第442回 番組審議会議事録
1.開催年月日 |
平成15年5月9日 | |
2.開催場所 | 読売テレビ本社 | |
3.委員の出席 | 委員総数 | 10名 |
出席委員数 | 7名 | |
出席委員の氏名 | 熊谷信昭、秋山喜久、金剛育子、林 千代、 阪口祐康、佐古和枝、老川祥一 |
|
欠席委員の氏名 | 馬淵かの子、野村明雄、川島康生 | |
会社側出席者 | 泉 巖夫 (代表取締役社長)以下14名 | |
4.審議の概要 | テーマ及び視聴合評対象番組 | |
視聴合評番組 | 「ダウンタウンDX」 | |
放送日時 | 毎週木曜 午前10時00分~10時54分(54分) | |
放送エリア | 全国ネット | |
番組審議会では、バラエティ番組「ダウンタウンDX」について意見を交換した。 委員からは「一日の疲れを癒す時間帯に放送される気楽に面白く見ることができる番組で、楽しめる」「出演者を貶めるような行き過ぎた発言や演出がなく、安心して見ることが出来る番組だ」「ゲストの組み合わせが決め手になる番組だが、良く考えられているのではないか」など、バラエティ番組としてバランスの取れた演出がなされている点が評価された。 一方、「ゲストが、非常に危険な体験を話した時に爆笑が起きるなど、やや逸脱した部分もあった」「女性のゲストの服装が、あまりに肌を露出しすぎていたように思う」「視聴者は、有名人のプライバシーを面白いと感じる一方、それが行き過ぎた場合、嫌悪を感じる。そのバランスの取り方がポイントだ」など、細心の注意を払って制作に当たるよう求める声も上がった。 この後、4月に寄せられた視聴者からの意見や抗議、苦情などについて概要を報告した。 |
【議事録】
●(社側)読売テレビの番組審議会は今月が年度初めでございます。今年度も、忌憚のないご意見を賜って、良いご指導をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
昨今のように不況が長引いている上、さらに戦争があったり、新型肺炎まで登場するという不安がいっぱいの難しい世の中になりますと、テレビの役割といいますか、社会的使命は、ますます重要になってくると思います。そういう情勢の中で、私達は委員の皆さま方の的確で貴重なご意見をもとに、視聴者の支持を得るよう、より良い放送を続けていきたいと思います。
それから12月には地上波のデジタル放送が始まります。先月の18日に予備免許を受けまして、来月中ごろには試験電波を出し、秋口には試験放送を行うという段取りで、準備は順調に進んでおります。そういうわけで今年はデジタル元年、また、テレビ放送が始まって50年、それから我が社も、ちょうど45周年という大きな節目に当たります。今年度も、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
●(社側)それでは番組を視聴していただきます。本日、ご審議いただきますのは、毎週木曜の午後10時から54分間の枠で全国放送しておりますバラエティ番組『ダウンタウンDX』です。読売テレビでは最も多くの視聴者が見ている時間帯、つまり午後7時から11時までの、いわゆるプライムタイムにドラマやアニメ、それにバラエティー番組など、合わせて5本の番組を全国放送していますが、この番組も、その一つで東京制作局が制作に当たっております。
本日は東京制作局の梅渓通彦局長と武野一起プロデューサーが出席しております。それでは東京制作局の概要や、この番組の狙いなどについて担当者から説明いたします。
●(社側)東京制作局では、毎週日曜日の朝7時半から旅番組の『遠くへ行きたい』をはじめとして、今紹介がありましたように、月曜日の19時から『犬夜叉』『名探偵コナン』という2本のアニメーションを放送しております。そして同じく月曜日の10時からドラマを放送しております。そして木曜日の21時から『どっちの料理ショー』、そして22時から今回の審議会の対象番組でございます『ダウンタウンDX』を放送しております。
『ダウンタウンDX』は93年10月21日に1回目の放送をいたしまして現在に至っております。この10年を簡単に振り返りますと、最初の3、4年は視聴率的にもかなり苦戦を強いられましたけれども、ここ3年ぐらいは視聴率も上がり、YTVだけではなく、日本テレビ系列の看板番組になっております。
内容的には、タレントのダウンタウンの司会で毎回8組のゲストをお招きしてのトークバラエティーでございます。ダウンタウンの切れ味鋭いトークをアイキャッチとして、芸能人の人間味あふれる姿を浮き彫りにしております。彼らの飾らない素顔やプライベートに接することで、視聴者の共感を得ている番組だと思っております。
番組の詳しい内容については、チーフプロデューサーの武野から説明させていただきます。
●(社側)今、説明がありましたように、この番組は、今年の秋で丸10年を迎えるという長寿番組になっております。私は、10年前にこの番組を立ち上げるときにチーフディレクターとして関与しておりまして、2年目からプロデューサーになり、今までずっと付き合っています。内容の前に、番組が企画された経緯を説明します。
10年前、当時ダウンタウンは30歳でした。彼らは20歳代の時に大阪で若者の間で人気が沸騰しまして、その勢いをかって東京に進出しました。若者を対象とした番組を舞台に、自分たちのファミリーで独特の世界をつくって東京で地位を得てきたのが20歳代後半の彼らの動きでした。
それで30歳になったときに、2人とも同じ考えだったのですが、特に松本人志さんの方が、早く売れ過ぎているということもあって、40歳代、50歳代の自分たちのことを考えて、多少苦労するけれども午後10時台の番組で大人に向けたトーク番組もやっていきたいという強い意志を持ってはじめたのが、この番組でした。
この番組は、当初、ダウンタウンと1人のゲストとのトーク番組としてスタート、その後大勢のゲストを迎えてクイズやゲームを取り入れるなど、いろいろ形を変えてきました。芸能界のいろいろな人たちに受け入れられ、多くの視聴者に見てもらえるトーク番組にするために、様々な試みに挑戦してきました。ダウンタウンの2人は今年40歳になるのですけれども、そのことが今、40歳になった彼らが、円熟味を増してきたという評価を得る要因の一つになっていると思います。
以前は、東京の芸能界で「ダウンタウンって、大阪者できついんじゃないの」「何者なの?」と言われるところがあったのですが、長く付き合っていくうちに、ここ2、3年ようやく東京の芸能界の中でも定着してきたことが形になって現れてきました。ゲストとしてどなたが来られても仲良く、まろやかなやりとりができて、「踏み込み過ぎないダウンタウン」という姿も表現できていることが、視聴率にも反映しているのではないでしょうか。今、彼らは、この形を大事にして年を取っても、楽しいダウンタウンを提供できることを目指してやっているという状況です。
現状の番組づくりに関しては、出来るだけシンプルに、芸能人、有名人の皆さまの良いところ、視聴者が共感できるところを引き出していく番組にしようと心がけています。ダウンタウンが、いっぱいしゃべるのではなくて、ゲストの皆さんのお話の句読点というか、ちょっと軽く塩コショウとして、ツッコミやボケを加える役割に徹しています。浜田さんや松本さんから、笑いがポイント、ポイントで出されていくという形です。
この番組で、視聴者が見たいのは、来ていただいた8人のゲストの素顔です。それを表現するためにいくつかのコーナーに分けています。一つは「スター青春白書」という写真を軸にしたコーナーでして、コーナーの中が3部に分かれております。
一つは、いわゆる「撮り下ろしスター青春白書」ということで、先週の土曜日、8人のゲストは何をしていたのかを、その模様を写した写真を紹介しながらトークします。土曜日でなくてもいいのですけれども、土曜日というのは視聴者が週で一番ゆっくりするときです。芸能人は、そんなときどうしているのだろうという疑問に、写真を材料に答えていくわけです。ゲストの皆さんが、それぞれ何かをしていたとか、仕事をしていたとか、そういう素顔を、写真を見ながらトークしていくというものです。
もう一つは「スターお金白書」。資料には「高級な逸品」と書いてありますけれども、高価であればいいということではなくて、例えば、湯のみ一つでも、万年筆1本でも、そのゲストが「これだけはこだわって買ったんだ」とか「これは大事な人にもらったんだ」ということを紹介していただき、それについてみんなでしゃべっていくというコーナーです。
「スター青春白書」というのは、来ていただいた方の過去の写真を見せていただいて、当時の面影を見ながらお話をするコーナーです。
これが、いわゆる写真のコーナーでして、もう一つが「視聴者は見た!」という、メインのコーナーです。「トスポ」という箱から出てくる視聴者からの情報をもとにトークするコーナーです。「トスポ」は、ポストの逆ですけれど、ハガキをはき出すという意味で、そういう名前にしました。
そこから出てくるハガキを読むことで、街で見かけた芸能人の情報を紹介して、本人に、そのときの状況を詳しくお話していただくというコーナーです。さりげない話も含めて、普段その人たちがどうしているのか、その素顔がうかがえるような情報を毎週視聴者から募集しておりまして、メールやハガキで送っていただいたり、そういうことも手間取って難しいという方には、全国で30カ所にあるのですけれども、小さいトスポを各地に置いておりまして、そこに投函していただいたものを収集して、出来るだけ幅広く芸能人の素顔を見た視聴者の情報を集めています。これが一番目玉のコーナーになっております。
もう一つは、これは面白いエピソードを話していただくコーナーでして、形としてはランキングで「のぞき見ランキング」と言っています。失敗談であるとか、腹が立った話とか、毎回テーマを設定して、事前のアンケートに答えていただいたお話の中で、面白いものをいくつか抜粋して、その場で話していただきます。
写真を受けてとか、視聴者の情報を受けて、もしくはストレートなエピソードを話していただくなど、切り口はそれぞれ違いますが、すべてゲストの方にお客さんの前でしゃべっていただいて、素顔を披露していただく番組です。そのことについての感想をダウンタウンという舞台芸人が、彼らなりの切り口をもって、ときには鋭く、ときには優しく、やりとりしていくのがこの番組の形式となっております。
この番組の視聴者層は、10年前は、若者、それも男性中心でしたが、今は幅が広がり、いわゆるF2(女性・35歳~49歳)、F3(女性・50歳~)など、幅広く安定した視聴者層からの支持を得ております。「飽きられず、やり過ぎず」を目標に、あまりややこしいというか、分かりにくいルールの企画を入れるのではなく、見やすく、どこから見ても分かる番組づくりということを目指してやっております。
<VTR視聴>
●(社側)ご覧いただいた5月1日に放送した回の視聴率は大阪が16.9%、東京が17.9%でした。また、番組開始から、これまでの視聴率の推移は資料にあるとおりでございます。
●この時間帯に、家にいることは少ないので、この番組をあまりゆっくり見たことはないのですけれども、たまたま家に帰って、チャンネルを回すとやっていることがあるので、司会をしている、この2人の顔には見覚えがあります。しかし、あの2人が「ダウンタウン」という名前のコンビだというのは今回初めて知りました。こうやって改めて拝見すると大変面白いですね。私はあまりゆっくり見ていないので、周りの人に聞いてみたのですけれど、みんな「面白い」と言っていますね、
ただ、「お金白書」ですか、あのコーナーで何百万円の時計とか、そういうのを見せられると、ちょっと嫌だという人がいました。けれども、今、番組構成の趣旨をお伺いして分かりましたが、制作側が考えているようには受け取らないで、金額の高いものを見せるだけのように受け取っている人がいるのですかね。今、説明していただいたようなご趣旨だと、必ずしも金額ではないということは分かったのですが、あれはちょっと「嫌だ」という人がいました。
●この番組を見て、最初の印象は、昔『ヤングタウン』とか『オールナイトニッポン』とかで、リスナーからのハガキなどをベースにして、それを司会者がいろいろ突っ込んだりして話を面白おかしく広げていくというラジオ番組がありましたが、それとちょっと似ているなということです。「視聴者は見た!」というコーナーが、そういう印象だったのかもしれませんが、何となくテレビというより、ベースがラジオにあって、それをテレビ的にアレンジしたのかなというのが、私が最初に受けた印象でした。
私も、あまりこの番組を見ていないので、事務所の若い女性に聞いてみたのですが、両極端に分かれていました。多数派は「面白い」というのですけれども、その理由は、土曜日に何をしていたとか、有名人の普段の姿が垣間見ることが出来るところが面白いというのが一番大きな理由です。
「ちょっと」という人も、見たことはあるのですね。見たことはあるけど、何で「ちょっと」と思うようになったのかというと、これがまた二つあります。一つは、番組の趣旨であるスターなり、タレントの私生活の様子をうかがうというのが、のぞき見的なところがあって嫌だというもの。もう一つは、これはどうしようもないと思いますが、「ダウンタウンが嫌い」というものです。
ダウンタウンが好き嫌いというのは、これはちょっと置いておいて、プライバシーのところが面白いというのと、他方のぞき見的で嫌だというのと、このように大きく分かれていました。この辺のバランスをどう取っていくのかが、この番組の一番のポイントというところではないか、というのが私の印象です。
●私も以前はちょくちょく見ていました。特に「視聴者は見た!」というのは好きでした。のぞき見的な部分が、私も好きだなということを改めて確認するのですが、最近はだんだん見なくなりました。
何故かというと、確かに芸能人の素顔が見えるというところや、お話を聞いていて面白いなと思うこともあったのですけれども、そこに入ってくるダウンタウンの"まろやか"なツッコミとおっしゃる部分が、だんだん"まろやか"を通り過ぎて、ゲストをバカにしているような印象を受けるようになったからです。
ゲストの人の話を聞きたいのに、ダウンタウンがちょっと耳障りになってきました。よく分からないのですけれど、昔はそこまでじゃなかったのではないかと思います。だんだん、そういうのが耳についてきて、特にダウンタウンが好きとか嫌いとかというのはなかったのですけれども、あまり見なくなってしまいました。
●私は、世代が上にきてもいるもので、この番組は、これまで見る機会がありませんでした。拝見した印象では、肩が凝らないというか、気楽に見ることが出来る感じがありました。
ただ、ちょっと気になりましたのは、スタジオ内でバアッと盛り上がって、ゲストの方々が皆、手をたたいて、あまりにもわざとらしく笑っていて、どちらかというと、ちょっと賑やか過ぎるなという感じがしました。
この時間帯は、皆さんも仕事で疲れて帰って来られて、肩が凝らずに気楽にゆっくり、一日の疲れを癒して、パッと笑ってすっきりしたいという時間帯だと思います。この番組は、幾つかのコーナーに分かれていて、あまり過激というか、突っ込み過ぎがなくて、パッと笑って、疲れを癒して寝るというのにいいと思いました。
ゲストの話を聞く他の番組では、突っ込み過ぎて、やり過ぎのものがあるのですが、この番組はあまり、そういう感じがなく、軽い乗りで…、ちょっとドタバタ的な感じは持ちましたが。
●私は率直に言って、スタジオが爆笑の渦になっても、見ている方として、何が面白いのかさっぱり理解できないことが、しばしばありました。聞いていて面白いと思うこともないではなかったけれども、あんなに大笑いするような話だろうかと、スタジオの盛り上がりと、見ている側の私の受け止め方の落差といいますか、それがものすごく大きく感じられました。
というのは、おかしい話も、もちろんあったけれども、ちっともおかしくない、笑うべきではないと思う話題が、どうして爆笑の渦の対象になるのだろうかと感じました。例えば、ゲストのひとりがごみを拾っている写真を紹介した場面ですが、「それの何がおかしいんだ」と私は思うし、朝青龍が雨の中のマンホールに落っこちる話は、プールでよく子どもが死にますね、そうした事故の寸前の話ですよ。これなどは、「あっ、大変なことがあったな」という話だと思うのだけれど、登場している人たちは、ものすごく盛り上がって楽しんでいるように見受けられ、見ている側として、ちょっと違和感を覚えました。
それから、もう一つよく分からなかったのは、この資料の説明を見て「お金白書」のランキングは金額順ということで「ああ、そうか」と思ったのですが、そのほかの「スター青春白書」、それから「のぞき見ランキング」、これの5位とか4位とかのランキングは一体何なのかなと疑問に思いました。視聴者が事前に、これを見て投票して決めたのか、どういう基準で、このランキングを決めたのかが、ちょっと理解できなかったということがあります。
ただ、それほどおかしくないにもかかわらず、無理に笑いをつくっているように私には見受けられる反面、あまり悪趣味でなく、わりと質を保っているという感じを受けました。というのは、この種の番組では、どちらかというと、かなり俗悪な話題で、人をおとしめたり、非常に不快感を与えるような演出をして、スタジオでゲタゲタ笑い合うということがしばしばあるのですが、この番組でのダウンタウンの笑いのつくり方、とり方というのは、そういう低俗なところまでいっていません。
だから、視聴率がだんだん上がってきているというのも、ほかの、この種の番組で、ものすごく俗悪というか、ひどい番組に比べて、何となく安心感というか、一種のさわやかさみたいなものもあるからではないでしょうか。見る人に不快感を与えないし、見ていると何となく一緒に笑ってしまうようなことは、もちろんあるわけで、その辺りが400回と、随分長続きしている理由かなという感じを受けました。
●ダウンタウンは一時、PTAが選ぶ「こどもに見せたくないタレント」のワーストワンになったことがあったのですね。それは何故かというと、すぐに人の頭を叩く、それから物の食べ方がきたない、行儀が悪いということだったのです。けれども、たまたま今回、久しぶりにこの番組を見て、ちょっとダウンタウンが変わってきているかな、と感じました。以前ほど人を叩かなくなっているし、先ほど委員が言われたように俗悪という感じは受けなかったのです。
テレビ番組はドラマにしろ何にしろ、大体、すべて「のぞき」なのですね。人の家庭を見たり、その中で虚実皮膜のドラマがつくられたりするのですけれども、この番組は、それぞれのタレントさんが、先週土曜日に何をしていたとか、持っているものの中では何が一番いいとか、若いときはどうだったとか、視聴者は見たとかいう、ある意味で双方向の切り口でつくられています。「あっ、自分やったら持っているもののなかで一番は何だろうか」とか「先週の土曜日、何していた」とか、考えながら見られるという、非常に娯楽性の高いバラエティー番組になっています。
以前のダウンタウンとはちょっと違う形の司会で、そこにダウンタウン本来が持っているボケとかツッコミがあって、私はものすごく楽しめました。ちょっと言葉は悪いですけれど、全くアホになって見ることが出来、見た後で、何も考えないで、悪い感覚も持たないで、ふっと風呂に入って、すっと寝られる娯楽番組で、とても楽しめたと思うのです。
ダウンタウンが嫌いか好きかと言えば、実は以前は私も嫌いだったのですけれども、最近は、とても面白くて素直に笑えるようになりました。この浜田さんと松本さんは、漫才のボケ、ツッコミ、あるいはタレント性の質が、今、かなり高いレベルまで上がっていると思うのです。バラエティー番組で、この2人を起用して10年間育てたという意味で、読売テレビのプロデューサーとか、その番組をつくった人の功績があったのではないかと思います。
ただ、一つだけ言わせていただくと、視聴者として幅広く設定しているのであれば、若者とか、小学生や中学生に与える影響をもっと考えていただきたいと思います。つまりファッションであれ、風俗であれ、いわゆる若者文化に影響を与えるものであれば、例えば、トスポに対して言う言葉にしても、もう少し気を付けていただきたい。これを見た若い人たちが、すぐそうした言葉を使うことを考えて、言葉を大事にしていただきたいと思います。
もう一つは、この番組に限らないのですけれども、先ほどのVTRに出ていた叶なんとかさんですか?あそこまで肌を見せないといけないのでしょうか。つまり、日本全国の人たちが見ており、見ている人たちは、それを自分のものとして取り入れる可能性があるのです。ほかの番組でもそうですけれども、これから夏がきますが、若者、特に女性の風俗が目のやり場に困るような形になっていくかもしれません。あの人もこういうことをしているから、自分もここまで見せても大丈夫だと、多分考えるでしょう。また、それとは裏腹に、すぐにセクハラとか痴漢とかいう行為が出てくるかもしれません。
テレビ局側が、出演者の衣装にまでタッチすることができるか、できないかは別だと思うのですけれども、もう少し隠してもいいのではないかという印象を私は受けましたので、その辺を考えていただけたらどうかと思いました。
でもこの番組を見て、私自身は、ストレス解消にもなったし、非常に楽しかったです。
●この手の番組を見て面白いと思うかどうかは、見る側のご機嫌にもよると思うのですが、いかがですか。
●それと、それぞれの人が育ってきた環境や知的レベルなど、そういうものをすべて含めて関係していると思います。ですので、多分テレビ局側は、この番組を見ている視聴者の環境、教育、知的レベル、そういうものを想定する場合に、こういうことを言ったらいけませんけれども、そんなに高いレベルまでは視聴者の対象に入れていないような気はするのです。
いわゆる一般的な人物を見つめて、いろいろなことにどうアクション、リアクションするかを考え「あっ、これやったらアクション、リアクションできる」と判断しているのではないでしょうか。多分それがテレビを娯楽として考えている視聴者の主流だと思うのです。
だから、人が何で笑うかということが、人によって違うことは、もうしようがないことですね。
●背の高いほうが松本さんですか、私は、ああいう顔は好きなのですよ。それで片一方の人がコンビだということは、知らなかったのですけれども、あの背の低いほうが浜田さんですか。私は、あのコンビはわりに好きなのです。特に背の高いほうは。
だからこの番組の司会は、そんなに不快に思わないのです。番組を見るときの気分がいいと面白いと思うし、そんな気分になっていないと、「何を笑うているんだ、バカバカしい」と思うのでしょうけれど…
私は、番組制作などについては全くの素人ですけれども、ゲストをどういう組み合わせで呼ぶかというのが、番組の善し悪しを決める決め手ではないかと思います。いくらダウンタウンが2人でうまくやっていこうと思っても、面白くもないゲストが揃った日には、どうしようもないですわね。
だから一番感心するのは、10年間も毎回、8組、みんなが知っていて関心を持つようなゲストを探し続けてきたということです。俳優さん、歌手、スポーツ選手、そういうのをみんな含めて芸能人と言っているけれども、芸能人というのはそんなにいるのでしょうかね。まだ、これからも続くのですよね。それが一番大変だろうなと思いましてね、ゲストが、まあ言えば番組の決め手ですわね。
●8人にされているのは、どういう理由ですか?
●(社側)これまた難しいところなのですけれども、番組がスタートした時点ではゲストは1人で、1時間の番組をやっていました。これではやはり食い足りないというか、食い過ぎるというか、1時間で1人の話は"しんどい"ということになりました。
その後、ゲストを複数にしてクイズにしようとか、いろいろやってみました。6人にしてみたり、また、10人にした時期もあったのですが、やはり目が散るといいますか、これ以上増やすと、誰の話を聞いていいか分からないような状態になりました。
硬軟のバランスと皆さんのお話しのバランスがあって、少なくしてしまいますと、何度か来ていただく方もおられるものですから、新鮮味がなくなってしまいます。10年やってきたバランス感覚で言いますと、ゲストは8人ぐらいで、お二方ぐらいは、「きょう初めて来ました」という若い人と、年配の役者さんみたいな安定したタイプの方で、ダウンタウンが振らなくてもしゃべってくれる人が、入ってくれるといいなと思っています。
そのように考えると、なぜか8人、9人ぐらいが、見ていて一人一人の顔も分かるし、ゲストがいっぱい出演しているなという感じもしますし、バラエティ番組としていいのかなと、今は思っています。
●この回は、面白そうなゲストが揃っているほうですか?
●(社側)そうなのですけれども、「面白そう」というのも、これまた難しいところでして、この回は面白いかどうかは別として、話を聞いてみたいなという人が揃っていました。
というのは、陣内さんとかケイン・コスギさんとか、えなりかずき君とか、横綱もそうなのですけれども、この人たちはこの番組に出るのが2回目だったり、久しぶりに来たり、初めだったりしますので、ちゃんと話を聞いて「あっ、新鮮だな」というような人が比較的揃っていました。
ただ、よく見ている方にしてみると、例えば、磯野貴理子さんや笑福亭笑瓶さんや関根さんや、吉本の雨上がり決死隊などのゲストが揃っている回が、面白そうだと思う視聴者もいるのです。ゲストによっては、「きょうは盛り上がるだろうな」という人もいれば、そんなにたくさんしゃべられなくても、「この人の話聞いてみたいな」という人もいます。
例えば、北島三郎さんに来ていただいた回は、ものすごく評判がよかったです。その回は、北島三郎さんが面白い話をするわけではなく、どんな過去の写真があるのだろう?どんないい話があるのだろう?それをダウンタウンは、緊張しながらも、どううまく合わせるのだろう?というところが番組のセールスポイントになっているのです。
一方、和田アキ子さんみたいに、何度か来ていただくと、「きょうはもう盛り上がるんだろうな」と、ダウンタウンとの丁々発止を期待する回もあります。
確かにゲストの色合いで、その日のトークの方向性が決まりますので、ゲストに合わせて毎回違うような形でバランスをとっていこうと思っています。委員長がおっしゃったとおり、やはりゲストが勝負だと思っていまして、うまくやっていきたいのですが、面白さの具合というのは、一言で言うと難しいですね。
●(社側)この番組はスタートしてから10年になるのですが、最初の5年ぐらいは、「品がない」「言葉が荒い」「下劣だ」と、ご批判をいっぱい受けました。確かにダウンタウンの彼らも四十歳になりまして、非常に安定感が出てきたことは事実です。
「きょうは相当覚悟して来い」とプロデューサーに言っておったのですが、ご批判が少なかったのは、進化したといいますか、成長したというか、ダウンタウンそのものが、それなりの年齢になったということだと思います。
ちなみに、この番組は相当の高視聴率をとっていますが、その中身もバランスがよく、各年齢層の支持を得ています。最も多い層は「F2」と称します35歳から49歳の間の女性、これが最も視聴率が高いのです。
●それでしたら、40代だとか50代のゲストを、もうちょっと入れるのもいいのではないですか。
●(社側)例えば、石坂浩二さんに最近来ていただいりするのですけれど、そのあたりの年齢の皆さんが「分かるし、話聞いてみたいわ」という人に出演していただいたりはしています。けれども、それが続き過ぎると、またこれ、いろいろな方に見ていただきたいもので、視聴者層が偏ってしまいます。
時には、ちょっと若い者に譲ってみて、「今週は若いな」と視聴者に印象づけるようなこともうまくやろうと思ったりもしているのです。そうした若い人を前面に押し出した回でも、8人ぐらいのゲストに来ていただいているとすると、1人か2人は、例えば、江守徹さんであるとか中尾彬さんみたいな方に入っていただいて、どの層が見ても面白い、話を聞いてみたいというふうにしたいと思っています。
ゲストの中には、先ほどお話が出ていた叶美香さんのようにユニークな方もおられるように、いろいろな方がおられます。8人に来ていただいている理由の一つには、そういった8人の皆さんが画面の中で一緒に笑っているという、視聴者にとって安定感というか、「まあまあ、あの人も笑っているし」という共感を与えることが出来るということもあるのです。ダウンタウン以外の部分でゲストの方の魅力が出てくると、いろいろな世代の方に見てもらいやすくなるかなという狙いもあるのです。
●歌舞伎俳優などもゲストで出たことがありますか。
●(社側)中村勘太郎さん、七之助さんという、勘九郎さんの息子さんお二人は何度も出ていただいています。
●そうですか、政治家を出したら面白いかもわからんね。
●(社側)芸能界から政治に行かれた方は何度か来ていただいています。森田健作さんにも来ていただいたことがあります。
<視聴者センター部報告>
●(社側)続きまして、視聴者の声を報告いたします。
先月、4月の総数は5,863件。総数としては増えていないのですが、4月の特徴は、苦情・抗議が701件、昨年の5月以来700件の大台に乗りました。先月に比べて120件増えています。この要因は、やはりプロ野球が始まりまして、プロ野球中継についての苦情が増えております。
主なものは、この四つです。「放送時間の延長について」「延長後の番組の開始時間が分からない」、それから最近多いのが、「コマーシャルを入れるタイミングが悪い」また、「解説者について」ということです。
それから『ザ・ワイド』は昨今、白装束の集団が出てまいりまして、これに関するご意見が目立っています。
それから資料に『ウラネタ芸能ワイド 週刊えみぃSHOW』というのがありますが、これは、ある人気タレントが師匠の葬儀に出席していたのに、出席していなかったと番組の中でリポーターが発言したことに関しまして、54件苦情がありました。ひとつのコメントに関して、54件の苦情というのはかなり多い数字です。この件に関しましては、次の週の番組の冒頭でリポーター本人がおわびのコメントをしております。
●(社側)それでは最後に次回の開催予定を確認させていただきます。
次回は、6月13日、金曜日、午前11時から読売テレビ本社の13階の役員会議室で開催を予定しています。よろしくお願いいたします。本年度も皆さまよろしくお願いします。きょうはありがとうございました。
- 平成15年度読売テレビ番組審議会委員
- 委員長 熊谷信昭 兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
- 副委員長 馬淵かの子 兵庫県水泳連盟 顧問 元オリンピック日本代表
- 副委員長 川島康生 国立循環器病研究センター 名誉総長
- 委員 秋山喜久 関西電力株式会社 顧問
- 委員 金剛育子 能楽「金剛流」宗家夫人
- 委員 林 千代 脚本家
- 委員 阪口祐康 弁護士
- 委員 佐古和枝 関西外国語大学教授
- 委員 北前雅人 大阪ガス株式会社 代表取締役副社長執行役員
- 委員 谷 高志 読売新聞大阪本社 専務取締役編集担当