第449回 番組審議会議事録
1.開催年月日 |
平成16年2月13日 | |
2.開催場所 | 読売テレビ本社 | |
3.委員の出席 | 委員総数 | 10名 |
出席委員数 | 10名 | |
出席委員の氏名 | 熊谷信昭、秋山喜久、金剛育子、林 千代、馬淵かの子、 野村明雄、阪口祐康、佐古和枝、老川祥一、川島康生 |
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欠席委員の氏名 | なし | |
会社側出席者 | 土井共成 (代表取締役会長兼社長) 以下14名 | |
4.審議の概要 | テーマ及び視聴合評対象番組 | |
視聴合評番組 | 「江川・掛布のゴルフ阪神-巨人戦」 | |
放送日時 | 12月14日(日)午後3時00分~ (85分) | |
出演 | 江川 卓(野球解説者) 掛布雅之(野球解説者) 中元綾子(読売テレビアナウンサー) 阪神タイガース、読売ジャイアンツ主要選手 ほか |
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放送エリア | 全国ネット | |
2月の番組審議会は、年末の特別番組「江川・掛布のゴルフ阪神-巨人戦」について意見を交換した。 委員からは「野球やゴルフにはあまり関心はないが、この番組は楽しく見ることができた」「選手が主役となっていて、気持ちよく笑うことができた」などの意見が出された。 一方、「有名人を出演させて何かをやらせ、スタジオでタレントらが盛り上がるというパターンは、どの番組も同じだ。工夫が足りないのではないか」「罰ゲームで、苦いジュースを飲ませるなど、選手をタレントのように扱っていたが、プロ野球の人気を高めようという番組の意図に合わないのではないか」など、番組の構成や選手の扱いなどについて様々な意見が出された。また、年末年始の番組編成については、「騒がしく、落ち着きのない番組が多く、テレビはほとんど見なかった」「タレントが自己満足で振舞っているような番組ばかりが目に付いた」など、現状の番組編成に対して一考を求める声があがった。 この後、昨年12月と1月に寄せられた視聴者からの意見や抗議、苦情などについて概要を報告した。 |
【議事録】
●(社側)本日は、審議に入ります前に、読売テレビからご報告させていただきたい件がございます。本日の朝刊で一部報道されておりますので、ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますけれども、実は読売テレビから個人情報が漏洩するという事案が発生いたしました。経過について、ご報告いたします。
昨年11月22日から24日、3日間かけまして「CINEMA DAISUKI映画祭2003」という催し物を行いました。その際、視聴者の方々から応募をいただきまして、当選した方々に参加していただくという形をとっておりました。募集は2回やりまして、追加の当選者として、150名の方を選抜いたしました。
募集した映画は2つありましたので、90名と60名の方々に当選通知をメールで送信したわけですけれども、その際に、操作を誤りまして、結果的にその90人と60人のそれぞれの映画に当選した方々が、互いにメールアドレスを見ることが出来る状態になってしまったということでございます。本来ですとBCC(Blind Carbon Copy)で送るべきところをCC(Carbon Copy)という形で送ってしまって、メールアドレスが公開されてしまったと、こういうことでございます。
それが分かりました段階で、当社はすぐに150名の方々に、まずメールでお詫びを送信するとともに、それぞれお宅に伺ったり、あるいは電話等々の手段を講じまして、お詫びとともに、誤送信したメールアドレスを削除していただくようにお願いをいたしました。およそ2か月かかりまして全員の方々に、ご了解をいただき、それを受けまして、昨日、読売テレビのホームページに「お詫び」を掲載しました。お手元にお配りした文面のとおりでございます。また本日の読売テレビのニュースの中でも、報告をしたいと、思っております。
改めて、ネットワーク、いわゆるインターネットの世界の便利であるとともに非常にリスキーな部分を再確認いたしました。今後、二度とこういうことのないように、いろいろな形でチェック体制、その他を強化してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
●(社側)それでは本日の視聴合評に移りたいと思います。本日ご覧いただくのは、スポーツ局が制作いたしました『江川・掛布のゴルフ阪神-巨人戦』です。
この番組は、毎年、年末年始の特別番組として放送しておりまして、今回で26回目となります。ゴルフを介してグラウンドでは見ることができない選手や監督たちの素顔を紹介しようというもので、普段はあまりプロ野球を見ない人たちにも楽しんでもらって、プロ野球への関心を高めてほしいという願いも込められております。
それでは、この番組の制作にあたりました担当プロデューサーから番組の概要や狙いにつきまして説明をいたします。
●(社側)資料のタイトルは『江川・掛布のゴルフ阪神-巨人戦』となっていますが、正式には『ゴルフ巨人-阪神戦』です。今回は、ご存じのように18年ぶりにタイガースが優勝をいたしましたので、番組の中のネタとしても、「巨人-阪神」をひっくり返して「阪神-巨人」としました。今回は、18年ぶりの阪神優勝なので、大々的にタイガースを中心につくりました。
まず、番組の背景なのですが、我々、読売テレビスポーツ局といたしましてはプロ野球のシーズンオフの企画として、特にプロ野球を盛り上げようということで、26年前からこの番組を続けています。番組をスタートさせた時点では、プロ野球を代表する、この2チームを使ったイベントを作ろうということで企画を練り、当時はまだ、そんなに多くの人がゴルフを楽しんでいるような状況ではなかったのですが、ゴルフで勝敗を競う番組を考えました。
日ごろは野球をやっている選手ですが、野球選手の場合はプロゴルファーよりも球を遠くに飛ばす能力があったりしますので、そういうところを見ていただくのと、日ごろは華麗なプレーを見せるスター選手が珍プレーを演じて面白い側面を出したりする場面を紹介することを狙いにしています。
読売テレビのスポーツ局ではもう一つ、年末年始の特別番組として『スポーツフェスティバル』という、これはプロ野球12球団の選手会の協力を得て、プロ野球選手の素顔などを紹介していこうという番組も制作しています。「ゴルフ阪神-巨人戦」は、オフ企画の二つの柱のうちの一つです。
プロ野球を代表する巨人と阪神の人気2チームのゴルフ大会なので、いいメンバーを揃えることが大変ですが、今年は両チームとも監督が代わるという状況の中で、両監督が揃って出場してくれました。
両監督は野球では、まだ采配を振るっていないのですが、この『ゴルフ阪神-巨人戦』が初采配という見方も出来ることから、番組ではそのような流れを作って構成しました。両監督に同じ組で回っていただき、勝負をしてもらいましたので、マスコミ各紙も、そういう話題として取り上げていました。
競技の方法は、ダブルペリア・ハンディ方式。団体戦は、両チームのペア2人ずつを1組として、組ごとに勝敗を競い、最終的にどちらのチームが何勝何敗で勝つか負けるかを争います。一方、個人戦は、通常のゴルフコンペで行われているのと同じ形式でやっています。近年はずうっとタイガースが強く、これまでこの大会で4連覇を達成しています。
以前は選手がゴルフをプレーしている場面だけで構成していましたが、それだけでは、プロ野球ファン以外の方々には、なかなか選手の魅力などが伝わらない部分がありました。そこで、6年ぐらい前に、スタジオ展開の場面を取り入れて、いろいろなお遊びも入れながら、幅広く視聴者のかたがたにアピールできる場を作りました。野球の試合の中継は、選手のプレーを追うことがメーンになりますので、こういうオフの企画では、グラウンドでは見ることが出来ない選手のいろいろな側面を見てもらおうと考えています。そして、次のシーズンが来たときに「あの番組では面白かった選手が、野球ではこんなに格好いい」とか「こんなにすごい選手だったんだ」とか、若い選手などは野球で活躍したときに「これ、あの番組で見た、あの選手やね」と言われるような、そういう広い目を持った番組にするために、約6年前からスタジオ展開を取り入れています。
そのスタジオのメーンの司会者として両チームのOBであり、広いファン層に受け入れられている江川卓さんと掛布雅之さんを起用しました。それに加えて、OBであったり、ファンであったり、お笑いのタレントさんなどの方々にパネリストとして出演してもらい番組を展開しております。
出場選手は、両チームの現役の選手、監督、コーチ、それにOBを若干名入れて34名が参加しての大会になっております。今回もタイガースが勝ち、5連覇を達成しました。団体戦で6勝1敗と、圧倒的な勝利だった上、堀内監督と岡田監督の初対決も岡田監督に軍配が上がりました。<VTR視聴>
<VTR視聴>
●(社側)この番組は昨年12月14日の日曜日、午後3時から放送されまして、視聴率は大阪が11.9%、占拠率は29%、東京が8.2%、占拠率が20%と視聴率の方もゴルフの成績と同様、西がやや高かったという結果となっています。
それから、この番組も、その一つなのですけれども、年末年始の特別番組の一覧をお配りしております。年末年始の番組編成につきましても、お考えをお聞かせいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
●この番組を見せていただいて改めて感じたのですが、阪神、巨人というのは両方のファンとも、ゴルフでも負けたくないのですね。プレーしている当事者は、当然そうなのですが、見ている方も、阪神ファンは阪神が勝ったら「それ見たことか」と言わんばかりの反応を見せて、番組でも、そういうトーンが出ていました。それはそれで、なかなか面白いなと思いました。
それから、この番組から離れて話をさせていただくと、年末年始の番組ですが、これは読売テレビだけというわけではないと思うのですが、年末は別にしても、年始は見る番組にいつも悩んでしまうのです。箱根駅伝は毎年、何となく見てしまうのですけれども、それ以外は正直言いまして、どれを見ようかなと思うのが正直なところです。結局、何となくテレビをつけていても見ないか、全く別のビデオを見てしまうとかいう状態でして、見たい番組を探すのがなかなか難しいというのが正直な印象です。
その中で見るとなると、私は、スポーツに偏っているのかなと、感じています。この辺のところは、各局ともいろいろなご努力をされているとは思いますけれども、ちょっと工夫が私どもに見えづらいところです。
●私は野球もゴルフも、あまり関心が高くない方なので、今回のビデオが来たときに「ウワーッ」と思ったのですが、結構楽しく見せていただきました。だから、番組の中で、若いタレントの女性が言っていましたが、あまり野球を見ていない人にでも楽しく見られるような番組づくりになっていたのではないかなと思います。
26回続いているというのは、すごい歴史だなと思うので、これからも、楽しみに見せていただきますので頑張っていただきたいと思います。
それから年末年始の番組については、私も正月は、テレビに疲れてしまうというか、どのチャンネルにあわせても、賑やかなテンションの高い番組をやっているので、何か疲れてしまうようなところがありました。もっとじっくり、ゆっくり見られるような番組があってもいいのではないかなという気は、いつもしています。
●この番組のビデオを、自宅で見たのですけれど、結構楽しんで笑い転げました。私もゴルフは下手なのですけれど、年に1回ぐらいはするのです。番組の中で選手が空振りの5連発をやりましたね。あんなのは、しょっちゅうやっているのですね。あんなときにテレビカメラで写されたら、ますます駄目だろうなどと思いながら、そういうふうな下手な人のプレーばかりを、「あれやあれや」と言いながら見ていたのです。
うちの主人などは、プロゴルファーのとても上手な人のプレーばかりを見ますけれども、この番組のように下手な人のプレーばかりが映されているのも、なかなか楽しくて、私自身はものすごく下手なので、同情するやら、同感するやらで、とても楽しく見せていただきました。
そして先ほどお二人の委員がおっしゃいましたけれども、お正月は見る番組がなくて、ビデオを借りてきて、じっくり見たりしておりました。お正月の番組は、何かうるさいのですよね。
お正月は、お客が来たり、いろいろな人が出たり入ったりしますから、じっくり番組を見るのは難しいのですけれども、どこの局を回しても、みんな同じようなことをやっているのです。どこか1局ぐらいは、例えばしっとりとした長編のドラマをやったり、外国の映画をやったり、いいオーケストラやオペラをやってくださったらいいのになと、いつも思うのです。けれども、そうはなりません。これについては、テレビ局の方のご意見を聞いてみたいなと、そう思っています。
●非常にコメントしにくい番組ですね。「巨人-阪神」の、いや「阪神-巨人」と言わないかんのかな?「阪神-巨人」のファンサービスという意味で、こういう番組をつくられるのは、それはそれなりにいいと思うのです。けれども、番組全体として見ると、要するに有名人をゴルフ場などどこかに呼んできて出演させて、誰か2人か3人ぐらいの司会者がいて、それからまた何人かの有名人がスタジオにいてコメントをするという、どの局を見ても、みんな同じパターンなのですね。
そうすると見ている方は飽きてくるし、今は視聴率が取れているのかもしれませんけれども、いつまでもそういった一番楽な形の番組制作ではダメだと思います。それも何割かはあってもいいと思うのですけれども、今の各局の番組を見ると、特に年末年始などは全部そうなってしまっています。そうなると視聴者が「見たい」という番組が減ってくるのではないでしょうか。
きょうの、この番組も同じパターンで、構成としては、有名な巨人と阪神の選手をゴルフ大会に出場させて、司会者として江川さんと掛布さんが、それから何人かの、きれいな女性だとか面白い人がスタジオ出演してコメントをするという形になっています。こういうパターンにちょっとみんな飽きてきたのではないかな?新しい形のものもつくっていく必要があるのではないかな?と思います。
今までは視聴率というのが「神様」のような存在であったけれども、金を出す側にしてみると、視聴率よりもやはり企業イメージということが大事になってくると思うのです。視聴率が取れないと広告効果がないというのは確かですが、広告効果を上げるためには、やはりその番組の内容が自分の企業イメージにとってプラスかどうかという判断基準がだんだん入ってくるのではないかと思うのです。その辺のことも考慮に入れて、新しい、これからの番組のつくり方について研究していっていただきたいなと、スポンサーになる側からも、そういうことをお願いしたいと思います。
●ゴルフはよく人柄を表すと言われまして、慎重と思われている人が意外にそそっかしかったり、大胆なように見える人がピリピリしたりということが、しばしば現実にあるわけです。この番組でも、普段、真剣勝負の野球の場面では見られないような素顔が見られたという意味では、楽しく見られた面もあると思いますし、それも番組づくりの狙いの一つだったのだろうかなというふうには思います。
ただ、それにしてもゴルフそのものの場面が少なすぎる。今こうやって85分を20分ぐらいに縮めたVTRを見ましたから、バランスとして、ゴルフの場面が多かったように感じましたが、実際番組全体の85分を見ると、ほとんどスタジオの場面です。しかも、ゴルフの場面は、ほとんどがミスショット、トラブル。これはゴルフ番組が好きな人にとっては見るに堪えないと思います。「何だっ!」という感じがしてしまいます。
さっきお話があったように、ゴルフの場面だけだと一本調子になってしまうため、6年前からスタジオの場面も入れるようになったということで、それなりの工夫はもちろんあったと思うし、スタジオの場面そのものだけを取れば、それはそれで盛り上がっていて、結構楽しく見ることが出来たと思うのです。しかし、巨人、阪神の選手たちのゴルフ、野球の選手のゴルフというのは、どんなものかなという興味を持って見た人は、誠に鼻白む思いをしたことでしょう。
私自身もそうですけれど、一緒に見ていた人に感想を聞いてみると、「何だ」という感じを持った人が多かったというふうに思います。それと、ショートホールでグリーンに乗らなかった人に罰ゲームで変なものを飲ませるとか、この辺になると、プロ野球選手を、いわゆるお笑いタレントと同じ扱いにしているようにしか見えない。こういう演出は、先ほど説明があった「プロ野球人気を盛り上げていこう」という狙いとは、ちょっと関係ないと思います。誰だってまずいものを飲まされて嫌な顔をすることはあるわけで、こういうのはちょっとどうかな、と思います。むしろ普通にチャリティーをやるとか、何かそういう演出の方が安心して見ていられたのではないかなという気がします。
それから正月番組全体について言えば、これは読売テレビの番組と関係なく一般論として言うと、皆さん方おっしゃったのと同じように、見たいという番組がほとんどないですね。NHKですら、だんだん軽くなってきていて、何か落ち着いて「これなら見ようかな」という気持ちになる番組がなく、皆さん方がおっしゃったのと同じような感想を持っております。
●この番組のビデオを送っていただきまして、これはあまりコメントするのに真剣に考えなくてもいい番組ではないかという気が、まずはいたしました。少なくとも、放送倫理に関係するようなことはあまりないのではないかなと思ったわけです。
拝見しまして、読売テレビさんが、これだけ阪神タイガースというチームを大事にしておられるということに、おそらく阪神ファンは、みんな大変喜ぶのではないかなという気はいたしました。一方、ジャイアンツのファンの方はどうかな、という気はいたしました。
今、委員からお話があったことは、いささか気になるところでもありました。良く言えばファンの希望に沿った番組だと思いますが、悪く言えば、両チームの人気に便乗しただけの番組なのかもしれないと思います。
年末年始の番組が、みんなパターンが同じだという指摘が先ほどありましたが、どうも我々のコメントも同じパターンになりそうな気がいたします。年末年始の番組は、みんなこういうお笑いタレントばかりの番組、同じパターンの番組であるというご感想は、もう全く私も一緒でありまして、じっくりしたものが何か見たいけれども、そういった番組がないというのは、私も常々感じておるところです。皆さんと同じ感想であるというのは、ちょっとした驚きであります。たくさんの人が、そういうふうに感じているのであれば、どうしてそういう番組が出てこないのかなという気がいたしました。
今も続いておりますけれども、NHKの『行く年来る年』などは、大人の番組というと変ですけれども、そのような番組かなと思っておりましたが、近ごろはちょっと、それもマンネリになってきたような気がいたしますので、大ヒットを飛ばそうと考えるならば、そういう方向のプログラムを何か考えられた方がいいのではないかなと思います。
●私も拝見いたしまして、今皆さまがおっしゃったことと、大体同じような感想を持ちました。普段、野球の試合で見ることができない、選手の素顔が見られるということでは、スポーツのファンにとっては、必見の面白い番組なのかなと思いました。新しい両監督ですとか、スターの選手が大勢出ているわけですから、もうちょっと工夫していただいて、今まで野球のファンでなかった人も、この番組を見てファンになるような、何か、そういった新しい視点もあると、もっと面白い番組になったのかなと思います。
いろいろなスポーツのうち、お相撲などは、今スターが不在という中で、野球はスターの方々がいますので、私どもとすると、スポーツ選手ならではのさわやかさとか、そういうところにすごく興味があり、見たいと思っています。ちょっと視点を変えて、そういうさわやかなスポーツマンらしい素顔みたいなものを、もっと見せていただけると、新たなファンが出来て、マンネリ化しなくて面白いのではないかなと思います。
それと、スタジオの場面で、色々な演出がありましたけど、ああいうのはちょっと…。ボウリングにしても間延びしてしまって、チャンネルを変えたくなるような感じになってしまうので、あの辺も一工夫あったらよかったのではないかなと思います。
年末年始の番組については、もう皆さんおっしゃったとおりで、年末年始は確かにすごく忙しいことも事実なのですが、反対に、ある程度まとまった時間もとれ、ここでゆっくり見ることができるいい番組がないかなと思ったりもします。他の局にも見たくなる番組がないときだけに、そういうときに、読売さんにいい番組をしていただけると、すごく光るのではないかなと思いました。
●多分この番組は娯楽番組、バラエティー番組として、「ちょっと笑ってもらおうかな」というような意図でつくられたのだと思うのです。お笑いについて言いますと、最近、人をおとしめたり、自ら卑下したりする、品のない笑いが多い中で、今回の番組のような笑いは結構楽しくて気持ちのいい笑いだったと思うのです。そういう意味では、お笑いタレントさんじゃない人たちを素材とした番組のつくり方として、よかったのではないでしょうか。自分の応援しているチームが逆転ホームランで優勝したような、本当に気持ちよく笑える、気持ちのいい笑いだったと思うのです。
いろいろご意見が出ておりましたけれども、視聴者の教養とか、知識とか、それからお国柄とか、家庭環境によって、多分感じ方が違うと思うのです。いつも私は言わせていただいておりますが、テレビ局自体が一般の視聴者というものを、非常にレベルを落として見ていらっしゃる部分があるのではないかと思うのです。
けれども、テレビができて50年以上も経ちますし、視聴者も昔に比べると、今はすごく変わったと思うのです。その辺のことを考えると、もうちょっとだけ視聴者のレベルを上げてつくっていただいたら、この番組を、もう少し面白く見られたのではないかと思うのです。
例えばゴルフ場の中に、ああいうタレントさんを入れること自体、ちょっと焦点が違っていたように思いました。ほかの委員の方たちが言われたように、もっとゴルフを見せていただいて、スタジオはスタジオで展開するという形が、よかったのではないかと思います。
年末の番組にしましても、いつも思うのですけれども、なぜ12月20日前後から、こういうふうに特別番組が放送されるのでしょうか。この時期は、非常に忙しくて、特に主婦とか、家庭の人たちは忙しく、テレビを見る暇もないぐらいなのです。
お正月になったら、ほっとするのですが、そのときに、なぜ気持ちを癒してくれるような番組、例えば普段は夜中の1時、2時に放送しているドキュメンタリー番組などをじっくり見せていただくことができないのかと思っています。なぜ、朝から落ち着いてテレビを見ることができる時間があるときに、そのような番組を見せていただけないのか?このあたりをテレビ局の皆さんに考えていただけたら嬉しいなと思います。
私自身が、お正月に、ほとんどテレビを見なかった理由は、多分、同じような番組が多くて、やかましくて、意図が全然分からない番組ばかりだったからです。それならケーブルテレビの、例えばディスカバリーチャンネルとか、アニマルプラネットとか、そういうチャンネルの番組を見せていただく方がよいと思ったわけです。
●この番組は、ファンサービスという観点から大変楽しいバラエティー番組だったと思います。まあ、ここから教訓を学ぶわけでもありませんし、話題として役立てようというわけでもない。そういう番組があってもいいのかな、というふうには思います。
けれども、私自身は、年のせいか、それから好き嫌いのせいか、ぜひ見たい番組ではありません。この番組は、制作者と、そして出演されておられる方々の自己満足を集積しているだけ、としか思えないのですね。日曜日の午後3時とはいっても、この番組が26回も継続しており、10%を超える視聴率をとっているということは、私にとっては驚きです。
これは、ほかの方々もおっしゃっておられましたが、ゴルフ場と、スタジオの展開というのは、うまくかみ合っていたのかなと、感じました。何かそれぞれ思い思いに勝手なことをやっているという、そういう印象でしたね。
少なくとも、これはゴルフ番組ではない。そして、いろいろ、くどいシーンがあって、この番組が先ほど冒頭にご説明のあった、オフシーズンのプロ野球を盛り上げるという、この番組の狙いや趣旨に本当にかなっているものなのかどうか、私には理解できませんでした。
今一つ、年末年始の騒がしいバラエティー番組についてですが、タレントが独りよがりに振る舞っている番組が多いように思います。皆さん方のご意見にあったように、映画ですとか、ドキュメントですとか、過去に放映されたものであっても、そういった番組を放送していただく方が見る人は見るのではないかと、私自身はそう思っています。
●私は、特にプロ野球が嫌いというわけではないのですけれども、あらゆるテレビ番組の中で最も面白くなくて関心を持てない番組の一つがプロ野球の『キャンプだより』というものでございます。ああいうものを、面白いと思って見る人がいるのかなと、いつも不思議に思っているのですが、それに比べるときょう拝見した番組は、多少ましかもしれませんが、それにしても少なくとも私自身は、ほとんど面白いと思えなかったですね。
しかし、結構見ている人もおられるので、それはもうご自由だと言うほかはないのです。論評の限りにあらず、ノーコメントと言うほかはございません。
年末年始の番組一般について言えば、皆さんがおっしゃったのと全く同感でございます。もうすっかり失望いたしておりますから、ここ数年、ほとんど年末年始にテレビは見ておりません。昨年から今年にかけても、曙がダウンした一瞬をたまたま見ただけで、それ以外はニュースも含めてほとんど見ておりませんで、その代わり、散歩をしたり、本を読んだりする時間が増えて、くだらない番組のおかげで私の生活パターンが大変健全になったことを心から感謝いたしております。
●(社側)それでは続きまして、昨年12月と今月寄せられました視聴者の声を報告いたします。
12月、1月ともに5,500件前後と低い水準でした。特に集中した抗議などはございませんでした。特徴的なものは、12月は自衛隊のイラク派遣について、1月は成人式で暴れた成人の模様や、西宮の戎神社の福男選び、あるいは岸和田の虐待事件、古賀議員の学歴詐称問題、こういった社会問題についてのご意見が非常に多く寄せられた、この2か月でした。
●(社側)それでは次回の番組審議会の予定を確認させていただきます。次回は3月12日金曜日、午前10時から読売テレビ本社のこの場所で開催をさせていただきます。ひとつよろしくお願いいたします。
- 平成15年度読売テレビ番組審議会委員
- 委員長 熊谷信昭 兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
- 副委員長 馬淵かの子 兵庫県水泳連盟 顧問 元オリンピック日本代表
- 副委員長 川島康生 国立循環器病研究センター 名誉総長
- 委員 秋山喜久 関西電力株式会社 顧問
- 委員 金剛育子 能楽「金剛流」宗家夫人
- 委員 林 千代 脚本家
- 委員 阪口祐康 弁護士
- 委員 佐古和枝 関西外国語大学教授
- 委員 北前雅人 大阪ガス株式会社 代表取締役副社長執行役員
- 委員 谷 高志 読売新聞大阪本社 専務取締役編集担当