第456回 番組審議会議事録

1.開催年月日
平成16年10月8日(金)
2.開催場所 読売テレビ本社
3.委員の出席 委員総数 10名
出席委員数 8名
出席委員の氏名 熊谷信昭、秋山喜久、金剛育子、林 千代、馬淵かの子
野村明雄、阪口祐康、老川祥一
欠席委員の氏名 佐古和枝、川島康生
会社側出席者 土井共成 (代表取締役会長兼社長)以下12名
4.審議の概要 番組視聴
「オリンピック感動スペシャル アテネ2004 ようやったニッポン!」
放送日時 9月5日(日) 午後2時35分~4時10分
放送エリア 関西ローカル
10月度の番組審議会は、「感動スペシャル アテネ2004 ようやったニッポン!」について審議した。委員からは「みんなが見て十分に感動した話を、もう一度振り返って番組にするというのは簡単そうで難しい。選手たちの素顔の紹介という部分では、選手から秘話を直接聞けてよかった。」「感動シーンの再現も堪能し、選手たちの個性や素顔もうまく引き出して楽しい番組だった。」といった番組の企画意図を評価する声が出された。一方、「選手の素顔を引き出そうとする部分とスタジオを盛り上げるお笑いの部分のバランスは難しいが、今回は司会陣が前に出すぎて、爆笑トークになってしまったのではないか。」「偉業を達成した選手たちのタレント扱いには抵抗感がある。もっと敬意を払っても良かったのではないか。」といった厳しい指摘もあった。また、敗者に対してスポットライトを当ててみたり、活躍した選手達を取り巻くスポーツ施設の現状などに焦点を当てて、スポーツ全体の課題などについて話を膨らませても良かったのではないかといった貴重な意見も出された。
この後、9月に寄せられた視聴者からの意見や抗議、苦情などについて概要を報告した。

【議事録】
(社側)本日、ご審議いただくテーマは、9月5日に放送しました『オリンピック感動スペシャル アテネ2004 ようやったニッポン!』です。史上最高のメダルラッシュの興奮はまだ記憶に新しいところです。それでは制作にあたりましたスポーツ制作部の担当者が番組のねらいについて説明いたします。

(社側)『オリンピック感動スペシャル ようやったニッポン!』、この番組は今回のアテネで3回目ということになります。アトランタ五輪が終わったとき、「活躍した選手達を実際にスタジオに招き、本音や素顔の部分を視聴者に伝えることができる番組はできないかな」ということで始まりました。司会は、3回とも上沼恵美子さんに担当していただいています。
番組は、「メダルを獲得し凱旋した関西にゆかりのある選手」がメインですが、今回に関しては、少し広げて名古屋にゆかりのある中京女子大女子レスリング部の選手の方々3人にも入っていただきました。
競技内容や、輝かしい記録の部分は、オリンピックでの中継を通して、視聴者の皆さんはすでにご覧になっています。そのオリンピックが終わった後で、視聴者の方がさらに知りたい部分というのは、メダルを取るまでの努力の積み重ねや、メダルをとった後の様子、その過程でのさまざまな人間模様などではないかと思います。番組ではそのあたりを出来るだけリラックスした雰囲気の中で、メダリストの皆さんから話を引き出したいと思いました。そのために司会の上沼恵美子さんをはじめ、話し上手なパネリストの方々に入っていただきました。「メダルを獲得した裏に、こんな努力があった」とか、「こんな家族との葛藤があった」「プレッシャーとの戦い」といった秘話をざっくばらんに話していただきました。服装も出来るだけ素顔の部分が出せるよう、普段、選手の皆さんが着ている服で登場していただき、スポーツ番組ではありますが、軽妙なやりとりや、笑いの部分もふんだんに盛り込みました。

(社側)それではVTRを視聴していただきます。
 本日ご覧いただくのは95分の枠で放送したものを20分程度に短縮しております。先にお送りした全編のVTRを思い起こしていただいて、後でご意見をいただければと思います。

<VTR視聴>


(社側)この番組の視聴率は10.2%、占拠率は22.5%でした。それではご審議の方、よろしくお願いします。

今年の日本を振り返ってみますと、少なくとも今までのところ、ほとんど暗い話ばかりだったような気がいたします。台風、津波、豪雨、噴火、地震の多発等々、自然現象だけをとってみても、大変な年です。そういう中で、我々に興奮を与えてくれた明るい話題というのは、アテネオリンピックでの日本選手の大活躍と大リーグ、イチロー選手の大記録樹立だったと思います。しかし、それに関連する番組の制作となるとまた、少し話は別でございますので、きょう拝見いたしました番組についてのご感想、ご意見、あるいは評価について承りたいと思います。

みんなが見て十分感動した話を、もう一度振り返って番組にするというのは、案外簡単そうで難しいのではないかと思います。
もちろん何度見ても、オリンピックの名場面は感動を呼ぶということは事実ですが、それだけだとあまり意味がない。振り返りの番組では、今までテレビに映らなかったようなもの、そういう情報を知ることができて、もう一回感動のシーンを見ると「ああ、そうだったのか」となる。かといって、それをあまりドキュメンタリータッチでやったのでは、これはNHK的になって、民放としては、もっと違う作り方が必要かなと思います。こういうことから制作者の説明にあったようにトークだとか、素顔の紹介という構成になったのだと思います。その意味では、制作意図は十分引き出せているなという感じも致します。たとえば柔道の野村選手が一度引退して、もう一度チャレンジするに至った心境とかは、部分的には知られていますが、本人の口から直接話が聞けたりして、企画のねらいは十分成功したなというふうに思います。
ただ、二つか三つ、申し上げたいことがあります。一つは、もうちょっと踏み込んでいただくと情報提供という意味でよかったかなと思うところです。例えば、体操などの場面でも大阪のクラブで小さいころから選手たちはやっている。その体操に限らず、今回、メダルを取られた多くの人たちがクラブの出身者ですね。それは一体どうしてなんだろうと。今の小・中学校教育の中では、運動会での競走も順番つけちゃいけないとかいわれて、そんな中では素質を持った子は伸ばせないんですね。そうすると学外のクラブで鍛えていくことになる。それが結果的に成功しているのだと思うのです。そんな事情をあんまり重々しくやったのでは報道番組になってしまいますが、トークの中でもうすこし引き出せると、見ている人に違った知識というか、受け止め方をしてもらえるのではないかという気がしました。
それから、番組で登場した関西にゆかりの方々だけでなく、今回メダルを取られた方、あるいは活躍した方の、かなり多くが関西に関係のある人ですね。そのあたりでも、何で関西がこんなに元気なのかというような視点で、いろんな話ができたのではないかという気がします。
なぜ、そのように感じるかというと、話題の提供量にくらべて、少しばかりスタジオを盛り上げようという意識が先に立ち過ぎていた様に思うからです。例えば、ユニホームを着て出てきた人を「何か漫才師みたいだな」と、こんなところから話が始まっているんですね。当のご本人はメダルを取って、オリンピックへ行ったままの姿で出てきたのですが、それを何か嘲笑するような感じは私はよくないと思います。全体として素顔を引き出すことにあまりにウエートを置き過ぎたために、タレント的な扱いになってしまった。これだけ多くの日本人に感動を与えたメダリストという存在に対する敬意がちょっと薄かったのではないかと思います。やはり彼らは、ものすごい努力をして、あれだけの偉業を達成したわけですから、敬意を表す中で、そこからちょっとした笑いが出てくると、もっと気持ちよく見られたのではないかと思いました。

この種の番組は割と各局似たような感じが多いのですが、実は作り方は非常に難しいんじゃないかと思います。
委員がいわれたように、やはり視聴者は、オリンピックで頑張った人達を、みんなヒーローだと思って見ている。その人達の素顔を引き出すところとスタジオを盛り上げる笑いの部分との兼ね合いが実は非常に難しい。ちょっとお笑いの方に引きずられ過ぎると、見ていて「あまり自分達のヒーローに対する思いを壊さないでほしい」というのもあるし、そうかといって堅い話ばかりだと真面目すぎてしまうし、そこのバランスが非常に難しいと思います。
例えば、ずっと見させていただいた中で、野村選手とのトークは非常に好感を持って見ました。どうしてかというと、お笑いの場面もあるのですが、その話題の中心は、どういう形で自分がオリンピックに向かって努力し突き進んでいったのかという、そこに集中しているんですね。そういうことを、柔らかい雰囲気の中で聞いていくというのは、これは非常に好感が持てるんです。しかし、そこからちょっと外れて、例えば完全な私生活のこととか、あるいは「マグロが食べたい」とか言った瑣末な話になると、それは違うのかなという感じがしました。その辺のバランスが非常に難しい。私から見て「非常にいいな」と思うところと「ちょっとそこまでは行き過ぎかな」というところが幾つかあったというのが全体的な印象です。

今度のアテネオリンピックは、日本全体、あるいは関西に非常に元気を与えてくれたと思います。そういった感動を今一度という意味でつくられた番組としては非常に面白かったと思いますし、また選手の素顔の部分をいろいろ掘り出そうとした企画意図は、お二人の委員の方が言われましたようにいろいろ問題点はあると思いますが、それなりの効果は出ていました。
しかし、番組を作るとすれば私は「オリンピックとは何ぞや」というところをベースに作ってほしかったと思います。「オリンピリズムというのは、連帯であり、協調である」、あるいは「国同士の争いじゃないんだよ」というようなこととか、「心・技・体で自らを鍛える場がオリンピックだ」というクーベルタン男爵の気持ちですとか、その辺が、どこかに少し出てきてもよかったのではないかと思いました。私は、オリンピックというのは、国と国の競争ではなく、平和の祭典だという思想がベースにはあると思うんです。
それから心・技・体という意味では委員のおっしゃったように、それぞれに非常に科学的な訓練とか、あるいは心の鍛え方とか、そういった人間ドラマを選手の皆さん一人ひとりがお持ちになって金に到達していると思うんです。その辺がもう少し前へ出てくると、別に教育番組にする必要はありませんが、見ている方に、もっと感動を与えたのではないかというふうに思いました。
柔道でも、篠原選手がシドニーで判定のミスから2位になったという、あの悔しさが今回の日本柔道躍進の一つのカギであったと思います。一方、当時の山下監督は「相手のことを思いやってやるから本当の意味での柔道なんだ。ただ単に相手に勝てばいいということではない。」というようなことをいっておられました。その心の強さが、ある意味では金につながってきたのではないかとも思います。次回作では、何かその辺がにじみ出るようなことも、ある程度、配慮しながら作られてはどうかなと思いました。

確かに今年の夏は本当にオリンピックに明け暮れました。暗い世相の中で、本当に明るい話題だったなと思います。
特に今回は、メダルラッシュでしたので、私などは日頃「最近の若い人は」とか、いろいろ思っていたんですが、世界の檜舞台で物怖じせずに堂々と戦う若い方の姿を見ると、日本の将来も頼もしいかなという感じがすごく致しました。特に今回、金メダルがすごく多かった原因は、どういうところにあったのか、長い英才教育の結果なのか、精神力の強さなのかなど、すごい興味を持って見ていました。ですから番組を拝見して、野村選手の挫折を越えながらがんばったというお話は、すごく感動致しました。
ただ、番組では、選手村の食事がおいしかったかとか、ゼッケンの形の話とか、ちょっと間延びしたようなところもありました。ですから、委員の皆さんがおっしゃったように、精神力の強さとか、今回どこに金メダルを取るポイントがあったのかといったところを、もう少し教えていただけると、もっと踏み込んだ番組になったのではないかと思います。上沼さんが司会なので、どうしても笑いが主体になってしまったのかなという印象を持ちました。

「ようやった、ようやった」というだけでなく、どうしてよくやれたのかということを、もうちょっと踏み込んでほしかったと思います。
今メダルを取った人たち、例えば柔道だとか、レスリングもそうですが、みんなほとんど柔道家の娘さんだったり、レスラーの娘さんだったり、家に道場があるんですね。それを経営していらして、いってみれば町の柔道教室ですよね。そういうところから選手はほとんど出てきています。大阪に有名なマックという体操教室があるんですが、あそこもやはり町の体操教室ですね。最近、施設も大きくなさいましたけど、初めは本当に小さな体操教室だったんです。たとえば町にそういう施設があると、その近くの子どもにはチャンスが与えられる。ですが、そういう強い教室が町にないところの子どもは、やりたくてもやれない環境なんですね。本当にこれは全国的にいえることで、金メダルを取った水泳の北島選手は大学で育ったわけでもないし、大学のチームで練習しておりません。スイミングスクールで育ったんです。スイミングスクールは結構全国的に何百とありますよね、体操教室もそうですけど。そういうところに行ける子どもは、チャンスがあり、いい素材で、いいコーチに恵まれれば強くなれるんです。飛び込みの場合は、秋田県だとか四国だとか全国から「やりたい」という問い合わせがあるのですが、本当に近くに施設がないんですね。そうすると「転校してもらって私どものスクールへ通えるようにでもしなければ、飛び込みは無理ですね」といってお断りしないといけない。ですから小さいときから英才教育をやらせてやりたいと思っていても、多くの人はチャンスを与えられないんです。今回、メダルを取った方たちは、どうして取れたかというと、みんなそういうところに運よく住んでいたんです。
それから皆さんは、今回メダルを多く取れたとおっしゃいますが、東京オリンピックのときと比べると種目数が3倍近くになっているんです。ですから、種目数が増えたら当然メダルも多くなるし、新しい種目というのは、やっぱり全世界が取り組んでない種目もあり、結構偏っているんです。そういうところで女子レスリングは今回初めて、大会前から力を入れて「取るぞ」とやっていたので取れたんです。しかしみんなが力をつけてきますから、これからはそう簡単に取れなくなる。ということは次の北京では、もしかしたら「ようやった」といって、上沼さんがメダリストを集めてやる番組ができないかもしれません。そういうことも番組で掘り下げて、皆さんに知ってもらいたいです。
また、野球は何故メダルが取れなかったのか。アマチュアの社会人野球も、六大学の人達も、今回オリンピックへ行かしてもらえなかった。プロに行かないとオリンピックに出られないのでは、野球をやっている子どもたちの夢もなくなってしまいます。これも考えてもらわないといけません。野球はあれだけのメンバーを集めて金が取れなかった。その「取れなかったのはなぜ」ということも番組として一つできるだろうと思います。
もうひとつ、負けた人のことを考えてください。私は、柔道の井上康生選手に本当に同情します。絶対メダルが取れるだろうという人は、主将や旗手の役目を与えられます。その人が、あんな負け方した。私は大変ショックでした。そういう負けた人のプレッシャーがどこにあったのかといったこともやっぱり番組で取り上げてほしいです。今度の野球の人たちは負けてもケロッとしているし、案外悔しそうな顔もしてないけど、井上康生さんは、すごい責任を感じていると思います。三連覇を果たした野村君も偉かったけど、負けた人の本当に悔しかった心境や、本当に悩ましい心情について聞き出してあげてほしかったなと、番組を最後まで見て思いました。

『オリンピックの感動スペシャル』という形でビデオを送っていただいて見たんですが、見終わったときに、感動よりも、「オリンピック爆笑トーク」とか、そんな感じかなという印象を受けました。先ほどから委員の方たちがいわれているように、バランスの取り方に問題があったんじゃないかと思うんです。これが爆笑じゃなくて、感動というものを視聴者に伝える意図であれば、パネリストなり、司会者の上沼さんなりが、ちょっと前へ出過ぎか、しゃべり過ぎのような気がしました。本日のビデオの中にはなかったんですが、95分のビデオの中には、今回、ゲストで出ている選手の方たちが、何かいい話があって、しゃべろうかなとしているのを、上沼さんなりパネリストたちが、自分たちのしゃべりの中で押さえてしまう部分が2、3か所あり、見ていて「なぜ、もっとお話させてあげないのかな」と思いました。
4年に一度めぐってくるオリンピックを目指して、同じような努力をして、それで恵まれた人たちが、金メダル、銀メダル、銅メダルを取り、ちょっと運が悪かった人たちが取れなかったということを考えたときに、努力したけどメダルが取れなかった人達にも、どこか脚光を、スポットライトを当ててあげたら、そこにまたオリンピックにまつわる感動スペシャルが出来たんじゃないかと思います。
自分の主張を話された方達はよかったんですが、例えば、なでしこジャパンみたいに○×式の質問を出されたりとか、服装や、かわいいかどうかにスポットを当てたようなところは、番組の意図とは、ちょっと違うような気がしました。
スタジオを盛り上げるということは大事だと思いますが、トータルで見たときに、今回の番組はオリンピックにまつわる爆笑トークで、感動とはおよそ掛け離れていたかなという思いを感想として持たせていただきました。

オリンピックの番組というのは、どなたが、どのように取り上げても感動のシーンを繰り返す限り成功すると思うんです。そういう意味では、いいタイミングの放映だったと思いますし、感動シーンの再現も堪能しました。また同時に選手の個性も引き出せていて、「ようやったニッポン!」そして素顔の選手像という制作意図は成功していると思います。私自身も改めて涙流して見直したと同時に、楽しい番組だったなと思いました。
しかし、それだけでいいのかという点は、これは大きな課題だと思います。一つは、これは委員がご指摘になったとおりですけれども、やっぱりスポーツの極限の姿としてのオリンピックの入賞者をタレント扱いすることに関しては抵抗感があります。オリンピックで入賞するというのは非常に求道者のような努力を重ねて、そのストイックな感覚を持って、スポーツマンシップをベースにした努力と競争、そして結果としての栄誉というオリンピック本来の目的を果たしてきている人達なわけです。その人々の扱いが軽い。軽妙なトークかもしれませんが、笑いのタネにしてほしくないという気持ちが私は非常に強く感じました。
今一つは、これはちょっと考え方が違うかもしれませんが、直後にパラリンピックが行われました。こういったことに対する配慮も、この番組の中でやれるかどうかはわかりませんが、必要ではないかなと思います。
さらにいえば皆さんご指摘のように、司会が多弁で、選手の語りが少ないというのは、私は残念に思いました。

制作者側から何か、皆さんの意見をお聞きになって、おっしゃりたいことございませんか。

(社側)まさに皆さまからのご指摘いただきました「爆笑トークスペシャル」なのか、「感動スペシャル」なのかという言葉に尽きるのかもしれません。アスリートたちから、いろいろ話を聞き出すことと番組を楽しくするという辺のバランスが、確かに一番悩んだところです。当然、構成を考える段階で、こういう話を聞こうか、こういうVTRをつくろうかと考え、「ここまで行ったらスポーツ番組でなくなるな」などと、いろいろ試行錯誤を致しました。感動と笑いのバランスが結果的によかったかどうかについては、番組が出来上がって放送を見た段階でも、いろいろ意見が出てくるだろうなというのは正直思いました。
確かに全体のバランスからいって、司会者、パネリストの話のほうが多かったかなと思います。2、3か所というふうにご指摘がありましたけれども、撮影や編集段階ではもっとありました。やはり、司会陣がしゃべり過ぎの感は否めなかったかなと思います。選手の皆さん、特に野村選手は、この番組は3回目で、トーク番組とか出られても弁は立つほうではあります。でも皆さんはタレントではないので、いざ、スタジオに入って「しゃべってください」といって、急にしゃべれるものでもありません。反省として、作る側がしゃべりやすい状況をつくり、タレントの人たちが出過ぎない形で、なおかつ選手の人たちが、もう少ししゃべりやすい場をつくるということは、次は4年後ですが、ちゃんと覚えておかないといけないと思いました。それから、もう一つ、これはオリンピックの枠を超えて、日本の今後のスポーツについてという部分です。ご指摘のとおり活躍した選手は道場やスポーツクラブの人ばかりなんです。その一方で日本のスポーツを考えた場合に、近くに道場のない人のほうが多いわけです。たしかにそういったことを今後どうするんだというところまで踏み込むこともできたかもしれません。その辺の配慮については、今後の課題として受け止めました。

私は率直にいいまして、今のオリンピックそのものに非常に疑問を持ってます。先ほど委員もおっしゃったように、どういう種目を入れるかということについても、例えば、柔道を古くからやっている国とか、選手の層を考えますと、柔道の種目で日本の金メダルが多いというのはある意味当然のことです。また野球の話も出ましたが、今はプロの選手も、ある程度無理してでも出すというような、プロとアマチュアが交じって非常にオリンピックそのものが中途半端になっていると思うんです。そういう意味では大変面白くない、本気になって見る気がしないという面があるんです。
マラソンなどは、そういうこともないですが、やはり伝統的なオリンピックとしてプロは一切入れないことにするか、あるいは、プロも含めて人類最高の記録を目指すということにするか、どっちか徹底しないと、中途半端だという気がするんです。
申し上げたいことは、今回の番組は、楽しみながら見て、結果としてスポーツを志す、あるいはスポーツの好きな若者に多少とも教訓的な部分があればいいなというようなご趣旨だと理解しています。しかし、それと対極のところには、「そもそもオリンピックというのは、いかにあるべきか」というのがあると思います。「オリンピックとかスポーツに対して、日本はどういう姿勢であるべきか」、そういう番組も作ってほしいなという気が番組を拝見していて致しました。

(社側)どうも貴重なご意見ありがとうございました。きょうのご審議の内容につきましては、また後日、全社に向けて伝えさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは続きまして、視聴者センター部長から9月に寄せられました視聴者の声を報告をさせていただきます。

(社側)ご報告いたします。総数は6,000件台と標準的な水準に戻りました。7月、8月は韓国ドラマへの問い合わせが非常に多かったんですが、それがなくなりまして、標準的な水準に戻っております。
多かった意見・苦情ですが、毎週月曜日の夜7時から放送しておりました人気アニメの『犬夜叉』が9月13日で放送が終わりました。これに関しまして、「終わり方が強引で不自然だ、無理に終わらせようとしている。」「原作はまだ終わっていなのだから絶対に続編をつくってほしい。」など、全国から354件という意見・苦情が寄せられております。
また、最近野球中継の苦情が少なかったんですが、今回は219件ありました。
そのほとんどは9月25日放送の巨人-阪神戦です。どういうことかといいますと、この日の試合は12対6で巨人が負けておりまして、普段ですと放送が延長されるんですが、定時で終わりました。これに関しての苦情が多く寄せられました。以下ご覧のような内容です。

(社側)それでは最後になりますが、次回の開催予定日を確認をさせていただきます。次回は11月12日、金曜日、午前11時から、ここ読売テレビ本社の役員会議室での開催を予定しております。出席のほどをよろしくお願いいたします。
本日は、ご審議どうもありがとうございました。

おわり
  • 平成16年度読売テレビ番組審議会委員
  • 委員長    熊谷信昭   兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
  • 副委員長    馬淵かの子   兵庫県水泳連盟   顧問   元オリンピック日本代表
  • 副委員長    川島康生   国立循環器病研究センター   名誉総長
  • 委員    秋山喜久   関西電力株式会社  顧問
  • 委員    金剛育子   能楽「金剛流」宗家夫人
  • 委員    林  千代   脚本家
  • 委員    阪口祐康   弁護士
  • 委員    佐古和枝   関西外国語大学教授
  • 委員    北前雅人   大阪ガス株式会社   代表取締役副社長執行役員
  • 委員    谷  高志   読売新聞大阪本社   専務取締役編集担当