第470回 番組審議会議事録

1.開催年月日
平成18年3月10日(金)
2.開催場所 読売テレビ 役員会議室
3.委員の出席 委員総数 10名
出席委員数 7名
出席委員の氏名 熊谷信昭、林 千代、阪口祐康、佐古和枝、老川祥一、川島康生、吉岡征四郎
欠席委員の氏名 秋山喜久、金剛育子、馬淵かの子
会社側出席者 髙田孝治 (代表取締役社長)
丸山和男 (代表取締役専務)
編成・制作スポーツ・東京制作・事業担当
越智常雄 (専務取締役)
総務・労務・報道担当
久保哲郎 (執行役員審査室長)
森岡啓人 (執行役員報道局長)
位寄雅雄 (編成局長) 
村上博保  (制作スポーツ局長)
松下泰紀 (審査室視聴者センター部長)
事務局 新谷 弘 (審査室次長兼番組審議会事務局長)
菱田千佳 (審査室番組審議会事務局)
前田義信 (審査室考査著作権部)
4.審議の概要 番組視聴
「スタぴか!」
放送日時 平成18年2月26日(日) 朝10時55分~11時25分
放送エリア 関西ローカル
 3月度の番組審議会は3月10日(金)読売テレビで行われ、毎週日曜日の午前10時55分から放送している、スポーツや芸能など色々な分野で夢を持ってがんばっている子供たちを取り上げる番組「スタぴか!」を視聴して合評が行われた。
 委員からは「子供たちがさまざまな夢に向かってがんばっている様子が伝わってきた。見ている子供たちにも励みになる番組だ」などの声が相次いだ。
 しかし、一方では「子供たちを特別なものとして取り上げてしまうと、スターになったように勘違いするのではないか」と言った意見や「もっと影で努力している姿も紹介するなど、教育的な配慮をするべきだ」といった指摘もあった。
 この後、2月に寄せられた視聴者からの意見や抗議、苦情などについて概要を報告した。
 出席は、熊谷信昭、林 千代、阪口祐康、佐古和枝、川島康生、老川祥一、吉岡征四郎の各委員と読売テレビからは髙田社長以下12名。
5.審議内容 別掲の通り
6.審議会の意見に対して取った措置
特記事項なし(議事録は関係部署に配布)
7.審議会の答申・意見の公表
●3月23日(木)付け読売新聞夕刊に議事の概要を掲載。
●4月9日(土)午前5時25分から放送の「声~あなたとよみうりテレビ~」の中で議事の内容を放送。
●本社審査室に閲覧用として議事録を備え置く。
●インターネット読売テレビホームページ「テレビの門・話し合ったもん」で議事録を公表。(http://www.ytv.co.jp)
●社内LANにて全ユーザー(全社員および関連スタッフ)に議事録を配信。
8.配布資料 ●視聴番組 概要
●2006年2月に寄せられた視聴者からの意見・苦情
9.送付資料 ●民放連機関誌「月刊民放」
●民放連機関紙「民間放送」

【審議内容】
社側
 おはようございます。皆さまお揃いですので始めさせていただきます。
 まず出欠の状況ですけれども、きょうは秋山委員と金剛委員、それから馬淵委員のお三方が欠席でいらっしゃいます。
 それから読売テレビ側ですが、土井会長が所用のため欠席させていただきますのでご了承ください。よろしくお願いいたします。
 早速ですが、きょうは日曜日の午前中に毎週やっております『スタぴか!』という番組をご覧いただいて合評していただきたいと思います。子どもが主人公の番組でございます。
  それでは早速、担当の制作スポーツ局の竹内から番組の趣旨等についてご説明をさせていただきます。

社側
 『スタぴか!』チーフプロデューサーをやっております竹内と申します。本日はよろしくお願いいたします。それでは番組の内容についてご説明をさせていただきます。
 この番組は配布させていただいている資料にもありますように、夢を持って頑張っている子どもたちを応援していこうというのが大きなコンセプトです。芸能界ですとか、あるいはスポーツですとか、そういうものでスターを目指している子どもたちを番組の中で応援して、その姿を紹介していくというようなものが大きな番組のコンセプトです。
 この日曜日の10時55分という枠なんですけれども、過去の番組でいいますと、我々でいうF3M3、割と50歳以上の男性の方、女性の方が中心の視聴の枠だったんですけれども、もう少し枠を広げて家族全員で見られるような、子どもさんから、おじいちゃん、おばあちゃんまで見られるような番組にしたいなというものが、まずありまして、このような番組の企画になっております。
 具体的な中身ですけれども、そういった夢を持っている子どもさんたちが、大体20人ほど番組に出ています。いろんな種類のスポーツ、あるいは歌ですとか、踊りですとか、そういうものを日々練習して頑張っていると、番組は、その子どもたちを追いかけていくというのが一つの大きな軸です。
 もう一つ、最近の大きな軸なんですけれども、全国のいろんな子どもさんたちから、いろんなビデオを送っていただいて、そのすごい技ですとか、特技ですとか、そういうものを紹介していくというものも番組の一つの大きな呼び物になっています。
 視聴率のほうも当初は4%ほどの苦しい展開だったんですけれども、最近は徐々に浸透してきまして、1月、2月では7%を超えるような平均視聴率になってきました。なかなか、このターゲット替えというのは難しいんですけれども、徐々に賛同を得てきているのかなというのが現場の実感です。
 きょう、ご覧いただくのは2月26日に放送したものなんですけれども、先ほどお話ししました「全国すごいキッズ図鑑」という企画の中では、辰吉丈一郎さんの秘蔵っ子のボクシングで非常に将来有望な子どもさんと、あとはスタジオではエアロビクスの世界一のタイトルを持った小学生、これは福岡の男の子ですけれども、彼を紹介、先ほどお話しした「スタぴかキッズ」ですけれども、資料にも少し書いてありますけれども、社交ダンスペア、社交ダンスで日本一のタイトルを取りたいと願っている女の子が、子どもなのでパートナーがいないと、番組の中でパートナーを探してあげて、そのカップルがホールダンスですね、社交ダンス日本一を目指して頑張るというような企画の3本立てで本日の番組は構成されています。
 ぜひ、ご覧になって、いろいろな意見をいただいて、今後の番組づくりの参考にさせていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

社側
 今も申し上げましたが、ご覧いただくのが2月26日放送分でして、これが46回目です。週一の番組ですので、ほぼ1年経ったという段階でございます。今も話にありましたように、評価もだんだん定まってきているという感じです。
 それでは早速ですが、ご覧いただきたいと思います。

<VTR視聴>

委員長
 それでは率直なご意見、ご感想を承りましょう。

委員
 私、これ見させていただいたのは初めてなんですけれども、第一印象は珍しいというか、視点が全然違う。今まで子どものほうから、こういうこどもを応援するというような番組、あんまり見たことがなかったんで、そういう意味での面白さというのを感じて。
 うちの事務所の人間にも「これ見ているか」というふうに聞きましたら、残念ながら女性5人ぐらいに聞いたら1人しか見てなかったんですけれども、その子いわくは「私はこれは好きだ」と、はっきり言うていました。「何が好きなんだ」と言うたら、やっぱり、この番組企画に書いていますけれども、子どもの夢を周りの大人が一生懸命応援する。特に彼女が言ったのは、子どもがあこがれているような、例えば、ここに書いてあります鈴木亜久里が出てきて指導するというのは、非常に見ていても、出てきてびっくりしたし、やっぱり子どもにとっても非常に励みになるだろうなと、その様子をずっと見ているのが非常に面白いというふうに言うていまして、まさに、ここの番組の企画内容どおりだなと。
 そういうふうにいわれますと僕も、ようよう考えたら、昔、子どものときに、たまたま甲子園に行ったときに金田というピッチャーがおりましたですね、金やんに握手してもろうたら、それでもうポァーッと舞い上がって、その日以来、野球を一生懸命練習したりとかいうのがありまして、ようよう考えたら、子どものときというのは、そういう自分があこがれている人に出会って、よりその道に一生懸命になるというのは、あることだなと、そういう意味でいうたら非常にいい番組だなと、私も、うちの事務所の女性の話を聞いて再認識しました。雑駁ですけれども、以上です。

委員長
 ありがとうございました。

委員
 私も初めてちょっと見させていただいたんですけども、子どもたちにも、頑張ればいろんな選択肢があるんだよということを伝えてくれる番組だと思って、とても興味深く拝見しました。
 勉強だけじゃなくて、いろんな分野で頑張れば、ここまでできるんだなという夢を、ほかの子たちにも与えられるかなという点では、子どもたちが主人公でいいなと思いました。
 ただ、ちょっと何か、最近オリンピックの影響か、子どもたちにスケートをやらせるお母さんたちというのが、よくテレビに出てきていて、「あれはどうなのかな」と思うところもあって、だから、ここに出てくる子たちが、経済的にも裕福でとか、何か特殊な子ばかりではなくて、「あれは特殊な子たちだな」というふうに印象づけるようなことではなくて、もう一方で、最後のほうにちょっと出てきましたけど、縄跳びとか、飛び箱とか、何か普通に頑張って、ここまでできるという、地味なんだけども、そんなに特殊なことをしないでも、ここまで頑張れるんだよという分野も、やっぱり車の両輪みたいに両方取り上げていただいたほうが、多分バランスがとれていいんだろうなと思いました。

委員
 私も、まず肯定的な面でいえば、今、委員がおっしゃったことと重なりますが、要するに学校で勉強だけする。あるいは最近は指示待ち、何か、いろいろ指示されないとやらない。そういうような子ども、あるいは若者ということが、しばしば指摘されているわけですけれども、そうじゃなくて一生懸命いろいろなことをやって、それなりの大変なレベルの技術を身につけているという子どもたちも、たくさんいるんだなということを紹介されているということは大変いいことだろうと思います。
 やはり、やる気があって、しかも能力がある。そういうものは、どんどん伸ばしていく、そういうことが必要だろうというふうに思います。
 ただ、気持ちよく楽しめたかというと、はっきり言って、そういう感じにはならないですね。ちょっと勘違いされては困るなという気がします。
 つまり、このご説明にもあるけれども、スターになりたいという夢を追いかけている。ここに僕は問題があると思います。そのことが好きで一生懸命やっていく。そして、その道を究める。これは僕は大事なことだと思うんですが、スターになる、有名になるということとは、それは違うと思うんです。
 その勘違いの大失敗例が今回のトリノだったと思うんです。何だかハーフパイプのみんなスター気取りですよ。あるいはノルディックに、こんなソリ入れて「俺は天才だ」とか、これがもう予選も通らない。
 つまり日本国内で、ちょっともてはやされて、テレビに紹介されて、それで自分は舞い上がっちゃって、行ってみたら世界は、こんなものは相手にされないと、こういうのが現実だと思いますね。
 だから、これからの子どもたち、若い人は、そういう勘違いをしないで、しっかり本当に、もっともっと上があるということも十分認識した上で、自分の好きな道の能力、それを思う存分伸ばして、そして第一人者になると、こういうふうになっていただきたいと思うんで、テレビが、そのお手伝いをすること自体は、僕は結構だと思うんですが、そうやって何かテレビに映ること自体を夢にするというのは、僕はちょっと間違いになってくるんじゃないのかなという気がするんです。
 そういうことがどうして起きてくるのかというと、例えば、今出てきたこともそうだし、あるいは夏のオリンピック、あるいは冬のオリンピックもそうですが、ほとんどがスクールとか、ジムとか、そういう特殊な特別のところで鍛錬した人しか出てきてないですね。
 つまり一般の小学校、中学校、義務教育のレベルの段階では、運動会でかけっこの競争すらさせちゃいけない、こういうバカなことをやっているから、結局、外で、学校以外の場でということによって、裾野が狭まっちゃうんですね。せっかく能力を持っている子どもたちが仮にいたとしても、そういう能力を発揮する、あるいは発見する社会的な場というものがない。
 そういうことでお金に余裕のある家庭、習い事をさせる、そういう家の子どもたちが、そういうところへ行って、そしてうまくいく人はいくんでしょうし、そうでない人は全然駄目と、うまくいった人も、ちょっともてはやされると、それで世界レベルというふうに勘違いしちゃうと、こういうふうになるんじゃないのかなと私は想像するんですけども、何か、この番組を見ていても、そんな今の日本の社会の問題を非常に凝縮した形で示されたなというような感想を持って見ました。
 特に不愉快だったのは、社交ダンスの女の子が、相手が自分の思いどおりにならないというんで、すぐ蹴ったり、たたいたりする。これは自分自身が未熟だということを認識していないで、相手に何か責任を問うというか、それを非常に暴力的な形で出る。
 最近そういうことに伴う事件というのが、たくさん起きているんですね。そういうのに近い、ちょっと空恐ろしさを僕は感じたので、「子どもがやっていることだからいいじゃないか」と、こういうふうに覚めた感じでは見られない思いを私は受けました。

委員
 番組の印象を最初に言いますと、私はかなり後味のいい「健全な番組だな」という印象を持ちました。
 昔は「少年よ大志を抱け」というようなことをよく言われまして、私なんかも、それを学校で習った記憶がありますけど、最近は何か「自分らしさを生かせる仕事に就きたい」とか、スポーツの世界でも、「何か自分らしい野球をやりたい」とか、ああいうような言い方が結構多くなっているように思います。
 どうもそういう風潮は私は違和感があるものですから、今回のような番組は、むしろ目標を決めて一生懸命やっているというところをサポートしていくという、そういう番組の姿勢には共感を持ちました。
 テレビを子どもさんが見ていると思いますけども、子どもさんにしてみたら、自分たちとあんまり変わらないですね。ごく普通の子どもが、それぞれで頑張っているというのを見ますと非常に励みになるといいますか、いい刺激を多分得られるんじゃないかなと、そこが、この番組のいいところじゃないかなというふうに思いました。
 実は、先ほど最後にちょっと予告がありましたけども、3月5日の放送も私ちょっと見たんですけども、ユニバーサルスタジオでプロのダンサーと一緒にダンスをしている人たちが出ていましたけども、その振り付けの先生が非常にいいことを言っていまして、「あなた方は、ここで演技をやるのは、きょう見に来ている子どもたちが、『自分たちも頑張ったら、それができる』というふうに思えるようにやりなさい」というようなことを、その先生がおっしゃっていたんですけど、なかなかいいことをおっしゃる。そういうところが、この番組の値打ちではないかなというふうに思ったわけです。
 たまたま1週間ほど前に、ある新聞の夕刊で「おじさんは怒っているぞ」とかいうタイトルの連載していますけど、そこで紹介されていました、ある商社のトップが入社式で新入社員に訓示するときに「企業というのは競争社会だからナンバーワンを目指して頑張ってください」という意味の訓示をしたと。
 最近はオンリーワンとか、先ほど言いましたけど「自分らしさを生かす」とか、そっちのほうに行くんで、「そんなことを言っている暇があったら、その目の前の仕事を一生懸命やって、そこでナンバーワンになりなさい」と、そういう意味だと私は思いますが、至極当たり前のことをおっしゃっているんじゃないかなというふうに思うわけです。
 最近、何か『下流社会』という本が随分ベストセラーになっているというふうに聞きますけども、その著者によると「自分らしさ何とかかんとかというふうな風潮が、逆にニートだとか、フリーターだとか、そういったものを増やす原因になっている」というようなことも言われているようです。
 ですから、そういう人たちにこそ、こういう打ち込んでいる姿を見ていただくのがいいんではないかなというような、そういうふうにも思ったわけです。
 最後に1点だけちょっと申しますと、動機とか、きっかけというのは、それぞれあるわけで、スターにあこがれるとか、あるいは親や周りの人から薦められたとか、刺激を受けたとか、いろんな動機、きっかけで、そういうことをやり出していると思うんですけども、ケースによっては、その辺もう少しご紹介いただいたほうがいいケースもあるのかなと。
 例えば、ボクシングとか、あれは誰が見ても分かるわけですけど、辰吉選手にあこがれたということになるんでしょうけども、社交ダンスというのは、なかなか普通の子どもが社交ダンスにどうやってたどりついたのか、ちょっとよく分からないところがあります。まあケースによると思いますけど、あんまり演出過剰にならない程度に、その辺のご紹介もいただいたらどうかなという印象も持ちました。以上です。

委員
 ニートとか、フリーターが増えている昨今に、こういう小学生の子どもたちが目標を持って、意味を持ってやっていくということに関しては、番組自体は非常によかったと思うんですけれども、見終わったときに何かしっくりこないというのか、ザラッとしたものが残ったのはなぜかと考えたときに、さっき他の委員の方もいわれていたように、何というか、エリートの子どもを育てるというのか、そういう、ごく一部の表面的なことしか描いてないと。
 だから例えば、社交ダンスの場合でも、彼女は、なぜあそこまで自分を中心に協調性を見せないでやっていく。それを例えば、この「すごいキッズ」を見せるためのバラエティー構成というものに、ちょっと偏り過ぎているんじゃないかと、もう少し違う意味で、こうこうこういう形で目指していて、協調ができなかった場合にどうするか。すぐに、いい指導者につけるというんじゃなくて、育てていくという意味の形を見せていただいたらいいんじゃないかと思いました。
 例えば、ボクシングの場合でも、普通、格闘技をする場合には、素人を相手に自分の技を見せるということは、これはタブーだと思うんです。それを今回、タレントさんを相手に殴るというような形で見せていて、いかにも、その子どもさんが強いか、どれだけ強いかということを見せているのに、ちょっとその辺が私自身は引っかかった。
 つまり、そういう子どもを見せるためにバラエティー構成の中で、より強調しているような気がした。そこら辺がちょっと、どうしてもザラッとした部分があったと、そのバラエティー構成が、ちょっと多分私自身が受けつけなかったんじゃないかと思うんですけれども、じゃあ日常ここまで強くなるためには、ここまで上手になるためには、彼女たち、彼らたちが、どういう練習をしてるいかというほうを見せてもらったほうが、見ている子どもたちが、こういうような日常の中の練習をすることによって、みんな強くなっていき、目標に向かって頑張っていけるんですよという部分を見せていただいたほうがよかったかなと、そのほうが説得力があったような気がするんです。
 その辺で、子どもたちが勘違いするような「スターを目指す」というんじゃなくて、強くなるためには何をしていくのか、今回のオリンピックの場合でも、フィギュアスケートであれば、幼いときから6時ぐらいの学校へ行く前に眠いのに練習して、終わってからも練習して、なおかつ、そこで勉強しながら頑張っていくという、その見えない部分の彼らの努力を見せていただいたほうが、子どもたちには説得力があったんじゃないかと思いました。
 だから番組が、この番組が特殊な子どもたちを取り上げて、バラエティー感覚で見せるというものに、ちょっと引っかかった部分が私自身は非常に不愉快やったような気がしたんですけれども、朝のこの時間帯で子どもたちに見せるためには、もう少し見えない部分の努力を見せていただければよかったんじゃないかと思いました。

委員
 今までたくさんの番組を見せていただいておりますけども、いい方についても、悪い方についても、特別強烈な印象というんじゃなしに、まあまあの番組かなというふうな感じがしておりました。
 1回だけ見させていただいたわけですけれども、この番組一体何回続いているのかな、これもうすぐタネが尽きるんじゃないかなと思ったんですけれども、お聞きすると大方1年続いているということなんで、これはスタッフの方の努力というのは、掘り出しといいますか、探してくる努力は大変なものだなというふうな気がいたしました。
 ということは、非常に貴重な題材だと思うんです。その題材を使うにしては、ちょっともったいない使い方をしているんではないかなと、今、言われましたようにバラエティー番組、私の一番嫌いなドタバタ番組に仕上がっているというのが、いかにももったいないなという気がいたしました。もう少し何か取り扱いのやり方がないかなと。例えば、よく似た番組といえば『お宝発見』という番組がございますね。どこの局だったか忘れましたけど、あれなんかも、ちょっと掘り出してきてというのは、あれ向こうから言って来るんかもしれませんけども、ちょっと似たところもあるなと思いましたが、何か少し、そういうふうにあまり真面目な番組にしてしまうと視聴率が下がるんだろうと、少なくとも、そう考えておられるんだろうと思うんですけれども、それでも、やっぱり少しもったいないような気がいたしました。
 おふたりの委員がおっしゃったことには私は全く賛成でありまして、やはり視聴者を年寄りから子どもまで全部を対象にというふうにおっしゃいましたけど、子どもが見るとなると、やっぱり教育的効果というのを、もう少し重視してお作りになった方がいいんではないかなという気がいたしました。
 考えてみると、しかし、このごろの子どもの教育がなってないというのは、親がなってないから、そういうことになるんですので、親に対する教育的効果からも考えて、もう少しその点、配慮があってもよかったんではないかなという気がいたしました。
 大体そんなところですけれども、もうひとつは題材となるのは、これスポーツ、体を動かすことだけですかね。全部見ておりませんから分かりませんけれども、例えば、算術が無茶苦茶うまいとか、そろばんが無茶苦茶上手であるとかですね。

社側
 別の回で書道の達人の女の子が出てきましたりします。歌手になりたいとか。

委員
 そういうのをもっと出していただいて、いろいろ幅が広いんでしょうけれども、そういったことも考えていただいていいんじゃないかなという気がいたしました。

委員長
 私も率直に言って、この番組は今回初めて見せていただいたんですが、それで改めて非常に大きい考えを持ったことは、子どもたちが「なりたい」と思う夢の種類が、私どもの子どものころに比べて桁違いに幅広くなっているということでした。
 我々が子どものころにも銘々「夢があるか」と言われたら、みんな夢は持っていたと思うんですけども、その種類が本当に限られてまして、男の子だったら陸軍大将になりたいというか、汽車の運転士かバスの運転手さんになりたいというような程度で、あとは大体父親の職業になりたいという子が多かったように思います。
 父親が大工さんだったら大工になりたいとか、お父さんが畳屋さんだったら僕も畳屋になるんだというような子どもが多くて、なりたいと思う将来の自分の職業とか、専門分野については、それこそバラエティーがなかったと思うんですが、この番組を拝見しますと、まあ一杯いろんな夢があって、一昔の我々の子どものころ野球選手になりたいとか、ダンサーになりたいなんて考えられない夢だったんですが、それが私が、この番組を拝見して一番強い印象を持ったことだったんです。
 中身については、いま委員がおっしゃったような印象があるんですけれども、視聴者の対象をどういう層に置いておられたということも、これは質問としてお伺いしたいんですけれどもね。
 子どもを主な視聴者として想定しているんだということであれば、こんな内容かなと思うんですけれども、大人が毎回楽しみにして見る番組の内容になっているかどうかというと、なかなかそうはいかないだろうという印象を持ちました。
 特に子どもを対象ということであれば、ちょっとお考えいただきたいと思うのは、子どもたちの夢や希望の範囲が広がっているということと同時に、年の割りには、ませてきているということがありまして、今、拝見した中だけでも例えば、コンビを組んで社交ダンスの練習に打ち込もうといっている子どもに対して、このレギュラーというのが、何か二人の仲がうまくいかないという話のときに男の子に「浮気がばれたか」とか、それから「大人のおっぱいを見ているのか」とか、「大人の女の魅力にメロメロか」なんとかというとか、ああいうのは、あの年ごろの子どもを持っている親がいたら、あんまりいい気持ちにはなれないと思うんですね。
 私なんかだと孫ですけど、孫の女の子なんかを考えると、そういうせりふを聞かせたくないという気がするんで、子どもを対象であれば、そのあたりの、要するに余計なませたようなこと、大人のようにませたことをジョークででも言わないほうがいいんじゃないかという気がいたしました。
 しかし、お作りになった側のいろいろの考えもあるでしょうから、まだ若干時間がありますので、竹内さんからも、みんなの意見をお聞きになって、ご意見とか、反論でも弁解でも何でもいいんですけど、ご自由におっしゃって下さい。

社側
 貴重なご意見ありがとうございます。まず、視聴者ターゲットについてのご質問ですけど、もちろん子どもさんで、我々のイメージとしましては子どもさんと、例えば、その小学生のお子さんのお母さんが一緒に見られるような形のものがどうなんだろうかというのが、割りとイメージとしてはあります。
 もちろん、お父さんにも、そして、おじいちゃん、おばあちゃんにも見ていただきたいというような部分がありますけれども、基本的には親子で見られるようなものにしたいなというのが我々のイメージとしてはあります。
 委員のほうからお話のありました演出上の部分、教育的な部分で言いますと、おっしゃるようなことが確かに我々も感じております。
 それと一つやはり楽しい番組として見ていただきたいというような我々の工夫の部分で、そういうふうにお感じになったようなこともあるのかなというのが、きょうお話を伺って新たに我々の一つの課題かなというような形で認識しております。
 委員のほうから、ちらっとお話がありました。じゃ、特殊な子どもさんたちだけを我々が扱ってスターを目指すという形になるのかというと、今回の放送ではそうでもないんですけれども、出来るだけ、この子どもたち、あるいは、この子どもたちのお父さん、お母さんを番組の中で紹介するようにしています。
 こういう家庭で、こんなふうにして子どもたちは頑張っていると、その子どもさんたちの中には、もちろん裕福な方もいらっしゃいますし、例えば、母子家庭の子どもさんもいたりもします。ただ、それを出来るだけ紹介したいという裏側には、一つには、お母さん、お父さんに対するメッセージにもしたいというふうに我々は考えております。
 つまり、こんな子どもたちが育ってきたときには、こういう育て方をしたんだというふうな部分も番組の裏のメッセージとして盛り込んでいきたいと、そういう意味で決して特別な子どもではなくて、どこにでもいるような隣の子どもさんが実は出ているんだというようなイメージを持っていただきたいなというふうに番組スタッフとしては考えます。
 スターを目指すというような形で話してしまうと、確かに、そういうふうな語弊みたいなものがあるということは我々も感じていまして、そういう意味では番組の中で、スターを目指そうというふうな、言葉ですとか、そういうものはなるべく使わないように、ダンス大会で頑張ろう、次の大会で優勝しよう、少しでもランクアップしようと、具体的な部分で目標を設定して子どもたちに頑張っていってもらおうと、それが実は最終的には日本で一番になるんだ。世界で一番なるんだ。そうするとスターといいますか、有名な立派な選手になれるんだというようなイメージで、子どもの取材は続けていきたいなと考えております。

委員長
 ありがとうございました。
 皆さま何か追加あるいは補足のコメントはございませんか。

委員
 この審議会のメンバーの方に「あなたの子どもさんに、この番組を見せたいですか、いい番組だから見なさいと言いますか」とお聞きになったら、おそらくあまりおられないと思うんですね。だけど審議会のメンバーの方は、ちょっと厳しい方が多いと思うんですね。ですから、だからこの番組はいけないというふうなことを言うつもりはありませんけれども、やっぱり何といいますか、世の親御さん、子どもさんがみんなこの番組を見て「あれはええ番組や」と思うかどうか、あるいは、もしもそう思うとしたら、ちょっと、これも困ったことでありますという気がいたしますね。あまり結論めいたことは、よう申しませんけども。

委員長
 内容とか演出については、いろいろご意見が出ましたけれども、一方、いい企画だといいますか、いい番組だと思うというご意見もたくさん出ましたので、今後、大人も子どもも見て、面白く楽しく、そしてかつ気持ちのいい番組になるように私は期待をいたしております。それじゃどうぞ。

社側
 ありがとうございました。
 それでは最後に2月に読売テレビに寄せられました視聴者の皆さま方からの声について説明をさせていただきます。

社側
 よろしくお願いいたします。2月に視聴者の皆さまから寄せられた声ですけれども、件数的には5,527件ということで若干少なめになっております。
 主な苦情・意見で来たもの、番組に関しましては、2月6日に放送しました『キスだけじゃイヤ!』という番組で、本来は夫婦、カップルの恋愛問題等を扱っている番組なんですけれども、このとき、たまたま「ご主人が可愛がる猫が嫌いだ」という奥さんからの訴えがありまして、「別居まで考えているんだ」というようなことで話が進んだんですけれども、最終的には、紳助さん等がいろいろアドバイスをいたしまして、例えば人に預かってもらうなり、外で飼うなりというような形の結論になったそうなんですが、動物愛護的なこと、それから猫の大好きな方から、かなり多くの意見をいただきまして、「外で飼うとは何事だ」というような形でのご批判をいただきました。
 「こういう軽い気持ちで動物を飼ったりするから捨てる人が増えたりするんだ」というような、どちらかというと、あまりスタッフサイドが予想していなかったような部分でのご意見をたくさんいただいて「今後の反省にしたい」というふうに言っております。
 それから『たかじんのそこまで言って委員会』なんですが、民主党の永田議員の送金指示メール問題等を扱っているときに、過激な発言等がありましたときに、ピーという音であったり、モザイクがかかったりというようなことが、かなりこの回に関しては多くあったんですけれども、「そんなにピーピーやって、一番知りたい部分が分からなくするなら、いっそ、その部分を削ってしまって放送してください」ということとか、それこそ、「こんなにピーピー入れるんだったら、『そこまで言って委員会』の意味がないんじゃないか」というような意見までいただきました。
 それから『なるトモ!』、昨年の10月から東京でも放送しておりまして、名古屋、広島、熊本と、今5局ネットなんですけれども、日本テレビさんの都合によりまして、夕方の情報番組が、この午前中の時間帯にくるということで3月で終了するということが決まりました。
 そうすると関東地区から非常に多くの方から「始まったころは非常に大阪的な番組なので違和感があったんだけれども、だんだんざっくばらんな部分であるとか、親しみやすい部分が出てきて終わるのが非常に残念である」というようなことが、これは本来、日本テレビさんに言っていただきたいことなんですけれども、読売テレビにも160件、それで日本テレビにも300件を超えるような意見が寄せられているというようなところです。
 それから問い合わせの多かった件に関しましては、やはり『おもいッきりテレビ』の健康情報という形で、たくさんの問い合わせが来ております。以上です。

社側
 きょうは本当にありがとうございました。これで3月の審議会を終了いたします。

  • 平成17年度読売テレビ番組審議会委員
  • 委員長    熊谷信昭   兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
  • 副委員長    馬淵かの子   兵庫県水泳連盟   顧問   元オリンピック日本代表
  • 副委員長    川島康生   国立循環器病研究センター   名誉総長
  • 委員    秋山喜久   関西電力株式会社  顧問
  • 委員    金剛育子   能楽「金剛流」宗家夫人
  • 委員    林  千代   脚本家
  • 委員    阪口祐康   弁護士
  • 委員    佐古和枝   関西外国語大学教授
  • 委員    北前雅人   大阪ガス株式会社   代表取締役副社長執行役員
  • 委員    谷  高志   読売新聞大阪本社   専務取締役編集担当