犬夜叉 ストーリー
倒れているかごめの身体からオーラのように魂がほとばしり、神無の鏡の中にその魂が吸い込まれていく。しかし、かごめの魂は神無の鏡の許容量を超えていたためすべてを吸収することはできなかった。かごめが動けないことを確認した神無は、かごめから四魂のかけらを奪おうとするが、神楽(かぐら)に呼ばれてその場を去る。
いっぽう、かごめを助けるために村長の家に飛び込んだ弥勒だが、操られた小春に出刃包丁で刺されそうになる。弥勒は小春の刃から逃れると、かごめの元へと急いだ。 同じ頃、神楽の風刃(ふうじん)の舞の攻撃に対して、逃げ回っていた犬夜叉は妖力の切れ目を見つけると、鉄砕牙(てっさいが)をかまえて奥義"風の傷"を繰り出そうとする。が、操られた村人が神楽の前に立ちふさがり鉄砕牙を振り切ることができない。そこへ突然、人垣が解け目の前に妖力の切れ目が現れると、犬夜叉はなりふり構わず鉄砕牙を振りかぶり神楽めがけて"風の傷"を放った。地を割ってすさまじい勢いの爆風が神楽めがけて襲いかかる。すると神楽の前に鏡を持った神無が出現し、その鏡が爆風をはじき返した。犬夜叉は自分の出した爆風でズタズタにされてしまう。
傷ついた犬夜叉の前に突然、現れた奈落は神楽も神無も自分から生まれた妖怪であることを明かし、さらに桔梗(ききょう)から四魂のかけらを渡されたと語った。かごめと犬夜叉たちは奈落の手の中でほとんど玉になっている四魂のかけらを見て驚きショックを受ける。
奈落の不遜な態度に怒りが爆発したかごめは 弓を引き絞り、奈落に向かって破魔の矢を放った。奈落は神無に命じて鏡で矢を跳ね返させようとするが、かごめの矢は鏡の中に閃光と共に吸い込まれてしまう。矢が跳ね返せなかったことに奈落が驚いていると、鏡の中はかごめの矢から出たおびただしい量の魂が充満し、やがて外にこぼれ出した。そして鏡にヒビが入った瞬間、今まで吸い込んでいた魂が鏡から飛び出すと、魂は倒れている小春や村人、かごめの中に戻っていき…。
神楽、神無との闘いで傷ついた犬夜叉は、桔梗が四魂を奈落に渡してしまったことを知りショックを受けていた。そんな折、犬夜叉のいる小屋に向かって現れた妖気の光。桔梗の放った死魂虫である。桔梗の誘いに乗った犬夜叉は七宝が止めるのも聞かず、鉄砕牙(てっさいが)を杖代わりに使って一人で死魂虫の後を追い、森の中へ足を踏み入れていった。
森の中で犬夜叉の前に現われた桔梗は奈落に四魂の玉を渡したことを素直に認めた。しかし四魂の玉を奈落に渡したものの、奈落を四魂の玉と共にこの世から消し去るためと明かし、それまでは奈落に殺されるなと告げ、犬夜叉の無事な姿を確認すると桔梗は去っていった。
かごめたちの元に戻った犬夜叉は桔梗が四魂の玉を奈落に渡したのは事実であるが、奈落と手を組んだわけではないと告げる。が、いまだに桔梗を必死でかばう犬夜叉にかごめは腹を立て出ていってしまう。 そんな中、新たな奈落の分身・悟心鬼(ごしんき)が現れる。神楽も犬夜叉をおびき出す作戦に協力するが、悟心鬼の凶暴さにあきれて身を隠してしまう。 悟心鬼は村の住民をほとんど食べ尽くし、牛小屋のワラの中に隠れていた幼い兄妹までも襲おうとした。そこに犬夜叉が鉄砕牙を突きたて小屋に飛び込んでくる。悟心鬼と対時した犬夜叉は、悟心鬼の背中に蜘蛛(くも)の痣(あざ)があることに気付く。しかも悟心鬼は相手の心を読むことができる妖怪であった。そのため犬夜叉の太刀筋をことごとく読み、その攻撃をかわしていく。
犬夜叉は奥義"風の傷"を放つが、犬夜叉の心を読んだ悟心鬼は妖気の切れ目を突き抜けてきたため、大夜叉は直接鉄砕牙で斬り伏せようとする。ところが悟心鬼は鉄砕牙をかみ砕き、犬夜叉をたたきのめしてしまう。さらにかごめに襲いかかろうとする悟心鬼は突然、犬夜叉の思考が"喜び"に変わり、目まで赤く染まってしまったことに気付く。
夜風にさらされている犬夜叉に斬られた悟心鬼の屍(しか)。そこに現れた殺生丸は悟心鬼の牙が鉄砕牙をかみ砕いたことを知り、その牙を持ち去った。 いっぽう犬夜叉は砕かれた鉄砕牙を持って刀々斎の仕事場へ。鉄砕牙の修理を頼まれた刀々斎は犬夜叉の牙をつなぎに使い3日で直すと請け負う。
その間にかごめたちは冥加(みょうが)から、鉄砕牙が犬夜叉の妖怪の血を封じ込めるための刀であったことを聞かされる。そして一度目ざめてしまった妖怪の血は、たとえ鉄砕牙を打ち直したところで今までのように抑えきれないとかごめは知る。 悟心鬼のクビを持ち帰った殺生丸は刀々斎が破門した元弟子・灰刃坊の仕事場を訪れた。そして憎い師の刀々斎を見返すために悟心鬼の牙から新しい刀を打ちおこしてみないかと持ちかける。しかし、死んだ牙ではろくな刀が打てないと灰刃坊が言うので、殺生丸は天生牙を使って悟心鬼をよみがえらせた。3日後、新しい刀を取りに訪れた殺生丸の手下・邪見を灰刃坊は鬼の剣"闘鬼神"を使って斬り殺してしまう。灰刃坊は悟心鬼の怨念を宿した闘鬼神に操られてしまっていたのだ。
まもなく、邪見の死体を発見した殺生丸は再び天生牙の力で邪見を甦らせる。 朔(さく)の夜、月に一度だけ人間になってしまう半妖の犬夜叉の前に闘鬼神に操られた灰刃坊が出現。珊瑚(さんご)は灰刃坊に駆け寄りながら、飛来骨を投げつける。しかし、襲いかかる飛来骨を灰刃坊は闘鬼神で真っ二つに叩き斬る。弥勒は闘鬼神に操られた灰刃坊を倒そうとするが、灰刃坊は頭を割られても絶命せず、なおも犬夜叉に襲いかかろうとする。 灰刃坊の挑発に乗り、妖力のない犬夜叉が灰刃坊に立ち向かおうとした瞬間、直した鉄砕牙を持った刀々斎が到着。朔の夜も明け妖力を回復した犬夜叉は鉄砕牙を持って闘おうとする。だが、直した鉄砕牙はとてつもない重い刀になっていた。
犬夜叉を襲った灰刃坊は自ら鍛えた鬼の剣・闘鬼神に取り憑かれていた。しかし、犬夜叉が渾身の力で鉄砕牙を振るうと、その剣圧に耐えきれず消し飛んでしまう。残ったのは依然として邪気を放つ闘鬼神のみ。が、刀々斎ですら触ることができず、犬夜叉の鉄砕牙でも折ることができなかった。
犬夜叉は弥勒たちが反対するのも聞かず、座り込んで剣の真の持ち主が現れるのを待っていた。そんな中、かごめたちは鉄砕牙が犬夜叉の妖怪の血を封じ込める「守り刀」であり、命の危険が迫ったとき、犬夜叉が鉄砕牙を手放すと妖怪に変化してしまうことを犬夜叉に打ち明けるべきかどうかを話し合っていた。だが、冥加だけは犬夜叉が秘密を知ったら鉄砕牙に頼らず自分の爪と牙だけで闘おうとするため、犬夜叉に秘密を教えることを反対する。
一同の心配を察した刀々斎は1人で犬夜叉の元へ近づき隣に座り込んだ。そして鉄砕牙が重くなったのは、折れた部分を直すために犬夜叉の牙をつなぎとして使ったからであると明かし、さらに鉄砕牙を自由に触れるようになったときこそ、父を超えて本当に犬夜叉が強くなれたときだと語る。刀々斎の言葉に気付くところのある犬夜叉は考え込むが、かごめの応援に冷や汗をたらしながらも応える犬夜叉。
そのとき、白々と明け始めた空に暗雲が激しく流れ、雲の向こうから雷鳴がとどろく。闘鬼神の真の持ち主である殺生丸が現れたのだ。殺生丸が毒々しい邪気を放つ闘鬼神の柄を握ると、剣を包む怪しげな邪気が蒸発していくさまが見える。これには刀々斎も驚きを隠せなかった。そして、しばらく前に犬夜叉の血の匂いが変わったことを探るため、殺生丸は闘鬼神を振るい、犬夜叉に襲いかかる。だが、やはり半妖の血の匂いしかないことを確かめると殺生丸は犬夜叉の鉄砕牙を弾き飛ばした。 犬夜叉は丸腰で挑み掛かるが、殺生丸は闘鬼神の剣圧だけで犬夜叉の全身を切り裂き吹き飛ばす。すると犬夜叉の髪が怪しくざわめき、再び妖怪に変化しかけ・・・。
いつものように犬夜叉の一行は奈落の城を探す旅を続けていた。かごめが四魂のかけらの気配を感じ取ると妖狼族(ようろうぞく)の若頭・鋼牙が突然、現われ、奈落の城の場所を教えろと言う。
しかし、犬夜叉たちも知らないことを悟るとすぐさま去っていった。 一行と別れた鋼牙は、その夜、最猛勝(さいみょうしょう)の群れを見つけ匂いを頼りに森の茂みへと飛び込んでいった。すると奈落の新たな分身に遭遇する。その名は獣郎丸。口には轡をはめられ、両手は鎖でつながれているにもかかわらず、その素早さは鋼牙を凌駕していた。身の危険を察知した鋼牙はすぐに逃走する。 間もなく、犬夜叉も奈落の匂いを嗅ぎつけ、その場へ駆け付けた。そこへ逃走する鋼牙とすれ違いざま、鋼牙を追ってきた獣郎丸と対面。獣郎丸は鋼牙を追おうとするが犬夜叉に気付き、襲いかかる。そこに現われた奈落が獣郎丸の轡と手かせを外した刹那、獣郎丸の手が光の鎌となって奈落の傀儡の首をはねとばした。犬夜叉たちはその見境のなさに驚く。
そして犬夜叉と獣郎丸がぶつかり合った瞬間、獣郎丸の右手がいきなり光の鎌となって伸び、犬夜叉の顔に襲いかかる。 いっぽう、逃走していた鋼牙は妖狼族の手下にかごめの危機を指摘され、慌てて犬夜叉たちの元へ舞い戻る。 獣郎丸の右腕が光の鎌となって自由自在に伸び、続けざまに犬夜叉を襲う。ついに鉄砕牙を抜いた犬夜叉は獣郎丸の右腕を叩き斬ったかに見えた。が、光の鎌に見えたものは小さな妖怪・影郎丸(かげろうまる)。その両手はカマキリのような鎌を持ち、胴体は蛇で顔だけ獣郎丸と瓜二つであった。影郎丸は獣郎丸の腹の中に封印されていたが、轡を外され外に飛び出してきたのだ。獣郎丸は影郎丸の言うことしか聞かず、高速で連携し犬夜叉に攻撃を仕掛ける。
弥勒も風穴で対抗するが、影郎丸の素早さに追いつけない。しかもかごめの後方から影郎丸が両手の鎌を振り上げ襲いかかってきた。そこへ横から鋼牙が飛び出してきてかごめの危機を救う。 かごめを助けた鋼牙は犬夜叉と言い争いながらも獣郎丸と影郎丸の2体の妖怪と闘うが、土中にまで潜る影郎丸に苦戦し・・・。
鋼牙とのやりとりで再び犬夜叉とけんかしてしまったかごめは骨喰いの井戸を通って現代に戻ってしまう。しかしかごめは薬と包帯を取りに現代に行くだけで、すぐに戻るつもりでいた。
その頃、鬼蜘妹の心が強く残る奈落は鬼蜘味の桔梗に対する想いがうとましく思い、その心を消し去るため巨大な死魂虫を桔梗に差し向けた。 桔梗が身を寄せている古寺の上空に不吉な暗雲が立ち込めると、その中で逃げまどう死魂をおいかける巨大死魂虫の影が。桔梗は弓をつかむと矢筒を肩に掛け、馬に乗り飛び出していった。
馬を降り上空を見上げた桔梗が弓をかまえ巨大死魂虫に向かって矢を射ると、矢は光の帯となって飛んでいく。が、巨大死魂虫は光の矢に気付き難なくかわしてしまう。そして超音波のような奇声を上げると両目が妖しく輝き、次の瞬間、桔梗の身体から数個の死魂が飛び抜けていく。死魂を抜かれた桔梗は体の力が抜け、いつもの力が出せず馬に乗って逃げ出す。辛くも逃げのびた桔梗だが、いつの間にか、かつて犬夜叉を封印した御神木と骨喰いの井戸の近くまできていた。
いっぽう、かごめに謝れと弥勒たちから責められた犬夜叉は、反発しながらも現代に戻ってしまったかごめが気になって骨喰いの井戸まで足を運んでいた。そこへ、死魂を抜かれて衰弱した桔梗が現れる。最猛勝(さいみょうしょう)と巨大死魂虫を見つけた犬夜叉は奈落の目論見を察して襲ってきた巨大死魂虫に向かって鉄砕牙を振り上げた。すると断末魔の叫び声を上げて絶命する巨大死魂虫の身体から無数の死魂の光が飛び出していく。
桔梗を助けた犬夜叉は、今でも50年前と同じ想いで桔梗を愛していると打ち明け、さらに1人で奈落を滅ぼそうとしている桔梗の身を案じ、守るのは自分しかいないと桔梗を抱きしめる。その桔梗と犬夜叉を偶然、戦国時代に戻ってきたかごめは目撃してしまい…。
奈落の差し向けた巨大な死魂虫(しにだまちゅう)から桔梗を助けた犬夜叉は、思わず桔梗を抱きしめる。その現場を目撃してしまったかごめを犬夜叉は悟りきったような表情で真っ直ぐ見つめた。かごめはその場にいられなくなり、後ずさりをするときびすを返して駆け去っていった。そして楓(かえで)の家に医療用品を置くと、再び現代へ戻ってしまう。 桔梗を守ることを選んでしまった犬夜叉は2度とかごめとは会わないと心に決める。いっぽうかごめもまた、犬夜叉の気持ちを察し戦国時代へは戻れないと思うのだが、手元には四魂のかけらが残っていた。かごめはそれを返したら全部おしまいにして現代の普通の生活に戻ろうと考えていた。
突然、家に舞い戻り何かに悩んでいるかごめを弟の草太とじいちゃんは心配する。 かごめがため息をつきながら久しぶりに学校に登校すると、後方から親友の仲良し3人組が駆け寄ってくる。そして以前言っていた二股男にかごめが振られたと聞き、いろいろ聞き出そうとするが、かごめの作り笑顔に何も聞けないでいた。
弥勒は犬夜叉が桔梗を選んだ以上、かごめに現代から帰ってこいというのは酷であると考える。しかし、井戸を通ってかごめのいる現代に行けるのは犬夜叉しかいないので、弥勒は犬夜叉にかごめから四魂のかけらを回収してこいと命じた。楓は骨と土で作られた死人の桔梗の望みは犬夜叉とともに死ぬことであり、所詮(しょせん)この世では一緒になれる運命ではないと説得するが犬夜叉の決心は固い。 その頃、かごめは現代の御神木の前で五百年前、初めて犬夜叉と出会ったことを思い出していた。そして桔梗がいなくなってしまえばいいと思うほど犬夜叉が好きだったと自覚する。そこへかごめの気持ちを汲み取った母親が現れ、かごめを抱き締めるとそっと勇気づけた。母親の言葉に勇気づけられ、戦国時代に戻ったかごめは犬夜叉と再会し・・・。
現代から戦国時代に戻ってきたかごめは、犬夜叉の一行とともに八衛門狸の案内で奈落の城跡にたどり着く。初めは奈落の城かどうか疑っていた犬夜叉だったが、珊瑚が父親の鎧の破片を発見し、ここが奈落の城跡だと確信する。そこで弥勒は土の中から遺品を掘り出すと、近くの丘の一角に埋葬し供養した。その背後で犬夜叉たちも手を合わせる。
その頃、城跡の麓の村では珊瑚の弟・琥珀が記憶をなしく老夫婦の世話になっていた。そこへ飛来した最猛勝の群れに襲われた琥珀は、奈落に殺されそうになり城から逃げてきたことを思い出す。琥珀は助けてくれた老夫婦に危害が及ばないようにと、その家を後にする。しかし、山道を走りつづける琥珀に奈落の差し向けた妖怪が襲いかかり、琥珀の命をつなぎとめている四魂のかけらを回収しようとした。
かけらの気配を察知した犬夜叉の一行は、琥珀が妖怪に襲われているところを発見し危ういところで救出する。弟との再会を喜ぶ珊瑚だが、琥珀は珊瑚のことをまったく覚えていなかった。珊瑚は自分が何者かもわからず心細くなっている琥珀に自分が姉であることや、退治屋の里での思い出をやさしく語りかけた。が、奈落に操られた琥珀が父や仲間を殺してしまったことは話せない。しかも琥珀を信じたい珊瑚は奈落の罠と疑う犬夜叉と大声で言い争いになってしまう。そのやりとりを聞いてしまった琥珀はそっと姿を消そうとする。それは自分に関わると珊瑚が自分の追手との争いに巻き込まれてしまうと考えての決断だった。 そこへ無数の妖怪と最猛勝が琥珀の身体に埋まっている四魂のかけらの気配を追って現れる。琥珀がいないことに気づいた珊瑚はかごめと琥珀を守るために雲母(きらら)に乗って追いかけた。
いっぽう犬夜叉と弥勒の前には神楽(かぐら)が現れ琥珀の身柄を要求する。目的は琥珀の背に埋められた四魂のかけらであった。 琥拍を追っていた珊瑚とかごめは妖怪たちに取り囲まれた琥珀を発見し、その中へ飛び込んでいく。
奈落の元から逃げ出した珊瑚の弟・琥珀から四魂のかけらを奪いにきたという神楽(かぐら)の言葉を信じた犬夜叉と弥勒は、琥珀を逃がすため追手の足止めを引き受けた。犬夜叉と弥勒は無数の妖怪の前に悠然と立つ神楽と対時する。
しかし、琥拍をかばって逃げたかごめは突然、奈落に操られた琥珀によって右腕を負傷してしまう。奈落の狙いはかごめの命だったのだ。奈落の支配下にあり、よどんだ眼をした琥珀は無表情のまま鎖鎌を振りかざそうとするが、なぜか琥珀の動きがピタリと止まる。琥珀の心の中の葛藤がかすかに見てとれたかごめだが、その微妙な変化に気付いたとき、出雲(きらら)に乗って珊瑚が駆け付けた。琥珀は新手の出現に逃げ去ってしまう。珊瑚は弟がかごめを傷つけたことをわびると、今にも泣き出しそうな表情で琥珀を追った。そんな珊瑚の顔には悲壮な決意があった。
いっぽう、妖怪たちを引きつけておくため背後にあるお堂の中に琥拍がいるように見せかけていた犬夜叉と弥勤は妖怪たちと熾烈な闘いを繰り広げていた。が、まだ鉄砕牙が重くて自由に扱えない犬夜叉は神楽を前に苦戦を強いられる。その時、お堂が壊され中に誰もいないと知った神楽と妖怪が、目的のはずの琥珀を追いかけようとしないことから犬夜叉たちは自分らの方が足止めされていたと悟る。弥勒は犬夜叉をかごめの救出に向かわせるため、右腕に巻いてある数珠をはずすと毒虫共々、大量の妖怪を吸い込んだ。だが神楽だけは取り逃がしてしまう。
かごめの元に駆け付け、無事を確認した犬夜叉は琥珀がかごめに止めをささなかったことを知ると、たとえ奈落に操られていても琥珀には人の心が残っていると確信し、すぐさま珊瑚と琥珀の後を追った。 その頃、琥珀を追いつめた珊瑚は琥珀に馬乗りになって剣を振り上げようとする。珊瑚の両目には涙が溜まっていた。そして「おまえを殺して、あたしも死ぬ!おまえを奈落から取り戻すには…それしかないんだ!!」と叫ぶとボロボロ涙をこぼしながら珊瑚は剣を琥珀に突きたて…。
珊瑚(さんご)の弟・琥珀(こはく)を使った奈落の罠で風穴から最猛勝(さいみょうしょう)の毒を吸い込んだ弥勒は小屋で寝込んでいた。身を犠牲にして闘ってくれた弥勒を看病する珊瑚を弥勒は逆に元気づける。しかし、そんな中でも弥勒は珊瑚にセクハラをすることを忘れはしなかった。また、弟の罠にかかりながらも普段と変わらない犬夜叉たちの態度に、珊瑚は改めて仲間たちの有り難さを感じていた。
同じ頃、犬夜叉の変化の謎を探る殺生丸は深い森の中で道無き道を進んでいた。そこへ突然、どこからともなく声がすると、パキパキと木の表皮がひび割れ朴の木の幹の一部が盛り上がり老人の顔が浮かび上がった。この老人こそ鉄砕牙と天生牙の鞘(さや)を削り出した朴の木の妖怪・朴仙翁。朴仙翁は殺生丸に半妖である犬夜叉は追いつめられ命が危険にさらされると、身を守るため妖怪の血が身体を支配し変化してしまうと明かした。さらに、それを封じていたのが鉄砕牙であり、犬夜叉が鉄砕牙を手放し変化を繰り返せば妖怪の血に心を喰われ、ついには化け物になってしまうだろうとも告げた。
いっぽう弥勒の体調が回復した犬夜叉の一行は旅を再開した。途中、あぜ道を踏み外した老人を助けた犬夜叉は、その孫の少年と一緒に村の近くまで送り届ける。しばらくして血の臭いに気がついた犬夜叉たちが村へ引き返すと村が夜盗に襲われていた。 村に駆け付け夜盗の頭と対峙した犬夜叉と弥勒は、その正体をすぐさま妖怪と見破る。そこで正体を現した妖怪・蛾天丸は村の女を犬夜叉に投げつけ、その隙をついて口から毒粉を吹きつけた。犬夜叉は片目がつぶれ胸を傷つけられながらも鉄砕牙を振り下ろす。これをかわした蛾天丸が、口から犬夜叉の手元に粘液を浴びせると、犬夜叉は鉄砕牙を思わず手放してしまう。再び犬夜叉に蛾天丸から粘液が浴びせられようとしたとき、弥勒は錫杖(しゃくじょう)を差し出し結界を張りめぐらした。すると蛾天丸の粘液が犬夜叉と弥勒を取り巻き、2人は毒繭(まゆ)の中に封じ込められてしまう。
村を襲った夜盗の頭に扮した妖怪・蛾天丸と対決した犬夜叉と弥勒は、蛾天丸によって毒繭に閉じ込められてしまう。毒繭の中で咄嗟に結界を張った弥勒だが、その気力も限界に近づき、さらに蛾天丸に傷つけられた犬夜叉の傷も広がり始め2人は絶体絶命のピンチに陥る。そんな2人をあざ笑うように蛾天丸は2人の目前で夜盗の1人が差し出した村娘を餌食にした。怒りに打ち震える犬夜叉だが、全身に毒がまわりどうすることもできない。心臓だけが怒りに大きく脈打ち、犬夜叉の目の奥がかすかに赤く輝き始める。
すると突然、倒れていたはずの村の老人が起き上がり、鉄砕牙を夜盗から奪うと、決死の覚悟で犬夜叉に手渡そうとする。しかし、寸前で阻まれてしまう。
そこへかごめたちが駆け付けると、老人は最後の力をふりしぼりかごめに鉄砕牙を託した。珊瑚は襲ってくる夜盗たちの剣を飛来骨で払いのけるが、多勢に無勢で向かってくる夜盗についに前後左右を囲まれる。 いっぽう、弥勒の気力も弱まり結界の輝きが弱々しく明滅すると、次第に繭の中の空間が小さくなる。そして、ついには結界の輝きが消え、繭がどんどん弥勒と犬夜叉にせまってくる。
そのとき・・・、犬夜叉が繭を突き破り飛び出した。赤い目を輝かせ牙をむき出しにしながら夜盗を一撃で追い払う犬夜叉の姿は妖怪に変化してしまっていた。蛾天丸は妖怪の本性を現し、巨大な蛾となって犬夜叉に嵐のように毒粉を浴びせるが、犬夜叉は微動だにしない。さらに蛾天丸は毒繭の糸を吹きつけるが、妖怪となった犬夜叉の敵ではなく、あっと言う間に蛾天丸は粉砕されてしまう。 頭をやられた夜盗の一味は一斉に逃げ出すが、爪をむき出しにした犬夜叉は命乞いする夜盗たちを笑みを浮かべながら切り裂こうとする。これを止めようとするかごめの声も犬夜叉の耳には届かなかった。
そこへ突然、殺生丸が姿を現す。妖怪に変化した犬夜叉を見た殺生丸は・・・。
蛾天丸(がてんまる)との闘いで妖怪に変化していた間のことを何も覚えていなかった犬夜叉は、このままだと妖怪に変化したときかごめにも危害をくわえてしまうかもしれないと思い、1人で刀々斎の元を訪ねた。そして犬夜叉は自分の妖怪の血を封じ込めている鉄砕牙を軽くするための方法を刀々斎に尋ねる。
刀々斎は新しい鉄砕牙が重くなってしまったのは、鉄砕牙を修復するために刀に打ち込んだ犬夜叉の牙が父親の牙の強さに追いついていないからだと明かす。しかし、鉄砕牙を手放してしまうと、犬夜叉は命を守るために妖怪に変化してしまう。そこで刀々斎は「竜骨精を斬れ」と助言する。竜骨精とはかつて犬夜叉の父親が闘って封印した大妖怪。その妖怪を斬れば、父親の強さを超えられるからだ。
竜骨精の眠る谷に案内する途中、冥加はくれぐれも封印されたままの竜骨精の心の臓を貫くだけだと釘を刺す。しかし犬夜叉は寝首をかくような真似は嫌いだと不満顔だ。そんな2人の様子をひっそりと最猛勝(さいみょうしょう)がうかがっていた。 深い霧の立ち込める竜骨精の谷に到着した犬夜叉は険しい断崖をよじ登っていく。
すると、崖に巨大な竜の妖怪が微動だにせず封印されている姿が浮かび上がる。その灰色の胸には犬夜叉の父親の爪が突き刺さっていた。 そのとき、爪の上に人影があることに気づく犬夜叉。凝視すると、その人影は狒々の皮をかぶった奈落であった。奈落は封印の爪を瘴気で溶かし、竜骨精を蘇らせ犬夜叉を始末しようと考えていた。そして竜骨精の胸の奥まで刺さった爪が消失すると不気味な心臓の音が響き始め、竜のまぶたがゆっくりと開いていく。それに呼応するがごとく、暗雲が立ち込め、不気味な妖気が漂う。
初めから封印されていた竜骨精を斬ることに不満を持っていた犬夜叉は、目覚めた竜骨精に正面からぶつかっていった。崖から飛び出した竜骨精は巨体に似合わず、驚くほどのスピードで犬夜叉に向かっていく。犬夜叉は眼前に迫る竜骨精の爪の傷跡をめがけて渾身の力で鉄砕牙を振り下ろすが、まったく歯が立たない。 その頃、犬夜叉の行方を探して刀々斎の元を訪れていたかごめたちも竜骨精の谷へと向っていた。
妖怪の血を封じ込める鉄砕牙を軽くするために、かつて犬夜叉の父が封印した竜骨精と対決した犬夜叉だが、竜骨精の凄まじいパワーに弾き飛ばされ、ついに鉄砕牙を手放してしまう。その瞬間、妖気の鼓動が脈打ち始め、妖怪に変化した犬夜叉の目は真っ赤に燃え上がった。これまでにない超速の動きで竜骨精を翻弄する犬夜叉は鋭い爪で竜骨精の胴体を切り裂く。怒りをあらわにした竜骨精は口を開くと閃光のエネルギー弾を放った。しかし、それをジャンプ一番でかわした犬夜叉は竜骨精の懐に飛び込み、強烈な一撃を見舞わせる。
そんな犬夜叉の闘いぶりを見ていた刀々斎は、かごめたちに引き上げを命じて、この闘いの場から飛び去ろうとする。このままだと、妖怪に変化した犬夜叉はたとえ竜骨精に勝っても、次は自分たちに危害を加えると考えたからだ。だが、かごめだけは闘っている犬夜叉を残して逃げることはできないと、1人その場に残る決意をする。
その時、大地に突き刺さっている鉄砕牙に向け一歩一歩突き進む犬夜叉の姿があった。犬夜叉もまた、自分の中に流れる妖怪の血と必死に闘っていたのだ。
次の瞬間、竜骨精が口から閃光のエネルギー弾を放つと、真っ直ぐに犬夜叉の背中に向かい迫っていった。だが、背中の鞘の結界が犬夜叉を守りエネルギー弾の直撃を防いだ。再び竜骨精からエネルギー弾が放たれるが、弥勒が風穴を開きエネルギー弾の軌道を曲げさせる。そしてついに犬夜叉が鉄砕牙に届き、柄を握りしめると、とたんに妖怪の邪気が抜けていく。
そんな犬夜叉の闘志が鉄砕牙の脈動を呼んだのか、今まで振るのもやっとだった鉄砕牙がどんどん軽くなっていく。この機とばかりに立ちはだかる巨大な竜骨精に向けて全速力で走り出した犬夜叉は、竜骨精の心臓を鉄砕牙で貫いた。すると鉄砕牙の刃の周囲に風の傷がとり巻き、犬夜叉はいつでも「風の傷」を出せるように進化していた。だが、竜骨精は風の傷を浴びても体には傷一つつかない。
そこへ竜骨精が、オーラを最大限に高めたエネルギー弾を犬夜叉に向けて放った。避けきれないと判断した犬夜叉は逃げもせず、そのエネルギー弾に向かって跳び込んでいく。
四魂のかけらの噂を聞きつけ、犬夜叉の一行はとある村を訪れた。しかし、かごめは四魂のかけらの気配をまったく感じていなかった。 そんな中、七宝はその村でサツキという少女と知り合いになる。生まれてまもなく親を亡くしたサツキは戦(いくさ)で大手柄を立てて、村に帰ってくると言った唯一の兄をひたすら信じて待っていた。しかもサツキは兄がたとえ死んでいても、生きて帰ってくると言う。ただならぬ口調に少し身を引く七宝にサツキは兄がくれたという宝物を見せる。サツキが懐を探って出したのは川面の反射にきらきら光る石の破片、四魂のかけらであった。
いっぽう、村の名主の家でトカゲ妖怪を祓(はら)っていた犬夜叉の一行の元に、七宝が四魂のかけらを見つけたと言ってサツキを連れてきた。しかし、サツキの持っていた四魂のかけらは「石の花」…いわゆる石英であり四魂のかけらではなかった。本当のことを言えない七宝はニセのかけらを信じて兄を待つ寂しいサツキの境遇を心配する。 翌朝、刀を杖にして足を引きずった侍姿のサツキの兄が帰ってくる。優しい笑みの兄に思わずサツキは抱きついた。
いっぽう、せめて別れのあいさつをしようとサツキの家へ向った七宝はサツキから兄が帰ってきたことを知らされ驚く。サツキの家へ着いた七宝は、さこでサツキの兄がトカゲの妖怪が化けたニセモノだと見抜くが、逆に殴り飛ばされ、サツキを人質に取られてしまう。さらにサツキが四魂のかけらと信じている石を握りつぶした妖怪は七宝に本物の四魂のかけらを持ってこいと迫る。
サツキをだましたことに怒った七宝は狐妖術でサツキを救い出し、サツキを逃がすと1人でトカゲ妖怪に闘いを挑んだ。分身した七宝は爆雷筒(ばくらいづつ)を投げつけ、トカゲ妖怪の首にかみつくが、七宝の小さなあごでは歯が立たない。呆気なくたたき落とされてしまう。だが、歯をくいしばった七宝がクラクラする頭を上げ、キッとトカゲ妖怪をにらむと…。
奈落を探す旅を続けていた犬夜叉の一行だが、弥勒が美女にだまされ路銀をスリ盗られてしまう。しかし、またもこりずに村娘に近付いていった弥勒は、彼女たちから村の男たちが妖怪にたぶらかされ、山に入って帰ってこないと打ち明けられる。さらに妖怪が絶世の美女らしいと聞いた弥勒は1人で退治に行こうとするが、弥勒を心配する珊瑚も同行することになった。
この山には戦に負けて逃げのびた落ち武者が住み着いたという話を村人から聞いた珊瑚は、最後の生き残った姫が死に、その怨念が妖怪化したものではないかと推理する。しばらくすると、2人の前方に空間が歪む結界が現れた。珊瑚に数珠を渡した弥勒は2人で結界の中に突進していく。 しかし、妖気の霧で珊瑚と引き離された弥勒は霧の中に浮かぶ公家屋敷の前にたどりつく。屋敷の正面に姿を現した美しい姫に誘われるまま、弥勒は屋敷の中に入っていった。一方、珊瑚は年をとった村人を発見。妖怪が若さを吸い取ると知り、珊瑚は急いで屋敷の方へ向かった。
そのころ、神殿に招き入れられた弥勤は杯(さかずき)を手に姫から酌(しゃく)を受けると、優しく姫を抱き寄せる。そこに駆け込んできた珊瑚は、意識を失ったかのような弥勒と、取りつくようにすがりつく姫を見つけ、飛来骨を構える。珊瑚が弥勒に声をかけると、怪しい姫は黒髪が白く変わり、山犬の化け物へと変化していった。
しかし、先ほど弥勒から渡された数珠の力により、山犬は珊瑚の姿を見つけることはできない。そこで目を覚ました弥勒は飛来骨(ひらいこつ)を投げようとする珊瑚を止め、懐から取り出した護符を投げつける。すると、バチバチと山犬の身体を護符が焼き、その中に苦しそうな姿をした姫が浮かび上がる。錫杖(しゃくじょう)で山犬の身体を払うと、姫の姿が弾き出された。
猛り狂った山犬は弥勒たちに猛然と襲いかかる。珊瑚も飛来骨を投げつけ応戦するが、手負いになった山犬が珊瑚の方をにらみつけると、珊瑚の手首の数珠が砕け散った。そこで珊瑚の姿を確認した山犬は鋭い爪の一撃を振り下ろす。珊瑚は飛来骨で受けとめるが、その飛来骨に亀裂が走り…。
楓(かえで)の村に向かう犬夜叉の一行は、途中、人間を養分にして育つ妖木・人面果(にんめんか)の実を発見する。そこで、調査に向かった犬夜叉たちは崖の上にそびえ立つ巨大な人面果の樹木を発見。 犬夜叉は、この木を切り倒そうと1人で崖の上に向かう。
しかし、人面果の前に仙人の桃果人(とうかじん)が立ちふさがり、 犬夜叉を瓢箪(ひょうたん)の中に吸い込んでしまう。 旅を続ける犬夜叉の一行だが、かごめは学校の模擬試験を受けるため3日間だけ現代に帰りたいと犬夜叉に頼み込む。また、珊瑚も山犬との闘いでヒビが入った飛来骨(ひらいこつ)を直すため、退治屋の里に帰りたいと言う。そこで、珊瑚は退治屋の里へ、かごめたちは現代に通じる骨食いの井戸がある楓の村へ向かった。その途中、犬夜叉たちは川上から流れてくる果物の実を見つける。
七宝が拾い上げると表面には苦悶の表情を浮かべる人の顔のようなくぼみがあった。人間を養分にする妖木・人面果の実と知った犬夜叉たちは、流れてくる実があまりに多いため、川の上流を調査することに。深い霧の中を進む犬夜叉たちは、断崖絶壁の上から人面果が落ちてくる場所を発見する。上を見ると崖の上に鬱蒼と生い茂る巨大な人面果の樹木が!犬夜叉は人面果を切り倒そうと1人で崖の上に向かっていく。この日は犬夜叉の妖力が消えて人間になる朔(さく)の日であるため、日が暮れる前にすべてを終わらせようとしていたのだ。
しかし、崖の上に駆け上がった犬夜叉の前に仙人の桃果人が立ちふさがる。人面果を育てた張本人が、桃果人と知った犬夜叉は鉄砕牙を一閃させた。だが、桃果人の肉体は犬夜叉の鉄砕牙を弾き返す。さらに腰から瓢箪を取り出した桃果人は、犬夜叉を瓢箪の中に吸い込んでしまう。いっぽう、犬夜叉を心配したかごめたちは、七宝に乗って崖の上に上がろうとするが、かごめと弥勒の重さを支えきれない七宝は失速。危うくせりだした崖に飛び移り、草木の上に着地する。しかし、草木は底抜けでかごめたちは洞窟の中に落ちてしまう。その洞窟の中でかごめたちは、小さな小さな人間が歩いている箱庭を発見する。驚愕したかごめたちが箱庭の中をさらに覗き込もうと顔を近づけると、3人は箱庭の中に吸い込まれてしまう。
同じころ、桃果人の瓢箪に吸い込まれた犬夜叉は、溶解液に浸っていた。何とかして外に出ようと、瓢箪の内壁に爪を立てるが、薄い傷跡しかつかない。間もなく、日が沈み犬夜叉の髪が色濃くなっていく。ついに人間になってしまった犬夜叉に溶解液が迫り…。
妖木・人面果(にんめんか)を切り倒すため、1人崖の上に駆け上がって行った犬夜叉を心配したかごめたちは、絶壁の上へ登るろうとするが、途中で見つけた箱庭に囚われてしまう。箱庭の中で小さくなったかごめたちは何とかして壁に穴を開けて脱出しようと試みる。しかし、謎の仙人・桃果人によって、かごめは1人だけ連れ去られ、残る弥勒と七宝は小さな穴から箱庭を脱出し、犬夜叉の下へと急いだ。
いっぽう、朔の夜を迎え妖力を失った犬夜叉も桃果人との闘いで虜にされていた。桃果人に捕まり茨の根に巻き付けられた犬夜叉は、桃果人が持ってきたかごめの衣服を見て怒りをあらわにし、茨の根ごと引き抜こうとする。その様子を見ていた弥勒は、小さな姿のまま犬夜叉を捕らえている茨の根を風穴を使って天井ごと吸い込んだ。
すると、犬夜叉の渾身の力と相まって天井の岩が崩れ、桃果人を生き埋めにする。茨の根から介抱された犬夜叉は、その隙に弥勒たちと共にかごめを助け出した。しかし、妖力のない犬夜叉は、あまりに血を流し過ぎたため気絶に近い状態で倒れ込んでしまう。桃果人の家を脱出しようとしたかごめは部屋の隅にあった鉄砕牙と弓矢を見つけ、犬夜叉が妖力を取り戻す夜明けまで、自分が皆を守ろうと決意を固めた。
そんな中、かごめたちは人面果の木の脇に老仙人の顔をした花を見つける。その老仙人の話によると、ひと月ほど前、四魂のかけらで妖力を得た人面果は、老仙人の弟子であった桃果人をたぶらかし、自らの実を与えて仙力を持たせ操り始めたという。さらに、不老長寿の薬の作り方を聞き出すため、師匠を花に変え、人面果から四魂のかけらまでも奪ったと語った。
そこへ、犬夜叉たちを追って桃果人が現れる。犬夜叉は人の姿のまま桃果人に立ち向かうが、まったく歯が立たない。老仙人はせめてもの罪滅ぼしにと最後の力を振り絞って、弓矢へと変化した。その弓矢を握りしめたかごめが桃果人に狙いをさだめると矢を放つと、光に包まれた矢は桃果人の身体を突き抜け、四魂のかけらを押し出した。怒り狂った桃果人は、かごめに向かってすごい勢いで突進する。が、崖っぷちに立っていたかごめに逃げ場はない。2人の間に飛び出した犬夜叉はかごめをかばって桃果人もろとも、深い崖の下へと落ちていった…。
飛来骨(ひらいこつ)を修理するため妖怪退治屋の里に戻っていた珊瑚は、そこでセリナとスズナの姉妹に出会う。彼女たちは退治屋の噂を聞きつけ、弟子入りを志願するために里を訪れたのだった。その夜、武器庫に忍び込む2人の姿が!
彼女たちの真の目的は弟子入りではなく、妖怪退治の武器を手に入れることにあった。 現代に戻っていたかごめが骨食いの井戸を通って戦国時代に戻ってきた。が、いっぽうで妖怪退治屋の里に向かった珊瑚は、いまだ飛来骨の修理のため戻ってこない。退治屋の里にある武器倉庫に立てこもった珊瑚は山と積まれている妖怪の骨や皮膚などを使って、何とか飛来骨のひび割れをふさいだ。
修理後、里のはずれにある墓地を訪れた珊瑚は父と仲間の墓に花を手向け手を合わせた。父との思い出を回想していた珊瑚は不穏な気配を感じ取り緊張する。その瞬間、珊瑚めがけて石つぶてが飛来するが、珊瑚は難なくこの石つぶてをかわした。彼女を襲ったのは2人の姉妹、姉のセリナと妹のスズナだった。彼女たちの話によると、村で鎮守の森を切り開いたところ、妖怪たちが現れ始め何人もの村人が犠牲になったという。そこで退治屋の噂を聞きつけた2人は、弟子入りするために里を訪れたのだった。妖怪退治の技を教えて欲しいと頼まれた珊瑚は、セリナとスズナに妖怪を追い払う方法を教えることを決心する。
早速、珊瑚から妖怪退治の武具を配られた2人は、その武具を見てあっけに取られる。それは、団扇とほっかむり用の手拭いだった。珊瑚は村を守るには妖怪の嫌いな粉を使って煙をたけば充分だと考えたのだ。もっと派手な技を教えてほしいと頼むスズナに珊瑚は半端な技を身につけたら、かえって危ないと諭す。
その夜、武器小屋に忍び込むセリナとスズナの姿があった。実は2人は忍びの村の出身で、妖怪に滅ぼされた村の仇を取るため妖怪退治の武器を手に入れようと里に近づいたのだ。2人は妖怪の材料を背負うと珊瑚を振り切って逃げていった。しかし、妖気の取り除いていない武具まで持ち去った2人は妖怪の大群に襲われ…。
声の出演
犬夜叉:山口勝平
日暮かごめ:雪乃五月
七宝:渡辺久美子
弥勒:辻谷耕史
珊瑚:桑島法子
スズナ:山崎和佳奈
珊瑚の父:田中正彦
セリナ:田口宏子
父:松本 大
妖怪達:今村卓博
妖怪達:眞水徳一
妖怪達:小谷津央典
50年前に桔梗に破れた黒巫女・椿(つばき)を呼び寄せた奈落は、彼女を使って再びよからぬ企みを思いつく。奈落は椿に四魂の玉との引き換えにかごめに呪いをかけさせたのだ。すると、かごめの持っていた四魂のかけらが突如黒く輝きだし、かごめの体内に入っていった。弥勒と珊瑚は呪詛をかけた黒巫女を探し出そうとするが…。
現代に帰ったかごめは久しぶりに授業を受けた。しかし、どの科目も勉強が遅れているためまったく分からず落ち込んでしまう。そんなかごめを見た仲良し3人組の友人は、また彼氏のことで悩んでいるのかと心配する。かごめは犬夜叉とは仲直りできたので大丈夫だと言うと、再び元気を取り戻して戦国時代へ戻って行った。
その頃、奈落は1人の老婆を城に呼び寄せていた。彼女は50年前、四魂の玉を奪い取ろうとして桔梗と闘い破れた黒巫女の椿。突如、美しい巫女へと変貌した椿は妖怪に魂を売って若さを保っていた。椿は四魂の玉と引き換えという条件で奈落の企みに応じる。骨食いの井戸から戦国時代に戻ったかごめは草むらの中に足を下ろした瞬間、何かに足をかまれて慌てて足を引っ込めた。かごめを迎えにきた犬夜叉は、妖しい人影を切り裂くが、千切れた紙が舞うだけである。それは椿が放った式神であった。
式神を駆使してかごめの血を奪った椿は、四魂の玉を使ってかごめに呪いをかける。すると、かごめが身につけている四魂のかけらが黒く染まっていく。さらに弾け飛んだ四魂のかけらは黒い輝きを放ちながら、かごめの体内に溶け込んでいった。精気を失っていくかごめを見た楓(かえで)は黒巫女がかごめを呪っていると見抜く。
弥勒は珊瑚と共に黒巫女を探し出して倒すことを決意し、邪気の感じる方角に雲母(きらら)に乗って飛んで行った。いっぽう、犬夜叉はかごめの側に付きっきりで看病していた。するとかごめの体内に入った四魂のかけらが黒く輝き、かごめの脳裏に「犬夜叉を殺せ!」という声が響きわたる。必死に抵抗するかごめだが…。
声の出演
犬夜叉:山口勝平
日暮かごめ:雪乃五月
七宝:渡辺久美子
弥勒:辻谷耕史
珊瑚:桑島法子
桔梗:日髙のり子
楓:京田尚子
じいちゃん:鈴木勝美
ママ:百々麻子
日暮草太:中川亜紀子
奈落:森川智之
神楽:大神いずみ
由加:清水香里
絵理:増田ゆき
あゆみ:岡本奈美
椿(乙女):山田美穂
椿(老婆):有馬瑞香
式神:西前忠久
教師:中嶋聡彦
黒巫女・椿(つばき)に操られたかごめはついに犬夜叉に矢を放ってしまう。しかし、間一髪で矢をそらしたかごめは四魂の玉の気配を感じ取り、犬夜叉と共に椿のいる祠(ほこら)へと向かった。いっぽう、椿の元に突然桔梗が現れ…。
黒巫女・椿に操られたかごめは必死で抵抗するが、ついに犬夜叉に向けて矢を放ってしまう。いっぽう、椿のいる祠に向かった弥勒と珊瑚だが、強い結界に阻まれて中に入ることができない。そこへ弓を持った桔梗が現れる。桔梗はたじろぎもせず結界の中に踏み込んで行った。
祠では椿の背後に笑みを浮かべる奈落の姿があった。しかし、弓鳴りの音がした瞬間、奈落の傀儡(くぐつ)が崩れ落ちる。桔梗が奈落に向けて弓を放ったのだ。桔梗の出現に動揺した椿は、かごめへの呪いを途切れさせた。
間一髪で矢の軌道を外して犬夜叉を助けたかごめは、呪いの力が弱まったことで自由を取り戻す。さらに四魂の玉の気配を感じ取り、犬夜叉に連れて行ってくれと頼んだ。
同じ頃、桔梗と対峙した椿は50年前のことを思い出していた。当時、永遠の若さと美しさを保つため、桔梗から四魂の玉を奪い取ろうとした椿は四魂の玉を守る桔梗に式神を差し向けた。しかし、逆に桔梗によって呪い返しを受け、椿の顔の右半分にはくっきりと式神のうろこが残ってしまう。その後、椿は妖怪に魂を売り、永遠の若さと妖力を得ていたのだ。また、死人の身で現世に留まる桔梗を見くびる椿は桔梗の生まれ変わりであるかごめを侮っていた。
すると突然、四魂の玉を取り巻いていた黒い光が薄まっていき透明度が増していく。玉の気配を突き止めたかごめと犬夜叉が近づいてきたのだ。かごめの霊力は汚れた四魂の玉を浄化していった。ついに椿の居所を突き止めたかごめは犬夜叉に背負われたまま弓を構え、結界を破魔の矢で打ち破る。 そこで、椿がかごめを操って犬夜叉を殺そうとしたことを知った桔梗は…。
声の出演
犬夜叉:山口勝平
日暮かごめ:雪乃五月
七宝:渡辺久美子
弥勒:辻谷耕史
珊瑚:桑島法子
桔梗:日髙のり子
楓:京田尚子
奈落:森川智之
神楽:大神いずみ
黒巫女椿:山田美穂