第434回 番組審議会議事録
1.開催年月日 |
平成14年7月12日 | |
2.開催場所 | 読売テレビ本社 | |
3.委員の出席 | 委員総数 | 11名 |
出席委員数 | 9名 | |
出席委員の氏名 | 秋山喜久、熊谷信昭、 金剛育子、林 千代、馬淵かの子、 野村明雄、阪口祐康、老川祥一、川島康生 |
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欠席委員の氏名 | 大島 靖、佐古和枝 | |
会社側出席者 | 泉 巌夫(代表取締役社長)以下9名 | |
4.審議の概要 | テーマ及び視聴合評対象番組 | |
視聴合評番組 | Y+(ワイプラス) 「47歳のルーキー ~中嶋常幸、苦闘の2583日~ 」 |
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出演 | プロゴルファー 中嶋常幸他 | |
放送日時 | 6月15日(土)深夜2時19分~3時14分(55分) | |
放送エリア | 関西ローカル | |
7月の番組審議会は7月12日(金)読売テレビ本社で開かれ、大島靖委員長の辞意の表明を受けて、新たな委員長の選出を行った。 規定どおり、委員の互選により、新委員長に熊谷信昭氏が選出された。また、規定を改定して副委員長を設けることとし、新副委員長に馬淵かの子氏と野村明雄氏が委員長によって指名され、両人とも就任を快諾した。 続いて、スポーツドキュメント番組「47歳のルーキー~中嶋常幸、苦闘の2583日~」について意見を交換した。 委員からは「よくここまで取材が出来たものだと驚いた。中嶋プロの内面がよく表現されていた」「7年間のスランプを克服した中嶋プロの姿に勇気と希望を与えられた思いだ。あきらめずに、努力することの大切さをあらためて感じさせられた」「芸能など、ほかの様々な世界にも通じる、プロの世界の普遍的な厳しさを感じた」など、中嶋常幸プロが苦難を乗り越える姿に共感する声が相次いだ。 一方、「きれいにまとまりすぎて、どろどろとした本音に迫りきれていないのではないか」「子供時代は99%嫌いだったと語った父親の評価が、その後どのように変わっていったのか、などについても触れてほしかった」など、さらに完成度を高めるよう求める意見も出された。 この後、6月に寄せられた視聴者からの意見や抗議、苦情などについて概要を報告した。 |
<委員長選出>
出席委員の互選により、以下のとおり委員長を選出。続いて、「読売テレビ放送番組審議会規定」を改訂し副委員長をおけることとし、以下のとおり副委員長を選出しました。
委員長:熊谷信昭
副委員長:馬淵かの子
副委員長:野村明雄
<番組視聴・合評>
●(社側)読売テレビでは、読売オープンというゴルフ・トーナメントの中継を長年やっておりまして、昨年度は、新たな試みとしまして、プロゴルファーの中嶋常幸さんに、中継の手助けをお願いしました。その内容は、新しいトーナメントのあり方を一緒に考えていく上でのアドバイスをしていただくとともに、テレビの中継のお手伝いもしていただくというものです。
それがきっかけとなって、親しくお話をさせていただいているうちに、7年間低迷が続いていて、その中で紆余曲折、天才と呼ばれたプロゴルファーでも、いろいろな挫折があったり、新たな試みをしていることを改めて知りました。ぜひ番組にさせていただきたいと考え、昨年夏ごろからアプローチしまして、暮れごろにやっとOKがでました。
ご本人は、自分がやってきた苦労は表面に出すことではない、と頑なに断られていたのですけれども、我々の熱意が通じたのか「お互いの狙い、気持ちが一つになるのだったら一緒にやりましょう」というご返事をいただきまして取材を始めました。そうしたやり取りの中で、中嶋さんから「成績だけを求めるのなら、やめてほしい」というような話もありました。
我々としましては、中継番組では選手一人ひとりの個性や、背負っているものをなかなか出せないと、かねがね思っていまして、ぜひ、そういうものをドキュメント番組として表現したいと考えていました。プロゴルファーはすごく簡単にゴルフをして、優勝を争って、高額の賞金を手にしているように思われるのですけれども、中嶋さんには、プロゴルファーの代表として登場していただき、実はそこに、ものすごい努力があったり、様々な葛藤あったりということを表現させてほしいとお願いし、理解していただきました。
成績にこだわらずに、この6月に放送日を設定してスケジュールを組んだのですが、たまたま編集を始めるタイミングで、7年ぶりの復活優勝が実現いたしました。我々としては、ちょっと痛しかゆしというか、方向を転換しなければならなかったのですけれども、放送にはタイミングのよい復活優勝となりました。番組は、当初のもくろみと方向性が変わったため、急遽構成も変えるなどしたのですが、一番描きたかった優勝へのプロセスを入れることができたということで、満足できるものになったと思っております。
この番組の、第一のテーマは、プロゴルファーという職業を持った47歳の中嶋さんが、どのような考えを持って苦しみを乗り越えてきたのか、その「生きざま」というか、人間性にポイントを置いて、番組をつくりました。
<VTR視聴>
●「よく、ここまで取材ができたな」ということを、第一に感じました。中嶋プロは、まさに一世代を築いたプロゴルファーですし、それだけプライドも高いであろうし、本人としては、いろいろな紆余曲折があったところは人一倍、他人に見せたくないだろうというふうに推察します。それだけに、ここまで取材をさせていただける関係をつくるには、取材する側に相当な熱意があったであろうと、番組を見てまず感じました。
ただ、ちょっと残念だったのが、出来上がってきたものを見ると、ちょっときれいなのです。私から見ると、ちょっときれいすぎる。悩みとか、いろいろなところはあるのですが、番組的にうまくまとまりすぎているというか、きれいにまとまり過ぎているなと、思います。
本当は、取材する中で、もっとドロドロしたところも垣間見たかと思うのです。そういうものを、もうちょっと出した方が、より訴えるものが強かったのではないかな、というのが私の印象です。
●拝見しまして、感動する番組だと思いました。この番組を見て、プロはギャラリーの前で、期待を裏切るようなプレーはしてはいけない、そういうことはできないと自覚しているものだと教えられ、改めて厳しいものだなと率直に感じました。私の場合、能楽に携わっていますので、どうしてもプロの厳しさを、能楽の世界と重ねあわせて考えてしまいますが、挫折と再生というものは、ゴルフの世界だけでなく、いろいろな世界でも共通のことだと思いました。そういう意味でも、感銘を受けました。
年齢の問題とかいろいろありまして、中嶋さんのように若いうちにうまくいったことが、なかなかそうはいかなくなる。挫折のままで終わってしまうこともあるのかな、とも感じまして、いろいろと教えられる番組だった、というのが率直な感想でございます。
●大変いい番組だったと思います。全体として非常に好感が持てる番組でした。それから、訴えようとしていることも十分伝わっていると思います。つまり、最後まであきらめない、あるいは、努力することの大切さです。今の若い人は、簡単に放り投げてしまうような傾向があると思うのですが、そういう中で、あくまであきらめないで頑張っている姿は非常に感動的で、よかったと思いました。
むしろ、こうした優れた番組の放映時間が深夜2時19分からで、また、放送エリアも関西ローカルとなっているのですが、もっと多くの人が見ることが出来る時間帯に、全国ネットでやってもらってもよかったのではないかというふうに思います。
番組全体として、感動的であることは文句ないのですが、ただ、せっかく、こういう番組をおつくりになるのなら、もう一歩掘り下げていただきたかったと感じる点がございます。それは、なぜ、調子が悪くなったのか?どういうふうに調子が悪いのか?ということについての、科学的な説明といいますか、分かりやすい説明です。
つまり、7年前に優勝したのですけれど、その前も彼はスランプになっていたのですね。そのときと比べて、今回はどういうふうに違うのかとか、ナレーションで、ゴルフクラブが進化して、それを考えないで無理をして云々と、言葉ではあるのですけれども、それが一体どういうことなのかといったようなことが、もうちょっと知りたいな、と思いました。
それから、石渡さんというトレーナーがついて、だいぶん調子がよくなってきたようですが、では、今までのトレーナーと、何が、どう違うのか。そういうことが、もうちょっと説明、あるいは彼自身の言葉の中から出てくれば、なお、良かったと思います。ゴルフをやる方は多いと思うし、そういう人にとっても何か参考になるのかな、という感じがします。
それから、中嶋プロが引退しようと思ったときに、そこを乗り越えることができた要因は、何だったのかというところが、いまひとつ弱かったように感じました。番組で説明されたのは、友人が「引退はいつでもできるよ」と、言ったという、それだけなのですね。
それだけで奮い立つものではないと思うのです。そんなことは、彼は百も分かっているのです。ナレーションで、一晩中語り合ったと言っている以上、彼をもう一度、挑戦することに向けた言葉なり、思いというのは何だったのかと、知りたくなるのです。こういうところが、もうちょっと出ていれば、なお厚みのある番組になったのではないでしょうか。
●中年の方々に対して「努力しよう」という勇気を与える番組として、非常に素晴らしかったと思います。ただ、先ほどもお話がありましたように、優勝は7年ぶりだということですが、落ち込んだときのことを、もう少し分析すればいいのではないかというのは、私としても同感です。
科学的な面で、あるいはトレーニングの面で、何かいろいろ落ちていた点、抜けていた点、これをどう改造したかということと、精神的な面で、どういうことによって強くなってきたのかという点が、もうすこしあったほうがよかったのではないでしょうか。落ち込んだときは、なぜ弱くなったのか、それから今度優勝したときは、なぜ強くなったのかという辺の対比があると、なお、おもしろくなると思いました。
今度のワールドカップで、日本代表は一応決勝トーナメントまで行きましたけれども、すべてのスポーツで日本が国際的に通用しなくなってきているということの原因のひとつは、トレーニングの方法が悪いということ、あまり科学的でないということと、それから精神面で非常に弱いという面が、あるのではないかと思います。
アメリカの学校へ行って、スポーツは何のためにやるのだと、聞きますと「負けることを学ばせるためにやるんだ」ということでした。要するに、人生というのは常に挫折なのだ、挫折したときに、どう立ち回っていくかということを教えるのが学校なので、スポーツをやって負けることを一生懸命覚えて、そのときに自分に負けた人は脱落していくし、それで自分に勝った人は、またはい上がっていくというふうなことなのです。
アメリカでは、その辺を鍛えるために学校教育にスポーツを取り入れているのです。日本みたいに、みんな横へ並んで一緒にテープを切るということではスポーツをやる意味がないと思うのです。
中嶋さんの受けた教育というのは、戦後ですね。その点で非常に悪平等的な教育を受けて、精神的な弱さがどうしても出て甘い。特に中嶋さんは天才的だったので、おそらく挫折したときには、どんどん、どんどん自分に負けていたのではないかと思います。
そういった意味で、出来れば「47歳のルーキー」ではなくて、27歳か、せめて37歳で、もういっぺん復活してくるというのでないと、国際的に通用するようなスポーツマンは出てこないし、人間的にも国際的に通用する人が出てこないのではないかと思います。
番組で、落ち込んでいたときの姿を描くことで、その辺が表現できたのではないかと思いますので、続編をつくる機会がもしありましたら、その辺を考えていただきたいと思います。
●大変、好感の持てる素晴らしい、いい番組だと思います。大きな理由が三つあります。
人間ドキュメントとしての中嶋プロの内面が非常によく表現されており、しかも、ナレーションが素晴らしかったです。「年をとるのも悪いことじゃない」とか、あるいは「スランプは味わい深い」とか、いい言葉だと思います。
二つ目のいい点は、挫折からのリカバリーの素晴らしさです。これは、どの職業にも通用するテーマですし、「47歳のルーキー」という、この表題にも勇気づけられますし、共感が得られると思います。こういったテーマを取り上げるときに、よくある、いわゆるヒーロー物語りではない、つくりになっていました。「成績だけを追っているのでない」という、田中プロデューサーが紹介した言葉は象徴的だと思うのです。
それから三つ目のいい点は、家族の絆の素晴らしさというのを、さりげなく表現されているということだと思うのです。先ほどもお話がありましたが、午前2時過ぎからの放映はもったいないというのが率直な意見です。
●番組を見て、中嶋常幸選手の内面のことがよく分かりました。素直に、仮面を剥ぎ取ったように、すらすらと話すことが出来るのは、まあ人徳ですかね。私もスポーツを長年やっておりましたので、ああいうふうに自分をさらけ出してものを言うスポーツマンは、本当に少ないのでファンになりました。
そして、この番組をご覧になった中・高年の人たちが、非常に勇気づけられたのではないかと、見た瞬間に思いました。私はゴルフを全然知らないのですけれども、一つ不思議に思ったことがあります。私は水泳を仲間とともにやっていますので、非常に科学的なこと、体力を測り、柔軟度を測りと、自分のコンディショニングを毎日のように計測してから練習に入るというトレーニングをやっています。
練習前に心臓の脈拍を測り、泳いだ後もまた測り、柔軟度はどれだけ先週から柔らかくなったかとか、そこまで毎日テストしながらやるのです。中嶋選手を見ていると、そうしたことをなさってなかったのではないでしょうか。若い時は、技術だけを一生懸命教えていただいて、その技術で突っ走った結果、筋肉が悲鳴を上げたというナレーションがありましたね。身体のケアを、ゴルフ界の方は軽視なさっていたのではないかな、と思いながら番組を見ていました。
もう一点気が付いたのは、コーチというのがないのですね。あれだけの選手なのに専属コーチがいない。やっとトレーナーがついたのが、ごく最近で、それまで、どうなさっていたのかしらと思いました。
見よう見まねでストレッチなどをやっていらっしゃったようですけれども、やはり専門家に全面的に任せるべきだと思います。高給を取っておられることだから、その人たちにも高給をあげて、トレーナーなりコーチになって高給が取れる方が、ゴルフ界に、もっと出てきたらいいのになあと思います。
私は、ゴルフ界のことが分かりませんので、失礼があったら許していただきたいのですけれども、今ゴルフをなさっている方は、お父さんがものすごくスパルタ式に鍛えるケースが多いようです。常幸さんの場合もそうですよね。勘だとか勝負のコツだとかを教えるのは、お父さんがいくらでもできるのです。
けれども、トレーニングもいろいろなやり方がありますので、長持ちさせる筋力をつけたり、心臓を鍛えてあげるなど、もっと幅広くトレーニングをやっていただいたらいいのにな、と感じました。
番組としては、結末が非常にドラマティックでした。このまま、あの方が優勝できなかったら、どういうふうに終わっていたのかなとか、そのようなことまで考えながら見ていたのですけれども、全般的に非常に感激しました。また、中嶋選手のキャラクターが非常によかったので、とても嬉しく拝見させていただきました。
●とてもいい番組だったと思うのですけれども、先ほどお話がありましたように、何かちょっと力み過ぎかな、という部分もありました。苦悩とか挫折とか、そういう部分の描写が少なく、たまたまハッピーエンドには終わっていますけれども、そこのところが、きれい事というのか、何かつくられたような感じで、ちょっと辛かったかなと思いました。
それから、ゴルフのような個人プレーの競技で、トレーナーとかコーチというものが、どれほど大切なものであるかということの描き方が、不十分だったように思います。この物語の中で、それが一つの柱というのであれば、トレーナーやコーチがつく前の状態を、描いていただきたかったと思います。
また、優勝することに対する中嶋選手の思い「家族や応援してくれる人たちのためではなくて、自分自身のプライドのためだ」と言った言葉が、すごく私の心に響く一言でした。多分これが、中嶋プロがゴルフをやっていく上の、大切なポリシーだったということを感じ、非常に心を打たれました。この番組は、とても感動するものがありました。
●私は、この審議会に出させていただくのが2回目なのですけれども、こうした番組を見せていただいておる範囲では、あまり審議会で審議しなければならないような問題はないのではないか、という気がするのです。読売テレビが、自信を持って出せるものを見せていただくと、私たちが申し上げることがないので、「こんなものを出したら、みんな何を言うかな」というものを、出していただいたほうが、審議会の役割を果たせるのではないかという気がいたしております。
個人的には、こういう番組ばかり見せていただいていると、楽しく見ることが出来て、大変結構だと思います。私もこの番組は大変楽しませていただきました。そして今まで皆さんおっしゃいましたように、非常にいい企画であるし、非常に良い番組であったと思います。
敢えて、付け加えることはないのですけれども、一つ、二つ言わせていただくと、ちょっと気になったのは、中嶋さんのお父さんが非常に厳格な方であったということで、親父さんにぶん殴られて、ひっくり返って、また起き上がってという話がございました。中嶋さんが言われるのに、99%親父嫌いだったということです。
番組をずうっと見ていきますと、中嶋さんの親父さんに対する気持ちというのは、随所に出てきてはおりますけれども、やはり、こういう番組の最後には、今の時点、あるいは功なり名遂げられた時点で、「親父に感謝している」というふうなせりふが一言あってもよかったのではないかと思います。それがないと、単なる暴力親父として描かれただけとなってしまい、ちょっと具合が悪かったのではないかなという気がいたしました。
それから、もう一つは、大変苦労しておられるのは、尾崎プロも同じか、あるいは、それ以上に苦労しておられますね。そのことはよく聞いていますが、なぜ、中嶋さんを選ばれたのでしょうか。これは単なる興味です。私も中嶋さんのほうがよかったと思いますが、どのようなことを考慮して、中嶋さんを選んだのか、よければ教えてください。
もう一つは、番組を拝見していて、NHKの「プロジェクトX」という番組と比較して考えたのですが、この番組の舞台はスポーツの世界ですから、もう少し楽しく描いてもよかったのではないでしょうか。あまりシリアスにしようと思っても、そうならないのではないかと思うのです。苦労した、苦労したと言われますけれども、先ほどもサイエンティフィックでないというお話がございましたけれども、私から見れば、「毎日ゴルフばっかりして、ずうっと楽しんでおるやないか。どこが苦労なんや」という気がするのです。(笑い)
ゴルフをやらない方にはお分かりにならないところがたくさんあると思います。例えば「朝早くの対決は嫌だ」と中嶋さんが言うところがあります。これは恐らくゴルフをやらない方には、何のことか分からないと思いますね。そういうところもありますから、このテーマに限っては全体のトーンをもう少し明るくもってきてもよかったのではないか、という気がいたしました。
●私は大変いい番組だと思いました。非常に印象的だった言葉は、「やろうと思ったときがルーキーだ」という言葉でございまして、これを聞いて何年か前に放送大学の対談でアグネス・チャンさんと対談したときのことを思い出しました。そのときにアグネス・チャンさんは、妊娠して、留学しようかどうかと迷っていたときの話などをされました。学習の適齢期というのは、その人が勉強したいと思ったときが、その人の学習適齢期なのだということを言われました。私はその言葉を印象深く覚えているのですが、その言葉を、今、番組を見て「やろうと思った時がルーキーだ」という言葉を聞いたときに思い出しました。
そういう意味で、この番組は、高齢化が進む中での中・高年を激励したり励ましたりして、勇気を持たせる意味でもよかったと思うのです。さらに、私は大阪府の教育委員をいたしておりますが、若い者にとっても、大変教訓的な番組になっていると思うのです。年寄りだけではなくて、若くてもいろいろ挫折したり、うまくいかなかったり、高校を中退したり、いろいろな悩みを抱えた人たちがいます。そういう人にとっても勇気を与える、そういう意味でもいい番組だったと思うのです。
教育と関連して言いますと、さきほど、負けることを教える、負けたときのあり方を考えさせるのが、スポーツを教育に取れ入れる大事な意義だというお話がありましたが、そういう見方は初めて教えられて、これから教育委員としてスポーツを考えるときに、非常に新しい視点を教えていただけたと思います。
私はスポーツを学校教育の中でやるというのは、定められたルールの下で、ルールに従って全力を尽くすということを教えるのが、スポーツの教育的な意味では最大の意義だと思っていたのですが、勝ち負けがあるので、負けたときのあり方や今後に対する考え方などを、分からせるのが大きい意義だとおっしゃられたのは、全く私も、そのとおりだと思います。
そういう意味で、放送する時間帯も考えて、再放送をなさったらどうでしょうか。若い人たちにも見てもらったほうがいいと思います。かつ、中嶋選手は全国的なプレーヤーで、ローカルな選手ではありませんので、いい時間帯に全国再放送をなさってもいいのではないかと思います。
<視聴者センター部報告>
●(社側)6月に寄せられた視聴者からの声は、合計で7,799件です。これは前月5月あるいは前年の6月とほぼ同じ水準です。ただ、意見・要望が5月に比べて80件減っております。また、苦情・抗議も110件減っておりまして、問い合わせが250件増えているというのが6月の状況です。
主な意見・苦情ですが、6月はワールドカップがございまして、このサッカーに対する意見・苦情が158件と、非常に多かったのが特徴です。内容は大体三つに分けられます。
ひとつは、サッカー報道が非常に過熱気味になっているが、国民が知りたいのはサッカーばかりでない、というものです。どこの局も、朝から騒ぎ過ぎで、もっとほかに気になるにニュースがあるので重要なニュースもやってほしいというわけです。
ふたつめは、実況のアナウンサーに対して、公平に放送してほしい、というものです。例えば韓国-ドイツ戦ですと、韓国寄りだ、というご意見と、ドイツ寄りだというご意見の、両方がありました。
三つ目は、ゲストに明石家さんまさんを起用したのですが、バラエティじゃないので、さんまさんはいらないのではないか、という意見や、さんまさんの個人的な発言についての苦情がありました。これ以外にも問い合わせが300件程度ありました。
それからプロ野球についてなのですが、5月は非常に多くあったのですが、6月は5月よりも230件減りました。ストライクボール、アウトの表示が非常に見にくいという意見が5月に集中したのですが、かなり改善されまして、苦情も減ってきております。
それ以外では、前月より50件減っているのですが、『ザ・ワイド』に関するものが目立っています。ジャイアンツの札幌シリーズのデーゲームの中継がありまして、そのために「毎日『ザ・ワイド』を楽しみにしているので、野球中継しないでほしい」というご意見もございました。
- 平成14年度読売テレビ番組審議会委員
- 委員長 熊谷信昭 兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
- 副委員長 馬淵かの子 兵庫県水泳連盟 顧問 元オリンピック日本代表
- 副委員長 川島康生 国立循環器病研究センター 名誉総長
- 委員 秋山喜久 関西電力株式会社 顧問
- 委員 金剛育子 能楽「金剛流」宗家夫人
- 委員 林 千代 脚本家
- 委員 阪口祐康 弁護士
- 委員 佐古和枝 関西外国語大学教授
- 委員 北前雅人 大阪ガス株式会社 代表取締役副社長執行役員
- 委員 谷 高志 読売新聞大阪本社 専務取締役編集担当