
「お互いの親にはいつ会えば良いの?」
今週の「究極の選択」
選択肢(A)相手の親には、交際前に相手を知る一環として会うべき
選択肢(B)相手の親には、交際してお互いの気持ちを充分に確認してから会うべき
今週の選択肢も絶対的な正解はありません。両者ともに長所と短所が混在しています。みなさんはどちらを選ぶのでしょうか?
今週はまず、上記の究極の選択に隠れた政治用語を知ってもらいます。政治的な戦略に関する用語ですが、「恋愛や結婚で勝つ」というふうに考えれば、勝敗がある戦争と同じ。政治戦略も応用することができるということです。
さて、永冨がはるに対して使った戦略ですが、これを「遠交近攻策」と言います。
「遠交近攻策」とは、もともと中国戦国時代の秦(BC778年~BC206年)に仕えた政治家の范雎(はんしょ)が唱えた戦法で、文字通り「遠くの敵と親交を深めて、近くの敵を撃つこと」です。「敵の敵は見方」とか言いますよね、それと同じ発想です。
すでにドラマの中では「外堀を埋める」といった用語も出てきました。これも政治用語ですので、どうやらこのドラマの脚本家(原作者)さんは政治的な戦略についてかなり造詣が深いようです。
永冨は「近くの敵」であるはるを陥落させるために「遠くの敵」である自分の両親を使ったようです。これ、実は永冨としては一石二鳥の戦略でもありますね。両親に会わせてお互いが気に入れば、はるも安心するし、永冨のご両親も安心します。失敗するとすべてがぶち壊しになる可能性がありますので、ハイリスク・ハイリターンです。
いきなり両親に会わせるのは必ずしも良案とは言えないのですが、永冨の性格上、思い立ったら吉日的な発想で行動しているのでしょう。結果的にはこれがうまくいって永冨の両親にはるが会うことになります。
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現実問題として、結婚を実現するには、当事者はいずれお互いの両親に顔合わせをしなければなりません。どちらの親が先という問題がありますが、タイミングも重要です。今週の「究極の選択」はそのタイミングついての決断です。
選択肢(A)は交際する前に相手の親に会わせてしまおうというものです。相手を知るにはその人の育った環境を知るのが手っ取り早いです。好印象を与えることができれば、そのあとの交際がスムーズになります。ただし、外堀が埋まる形になり良い意味でも悪い意味でも流れができてしまうので、引き返すのには多大なエネルギーが必要になるのが難点です。
選択肢(B)はより一般的な交際の進め方です。付き合ってお互いの好きという気持ちを確かめ、結婚しても良いかなと思ってから会うという形です。リスクは比較的少ない戦略なのですが、もし相手の親に気に入られなかったらたいへんな騒動になることを覚悟しなければなりません。親の発言権が強いと、親の反対で結婚に支障をきたす場合が多々あります。
というわけで、今週の「究極の選択」です。
選択肢(A)相手の親には、交際前に相手を知る一環として会うべき
選択肢(B)相手の親には、交際してお互いの気持ちを充分に確認してから会うべき
さて、みなさんはどちらを選びますか?
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なお、もしみなさんが外堀を埋められる立場ではなくて、相手の外堀を埋めたいと願うときは、
※「今度、私の親に会ってくれる?」
という言い方では失敗します。この言い方では、相手の返答が「止めとく」とか、「そのうちにね」ということになってしまいます。
こういう場合に成功する戦略は「ダブルバインド」というものです。ダブルバインドとは「たくさんの選択肢の中から意図的に2つを選んで、相手にあたかも2つの選択肢しかないように思せること」で、ノーと言わせないテクニックとして定評がある戦略です。
使い方としては、
※ 「そちらのご両親と、うちの親と、どっちに先に会ったら良いかな?」
となります。相手はあたかも自分で選択肢しているように錯覚して、「うちの親から」と言ったりします。訊く方としてはどっちが先でも良いのにね。
「ダブルバインド」は鉄板戦略です。ぜひ使ってみてください。たとえば、デートに使いたいなら、
※ 「来週の週末会うとしたら、代官山のフレンチと麻布十番のイタリアン、どっちに行きたい?」
こんな感じです。