第460回 番組審議会議事録
1.開催年月日 |
平成17年03月11日(金) | |
2.開催場所 | 読売テレビ本社 | |
3.委員の出席 | 委員総数 | 10名 |
出席委員数 | 10名 | |
出席委員の氏名 | 熊谷信昭、秋山喜久、金剛育子、林 千代、馬淵かの子 野村明雄、阪口祐康、佐古和枝、老川祥一、川島康生 |
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欠席委員の氏名 | なし | |
会社側出席者 | 土井共成 (代表取締役会長兼社長)以下13名 | |
4.審議の概要 | 番組視聴 | |
「遠くへ行きたい 西へ」 | ||
放送日時 | 2005年2月19日(土) 午前10時30分~11時25分 | |
放送エリア | 全国ネット | |
3月度の番組審議会は3月11日(金)読売テレビ本社で行われ、はじめに今年4月から施行される「個人情報保護法」に対応する読売テレビの具体的な管理体制や諸規則策定の内容が報告された。続いて番組の審議に移り、今回は「遠くへ行きたい 西へ」について審議した。 委員からは「出演者が勝手に盛り上がって、見ていてしらけるような番組が多い中で、この番組は安心して見ていられ、心が癒される」「地元の人達との触れ合いを非常にうまく使って、過剰な演出をせずに人との出会いというテーマをしっかり押さえている」「生活のスピード感があがってゆく中で、ゆったりと見せてくれるこの番組の価値はますます高くなるだろう」など番組を評価する意見が相次いだ。また番組に対して「食べ物に焦点を当てるのもいいが、地域の伝統や、文化、コミュニティなどをまた角度を変えて見せてほしい」「たまには、一箇所にとどまってじっくりとその地域を見て回る企画もあっていいのではないか」といった要望も出された。 この後、2月に寄せられた視聴者からの意見や抗議、苦情などについて概要を報告した。 |
【審議内容】
●社側
本日の番組審議会でございますが、はじめに今年4月から施行されます個人情報保護法に対する読売テレビの対応について時間を取らせていただきまして、その後、通常の番組視聴及び合評に移らせていただきます。
従来より個人情報の取り扱いにつきましては読売テレビでは、慎重の上にも慎重を期しておりますが、法律施行を受けての対応ということで、お手元の資料をもとに担当より説明させていただきます。
●社側
それでは、ご説明させていただきます。4月1日に法律の完全施行ということで、当社も昨年来、部局横断で検討を重ねてまいりまして、このほど基本的な方針並びに対応、管理等につきましてまとまりましたのでご報告いたします。
まず、対応していくにあたりまして、五つの案文を策定いたしました。はじめに、(1)「個人情報保護憲章」、これは当社の基本ポリシーを記したものでございます。それから次に(2)「個人情報取り扱い基本方針」、これは視聴者の方々に向けて開示の方法、あるいは請求の方法等々について基本的な方針を記したものでございます。この(1)、(2)につきましては、きょうお手元に資料として添付させていただいております。これは4月1日に法律が施行されるにあたりまして、我が社のホームページでも掲載いたしまして、一般の方々にも見ていただける形にいたします。そのあと(3)「個人情報保護規程」、それから(4)「個人情報安全管理規程」、(5)「個人情報取り扱いマニュアル」、これにつきましては基本方針に基づいて、実際に社内で対応していくにあたっての取り決めを、それぞれ規定したものでございます。
この五つに基づきまして対応してまいりますが、対応するにあたりまして、新たに四つの申請書を新設いたしました。「個人情報取得申請書」、「個人データサーバー登録申請書」、「個人情報廃棄報告書」、それと「個人情報委託先調査表」、この四つの申請書を設けまして、情報を取り扱うにあたっては、この四つの申請書に記載をしていくということで対応してまいります。
次に、管理の体制でございますが、ここに書いてございます四つの管理者・責任者を設けております。一番頭に「個人情報保護管理者」ということで、これは当社の総務担当役員が、その任にあたります。続きまして「個人情報保護責任者」、これは個人情報の保護に関する全社的な総括責任者ということで、総務局長がこの任にあたります。その下に、それぞれの各局の業務部長が担当します「個人情報管理責任者」、さらに番組等で個人情報を取り扱う場合の責任者、番組のCP等々でございますが、そういった人たちを「個人情報取扱責任者」といたしまして、この形で全社的な管理体制を布いて実施をしていきます。
さらに窓口業務等を含めまして、全体を一元化する組織といたしまして「個人情報保護事務局」を設けます。
こういう形で案分規程並びに申請書、それから管理体制というものを設けましたが、一番大事なのは、やはり社員一人ひとりの意識改革の徹底ということだと思います。就業規則に新たに「個人情報を厳守する」という項目を加えて、徹底をしてまいります。さらにこの方向に基づきまして、現在、顧問弁護士にも毎回出席をいただいて、全社的に研修会を実施し、取り組みの説明並びに徹底を図っております。4月1日までに全員が研修会に出席するという形で実施をしてまいります。それと同時に、法律が施行されて以降も、いろいろなタイミングを見ながら全社員に意識の徹底を図っていきたいと考えております。簡単でございますが、我が社の体制並びに方針についてご報告をさせていただきました。
●社側
個人情報の保護に関するご報告は以上でございます。
それでは通常の番組審議に移らせていただきたいと思います。本日、ご意見をいただきますのは『遠くへ行きたい 西へ』という番組でございます。『遠くへ行きたい』は制作がスタートしまして35年を迎える長寿番組ですが、本日は、そのスペシャル版について視聴・合評をしていただきます。制作にあたりました東京制作部のプロデューサーから、番組の概要、狙いなどについて説明をさせていただきます。
●社側
『遠くへ行きたい』という番組は1970年10月にスタートしました。主題歌の方も今まで22組の方に歌われています。この4月から23代目を目指して、いろいろ作業を進めている状況でございます。この番組は過剰な演出を排し、旅人の目線で日本各地の風景や暮らしを追い続けてきました。今のテレビでは珍しくなりました編集のリズム、テンポ、あるいはスーパーを出来るだけ極力排した形の画面構成など、テレビの原点ともいえる形を守り続けている番組だと思います。
通常30分の旅番組というものは、大体1泊2泊ぐらいで撮影が行われるんですが、この番組はかたくなに3泊4日という基本のリズムを守って撮影を行っています。これは出演する旅人の方に旅の気分を十分味わっていただき、その雰囲気を視聴者にも伝えたいというところが番組の狙いだからです。また、通常のロケハンという、撮影をする前に現地を調べるという行為も4、5日かけて丁寧な番組づくりをしております。昨年、亡くなられた渡辺文雄さんは32年間、この番組でレギュラーをされておりまして、毎月1回の出演をしていただき、去年の8月にお亡くなりになるまで364回出演されました。364回ということは、1回に4日間旅をすることを考えると延べ4年間、ちょうど渡辺さんがレギュラーになられたのは42歳からなので、42歳から74歳まで、この番組だけで4年間、旅をされていたということになります。渡辺さんの、この番組での心情は、一に好奇心、二に好奇心ということで、番組の中での口癖として必ず「へぇ」という言葉を大切にされておりました。これは新しく出会ったものへの好奇心や関心という番組の目線そのものでもありました。
35年間で1,700回を超え、日本各地を回って、行きつくところまで行ったんじゃないかと思われがちですが、温泉・グルメが中心に放送される普通の旅番組と違い、この番組のテーマは「人との出会い」です。同じ場所でも出会う人が変われば全く別の旅になるというコンセプトで、このまま40年、50年を目指して頑張っていきたいなと思っております。
今回の『遠くへ行きたい』の特番は、瀬戸内、岡山、広島の魅力を紹介する番組でございまして、番組初出演の女優の高田万由子さんと料理人の森野熊八さんが旅をいたします。番組の最後には熊八料理というコーナーがございます。森野熊八さんが、旅先でお世話になったという方々に最後、集めた地元の食材を創作料理に仕上げて振る舞うというのが番組のレギュラー企画の名物コーナーとなっております。よろしくお願いいたします。
●社側
それではVTRを視聴していただきます。ご覧いただくのは、事前にお送りした60分の本編を20分にまとめたものでございます。よろしくお願いいたします。
<VTR視聴開始>
●社側
視聴ありがとうございました。この番組、幅広い層で支持をいただきまして、関西で7.1%、関東で9%の高視聴率を獲得いたしました。委員長、よろしくお願いいたします。
●委員長
ふるさと再発見というような番組ですが、土地の料理の紹介なんかもあって、大変幅広い視聴者層の関心に応えてこられた。だから長寿番組であり、視聴率も高い番組だったと思います。この種の番組一般についてのご意見でも何でも結構でございます。ご意見をお聞かせください。
●委員
非常にいい番組だと思いました。安心して見ていられる。バラエティーなどスタジオで出演者が勝手に盛り上がっていて、見ている方がしらけるというような番組が多い中で、一種の心の癒しみたいな、そういう要素を非常に強く感じました。日常生活とちょっと離れた『遠くへ行きたい』というコンセプトはまさにそこだと思います。私も休みの日なんか、あまり見たい番組がないときは、この種の番組を好んで見ますので、こういう番組があるとありがたいなという感じがします。嫌らしさがないですね。35年という長い期間続いている理由も、そういうところにあるんだろうと思います。
ただ、今回は、この番組を審議するという立場から真剣に見させていただきました。そういう意味でちょっと感じたのは、我々見ている側も安心して見ているんですが、つくり手の側も、スタイルが定まった長寿番組の安心感からか、説明を省いてしまっているところがいくつかあったように思います。例えば、「尾道ではフクロウがシンボルだといわれているんですが、なぜなんだろうか」とか、「ここへ行ってみたいな」という気持ちに自分がなったときに、ここへ行くには、どのぐらいの日程が必要かというような情報が番組の中で欲しいなという感じがしました。それから新幹線に乗って旅をスタートするときに女優さんが「岡山へ行きます」と、こういう言葉でしたね。その前に映っていたトップシーンは、鞆の浦とか、そういう場面が出ていたんで、「あれ、鞆の浦は岡山県じゃないのにな」という感じを僕は一瞬受けちゃったんです。「まずは岡山へ」という言葉であれば、何の違和感もなくスーッと「ああ岡山から始まるんだな」という感じがするんだけど。つまり見ている側が知りたいと思っていることに対して、そういう要求にスーッと入って行けるような自然なセリフとか情報とかが、もうちょっとあると、実際に自分が行ってみたいなと思った場合にも役立つし、漠然と見ていても十分楽しめる。その辺も気を配っていただけると、もっといい番組になるんではないかなという感じがしました。
●委員
最初にプロデューサーの方が、「この番組は一つのテレビの原点だ」とおっしゃいましたけども、そういった意味で、テレビというのは、やっぱり臨場感を一番映し出すのに適した媒体だというふうに思います。先ほど委員がおっしゃったオチャラカ番組的なものは、別にテレビでなくても、ラジオでもできんことはないと思うんですが、自然だとか、地域を紹介するというのは映像文化でないとできないことだと思います。こういう番組をぜひ続けていっていただきたい。
強いて注文するとすれば、食べ物などに焦点を当てるときもあっていいんでしょうが、その地域々々が持っている伝統だとか、文化、あるいはその地域の人たちがどのようなコミュニティーをもち、どうコミュニケーションをしているんだというような視点についても『遠くへ行きたい』という番組は扱っていけるんじゃないかなというふうに思います。
3泊4日で行っておられると、その地域の伝統的な文化だとか、風習だとか、あるいはコミュニティーとしての温かさだとか、いろいろな角度からの切り口が見えてくると思います。これからさらに回数を重ねてやっていただこうと思うときには、そういう角度、視点をいろいろ考えながら日本の、あるいは地域の持っている良さというものを教えていただくことができるのではないかと思います。我々も時間があれば、しょっちゅう行きたいんですが、なかなか行けない。そこをテレビが行ってきて見せてくれると非常に短時間のうちに、日本なり、地域なりというものが理解できるんじゃないかなと思います。ですから、この番組を大いに長寿番組として続けていっていただきたいと思います。
●委員
私も大変楽しく拝見させていただきました。すごくよかったなと思うのは、最後に熊八さんが料理をして、地元の方にご馳走なさっているという部分です。やっぱり人との出会いを大切になさっているというコンセプトが、ああいう形になっているんだろうなと思いました。多分地元の側としては、テレビで放映してもらうというだけでPRになって、もう嬉しいことだと思うんですが、実際、収録ではテレビ局側も多分いろんな方々にお世話になっておられると思うんですね。そのお返しとして、あのようにプロの料理人に地元の素材で料理してもらったら、やっぱり地元の人たちもプラスになるだろうなと思います。そういう置き土産があるというのは、地元にとっても、とてもいいことで、あれを見て「うちの町にも来てよ」という町が多分出てくるのではないかと思いながら拝見していました。
それから少し感じたことですが、旅の気分としては複数の町をずっと巡っていかれるというのも確かに面白いと思うんですが、たまにはどこか1か所にじっくり滞在して、上っ面の駆け足の観光旅行では見られないようなところとか、情報とか、そういうものをじっくり隅々まで見て回るということもあってもいいのかなという気がしました。取材場所が多いと、油断して「あのシーンはどこの町だったっけな」と、ちょっと混乱したりなんていうこともあったので、たまには、そういう形があってもいいのかなという気がしました。
●委員
東京から京都までリュックを背負ってテコテコ一人で歩いたことがあったんですが、そのときに思ったのは、昔は宿場として栄えたけども、今は寂れてしまったというようなところがたくさんあって、いろんな発見がありました。日ごろ私どもが通常、大阪、東京へ行くときは新幹線なり、飛行機で行きますが、「便利に行く代わりに、捨ててしまっているものがたくさんあるなあ」ということをそのとき感じた経験があります。この番組には、そういうことを気づかせてくれるものがあると思うんです。普段、いろんな忙しいスピードの中で生きている中で、ふと旅に時間をかけて、そこに新しいもの、生活であったり、文化であったりというのを発見していく。その視点が、ずっと長寿番組たり得たところだと思いますし、これから、ますます生活のスピードって上がっていくと思いますので、この番組は一層価値を増していくのではないかと思います。だから、この原点をずっと守っていただければなというふうに思いました。
ただ1点だけ、食べた人の反応ですが、よく料亭旅館みたいなところで女優さんなり、俳優さんが食べたり、大げさに反応したりすることがあります。どうも好きになれません。私だけの印象かもしれませんが。
●委員長
過ぎた時代を「よかった」とか懐かしがるのは年をとった証拠だとよく言われるんですが、きょう見せていただいて、本当によかったなと思いました。
この番組は、朝食をとりながら見ていた記憶があるので、多分もっと早い時間だったんじゃないかと思うんですが。最初のころは8時台ぐらいかなと。
●委員
これは特別番組なので土曜日の午前10時半に放送しましたが、レギュラーは、いつも日曜日の朝7時半からの放送です。
●委員
何か食事しながら家族全員で見たような記憶があって、この番組はそのときのままの形で今日もあるわけですね。昨今のテレビの中には、旅、グルメ、それからラーメンとか、お寿司とか、日本全国食べた気になるぐらい毎日々々、こういう『食』についてのテレビが多いと思います。そこに出ている人とか、司会者とか、音楽とか、ナレーションが、やたら気になるぐらいやかましくて、大げさな表現、オーバーな撮り方が多いんですが、「遠くへ行きたい」は非常に静かに見ることができました。今の日本に残っている古きよき時代の人々を描いて、ナレーションも全然気にならなくて、吸い込まれるように見させていただきました。
一つ注文をつけるのであれば、食材の新しい食べ方というのを紹介されていましたが、その中に新しい食べ方だけではなく、そこの人々が、その食材を日常の総菜として、どういうふうに食べていらっしゃるのか、味つけしているのかも見せていただきたかった。つまり、それが食文化だと思うんです。それも見せていただいたら嬉しかったかな、参考にできたかなと思いました。
でも、出演者達の人選もよかったし、ずっと飽きずに見せていただきました。
●委員
この番組は本当に批判すべきところがあんまりない、本当にいい番組であったというふうに思っております。日曜日の朝の放送だということなんで、これは時間のある人でないとちょっと見られないかもしれません。仕事や、家事をしながら見るような番組ではないので、やっぱり年寄り向きかなというふうに思います。しかし、年寄りは随分人口が増えてきていますので、元気な年寄り向きというふうにいった方がいいかなという気がいたします。
旅の場所はあんまり人の行かないところが中心ですよね。最初からそうなのかどうか知りませんが、これは非常にいいなという気がいたしました。観光ずれしてない場所を教えていただくというのは大変よかったと思います。それと単に景色を映すというだけではなしに、そこに住んでいる人間を映していただくというのは、これはもう大変よかったなという気がします。今後もそこに重点を置いて映していかれたら、まだまだ長寿番組になり続けるんではないかという気がいたします。35年間といえば放送素材も随分たくさんになっているだろうと思うんですが、そのリストをつくってライブラリーにして売り出されたらどうかという気がいたしました。
●委員
何よりも嬉しかったのは、温泉に美女がつかる場面がないことや、「おいしい」とかいって料理を食べる大げさな表情がなかったというのがすごく私はよかったなと思います。
ちょっと残念だったのは、最後に出演した料理人が腕を発揮して、地元のいろんな食材を混ぜたり、ワインやらバターやら入れて料理を作ってましたが、見ていてその料理の味がパッと浮かんでこなかったんですね。皆さん食べて「うんうん、おいしい」というけど、あんまりおいしくないのではと私はそう思ったんです。酒粕入れたデザート、あれは私としては食べたくないですね。苦心して作られているというのはよく分かったんですが、それに引き換え、旅の道々でデビラカレイを焼いて食べたり、シャコのゆでたてを食べたりしていたことの方がよっぽどおいしそうに感じました。デビラカレイはうちの父親が大好きで、ヒガレ、ヒガレといっておりまして、昔は安かったんですけど、今は高級で、なかなか手に入らない。昔はあれがすごく庶民の食べ物で、うちの主人なんか、三日とあげずに食べていました。本当においしい。あのシーンを見て私はあそこに行きたくなりました。
それからシャコのゆでたてなんかもすごくおいしそうだし、そのそばで買い物をして帰った方が、シタビラメを買って持って帰っていましたね。あれはどうして食べるのか気になりましたね。塩焼きにするのかな、あれは煮て食べたらおいしい魚なんですけど、そういったところを、もし見せていただけたらもっとよかった気がいたしました。でもカレイを買っていかれて、これは昼ご飯にするっていってましたが贅沢ですね。私は昼ご飯に、あんな高価な魚は食べられないので「いいなあ」と思って、非常にそういう意味で面白く見せていただきました。
それから『遠くへ行きたい』という音楽がジャズになっていた場面があったりして、すごくよかったなと思いました。これからもああいうふうに工夫していただきたいと思います。
●委員
皆さんが「映像の原点」とおっしゃる通り、懐かしいテーマ音楽とともに心がポッと温まるような、私もいい番組だなと思って拝見いたしました。
最近は、こういう旅の番組がすごく多いんですけど、いろいろと番組を見ていますと、やっぱり温泉とグルメと、これでもかこれでもかという、そういう宣伝過剰の騒がしい番組が多い中で、本当にこの番組は心がゆったりと落ち着きました。過度な表現もなく、安心して見ていられる。やっぱりテレビの良心というか、そういうものを見せられたような思いがしました。
ただ、家で娘と二人で見せていただいていて、ちょっと娘なんかにしてみると、いろんな現地の人との出会いや言葉のやりとりが、ところどころ退屈だったようです。若い人なんかが見ると、ちょっと間延びするような感じも持つみたいです。そういうときに娘なんかが申していますのは、その土地の例えば作家の文学の名所ですとか、何かそういうふうな、ちょっと変わった趣向のものも取り入れられると、また何か面白いのではとチラッと申していました。そういうひと工夫も今後していただいてもいいのかなというふうに感想を持たせていただきました。いずれにしてもやはり非常に長寿番組だけあって、すごくいい番組だなと感じました。
●委員
皆さんのおっしゃったこととダブるところも多いんですが大変よい番組だと思います。何よりも心の和む癒し系の番組で、あの有名なオープニングの歌もそうですが、きょうの見せていただいたのに使われたラテンリズムのBGMというのは非常に効果的でよかったと思います。
実は、家内がこの番組のファンでして、「いつ見ても嫌な思いをしたことがない」と評価しています。また「味覚と視覚と聴覚が満たされる」ということも申しておりました。先ほどご説明のあった「画面をして語らしめる」という、このごろ、そういう番組が減ってきていますから、その意味ではこの番組は贅沢につくられている。映像を主体にして、言葉の説明を減らしているということは非常に大事だと思います。
それから、もう一つはタレントではなくて、地元の出演者を非常にうまく使っておられると思います。その点では、編集は大変で制作者はご苦労があるんじゃないかと思います。過剰な演出をしないで、そして人との出会いというのをテーマの中心に置いて、それをこれからも外さずに40年、50年と、あるいはそれ以上の長寿番組になることを期待いたしております。
●委員長
私も委員の皆さまがおっしゃったご感想、ご意見、ご指摘にすべて同感でございます。私は、番組で紹介された鞆の浦は大好きで、すぐ目の前の仙酔島という島に毎年行っておりましたが、ここしばらく行ってなくて、今回テレビで拝見して非常に懐かしく思いました。ところで、私はかねがね料理を食べて「おいしい」「まずい」というのは大変僭越な言い方だと思っておりまして、自分の好みに合うか合わないかというふうにいうべきだと思うんです。だから「おいしい」「まずい」というのは僭越なんですけども、「自分の口には合わない」という人が出てきても、それはそれなりに面白いんじゃないかと、いつも食べ物が出てくる場面を見るたびに思っているんです。そういうふうに思って見ている人、意外に多いんですよ。番組を作られる側ではどうお考えになっているのでしょうか。それから委員の私どもが、いろいろ申しましたけども、プロデューサーの立場でいいたいこともあるでしょうから、我々の意見に対してどうぞ、反論なり、弁解なり、何でもおっしゃってください。
●社側
先ほど、「今回の創作料理はおいしくないんじゃないか」といわれたんですが、「本当においしかった」と、食べた出演者もいっておりましたので、ご報告させていただきます。確かに旅番組の中で料理を食べるときに、「おいしくない」というものも時にはあるとは思うんですが、作ってもらった人であるとか、それを取った人であるとか、そういう方々がいるんで、やっぱりそういう人に向かって、なかなか「おいしくない」と言うのはいえないというのが実情だと思いますし、もしいわれてもテレビではカットしてしまうのかなというのが実情でございます。
あと一つ、お話のあった番組内で一般的に見られる説明過多に対するご意見ですが、私も大阪で、かつていろいろバラエティー番組をやっていて、スーパーをたくさん入れたり、いろいろ情報を入れることをやっておりました。例えば、紹介した品物について「これこれは幾ら」とか、交通手段でも「これはどこどこで乗り換える」というふうな形で、いろいろ細かい表現をしておりました。そんな中でこの番組と出会ったんです。この番組は、ある種、不親切な旅番組という形が番組のコンセプトになっておりました。この宿に泊まるとか、この乗り継ぎをしてくださいとか、そういう情報はほとんどいたしません。「旅というのは時刻表と地図を開くところから始まるんだ」、「押しつけの旅は本当の旅ではない」、「旅というのは自分で探してください」というのが、この番組が持つメッセージで、それが旅への誘いになればというのがコンセプトでございます。ですからこの番組は、できるだけ細かい情報を省いて、もし気になるんだったら、それを訪ねてくださいというメッセージが特に強く込められていると思っております。
●委員長
ありがとうございました。よく分かりました。
●社側
どうもご審議ありがとうございました。ご意見は、また番組づくりの方に参考にさせていただきます。時間の方が大分回ってまいりましたので、視聴者の方から寄せられた「声の報告」につきましては、お手元の資料でご報告に代えさせていただきます。最後に次回の開催予定を確認させていただきます。次回は4月8日金曜日、午前11時から、この場所で開催をさせていただきます。ご出席のほど、よろしくお願いいたします。 本日はご審議どうもありがとうございました。
終わり
- 平成16年度読売テレビ番組審議会委員
- 委員長 熊谷信昭 兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
- 副委員長 馬淵かの子 兵庫県水泳連盟 顧問 元オリンピック日本代表
- 副委員長 川島康生 国立循環器病研究センター 名誉総長
- 委員 秋山喜久 関西電力株式会社 顧問
- 委員 金剛育子 能楽「金剛流」宗家夫人
- 委員 林 千代 脚本家
- 委員 阪口祐康 弁護士
- 委員 佐古和枝 関西外国語大学教授
- 委員 北前雅人 大阪ガス株式会社 代表取締役副社長執行役員
- 委員 谷 高志 読売新聞大阪本社 専務取締役編集担当