第474回 番組審議会議事録

1.開催年月日
平成18年7月14日(金)
2.開催場所 読売テレビ役員会議室
3.委員の出席 委員総数 10名
出席委員数 8名
出席委員の氏名 熊谷信昭、秋山喜久、金剛育子、林 千代、
馬淵かの子、阪口祐康、佐古和枝、河内鏡太郎
欠席委員の氏名 川島康生、吉岡征四郎
会社側出席者 土井共成 (代表取締役会長)
髙田孝治 (代表取締役社長)
丸山和男 (代表取締役専務)
編成・コンテンツ・制作スポーツ・
東京制作・報道担当
越智常雄 (専務取締役)
内部統制・コンプライアンス・
総務・労務担当
久保哲郎 (執行役員コンプライアンス推進室長)
本田邦章 (執行役員東京制作局兼東京支社長)
村上博保 (執行役員制作スポーツ局長)
田中壽一 (東京制作局プロデューサー)
松下泰紀 (コンプライアンス推進室視聴者センター部長)
事務局 新谷 弘 (コンプライアンス推進室次長兼番組審議会事務局長)
菱田千佳 (コンプライアンス推進室番組審議会事務局)
森本泰輔 (コンプライアンス推進室考査著作権部
兼法務コンプライアンス部)
4.審議の概要 番組視聴
「遠くへ行きたい」
放送日時 平成18年5月14日(土) 午前7時30分~8時
放送エリア 全国ネット
 7月度の番組審議会は7月14日(金)に、読売テレビ本社会議室で開催され、5月14日の午前7時30分から放送した「遠くへ行きたい」を視聴して合評が行われた。
委員からは、「タレントが食べ歩きするような番組が多い中で、ゆったりとした時間が流れていて、とてもいい番組だ」、「36年も続いていることに感銘を受けた」「長い間続くには、それなりのよさがあるからだ」といった感想が相次いで出された。
この後、6月に寄せられた視聴者からの意見や抗議、苦情などについて概要を報告した。
出席は、熊谷信昭、林 千代、馬淵かの子、阪口祐康、秋山喜久、金剛育子、佐古和枝、7月から老川祥一委員に替わった河内鏡太郎の各委員と読売テレビからは土井会長、髙田社長以下12名。
5.審議内容 別掲の通り
6.審議会の意見に対して取った措置
特記事項なし(議事録は関係部署に配布)
7.審議会の答申・意見の公表
●7月27日(木)付け読売新聞夕刊に議事の概要を掲載。
●8月12日(土)午前5時14分から放送の「声~あなたとよみうりテレビ~」の中で議事の内容を放送。
●本社審査室に閲覧用として議事録を備え置く。
●インターネット読売テレビホームページ「テレビの門・話し合ったもん」で議事録を公表。(http://www.ytv.co.jp)
●社内LANにて全ユーザー(全社員および関連スタッフ)に議事録を配信。
8.配布資料 ●視聴番組 概要
●2006年6月に寄せられた視聴者からの意見・苦情
9.送付資料 ●民放連機関誌「月刊民放」
●民放連機関紙「民間放送」

【審議内容】
社側
 おはようございます。それでは7月の番組審議会を始めさせていただきたいと思います。
まず、委員の方々と私どもの出欠の状況ですけれども、川島副委員長と吉岡委員が所用のため欠席をされております。
それから読売テレビのほうですが、報道局長の吉野と編成局長の位寄が、所用のため欠席をさせていただいております。ただ、きょう視聴いただく番組が東京制作の番組ですので、東京制作局長の本田が出席をしております。よろしくお願いいたします。
それから先月も、ちょっとお話をいたしましたけれども、委員の交代が今月ございます。これまでお越しいただいていました読売新聞の老川委員に代わりまして、新しく河内鏡太郎編集局長が審議に参加していただくことになりましたのでよろしくお願いいたします。
それでは早速きょうの審議に入りたいと思います。きょうご覧いただく番組は『遠くへ行きたい』という旅番組でございます。
資料を見ていただいて分かりますとおり、ご覧いただくのが1803回目ということですから、もう40年近く続く、今、読売テレビで一番古い番組になってしまいました。
番組全体の狙いや今回のご覧いただく回の狙い等につきまして、東京制作の田中からご説明をさせていただきますが、その前に東京制作局長の本田からお願いします。

社側
 ちょっと一言、この番組についてなんですが、今、説明がありましたように、1970年10月にスタートしておりますので、昨年の10月で35年、今もう36年目に突入しております。来週が1812回ということになります。
日曜日の午前7時半という時間帯なんですが、今視聴率は、東京も大阪も10%前後を獲得しております。そういう意味では今非常に、評価されている番組ではないかというふうに思います。
また、昨年の12月ですが、この番組の制作パートナーでありますテレビマンユニオン社が、文藝春秋社の菊池寛賞を受賞しております。そのときの受賞理由というのが、「『遠くへ行きたい』をはじめとする良質で息の長い番組を制作し続けてきた実績」ということになっておりまして、テレビマンユニオン社にとっても、読売テレビにとっても、まさにこの『遠くへ行きたい』というのは看板番組だというふうに認識しております。これからも末永く続けていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくご審議ください。

社側
 東京制作の田中でございます。よろしくお願いいたします。
以前は『遠くへ行きたい、西へ』という『遠くへ行きたい』の特別番組、特番のほうでやらせていただいたんですが、今回はレギュラー番組のほうでやらせていただきます。よろしくお願いいたします。
先ほど本田からありましたように、1970年10月、今年で36年目を迎え、1800回を超えた番組でございます。ますます元気で良質な番組をつくっていきたいなと思っております。
1800回という形で日本を旅すると、もう新しいものはないんじゃないかという形で思われるかもしれませんが、やはりこの番組は「人との出会い」というのが一つの中心のテーマでございまして、「同じ場所に行っても、出会う人が違えば全く違う旅になる」というのが、この番組のコンセプトでございます。
きょう見ていただく番組も、ある種この番組の一つの特徴である旅人が行ってみたいところを旅する、会いたい人に会ってみるというのがテーマでございまして、当たり前の観光地を旅するだけではなくて、その人の極私的な旅、いろんな人の思いというものを大切にした番組になっております。
今回の旅人は、この番組のタイトル画、オープニングで『遠くへ行きたい』の歌が流れているところにかかる絵を描いておられます安野光雅さんでいらっしゃいます。安野さんは、この番組のタイトル画を30年近く描かれておりまして、この番組の顔となられている方でございますが、今回は元気に北海道のほうを回っていただきました。
この番組は一人で回るというのがレギュラーなんですが、安野さんは、当然タレントさんとか、そういう形の方ではないんで、やはり誰かパートナーをということで、ピアニストで作曲家の西村由紀江さん、弊社で長い間、レギュラー番組を持たれた女性なんですが、彼女と二人で北海道を旅します。
今回のバージョンは前編と後編に分かれた形で、『遠くへ行きたい』のレギュラーの中では珍しい形なんですが、一度、番組で収録をしてみると、とても1本じゃ収まらないという話がテレビマンユニオンのほうからありまして、「これはできがいいので、ぜひとも前半、後半に分けて放送してほしい」という形で頼まれた作品です。
訪れる場所は北海道の旭川市・東川町のあたりなんですが、安野さんの親友であります竹田津実さんという獣医さんがいらっしゃいまして、この方は今年大ヒットしました『子ぎつねヘレン』という映画の原作者であり、北海道をベースに自然と人間とのかかわりというものを、いろいろ追求されている方でございます。その方が東川町に引っ越しされまして、そこの新しく建てた家に安野さんはどうしても訪ねてみたいということで、実現した極私的な旅行でございます。
あと、なぜ西村さんが選ばれたかといいますと、『子ぎつねヘレン』という映画の主題曲を担当されておりまして、そのことで竹田津さんにぜひとも会ってみたいという要望のもと、安野さんと西村さんのペアで北海道を旅します。
今回は前半なんで、竹田津さんの家であるとか、あと「奇跡の動物園」といって、一時閉鎖されるんじゃないかといわれた動物園が去年の夏には上野動物園の来場者数を超えた旭山動物園であるとか、大雪山など、北海道ならではの見ものを訪ねております。
今回に関しまして、本当に安野さんの個人的な思いみたいなものが一つの番組の中で、いかに実現されるかということを追求して、テレビマンユニオンはやっているんですが、テレビマンユニオンの先ほど菊池寛賞をとったという話で、今回のプロデューサーの村田亨さんはテレビマンユニオンの専務でございまして、今回の演出をしております土橋は常務であります。
専務と常務がペアになって番組をつくっているというのは、とても元気いっぱいな制作集団というテレビマンユニオン、読売テレビと本当にこの36年間、一緒に番組をつくってきた頼もしいパートナーであります。その作品を見ていただければなと思っております。よろしくお願いいたします。

社側
 では早速ですが、その番組をご覧いただきたいと思います。ご覧いただくのは先ほども申し上げました1803回目の番組、今年の5月14日の朝に放送いたしました分でございます。

<VTR視聴>

社側
 ありがとうございました。ちなみに今ご覧いただいた回は、先ほど話がありましたけども、関西が9.4%、関東が10.5%の視聴率がありまして、日曜日の朝7時半という時間にしては非常に高い数字になっております。それでは委員長、よろしくお願いいたします。

委員長
 きょう、今視聴させていただいた番組についてでございますが、最近は、国の内外ともに予想もしなかったようなことが次々に起こって、平和な話だけでも、例えば「もう駄目だ」と思っていた野球が、結局は世界一になったり、マスコミの皆さんをはじめ非常に期待をしておられたサッカーが予想に反した惨敗をするとか、あるいは国の内外で予想もしなかったような、とんでもない事件が次々に起こると。
また、この私どもの番組審議会でも、最近は、ここしばらくは、かなりシビアな社会的問題を取り上げた番組を視聴させていただいて、かなり厳しい意見交換をしてまいったんですが、きょう拝見した、この番組は、そういう浮世の激しい激動と、ある意味じゃ全く無縁の、先ほどの表現をお借りしますと「良質で息の長い看板番組」だということで、視聴率も大変高いということでございますが、それだけに委員としては、なかなか意見が述べにくい番組のような気もいたしますが、いかがでございましょうか。

委員
 そうですね。今改めて拝見しますと、やっぱり画面とか、映像もそうですが、思わず引き込まれて拝見させていただいています。
今お話がありましたように、最近いろんなことが、いろいろあり過ぎて、私ども、みんな大事なことをいろいろ忘れているなかで、子どもたちが、本来すごく正義感が強くて、また動物をすごくかわいがる、そういう本来の姿ですとか、いろいろなことに改めて気づかされて、現代に忘れている大事なものを、すごく語りかけて、映像は、いろんな方のゲストの方のコメントですとか、いろんなことで語りかけてくれている本当にいい番組だなと思って今改めて拝見しています。
最近こういう旅行の番組も多いんですが、何か気をてらう番組ですとか、何か美味しいものの食べ歩きみたいな、見ていても、ちょっとげっそりするような番組が多い中で、非常に人の心の原点といいますか、すごく素朴なものを大事にしている、そこがやっぱり、こういう長寿番組になった秘訣かなと思いながら見ております。こういう大事なことを今後も忘れずに、ぜひ続けていただきたいなと思いました。

委員
 もう、おっしゃるとおり、自然は素晴らしいし、素材も素晴らしいので文句の言いようがない、いい番組だったと思います。
ただ個人的には、続編のほうが見たいなと、何か今回の分は竹田津さんにしても、旭山動物園にしても、二つともすごくメジャーな話題で、この二つがあれば、もう見ちゃうなという感じですね。
やっぱり『遠くへ行きたい』という番組の個性というのは、本当に地元の方々との出会いとか、当たり前の観光地じゃない町の本当にすてきなところを見せてくださるという、そういうところにあるんじゃないかなと思って、その本来の路線というのは、むしろ後編に出てくるんだろうなと、ちらちらと出てくる画像で、それはそれで伝わってきたんです。
だから今回見せていただいたのは、多分スペシャルバージョンなのかなと、やっぱりあそこの持っている魅力を皆さんにお伝えするには、そういう編成もやっぱり必要なんだろうなと思います。
番組としてはとってもよかったと思うんですけども、やっぱり本来の路線といいますか、そういう多分後編で出てくるだろう町の人たちとの出会いとか、メジャーではないけどすてきなところの発見というのも、これからも大事にしていっていただきたいなと思いました。

委員
 私も、もう皆さん言われるとおりで、やはり長いことずうっと息長く続く番組というのは、やっぱりいい作品なんだなというのを改めて感じさせていただきました。
やっぱり何より、そのせわしなくないのがええなという気がしますね。ゆっくりとした形で、出ておられる方もそうだし、絵のつくり方もそうだし、ゆったり流れているというのが、非常に私なんかは引き込まれますね。
新たな発見といわれることですけど、また「これはさすがにプロだな」と思ったのは、最初の入り方の鯉のぼりのものすごいホワッと流れていて、しかもそれを歩く人の目で下から撮ってというのが、確かに僕もあの場にいたら、あの下へ行って、上をオーッと見上げるだろうなと、それはあまりにも当たり前といえば当たり前なんですけれども「さすがだな」というのを改めて感じました。
ただ、先ほど委員が言われたように、私もこれは旭山動物園、有名ですけど、ああいうみんなが知っているところじゃなくて、本当に例えば、竹田津さんですか、そちらの家へ行かれる方、途中で川か何かで鴨と鳥がいて、そこに、そっと止まって歩いてみたいとかいうのが、何となくこの番組のこの番組らしいところかなというのが、私の勝手な思い込みかもわかりませんが、そういうところでありまして、ちょっとそこだけが、どうのこうのというわけじゃなくて、ちょっと違和感があったなという感じでした。以上です。

委員
 少し不思議な感じがしたのは、私一人で、この番組を見ていたときに、そうは思わなかったことが幾つか出てきています。一人で見ているときには、今委員の皆さん方お話しになりましたように少し既視感がある。それと同時に『遠くへ行きたい』という70年代のコンセプトが、今の私たちにどれだけ密接につながってくるのかという疑問を少し持ちました。
ただ、こうして皆さんとご一緒に改めて見ますと不思議な一体感とか、共有感とかが生まれてくる。それはおそらく、これは少しきざっぽく言えば、一人で見る番組じゃなくて、何人かで家族で見る、そういう趣旨で初めて意味を持ってくるんではないかというふうに思いました。
それと委員もおっしゃっていましたけれども、私、西村由紀江さんのCDなどをiPodに入れて、いつも聴いておりますので、その関係からいいますと、やはり彼女が持つ、そのピアノとしての意味、ピアニストとしての意味。
これは後のほうにミニコンサートなんかをされるわけなんで、そこで出てくるんでしょうけれども、彼女のCDを聴いていますと、バスに乗り遅れたり、メモするのが止まったり、つまり人の心の中に非常に深く入ってくるピアノなんで、そのイメージが少しありましたのもんですから、私もパート2のほうを楽しみにしております。以上でございます。

委員
 1800回を迎えられているんですけれども、これ最初のころから見ていたんですけれども、36年前のころは、まだそれほど交通機関もなかって「こんなところが日本にあるのか、行ってみたいな」という形で見せていただいておりました。
最近、朝ちょっと、見る機会がなかったんですけれども、私自身は、先ほどから出ているように、昨今の番組のように詰め込み過ぎないで、ゆっくりと流れていって雲の動きを見たりとか、そういう意味では非常にいい撮り方で、ちょっと心の癒しというか、和める番組だったと思います。
ただ、ちょっといつもの旅人が一人という形に関して言えば、今回、2人ないし3人の中で、視聴者の目になって、いろんなことを旅人が疑問に思ったこととか、聞いてほしいなというようなことが今まであったと思うんですけれども、今回は3人が無駄話でもないんですけど、感想を言い合う部分が非常に多くて、特に西村さんの場合は、もしかしたら台本に書かれているせりふを時々パッと入るような気がして感情移入ができないというのか、そういう部分が非常に違和感を感じたんですけれども、いつも一人の旅人のときには、素直に共感できる部分とか、「あっ、そういうことか」という、うなずく部分が多かったのが、ちょっと無駄な部分があったのかなということが、今回の場合は違和感がありました。
後編のほうに、もしかしたら出てくるのかもわかりませんけれども、食べるシーンがなかったのが非常によかったです。

委員
 私も北海道は観光で、ツアーみたいなのでよく行っているんですけれども、このロケをした時期が非常にいい時期だなということを確認しました。
というのは、私が行ったのは、ラベンダーを見に行くとか、流氷シーズンだから行くとか、何かそんなときだったり、ものすごい人なんですよね。もう、どこを写真を撮っても誰かが後ろに写って、写真を撮ろうとしても、画面に一人が入れないような、そういうツアーばかりをしていまして、この前も私、2月ごろに中国のチュウサイ湖というあこがれの場所に行ったんですが、そこも今ごろのシーズンは、ものすごい人なんです。値段も20万円は超えるというのを、私は2月でしたので9万円以下で行けまして、もう人がいないし、ちょっと寒いし、そこら中凍っていましたけど、そういう自然を本当に自分で感じたので、これを見ていても、ああ、この4月のころだったら、あんまり人もいないんだ。旭山動物園も、でも、あの時期では見せてもらえないですよね。でも、あれ開くと、ものすごい人なんですね、あそこを見に行く。わざわざツアーが、あそこを通って行きますから、本当にもうゴジャゴジャでアシカのルームは入れなくて待たないといけないような状態になるそうで、バスがドッと行きますからね。
だから、すごく準備のところで入れていただいて、ゆっくり見れている。ああいうのは、この番組の特権なんですよね。だから我々も、それに便乗して、もう行った気になって、「もう行かなくていいか」という感じになったんですけど。
そんなに、こういう自然で、いいところが、まだまだ残っているということを再確認しまして、日本も捨てたもんじゃないなと、私も外国ばかり行っていますので、ちょっと、そういうシーズンオフのスポットをお勧めしたほうがいいかなと思って、本当に楽しく見せていただきまして、今回は本当に何の文句もなく、観光旅行をさせていただいた感じで、ありがとうございました。

委員
 今お話を聞いて、1970年というと、ちょうど大阪万博が行われた年ですけども、それから日本あるいは世界は非常に大きく変化してきている中で、この長寿番組として『遠くへ行きたい』というのは続いているというのは非常に驚異なことだと思いますし、今改めて見せていただくと「なるほどな」というふうに思いました。
娯楽番組としても、僕は特に動物もののテレビは好きなんですけども、そういった動物が出てくるというふうなこと、あるいは音楽が好きな人は音楽があるし、絵の好きな人は、一つ一つの画面が、一つの絵のようになっているということで、非常に見安い楽しい番組だと思います。
そういった中で、教育的には、動物の命、人の命、あるいは人と人との触れ合い、こういったものの大切さというものを教えてくれているというふうに思います。
それから現代的な意味としては、今見ていてちょっと感じたんですけど、いわゆる格差社会という言葉が非常に盛んになってきております。かつて国土計画の中で、国土の均衡ある発展というものに対して、いや、自然空間というものも必要なんじゃないかということを申し上げましたけども、皆さん、やっぱり均衡ある発展だと、みんな東京になってしまってもしようがないと思うんですけども、そういった意味で、きょうの番組を見せていただくと、やはり地方には、地方としての美しさ、あるいは人と人との触れ合い、あるいは、そこにおける人の営みの非常な豊かさというふうなものを感じさせてくれたと思います。
そういった意味では、これから日本の発展の一つの方向というふうなことも、こういう番組によって示していくことができるんじゃないかなというふうに思いますんで、現代的な意義としても、この番組は、これからもずうっと出来れば長く続けていただいて、そういった我々が滅多に行けない、先生みたいに、いつもお時間があって行ける方はいいですけども、つい大阪か、東京以外には、あんまり行けないという人間にとっては、こういった地方における人々の意識とか生活、あるいは動物との触れ合い、あるいは自然の美しさ、そういったふうなものを教えていただくというのは、日本を見直す上でも、あるいは我々自身の生活を見直す上でも非常に大事なことなんじゃないかのかなということなんで、もう一回、新しい現代的な意義があるということで、これからも30年続けていただきたいというふうに思います。

委員長
 ありがとうございます。今おっしゃったように、確かに1970年というのは、EXPO'70という大阪万博が開かれた年で、原子力発電所でつくられた電気が初めて送られてきたという年でもあるわけです。そういう時代から今日まで36年間、続けてこられた番組というのは、やっぱりそれなりに、みんなに評価されるいい番組だったからだと思います。
私も、皆さまと同じ意見でございまして、いろんな意味で、要するに「いい番組だ」といえると思います。和む番組といいましょうか、いろいろ本当に、見たり聞いたりするのがつらくなるような事件の報道などがある中で、これは本当に和む番組だと思います。
また我々日本人自身が、我々の国のいろんなところにある、いろんないい面をよく知らないということもありまして、そういう意味でも、委員の皆さまおっしゃるように大変にいい番組だと言えると思います。
いつも我々は、もっといろいろ厳しいようなことも、しょっちゅう言っているんですけれども、きょうは近来稀にみる大変穏やかで和やかな審議になりました。
もし、委員の意見や感想に対して、何か、おつくりになった側で補足のご意見等ございましたら、田中さん、もしあれば。

社側
 いろいろご意見ありがとうございます。テレビの魅力というのは、やはり多様性にあると思うんですが、弊社でも『ダウンタウンDX』があったり、やしきたかじんの番組があったり、ドラマがあったり、こういう番組、もっといろいろな番組の中で、さまざまな多様性の中で、やっぱりテレビというのは楽しんでいくものだと思います。
『遠くへ行きたい』という番組も、実はこういう看板がありながら一元的な番組でなくて、「いつもの『遠くへ行きたい』と違うんじゃないですか」という意見もあったんですけど、以前は『遠くへ行きたい』の中で、割合こういう自然ものというのは、ある程度多かったんですけど、最近は少なくなっていたんで、一度こういうものも、いつもの『遠くへ行きたい』とは違う形の面も見ていただければなと思いまして、これをピックアップさせていただきました。
本当に『遠くへ行きたい』というのは一元的な言い方じゃなくて、さまざまな人の思いの旅番組という形で、今回も、ただ単に「友達に会いに行きたい」という、その一つだけで、一つの旅の番組ができるというところが、この番組の魅力だと思います。この後も頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


社側
 ありがとうございました。それでは6月に、我が社に寄せられました視聴者からの声について、ご報告させていただきます。

社側
 6月の視聴者から寄せられました声についてご報告させていただきます。
まず、総件数ですが5,706件となっております。特定の番組に意見や苦情が集中するようなことはありませんでした。ただ奈良の自宅放火殺人事件とか、秋田の小学生の殺害事件など、子どもたち、少年たちが絡むような事件が続きまして、ワイドショーやニュースで、そういったものが多く報道されたということに対して意見が寄せられております。
特に、秋田小1男児殺害事件に関しては「大きな進展もないのに毎日同じ話題ばかりするな」というようなことであったり、逆に「容疑者は悪いけれども、こんな状況にした国や警察を、もっと追及してください」というようなご意見も寄せられております。
それから約10件ぐらい寄せられた意見なんですが、「『畠山容疑者』と名字を使わず『鈴香容疑者』と、なぜ名前を言うのですか」と「自分の子どもが学校で、同じ名前でいじめに遭っている」と「畠山容疑者と言ってください」というような意見も寄せられております。
これに関しましては、「一連の文書やVTRの中で、亡くなった綾香ちゃんと鈴香容疑者の名前が同時に出ることが多々あります。豪憲ちゃんという名前も出るようなこともあります。それで親子関係をはっきりさせるために、このような使い方をしております。ただし、原稿の最初やテロップの最初には『畠山鈴香容疑者』とフルネームでちゃんと表記しております」ということです。
それから非常に話題になっておりましたワールドカップなんですが、日本戦が終了してからの放送なんですけれども、アルゼンチン対セルビア・モンテネグロ戦で、やはり有名チームであるアルゼンチンびいきみたいなものが非常に目立って不快だったということであったり、スペシャルゲストのタレントが、あまり知識もなく関係ない話ばかりしているのは不愉快だと、もっと適切な人を選んでくださいというような意見が寄せられました。
あと問い合わせに関しては、いつものとおり健康情報であったり、いろんな観光情報が多く寄せられております。以上です。

社側
 ありがとうございました。それでは、これで今月の番組審議会を終わらせていただきます。
次回ですけれども、8月は夏休みでございますので、9月に再開をいたします。またご案内を差し上げますので、よろしくお願いいたします。

  • 平成18年度読売テレビ番組審議会委員
  • 委員長    熊谷信昭   兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
  • 副委員長    馬淵かの子   兵庫県水泳連盟   顧問   元オリンピック日本代表
  • 副委員長    川島康生   国立循環器病研究センター   名誉総長
  • 委員    秋山喜久   関西電力株式会社  顧問
  • 委員    金剛育子   能楽「金剛流」宗家夫人
  • 委員    林  千代   脚本家
  • 委員    阪口祐康   弁護士
  • 委員    佐古和枝   関西外国語大学教授
  • 委員    北前雅人   大阪ガス株式会社   代表取締役副社長執行役員
  • 委員    谷  高志   読売新聞大阪本社   専務取締役編集担当