第472回 番組審議会議事録

1.開催年月日
平成18年5月12日(金)
2.開催場所 クラブ関西
3.委員の出席 委員総数 10名
出席委員数 8名
出席委員の氏名 熊谷信昭、金剛育子、林 千代、阪口祐康、佐古和枝、老川祥一、川島康生、吉岡征四郎
欠席委員の氏名 秋山喜久、馬淵かの子
会社側出席者 土井共成 (代表取締役会長)
髙田孝治 (代表取締役社長)
丸山和男 (代表取締役専務)
編成・制作スポーツ・東京制作・事業担当
越智常雄 (専務取締役)
総務・労務・報道担当
久保哲郎 (執行役員審査室長)
森岡啓人 (執行役員報道局長)
位寄雅雄 (編成局長) 
村上博保 (制作スポーツ局長)
高岡達之 (報道局チーフプロデューサー)
松下泰紀 (審査室視聴者センター部長)
事務局 新谷 弘 (審査室次長兼番組審議会事務局長)
菱田千佳 (審査室番組審議会事務局)
前田義信 (審査室考査著作権部)
4.審議の概要 番組視聴
ニューススクランブルスペシャル
「今日も 明日も これからも ~JR尼崎事故1年~」 
放送日時 平成18年4月22日(土) 正午~午後1時25分
放送エリア 関西ローカル
 5月度の番組審議会は5月12日(金)に、クラブ関西で行われ、4月22日の正午から放送した報道特別番組「今日も 明日も これからも~JR尼崎事故一年~」を視聴して合評が行われた。
 委員からは「全体としては真面目な作りでよかった」、「JRの脱線事故から一年ということで、各社特別番組が編成されていたが、遺族の悲しみを中心にした番組が多かったなかで、淡々と問題点を検証した態度は良かった」などの意見が出された。
 しかし、一方では「なぜ事故が起きたのか?本当の原因に迫っていない。今後の対策についてももっと踏み込んだ取材や提案がほしかった」といった物足りなさを指摘する声が相次いだ。
 この後、4月に寄せられた視聴者からの意見や抗議、苦情などについて概要を報告した。
 出席は、熊谷信昭、川島康生、林 千代、老川祥一、阪口祐康、佐古和枝、金剛育子、吉岡征四郎の各委員と読売テレビからは土井会長、髙田社長以下12名。
5.審議内容 別掲の通り
6.審議会の意見に対して取った措置
特記事項なし(議事録は関係部署に配布)
7.審議会の答申・意見の公表
●5月26日(木)付け読売新聞夕刊に議事の概要を掲載。
●6月10日(土)午前5時14分から放送の「声~あなたとよみうりテレビ~」の中で議事の内容を放送。
●本社審査室に閲覧用として議事録を備え置く。
●インターネット読売テレビホームページ「テレビの門・話し合ったもん」で議事録を公表。(http://www.ytv.co.jp)
●社内LANにて全ユーザー(全社員および関連スタッフ)に議事録を配信。
8.配布資料 ●視聴番組 概要
●2006年4月に寄せられた視聴者からの意見・苦情
9.送付資料 ●民放連機関誌「月刊民放」
●民放連機関紙「民間放送」

【審議内容】
社側
 おはようございます。5月の番組審議会を始めさせていただきます。
 はじめに委員の出欠の状況でございますけれども、きょうは馬淵副委員長と秋山委員がご欠席でございます。読売テレビ側は、いつものメンバーが揃っておりますので、よろしくお願いいたします。
 前回も申し上げましたけれども、私どもの審議会、この5月が新年度の始まりということであります。今年1年、またよろしくお願いいたします。
 委員の方々に関しましては、皆さま再任いただくということでご了解をいただいております。そこで今年の委員長を互選していただきたいと思います。
 事務局から熊谷委員長にご承諾をいただいておりますが、委員の方々、ご異議ございませんでしょうか。
 (「異議ありません」の声あり)(一同賛成の拍手)
 それでは今年度も引き続き、熊谷先生に委員長を務めていただきます。
 それから副委員長は、これも熊谷先生から、馬淵先生と川島先生で今年もということを伺っておりますので、これも併せて、よろしくお願いいたします。
 (一同賛成の拍手)
 それでは今年の新しい体制が決まったところで、読売テレビ社長・髙田から一言ごあいさつをさせていただきます。

社側
 本日はお忙しいところをありがとうございます。今お話しのように、熊谷先生をはじめ、よろしくご審議のほど、お願いをいたします。
 前にも申し上げましたけれども、今、放送業界を取り巻く環境は非常に激しく揺れ動いております。
 先ほど出がけに民放連から、今、竹中総務大臣の私的諮問機関であります「放送と通信のあり方に対する懇談会」というのが、審議を続けておりますけれども、その中で、その委員長をやっている松原という先生がいるんですけれども、その「論点整理メモ」というのが、たまたま私のデスクにありまして、こういうことが書いてあるわけでございます。
 地上波放送、我々のような放送でございますけれども、デジタル化完了、これは2011年7月24日でございます。それから通信インフラのブロードバンド化の完了、これが2010年度、これを考慮すると2010年度初頭には、ブロードバンドアクセスがユニバーサルサービスと位置づけられるべきではないかと、こういうことが、まず問題意識として出ておりまして、その中の幾つかを拾い読みいたしますと、「通信・放送の規制のあり方をゼロベースで見直して、事業者の競争力を高めるようにすべきではないか」と、こういうことを松原先生は言っております。
 それから、もちろんこれは我々民間放送だけではなくて、NHKの問題も取り上げているわけでございますけれども、我々、民放に特に関係ある項目としまして、IPマルチキャスト、いわゆるインターネット放送、これについても我々の地上波放送と同じように「著作権法上も放送として扱われるように、関係部局は速やかに対応すべきではないか」と、いわゆるデジタル、IP時代にふさわしい著作権法の確立に向けて有線放送区分の撤廃など抜本改正を早急に行うべきではないか、こういうようなことが書いてあるわけであります。
 かいつまんで申し上げますと、我々地上波放送というのは、既に衛星放送が誕生して、新しいライバルに晒されているわけでございますけれども、最近はブロードバンド化によりまして、いわゆるインターネット、これもライバルとして登場しつつあるわけでございますけれども、今度の総務大臣の懇談会では、インターネットについては、著作権がちょっとややこしい扱いになっておりますけれども、これを放送と同じように取り扱うべきだと、こういうことを言っているわけでありまして、また新しいライバルが、インターネットだけではなくて、通信業者がケーブルテレビ、あるいはインターネットを使ってテレビ放送を流すと、こういう時代が来るのではないかというような我々は懸念を持っているわけであります。
 私どもは放送法に基づきまして、こうやって番組審議会をつくりまして、先生方のご意見をなるべく番組に生かそうという努力をしているところでございますけれども、中には大変厳しいご意見もあり、ここにいるスタッフも、なるべく先生方から賛同が得られるような良質な番組をつくりたいと思う一方で、商業放送でございますんで、特にエンターテインメント、バラエティー番組やなんかでは「なんだ、こんな低俗な番組をつくって」というお叱りもあるんではなかろうかという、こういうことで大変日々葛藤をしながら番組をつくっているわけでありますけれども。
 先ほど申し上げました通信衛星放送とか、インターネット放送というのは放送法の網がかかっておりませんものですから番組審議会、そういうものも置く必要はございません。従って何を流してもいいと、こういう状況になっておるわけでございまして、そこで私ども地上波放送というのは、放送法に基づいて番組審議会の先生方から、いろいろなご意見を聞いて、そして良質な番組をつくる。放送にあって良質な番組をつくる砦として、これからも頑張っていきたいというふうに思っております。
 そういう意味で、新年度も熊谷先生をはじめ皆さん方の忌憚のないご意見を伺いながら、我々も、いい番組をつくるべく努力していきたいと思いますので、どうぞ新年度もよろしくお願いをいたします。

社側
 それでは早速ですが、きょうの番組審議に入りたいと思います。きょうご審議いただく番組は、昨年の4月25日に起きました、いわゆるJR福知山線の事故から1年ということで特集を組みました番組でございます。放送は4月22日土曜日、正午から1時間半枠で放送しました。
 はじめに、この番組のプロデュースを担当しました報道局の高岡から簡単に説明をいたします。よろしくお願いします。

社側
 おはようございます。高岡でございます。昨年の夏に戦後60年企画番組のご審議をいただきまして以来でありまして、きょうもよろしくお願い申し上げます。
 趣旨でございますが、私、当初の発生の日にも、事故の一報から48時間、現場で取材のデスクをいたしました関係から、一年目の報道体制を組む、その中核としての番組のプロデュースを私が受けることになりました。
 当初やはり大変制作側として、正直申し上げまして、今でも私は結論は出ていないんでありますが、何を主眼にお伝えをするべきであろうかということを議論もしましたし、悩みながらの過程の番組と申し上げてもよろしいかもしれませんが、JR西日本は、ご案内のように社長が2月に交代をいたしました。
 利用者が、今JRに求めているものが何であろうかと、それは謝罪なのか、あるいは「安心ですよ」と言ってほしいのか、あるいは「今こういうことに汗を流している」ということを聞きたいのか。
 安全かどうかを判断するのは、毎日300万人以上、近畿圏だけでお乗りになる利用者の方でありまして、テレビ局ではありませんので、やはりそれはトップから説明をしていただこうということを、まず最初に考えまして、JRの社長に交渉を始めました。それが、そもそもの原点であります。
 その上で、番組そのものは、この『今日も 明日も これからも』というのは、そもそもの考え方は、「きょうも乗らなければならない、あしたも乗らなければならない、これからも乗らなければない一般の利用者の方々へ」というつもりで私はこのタイトルをつけました。
 それに対するJRのお答えをいただきたいという趣旨でつくった番組であります。ただ、最近のテレビの番組でありがちな、トップを引きずり出して追及する、あるいは討論をする、あるいはもう激論に持ち込もうということは、私は視聴者の方は望んでおられないだろうというふうに思いました。
 ただ一方で、JRの側の弁明のために公共の電波を提供するわけではありませんので、それはJRの社長に出演のお願いをするときに「相当お耳障りの悪いこともやりますよ」と、「それに対して利用者は、わびてほしいのでは、おそらくなくて、『私たちは、こういう確固たる考えでやっているんだ』というふうに、経営者のほうから言ってほしいんじゃないでしょうか」、というふうに申し上げて、社長も「それじゃ自分なりの主張ということを言っていいんだね」ということで出ていただきました。
 従って、また先生方から厳しいご批評を頂戴すると思いますが、私としては、JR側の主張、肉声というものは、社長自ら語っていただいて、それに対して、テレビ局の側が用意する材料は、いわゆる各局メディアが1年でやるような、ご遺族、あるいは悲惨なあの事故の映像ということは最小限にしたつもりです。
 それよりは、JRがこの1年で失敗したことも取り上げていますし、やり遂げようとしていることも取り上げているつもりです。
 かつ電車以外も、やっぱり視聴者、国民の皆さまは、いろいろな公共交通機関をご利用になるわけですから、そういう電車以外の公共交通機関は何をしているか、あるいは諸外国は何をしているかという要素も幅広く入れて、視聴者の方にご判断をしていただこうという構成にしたつもりでございます。
 ですので最後に申し上げますが、「今日も 明日も これからも』は、当初、私が番組提案者として考えたときは、今申し上げましたように「乗らなければならない」でありますが、1時間半を見終わった後に、視聴者の方から「もう乗らない」というふうにお取りになられても、それは結構であると。あるいは「これなら乗ろう」というふうにお思いになるのも、それもご自由である。
 そういうふうにするか、しないかは、「ぜひJR側も頑張って番組で主張してみてください」というお願いをしましたので、結果的に先生方も含めて、「きょうも乗ろう」になっているのか、あるいは「これでは、あすも乗れない」になっているのかは、私個人としても大変きょうはご批評を興味深く思っているところでございます。
 以上で趣旨に代えさせていただきます。

社側
 それでは長い番組でしたけれども、20分ほどにダイジェストにしたものを用意しておりますのでご覧ください。

<VTR視聴>

社側
 どうもありがとうございました。それでは委員長、よろしくお願いいたします。

委員長
 1年前のこの大事故につきましては、テレビはもちろん、新聞などでも、いろいろな特集番組や特集記事が出されました。いろんな視点からの見方や意見があり得るわけでございますが、きょうはひとつ、今視聴させていただいた番組を中心にご意見を承りたいと思いますが、委員いかがでしょうか。

委員
 1周年にあたっての番組ということで、これはもう当然、テレビ局としてはおやりにならなければならん番組であったと思いますし、追悼の意味もありますけれども、この番組によって、もう二度とそういうことが起こらないようにしようという決意を固めるという点で、淡々と進められて、社長もお招きになって、大変私はいい番組であったというふうに思います。
 ただ「もう二度と起こさないという決意をした」というだけでは、やっぱり事故は、まだ起こりますんで、その点の具体策ということについて、これは番組自身が、そういうことをお考えになっておらなかったかもしれませんけれども、その具体策ということについて、もう少し突っ込んでいただけたらよかったんではないかなという気が私はしています。
 私は医者ですので、医療事故ということに、もろにかかわりまして、いろんなご意見も聞きますし、また意見も求められるところですので、ちょっと、そういう視点から申し上げたいと思うんですけども、事故というのは、医療事故に関しては『To Error is Human』というような、こんな分厚い本があるぐらい、医療事故についても、いろんな議論があるわけですが、事故というのは、ヒューマンエラーとテクニカルエラーと、それからシステムエラーと三つに分けられるといわれておりますけれども、ヒューマンエラーというのは、「あんな特異な運転士」と私は思うんですけれども、普通の人と、ああいうキャラクターの人との間に、連続的にいろんな人がいるわけですから、たとえダイヤを若干改正したとしても、それだけでは必ず、また事故は起こると思うんです。
 それから技術系の方が社長になられて「技術面のチェックをする」というふうに、きょうはちょっと出ていなかったかもしれませんが、全体のビデオの中にはあったと思いますけれども、これは、それ絶対やってもらわなければならん。
 しかし、この二つをやっても、本当に大事なのはシステムエラーなんです。このシステムエラーを、日本人は事故が起こると犯人を探して責任を追及して、責任をとらせて、それで終わりと。社長さんやめてもらうのは、その典型なんですけれども、しかし、きっちりした対策が立てられなければ、それは決して解決にはならないと、その点の追及を、もう少ししていただきたかったなという気がいたします。
 具体的に言いますと、JRは電車ですから、自動車のように猛スピードを出して追い越すということはしないわけですので、一定以上のスピードはいらんわけです。その一定のJRの今の列車が出せる最高のスピードで走ったときに危険な部位というのは、どれぐらいあるのか分かりませんけれども、そこへATS、あれを全部つけたら、こんな事故は起こらんわけです。
 それがなぜできないんだと。社長は「経営と安全とのバランスだ」とおっしゃいましたですけども、それは全くそのとおりですけど、そのバランスをどの点で取ろうかということですね。
 私、今申し上げましたように、ATS装置を、それだけ全部つけたらJR西日本はつぶれるのかと、つぶれないんだったら、それをやればいいじゃないかと、1年経っても、まだ全然できておらんですね。そういった追及、具体論についての追及というのは、やっぱりこういうマスメディアでもおやりになっていただいて、もっと突っ込んでいただいてもよかったんではないかなと思います。
 そもそも軌道の幅の狭いJRが私鉄と競争しているのは無理があるのは分かりきっているわけです。そういったところを、もう少し、しっかり突いていただければよかったんではないかなと思います。
 今の牛肉の輸入問題で、もう1キロ前から「川があるから危ない」といって叫んでいるみたいな、あの態度と、このJR、そういう具体的なことをすれば、それで解決するのに「お金が足らない」「経営ということを考えたら、それができない」といって放っておくのと、あまりにも落差が大き過ぎるなと思うんですね。
 後で、きょう出ておりませんでしたですけれども、国土交通省にお尋ねになったら、何か「前例がないから事故調査委員会の内容は見せられない」と、大臣に聞きに行ったら、何かうやむやな答え、もう全然回答になっておらんようなことを北川大臣が言うていましたね。もう農水省と国土交通省と入れ替えたほうがよかったんじゃないか。そこらの追及は、もうちょっとしていただいたほうが番組が締まったんではないかなという気がいたしました。しかし、結構な番組でございました。

委員
 今、委員がおっしゃったことと、ほとんど同じですけれども、全体としては、これは、まあテーマがテーマですから当然とはいえますけれども、非常にまじめなつくり方で、そういう意味では好感の持てる番組だったと思います。
 特に先ほどのご説明にもあって、やはりそういうことだったんだなと思いましたけども、よくありがちな、誰かを連れ出して登場させて、みんなで寄ってたかって追及する。ご当人が、いろいろ説明しようと思うと遮っちゃってしゃべらせない。そういうようなつくり方の番組というのが得てして多いんですけども、今回は、そういう過剰な追及、パフォーマンス、そういったものはなくて、そういう意味でも非常に素直に見ることができた。そういう番組だったと思います。
 それからもう一つ、今のお話だけだと、かなり抽象的な話で終始しちゃっているんだけども、いろいろ参考になる指摘もあります。
 特に鳥取の方の事故でしたか、当局側が「マニュアルさえ守っていれば問題ないんだ」と、そのとおりなんだけども、「なぜ、そのマニュアルがきちっと守られていないのか」ということも含めたシステム上の補完体制の欠落、不十分、そういうところに、もう一つ問題があるということを指摘されていることは的確な指摘であったというふうに思います。
 ただ、(社長)ご当人を前にしているからということなのかもしれないけども、多少遠慮があったのか、疑問点の究明というものが、ちょっと物足りないといいますか、我々、利用者側が見ていても疑問に思っていることが解明されないままで終わっている点が幾つかあって、また、そのうちの一つは、委員が取り上げられたATSの問題とかも、そういうことですが。
 例えば、僕なんかが思うんだけど、亡くなった運転士さんね。彼が何度も何度もオーバーランをしている。当日もそうだし、それ以前にも何度も常習的にやっている。普通の企業なり、組織であれば、そういう常に同じようなトラブルを起こす人というのは、その職に向いてないということで別な職場、それは懲罰ではなくて、もっと向いているところがあるわけなんで、そういうところへ配置転換するのが普通なんです。
 それをあえて、ずうっと使っていて、日勤教育とか何か、いろいろそういう問題もあるけれども、それ以前に、なぜあの人に運転士をさせ続けたんだろうかと、これはおそらく、労使関係の問題とか、いろいろなことがあったと思うんです。
 そういうことも本当は知りたいんですね。そういう点については全く触れられていないし、挙げれば、もっとほかにも、いろいろありますけども、みんな、かねて疑問に思っているということが、ほとんどよく分からないまま、反省の弁だけがあって、新社長は、まじめな方でしょうから、まじめな姿勢はよく伝わってきたんですけども、聞きたいなと思っていたことが、語られないまま、あるいは問いただされないまま終わってしまったなと、こういう印象があります。
 それから後段の方で、アメリカのほうは事故が起きることを前提にして大変な人数とカネかけて、事故調査委員会、直接の組織があるということが非常に望ましいことだというようなタッチでつくられていたように思うんだけども、これも考えようによっては、それだけしょっちゅう、しょっちゅう事故が、毎日のようにあるんだということが前提になっている組織ですね。
 「そういうことでいいのかな」という疑問も僕は逆に思うわけで、アメリカは、ああいうふうにやっているよということの中から、その中で参考になるのは、この点だねとか、そういうようなふうに、もうちょっと論点がはっきり浮かび上がってきたら、もっとよかったかなと、こういう感じがします。
 あと瑣末なことですが、あそこに出ておられた学者の方が何者であるかということは後になって分かったんだけど、大平サブローさんという人と、あれは芸能界の方でしょうが、酒井さんと、僕は、あんまり日ごろ見ないものだから、あの人がどういう人なのかよく分からないんで、「どなたですか」と聞きたいんだけども。
 つまり、あの番組に、なぜあの人たちが出てきているのかということが、ちょっとよく分からないまま、おそらく専門家じゃなくて、一般の我々と同じような感覚を持って、それを上手に表現できる人ということで選んだんだろうけども、何か必然性が今一つよく分からないまま、最初から最後まで気になったままで終わっちゃったというのが、落ち着かなかったなという気がします。以上です。

委員
 私も拝見しまして、起きてはならない事故が本当に起きてしまったなと改めて感じましたけれど、この番組に限らず、いつも思いますのは、何かこういう大きな事故が起きると、関係者が皆「申しわけございません」と揃って頭を下げる。それで、そのまま終わってという、最近そんなニュースばっかり見ているような気がします。
 また、この事故も、この番組を見て「やっぱり怖いな」という「まだ安心して乗ることはできないな」という印象を最後、持って終わりました。
 この番組は非常にまじめな番組だと思うんですが、やはりちょっともどかしさというか、物足りなさを感じるのは、やはりこういう事故が起きた本当の原因は何かということが一番知りたいんですけど、そこがいつも何かもやにかかったみたいに、経済最優先とか、時間の問題、いろんなことが言われますけど、本当の原因は何だったのか、一番知りたいことが、いつも霞にかかって、やっぱりこの番組もそうだなというような感じがしました。
 やはり次の事故が、もうこういうことが、二度と起こらないためには、真の原因を追究することしかないんですけども、そこがやっぱりいろんな事情で隠されてしまう。「ああまた次も危ないな」というような率直な、そういう印象。
 ですから、やはり本当の原因は何かということを、もっと追究していただきたかったなという、やっぱり経済最優先ということが、こういう事故だけでなく、いろんなことで非常に問題になっていますけど、やはりそういうことも併せて感想として、真の追究とか、そういうことを、もうちょっと鋭く、やはり一番知りたいことがそれなんで、お願いしたいなというふうに思いました。

委員
 安全というのが本当に、意識もしないぐらいに当たり前に利用していたところの大事故だったんで、改めていろいろ考えさせられました。日本人て結構忘れっぽいところがあると思うんです。
 日常で慣れてしまうと、例えば電子レンジが出始めのときは「あれは体に悪いから」とか、パソコンも携帯電話も出始めのころは注意しながら使わなきゃいけないと、すごく言っていたのに、いつの間にか、もう全然、そんなことも言われなくなっちゃっているし、だから、こういう身近に、どうしても使わなきゃいけないものも、やっぱり安全ということを常に乗客としても、「安全意識高いんだぞ」「ちゃんと見ているんだぞ」という意識を持っておくということが、安全を自分たちで確保する一つの大事な手段なのかなと、そういうことに何か気がつかせてくれたような、そういう番組だったように思います。
 社長さんの実直なお答えを聞けたのも、やっぱりよかったと思います。JRがどう考えているのかなというのを知りたいところだと思いますのでよかったと思います。
 ただ、もう既に何人かの方がおっしゃられたように、JRさんとしては、結局一番の原因は何だったと思っておられるのかという部分が、やっぱりあまり出てこないままに何か先に進んじゃっているような気がしました。
 それと飛行機とか、バスとか、いろんな分野でやっぱり安全管理の対策とか、とっておられることも知ることができて、「すごいな」と思ったけど、考えてみたら、あれなんかも本当は当たり前のことなのかもしれないなという気もしたんですが、いろいろな情報として非常に有意義だったと思います。
 ただ私は、ちょっと冷静に見られなかったのは、きょうは出てこなかったですけども、伯備線の事故で亡くなったうちの一人が私の友達のご主人でした。きょうも、これから終わったら「やくも」に乗らなきゃいけないんですけども、毎月乗るんですが、あのときの米子支社長の言葉ですね。あれを、やっぱりJRの社長さんはどう聞かれたのかなと。社長さんは一生懸命「安全管理するんだ」とおっしゃっているけども、実際ああいうことが起きているわけですね。
 そうすると何か社長さんの言葉も簡単に信用できないのかなという気もやっぱりします。そこら辺で、ちょっと何か詰めの部分というか、何かきれいなところでスーッとかわされちゃっている気が私たちには、どうしてもしてしまう。
 関係しているから、特にそう思ったのかもしれませんけど、私の友人は米子支社の対応ぶりに、ものすごくショックを受けていましたから、そういうこともあります。
 それと、そういうのがあるんで、何であの女の人、酒井さんという方が、どういう方か知らないんですけれども、何で笑わなきゃいけないんだろうというのが、ちょっとあまりいい感じがしなかったです。
 それは私が、そういう個人的にかかわっているからかもしれないんですけれども、でもきっと関西なら関係者の方、何らかの形で被害を受けた方も結構いらっしゃると思うし、そういう方が見ておられてどうなのかというのも、ちょっと気にはなりました。

委員
 まさにタイトルどおり、「今日も、明日も、これからも」乗っていかなければならないということを自分で感じた場合に、私が一番感じたのは、運転していた人のことが、どのマスコミにも、あまり出てないんですね。オーバーランとか、いろいろ今までも処罰されているんですけれども、先ほどもちょっと出ていましたが、そういうところで、この人は運転をするのには適してないということを、なぜ、もう少し真剣に考えなかったのか。車の運転免許を取る時にも、停止位置をちょっと外れると免許はもらえません。オーバーランを何度もして、処罰を受けていた。今回もまた、それが嫌やからという形で、自分自身がお客さんを大量輸送をしていることを忘れて、つっ走って行って、何秒かを取り戻そうといったところに、現場と上層部との間にコミュニケーションがなかった。その辺の追及がなかったように思うんです。
 それと私自身、あれからも新聞を見ている限り、オーバーランは何度か起きているんですけれども、普通であれば、車でもそうですけど、あそこで止まろうと思うた時には、速度を落とすんですね。停止、駅が近づいた時に、なぜ速度を落とさなくて、そこで止まるような訓練をしてないか、させているのかというところの追及はなかったんですね。
 これが今回、もちろんJR西日本の中での、いろんなATSとかいうようなことも必要ですけれども、そういう大量輸送、お客さんを乗せている人を育てていく運転士さんの、そこら辺の追及が全然ないのが非常に不思議なんですけれども。
 それで今回、見た時に、穏やかにアナウンサーの方がやっていらして物足りなさを感じたんですけれども、これが辛坊さんだったら、もっと違う形の答えが出て、もう少し違う解決法が多分視聴者いうのか、お客さんの立場の中で出てきたんじゃないかと思うんですけれども、その辺でちょっともどかしかったかなと。
 だから、作られた方の現場の中で運転士さんに対する育て方というものが出なかったんですか。

社側
 運転士教育の話は、先生ご指摘のように言われていますが、ちょっとご説明すると、私どもの方だけではなくて、おそらく各社とも運転士そのものの過失云々に触れないのは、刑事事件の結論が出てないということと、本人が死亡していますので、最初に委員がご指摘になったように、極めて特異な人格の問題と、それからシステムの問題とがあって、メディアは私ども自己批判するようでございますが、そのシステムのことの特集すとやれるんですけれども、その人間の部分については、当該の運転士が死亡しているということと、捜査中の問題があって、どうしても突き詰めた追及の仕方ができないということは、ご指摘のとおりだと思います。

委員
 この事故があってから、一番前に乗って、どんな人が運転しているのかということが、非常に気になりだしました。出来たら、そのJR西日本のほうにも、人材を育てて運転士さんにもっていきますという答えがあれば、非常に安心できたのに、それが全然触れられてなかったのが物足りなかったと。
 それから、もう一つは、車もそうです。電車もそうです。出してはいけない速度に、なぜそれだけ出してもいいようなスピードをつけているのか、車でも若い人たちが200キロのスピードで走ると、日本の道路の中では走ってはいけないということで、電車も同じだと思うんです。もちろん、ATSも大事ですけれども、なぜ、それだけのスピードを上げる速度をつけるかということが、ちょっと非常に不思議でした。その辺の追及があったら安心できたかなと思いました。

委員
 今までで、ほとんど出尽くしておって、私も、最初にこのテーマを見てこの番組を、やるのは当然、YTVの放送エリア内で起こった、しかも、あれだけの事故ですから、やって当然のこと。あと、どうやるのかに私も非常に興味を持っていたんですけれども、先ほど言われたように、非常に前向きなつくり方ですね。これからも、どうすればこんなことが起こらないのかという、ここに重点を置いたやり方で、僕は非常に、そういう意味で好感を持ってますし、また、皆さんの意見も多分、そういうことで一致しているんだろうと思います。
 その中で、いろんな形で他の運輸機関の例とかも出されながらやって、前向きな話をしていこうというのも見えましたし、それは大体そのあたりのところは皆さんと同じとこですけれども、この中で僕がちょっと違うことを言うとすれば、この原因というのは大体一つじゃないですよね。これはもう複数というか、大なり小なりはあるにしても、いろんな要因が絡まってのことだと思いますし、それに対する対策というのも、おそらく1年では多分詰めきれないんだろうと思うんですね。原因を考え、対策を打ち、また、それでもまだ出来ないところがあって、また、じゃ次の対策を打つという、その連鎖の中でしか出来ないことなんだろうと思います。
 そういう意味で確かに疑問点が多々あるし、それに対する解決策も見えないというのも、やむを得ないところなのかなと、そういう意味でいうと、この番組は、ずうっと続けていくべきだと思うんですね、この種の話は。
 日航の御巣鷹山ですか、あれは20年ぐらい前だと思いますけれども、JALさんは最近の報道を見る限り、どうもその当時の反省は、なくなっているのか、また意識が緩んじゃっているのかというところが見える。
 それと同じような形にJR西日本がならないとは誰も言えないわけで、それをならせないようにするのが、まさに報道機関の役目だろうというふうに思いますので、それは意識の問題が一番大きいと思いますので、それを弛緩させない形でずうっと検証をし、それが、その事故防止に向かってずうっと改善し続けているか、それを検証していくという態度が大事なんだろうと思いました。
 それと、もう一点多分、浮かんでは消え、浮かんでは消えしているところだと思うんですけれども、特に、公共機関、ライフラインといいますか、そういう社会と不可欠、しかも代替の利かないところを向いている企業と、それと競争という問題ですね。多分このところは浮かんでは消え、利益と安全というところが一つの一端なんだろうと思うんですけれども、先ほど社長の話もありましたけれども、これからは多分、御社もそういうところに入っていく問題だと思うんで、その辺のところの視点が、きょうの番組では、なかなか出ないだろうと思うんですけれども、また、どこかの機会に、そういう視点で、またつくっていただければなというのが私の希望です。以上です。

委員
 重複する部分もあるかもしれませんが、四点ほど意見といいますか、感想を申し上げたいと思います。
 最初のまず一点は、先ほど冒頭、高岡さんの方から言及がありましたけれども、何を主眼に伝えるべきかということですが、これは幾人かの先生方もおっしゃってますけれども、被害者とか遺族にスポッとを当てるのか、あるいは、その事故の原因とか、再発防止のほうにスポットを当てるのかということについては、もちろん両方に触れられてますけれども、やっぱり、多くの人が利用する大量の輸送機関の安全を確保すると、こういう視点を重視されて、再発防止のほうに、どちらかというとウエートを置かれた番組だったと思います。こういう考え方、視点というのは一つの見識だと思います。
 それから二点目ですけど、内容あるいは構成という点から見て、社長自ら出演されて決意を語られたというのも非常にインパクトがありますけれども、それ以外にも、飛行機とか、あるいはバス会社でしたか、ああいう訓練の紹介をやったりとか、それから伯備線の事故だとか、それからアメリカの事故調査委員会ですか、ご紹介なんかがありまして、要は全体として非常に再発防止を強く促すような内容構成になっていたというふうに思います。
 それから三点目は、進行といいますか、展開といいますか、全体としてのこの1時間半の流れですけれども、これも先ほどの高岡さんの方でおっしゃっていました追及の場でもないし、激論の場でもないし、弁明の場でもないということをおっしゃっていたと思いますけども、とかく詰問、断罪調になりがちだと思いますけれども、非常に流れとしては節度のある建設的な流れだったのかなというところが好感を持ったところです。
 最後の四点目ですけど、これはちょっと先ほど委員がおっしゃったのと私も全く同じ印象を持っておりまして、私の場合は、特にJRさんと同じ公益的な側面のある仕事に従事しておりますものですから、この事故そのものは他人事とは思えずに非常に関心があるわけですし、どういう対策を打たれるかということについても強い関心を持っていますけども、やはり社長さんは非常に誠実に対応されていますし、決意とか覚悟については、本当によく伝わったと思いますけれども、そういった決意や覚悟を担保するような仕組みとか方法論のところは、やっぱり、もうちょっと引き出されてもよかったんではないかという印象は、多くの方がおっしゃっていましたけど、私も同じように思いました。
 例えば、マニュアルを逸脱したときにサポートする仕組みを、もっと考えなければいけないというような指摘も識者から中であったと思いますけど、そういったあたりの反応を引き出すとか、そういったようなところもあってもよかったのではないかと思います。
 ですから少し、何といいましょうか、火事を減らすためには火の用心が大事ですと言っているようなところがあって、誰が、どのように火の用心をするのかというところが、もうちょっと欲しかったなというのが率直な印象です。
 以上四点ですけど、最後に先ほど委員からライフラインの事業にあたって効率性と安全性をどう考えるかというご質問といいますか、ありましたので、少しきれい事めくかもしれませんけれども申し上げますと、我々決して、その効率と安全はトレード・オフの関係だというふうに思っているわけではありません。
 私、この話を聞くと、いつもヤマト運輸の小倉さんの話を思い出すんですけど、もう既に亡くなられましたけども、大分前に日経の『私の履歴書』に書いておられましたが、小倉さんは運送業を親から引き継いだときには非常に事故が多くて、労働基準監督署から再三叱られたと、で、ある模範事業所を見て来いと言われて、見に行ったら、そこには壁に「安全第1、効率第2」と書いてあったんですね。そこで「ハッと思った」というふうにご本人は言っておられますが、要は物差しを、マネージメントレベルがきちっと具体的に示すということが、非常に基本的に大事なことだというふうに思っていまして、小倉さんも、それから「安全第1、効率第2」と言ったそうですが、そしたら、もちろん事故も減ったけれども、実は落ちがあって、効率もちゃんと上がったということでありまして、決してトレードオフの関係にあるものではないと、我々は安全あってこそ、はじめて企業経営が成り立つというふうに考えているということだけは、ちょっと申し添えておきたいと思います。以上でございます。

委員長
 ありがとうございました。
 最初に高岡プロデューサーが制作にあたっての基本的な方針をご説明になりましたが、出来るだけ偏らない公平な番組内容にしたいという意図は、よく実現されていると思いました。そしてテレビスタジオには初出演だということでしたが、山崎社長の顔や声を直接、見たり聞いたりする機会は、一般にはほとんどなかったので、そういう意味でも、みんな興味をもって見られたんではないかと思います。
 ただ、これ安全問題というのは、いわば人間社会における最も基本的な重要課題だとも言えますので、委員もおっしゃったように、では、どうすればという、これからの問題をみんなで考えていく必要があるんです。それについては、かなりはっきり言えることは、最初に委員がおっしゃったように、事故や誤りの原因は、ソフト、ハードを含めて、結局は、ヒューマンエラー、ヒューマンファクターの問題に帰着するんだということです。
 これは、みんながはっきり認識しないといけないんで、技術についても、技術的な改善進歩というのは、ずっと進むんですけれども、どんな技術についても、設計、製造、検査、据え付け、点検保守、こういうすべての局面において人間が全く関与しないというような局面はないんです。ですから最終的には、人間の問題に帰着するんですね。
 ジェット機にしても、ジェット機が初めて就航したのは、今から約半世紀、50年ぐらい前だったと思いますけれど、その後、10年間ぐらいは大変な事故が続発したんですが、急激に60年代、70年代で技術的な改善が進んで事故が減ったんですけど、その後は全く改善が認められなくなって、ここ20~30年の間は、年間に必ず20件前後の大事故が起こっていて、これはなおらんのですね。その事故の70%以上はヒューマンエラーによるものだということも分かっているわけです。
 ですから、そこをよく認識して、その問題を出来るだけサイエンティフィックに合理的に改善していくといいますか、押さえていく必要があるんだという認識をみんなが持たないといけない。
 私も技術分野の人間ですけれども、技術の面を離れても、例えば、本を書きますね。著書、本を書いて、そして原稿の段階でも、もちろん入念に直しますけれども、さらに初校、再校、2校、3校と、編集者も必死になって見るし、著者はもちろん見ると、そして、それでも心配なので研究室の助教授その他大勢の人にも見てもらって、そして初版が出たときに、間違いが全くない本というのは絶無なんです。必ず何ケ所かが間違っているんで、どうしてこんなものを、あれだけの人数が見ながら、見逃してきたかというような誤りが何ケ所もあるんです。
 これは、それを減らすサイエンティフィックな手立てと、最も合理的な手立てというものを考えないといけないんですね。ですから、そういう問題の指摘が必要だということ。
 それから安心感ということになると、さらに複雑で、何といいますか、さっきシステムと委員がおっしゃいましたけども、システムというのは組織といってもいいんで、ハードの組織と人的な組織がありますけれども、ハードの技術的なシステムということになっていうと、10回に1回は故障する素子、エレメント、つまり10回のうち9回は、まともに働くというエレメントを二つ組合わせますと、9・9・81と、まともに働くのは8割になる。三つ使いますと、8・9・72で7割になっちゃう。四つ使いますと、7・9・63で6割、五つ使いますと、6・9・54ということになって、10回のうち9回は、まともに働くというエレメントでも五つ組み合わせたシステムにしますと、半分はまともに働かないということになるんです。
 ですから、その複雑な組織になると、ますます安全性は確保が難しくなる。ATSなんというものだって、ATSそのものをつくる段階、あるいは、その他で、まともに働かないものもあり得るわけですし、また、保守点検、据え付けの段階で、どんなエラーが起こるかも分からないという意味で、そういうものをちゃんと全部必要なところに置けば、完全に安全が確保されるかというと、そういうことはあり得ないんです。
 また、組織についても安全問題を研究してますと、組織の安全文化というものが非常に重要で、そういうものについての検討も必要になってくる。そういう問題の提起と整理が、どうしても必要だと思うんです。そういう問題を今後とも、適切な番組で示していただけると大変いいのではないかというふうに思いました。
 何か、ほかに追加のご意見ございませんでしょうか、よろしゅうございますか。それじゃあ。

社側
 ありがとうございました。貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
 それで実は、新年度ということで、この審議会のあり方そのものについて委員長から、ご提案があるというふうにお伺いしております。委員長どうぞ。

委員長
 お時間を拝借して、この我々の番組審議会の審議のあり方について、皆さまのご意見を伺いたいと思うんですが、今まで我々は、局の方で選んでいただいた番組を視聴させていただいて、それについて、それを中心に意見交換をしているわけです。
 関連して話が発展することも、もちろんあるんですけれども、それを中心にしてやっていくというのは、基本的には、それでいいと思うんですが、私が長年NHKの放送番組審議会の委員や委員長を務めておりました時には、全く逆で、視聴した番組を中心にしての意見交換とか議論というのはなくて、毎回、銘々が1か月間に見てきたNHKの番組についての意見とか、あるいは、NHKの放送番組のあり方全般についての意見を銘々が述べるという、そういうやり方だったんです。
 たまに、年に1回あるかなしですけれども、特定の番組を拝見して、それを中心に議論するということもあったんですが、どちらも一長一短で、NHKのようなやり方ですと、議論が発散したり、だんだん言うことがなくなってきちゃうということもあるんですが、一方、番組を毎回見て、それについての意見交換だけですと、民放一般についてのあり方、あるいは読売テレビさんについての一般的なあり方についての意見等々が、なかなか申し上げる機会がなくなるという面もあるんです。
 それで、ご提案は委員の中から、ご覧になった番組について、いい番組あるいは問題だと思う番組、いろいろあると思いますけれども、ご提案をいただいて、この番組について局側の意見とか、委員の皆さんの意見を聞いてみたいと思われるような番組がございましたら、ご提案をいただいたらどうかなと思うんです。
 まあ毎回ではありませんから、もちろん特に、そういうものがあった場合なんですけれども、そういうものも入れてはどうかなと、局側が選んで我々にお示しいただく番組についてだけの意見交換でなくて、委員側からの、こういう番組について議論もしてみたいという提案があってもいいのではないかと思うわけです。
 そういうご提案が、たまたまあった場合には、取り扱いについては、例えば、委員長、副委員長、そして局側の相談、協議にお任せいただくというようなことにしてはいかがかなと思うんですが、そして年に1回か、2、3年に1回でもいいですけど、例えば、番組の変更が年に2回ぐらい局側でございますけれども、番組の変更にあたって、そういう時に年に1回ぐらい読売テレビさんの放送番組全般について、あるいは民放のあり方全般についての、いろんな視点からの意見交換をするというような審議会の日が年に1回ぐらいはあってもいいのかなとも思うわけです。
 そういう、少し今までの局側からお示しいただいた番組についてだけの意見交換でない、少し弾力的なあり方を検討してはいかがかなと、新年度にあたって思うんですが、いかがでございましょうかね、皆さま。
 よろしゅうございますか、よろしいでしょうかね。じゃ、もしも特に、みんなの意見を聞きたいというような番組がございましたら、ご提案をいただいて、扱いについては、委員長、副委員長と局側との相談で適当な時に、それを取り上げさせていただくと、そういうこともやってみたらいかがかと、よろしゅうございますか。

委員
 結構です。

副委員長
 私も結構です。

委員長
 よろしゅうございますか。

社側
 じゃ事務局の方へご希望を申してくだされば。

委員長
 そうですね、もしあれば、じゃ、そういうことで。

社側
 分かりました。今の委員長の提案、皆さまご異議ないようですので、今後、この番組を取り上げてほしいというふうなご意見がありましたら、事務局のほうへお気軽にお寄せください。取り上げるかどうかも含めまして、取り扱いについては、委員長、副委員長とご相談しながらやっていきたいと思いますので、ご提案いただいたら必ず、やるということにはならないと思いますので、そこはちょっとご了承ください。よろしくお願いいたします。
 それでは最後に4月に視聴者の皆さまから寄せられました意見ですが、ちょっと時間が押していますので、手短によろしくお願いします。

社側
 それでは4月に視聴者の皆さまから寄せられた声についてご報告申し上げます。
 まず、総件数は6,300件ということで若干少なめでした。ただし、特定の番組に抗議、苦情が集中することがなく、いつもに比べて若干それぞれの番組の件数は減っております。
 ただ一つ目、『ザ!仰天ニュース』、悪夢の航空機事故という番組については、これは20数件だったんですけれども、中身が非常に興味深いもので引っ張っておいて、CMを挟んで別なコーナーをやっていて、その中身は翌週みたいな非常に変な演出をしているということでお怒りを受けました。これは、そのとおりだとも思いますので、番組を制作しております日本テレビのほうに、そのままフィードバックさせております。
 それから『ウェークアップ!ぷらす』で、第2名神は本当に必要なのかというようなテーマで取り上げた中で「必要ない」という部分を前提につくっている部分に対して、ご批判があったのと、いつものように辛坊キャスターにもガツン!と出演者にも言ってほしかったというような声が寄せられております。
 それから、プロ野球がいよいよ始まりましたけれども、ワールドベースボールクラシックで非常に盛り上がったのに、4月第2週、第3週の週末が巨人戦の放送が全くありませんでした。それで「なぜないのか」という形でのお問い合わせをいただきましたが、これは、たまたま放映権を日本テレビ系列が持ってないビジターゲームでの中継でしたので、他局さんが中継をしなかったり、もしくは阪神戦に差し替えていたというようなことがありまして、読売テレビ系列ではセ・パ交流戦も含めまして全90試合、例年と、ほぼ変わりなく野球中継を行っておりますというふうにお答えしております。以上でございます。

社側
 どうもありがとうございました。
 きょうはちょっと時間を押してしまいましたが、これで新年度第1回目の審議会を終わらせていただきます。
 お手元に今年1年の審議会の開催予定と、昨年1年間、どういう番組を審議いただいたかという資料をおつけしておりますので、ご参考にお持ち帰りください。

  • 平成18年度読売テレビ番組審議会委員
  • 委員長    熊谷信昭   兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
  • 副委員長    馬淵かの子   兵庫県水泳連盟   顧問   元オリンピック日本代表
  • 副委員長    川島康生   国立循環器病研究センター   名誉総長
  • 委員    秋山喜久   関西電力株式会社  顧問
  • 委員    金剛育子   能楽「金剛流」宗家夫人
  • 委員    林  千代   脚本家
  • 委員    阪口祐康   弁護士
  • 委員    佐古和枝   関西外国語大学教授
  • 委員    北前雅人   大阪ガス株式会社   代表取締役副社長執行役員
  • 委員    谷  高志   読売新聞大阪本社   専務取締役編集担当