのアレンジの範疇の問題なので、その範疇は結局、コミュニケーションで埋めるしかないんですね。
いろいろやった結果、言っていることと違うじゃないかということではなくて、言っていることは、こういうことだったんだみたいな方向にするための打ち合わせを非常に回数を重ねてやりますので、私どもの今までの作品では、なかなかそういうことは比較的少ないんじゃないかなと、正直思っております。
声優は、これまた千差万別でして、ある人がいいと言っても、ある人は違うんだというのは、この漫画読んでいたときの声の受け取り方って、それぞれやっぱり違うわけですから。ただ、テレビの声優ってすごいなと思うのは、正直、半年たてば必ずもう理解されている。受け入れてくれていると。長くてもですね。早いのはやっぱり1回目からぱちっとしたという人も当然、プロですからいらっしゃいますし、そういうことで、声優のほうはもう、こちらがキャラクターを押すための、役者さんもやっているわけですから、その声優さんは、じゃ、こういう方向で、こんなクレームがあるから、こういう方向でみたいなことをやっていくうちに確実に、それは皆さんの満足するものになるんだというように、これは信じてやっております。
●委員
わかりました。ありがとうございました。
●委員長
委員、お願いします。
●委員
『コナン』を見まして、やはり常に時代みたいなものを切り取った意識が入っているから長寿になるんじゃないかというふうに思いました。それは、自然とか環境とか、言葉にするといろんな分野に広がるんでしょうけれども、まず世相みたいなものの意識があるということ。それから、子どもたちがその時代、時代に、どういう状況に置かれているのかということも、ある程度こちらに伝わってくるようなところがあります。
その中で一つ面白いなと思ったのは、コナン君は、何か出来事が起こって不思議な現象、事物を見ると、必ず辞書とか辞典とかを持ってチェックしていくという、その姿勢というのが、今これだけネット社会で、ほとんどインターネットでものを調べていこうとする若者文化の中で、原典資料に当たるという、これは我々記者の基本でもあるんですけれども、その辺が彼の姿から浮かんできましたので、非常に、ある意味では子どもたちにとっても一つの教育的側面も持ち得るんではないかというような気がしました。
それから、皆さん方と同じように、私も孫世代でございまして、小学校1年生の孫が大好きでアニメを見るんですけれども、驚くべき吸収力と記憶力で、1回見ると、もうほとんどその画面を忘れていないという、この子たちの頭に、これが次から次へ残っていくとどうなるんかというほど、私たちは心配するんですけど、まあどんどん消えていくわけでしょうけど、そういう意味では、つくり手側の責任というのは、もう非常に重いなというような気が改めていたしました。
それと、今初めて気づきましたけれども、オープニングがあんなふうに変化して進化しているということにも驚きましたし、それから、今のオープニングの歌が非常にタッチがよくて、引き込まれるというか、我々世代でも結構聞けるテーマだと思いますので、その辺も随分ご努力されているなというふうに思いました。
委員が触れられましたように、若い人たち、もちろん漫画は、京都精華大学等も含めまして漫画をたくさんやっているところは、大阪芸術大学にありますし、それから立命館大学も今年新しく映像関係の学部をつくるなど、アニメの世界というのは、我々の想像以上に拡大してボリュームがあるなということを実感しております。
あと、ぜひカルチャーとしての担い手の意識を強くお持ちいただいて、いい作品をおつくり願えたらというふうに思います。以上でございます。
●委員長
委員、いかがですか。
●委員
私も『コナン』は大好きで、月曜日、頑張って早く帰ればぎりぎり間に合うので、いつも急いで帰っているという感じです。もちろん、内容の面白さも、このすぐれた点は今までいろいろおっしゃってこられたとおりだと思います。
それと、やっぱり何か、すごく登場人物の人たちの温かい気持ちが、じわっと伝わってくるという雰囲気がとっても好きです。
日本のアニメが、これだけ世界的に非常にすぐれた水準で世界に受け入れられているということをお聞きして、確かに、私も留学生のクラスを持っているので、彼らは日本に来る前に日本のどんなことを知っていたか聞くんですけど、アニメというのは確かによく出てきています。
ですから、それだけにすごく責任も重いなということを、他の委員もおっしゃっていましたけども、改めて思いました。それがまた、子どものころに見たから、なじんでいるというところでも、あるいは世界の本当にいろんな国で流れているということでも、責任は重いなと思いました。
娯楽番組なので、アニメの面白さというのを損なっちゃいけないとは思うんですけれども、それだけの世界中の国で見られているということをやっぱり頭の隅っこのほうには置いて、日本について、あるいは日本人の生活、文化について誤解を与えるような表現がないのかどうかというチェックの目というのは、やっぱり必要なんじゃないかなと思います。
実際そういう場面があるということではないんですけれども、国内で面白いものをつくるというのが、まず大事だということも、当然そうだと思うんですけども、これをいろんな国の人たちが見たときにどうなのかな、日本について誤解されるようなことはないかなという、それのチェックというのはやっぱりいるのかなという気がいたしました。以上です。
●委員長
委員、いかがですか。
●委員
私も娘が、これが好きでずっと見ていましたし、私、この『コナン』が今度審議に上がるということで、今私が教えている飛び込みの小・中学生15、6人に「コナン見てる」言うたら、ほとんど見ていましたね。手を挙げて、もう8割ぐらいが見ているということで、「何でそんなに見るの」というて、「もう絶対見る」、「何で」というと、「コナン、カッコいいもん」とかいう感じで、子どもの意見は、非常に頭がよくて、最後にどんでん返しがあって、カッコいいから私は好きですという子がほとんどでした。
確かに、私たちも見ていると、小気味いい、子どものくせに生意気なことを最後にやるので、すごく面白いんですね。そういう筋書きの面白さ、本当の子どもなのに時々大人の声でぐじゅぐじゅと言うたり、ああいうのは、もう今までの発想ではなかったから非常に面白いんだなと、子どもはもう、スリルもあればサスペンスもあるし、知恵を動かして犯人探ししながら、最後はコナンが小気味よくやってくれる、そういうところがすごく好きみたいで、大分話が盛り上がりました。
私もそんな意味で、外国はアメリカだとか中国に長期で行くときは、大体地元のテレビをひねるんですけど、中国でコナンにも会いましたし、『クレヨンしんちゃん』にも会いましたし、何か日本のアニメを盛んにやっているんです。それ皆、中国語をしゃべるんです。本当にこんなこと日本語で言っているのかなというような面白いせりふを言うときもあるし、中国語はちょっとわかりにくいんですけれども、英語でやっているときは結構「ああそうか」と、英語の勉強にもなるし、なるほどと思いながら見ているんですけど、結構、向こうの子どもたちも日本のアニメは大好きで、コナンのことも中国人はよく知っていましたし、私はほとんど上海なんですけど、何曜日かにあるよということで、私それをひねったら、たまたま映っていたんですけど、本当に外国で日本のアニメを見るということは面白い感覚ですね。外国語をしゃべりますからね。
そういう意味で、結局は、この漫画文化というのは日本が、もう本当に進んでいるというのは、あの漫画の本、こんな分厚い本、漫画の雑誌が、週刊漫画雑誌があれほど売れて、大人が真剣になって見ていて、『ベルサイユのばら』みたいな、あれがもうすごいベストセラーになって、いまだにみんなあれを読んでいると。そしてまた、非常に絵がうまいし、本当にうまいですよね。外国のアニメを見ていると、本当にちゃっちいいうのがわかります。
だから、やっぱりそういう文化を誇りを持って、もっともっと奥深い、いい絵を描く漫画家がどんどん出てきたら、なかなかこの文化というのは覆ることはないんだろうと、私は自信を持って日本の文化、本当に漫画はすごいよ、アニメもすごいよと。もちろん漫画の本もすごいですよね。
手塚治虫の漫画なんか、いつ読んでも新鮮な驚きに満ちていますし、私も大ファンですから、ああいう本当に素晴らしい大先輩がおられたということを誇りに思って、テレビのほうでも恥ずかしくないようなものをつくっていただいたら、もう私も威張って外国に「ちゃんと見なさい。面白いよ」と宣伝できると思いますし、折り紙つきで売り込むことができると思う。誰も嫌な感覚を持たないようなキャラクターが多いですから、自信を持ってやっていただいたらいいと思います。
ただ、あまりにも残酷な場面だとか、血しぶきが飛び散るような場面が、もし、そういうアニメの中で出てきたときは、「これはちょっとな」というときもあるんですけれども、『コナン』の場合は、ある程度、絵画的に省略された単位が多いので、あまり緻密な描き方していないので、あんまりそういうことは私は感じなかったんですけど、やはり影響を受ける人もいると思うので、そういうところを気をつけていただいて、ますます自信を持って何10年も続けていただきたいと思います。以上です。
●委員
テクニカルなことをいろいろお話しいただきましたけども、それは別にいたしまして、やはり私、これだけ受けているというのは、もうやっぱり最終的には内容ではないかと思うんです。内容というのは、要するに原作があって、そのどういったものを選ぶかというところ、非常にいいものを選んでおられるんではないかというふうに思いました。1作だけ見て、私はあまりそういう見る機会がありませんので、1作だけ見て大きなことは言えませんが、それが第一であろうと思います。
このディテクティブ・ストーリーをお選びになっているというのは、これは非常に一般的にも受けている番組でありますけれども、これがやはり世界的にも通用している一つの理由ではないかなという気がいたします。ディテクティブというのは、考えてみると本質的には勧善懲悪のものなんです。最終的にやっぱり正しいことが認められて終わるというのがストーリーで、悪いやつが逃げ回って、そのまま逃げおおせたというふうな話はないわけなんですね。ですから、本質的にこれは、こういうものを選んでいるというのが非常にいいんではないかと思うんですけれども。
バラエティー番組のような、本当のばかばかしいようなものは続きませんですしね。この間、見せていただいたものの中にも一部分、何か「そういうことをするのは公衆道徳に反するよ」というふうなせりふが出てきておりましたね。こういうふうなのが画面のところどころに出てくるというのは、子どもたちに私は大変いい影響を与えるんではないかと思うので、そういう点でもいいんではないかというふうに思いました。
それから、ちょっとストーリーアニメとしては、手塚治虫の話が非常に偉大であるということをおっしゃいました。彼が始めたんではないかというふうなお話がありましたが、私、手塚さんと同じ小学校をほとんど同じ時期に出て、医学部も私のちょっと先輩なんで、非常にあの人はよく知っている方なんですけども、我々の小学校のころには『のらくろ』というのがストーリー漫画で非常によく売れて、もう出るのを楽しみにして次々に買っていたんですけど、これも、これで私たちは軍国主義を吹き込まれたという反面もありますけれども、その漫画の中で、やはり目上の人を敬わなければならないとか、そういう本当に一般的な道徳教育というものを、かなりされたような気がいたします。
そういう意味からいうと、この番組というのは、子どもに対しての影響力というのは非常に大きいと思います。ですから、内容をさらに精選されて、私いつでも思うんですけども、テレビ番組で学校の先生が「これを見なさい」というふうな番組をつくってもらいたいというのを、いつも申し上げているんですけども、そういう番組に成長していただけると素晴らしいなというふうに思います。以上でございます。
●委員長
先ほど、諏訪さんの最初のご説明で、海外版ですね、海外で放映されるときのお話がございましたが、拝見したビデオでは、すべて字幕ではなくて吹き替えになっていましたが、全部そうなんですか。
●社側
例えば、中国ですと、もう一つ、今度は北京語とか上海の四川語とか、そういうのが二つあったりすることもありますが、字幕で処理したほうが多いと思います。
●委員長
吹き替えの場合も、字幕の場合も、先ほど委員がおっしゃったように、その訳するものが非常に大事だと思いますね。いろんな音声によって印象が変わってくるということも諏訪さんおっしゃいましたが、私も外国に行って、あるホテルに泊まっていたときに、どの国だったか記憶はないんですが、夜テレビを見ていましたら、日本の劇映画の放送がございまして、時代劇でした。それを見ていましたら、全部字幕だったんですけれども、例えば、「殿、いかにもさようでござりまする」、字幕で「イエス、マスター」と、こう出るわけです。まあ、それは間違いではないんですけども、いかにも雰囲気が伝わらないんですが、しかし、それは非常に難しいことなんでしょうけども、特に委員のおっしゃった、その国で誤解されたり、嫌な印象を与えるような言葉、これが出ないような十分の注意が私は本当に必要だと思います。
それから、今、委員が『のらくろ』の話をされましたけども、私の子どものころも、そら漫画に夢中になったんですが、少なくとも私は日本の漫画だと『のらくろ』と『冒険ダン吉』ですね、田河水泡の。しかし、同時に外国物の漫画も随分面白くて、例えば、『ミッキーマウス』とか、まあ、男の子にはミッキーマウスは、あまり面白くなかったかもわかりませんが、もともとはコマーシャルだったポパイとか、非常に面白かったと思うんですよ。
それが、ごく最近になって日本のアニメが非常に世界的に受けるようになってきているのはなぜかというのは、ここにも書いてありますけどね。これは先ほど来、お話に出ています原作の良さ、面白さ、それから絵の巧みさですね。
そのほかに、コンピューターグラフィックスの技術が、日本が非常にすぐれていて、それを活用してらっしゃるのが、かなり寄与しているのかなと思うんですが、よくわからないんですけども、筑波の科学博のころには、まだコンピューターグラフィックスの技術というのは、あまり普及してない初期的な段階にあって、大阪大学の私どもの仲間の助教授と富士通が協力してつくったコンピューターグラフィックスのホールが非常に人気を呼んだパビリオンになったぐらいの時代だったんです。
そういう日本のデジタル情報技術も、日本のアニメが世界的に、あちこちで喜んで見られるようになっている原因の一つなのかどうか、これは私の専門分野にある者として、どういうふうにお考えか伺いたいなと思っている点なんです。
そして、結局は、こういう世界で広く好んで見られる番組というのは、日本にとって大変貴重なもので、委員もおっしゃったように、正しい日本の良さを伝える役割を果たすものになっていただきたいと。よい印象を持ってもらって、日本が世界から敬愛されるような国になるための役割を結果として果たすようになってもらいたいと。
つまりは、国際親善のための貢献ですね。こういうものを、漫画といえども意外に大きい影響を与えるわけですから、そういうことをこういう番組に期待したいと、そういうふうに思います。
●社側
いや、全く、これもよく言われることですけど、今の国際貢献ですけど、イラクで給水車が日本のお金によって活動しているんですけど、日の丸を書くよりも、これは他局なんですけれども、サッカーの『キャプテン翼』のキャラクターを入れたほうが、結局その給水車の、日本がそれを出しているんだよと、別にことさら言うわけじゃないんですけれども、そういう効果がでかいということも事実、これ新聞でも報道されておりますし、その辺のことは我々も十分理解して、キャラクターというのを大事に育てていきたいと思います。
それと、コンピューターグラフィックのことですけど、多分、日本人は手先が器用みたいな方向が、僕は先ほども言いましたけども、パソコンとかすべては、あれはツールなわけです。道具なんですね。道具の使いこなし方、新しい道具を理解して使いこなすやり方は、アニメのスタッフなんかもう、僕も才能あるのを多く知っていますけれども、ものすごく上手なので、当然、中国にしろ、もちろんアメリカにしろ、それぞれそういうふうに、みんな頑張っていられると思うんですけども、多分その細やかさというんですか、臨機応変さみたいなところは、やっぱりアニメーションのバリエーションを増やすことになっているのが、日本の強さの一つかなというようには思っております。
だから、コンピューターグラフィックを、どんどん、どんどん取り入れて新たなものをつくりたいという思いは、多分、世界一に日本人は能力と意欲はあると思いますので、そこら辺を僕らも信じてつくっていきたいなと思っています。
●委員長
ありがとうございました。ほかに追加のご意見とかご感想ございませんですか、それじゃ。
●社側
ありがとうございました。ちょっと時間が押しておりますので、視聴者からの声の報告は割愛させていただきます。資料をご一読ください。
それから、お手元に、この1年間に審議してきましたテーマの一覧と、これから1年間の番組審議会の開催予定について、スケジュールについて記したペーパーを1枚入れさせていただいております。ご確認をお願いしたいと思います。
それでは、これで終了させていただきます。次回は6月8日、金曜日、本社のいつもの会議室になります。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
- 平成19年度読売テレビ番組審議会委員
- 委員長 熊谷信昭 兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
- 副委員長 馬淵かの子 兵庫県水泳連盟 顧問 元オリンピック日本代表
- 副委員長 川島康生 国立循環器病研究センター 名誉総長
- 委員 秋山喜久 関西電力株式会社 顧問
- 委員 金剛育子 能楽「金剛流」宗家夫人
- 委員 林 千代 脚本家
- 委員 阪口祐康 弁護士
- 委員 佐古和枝 関西外国語大学教授
- 委員 北前雅人 大阪ガス株式会社 代表取締役副社長執行役員
- 委員 谷 高志 読売新聞大阪本社 専務取締役編集担当