犬夜叉 ストーリー
魑魅魍魎の跋扈する戦国時代。半妖の少年・犬夜叉は本物の妖怪になるため妖怪の妖力を増大させるという"四魂の玉"を狙って村を襲っていた。しかし、玉を守る村の巫女・桔梗に胸を射抜かれ封印されてしまう。いっぽう、深手を負っていた桔梗も、妹の楓(かえで)に自分の亡骸と共に四魂の玉を燃やせと命じて絶命する。
それから500年が経った現代。由緒ある神社の娘、日暮かごめは平穏な日々を過ごす中学3年生の普通の少女。しかし15歳の誕生日、かごめは境内の洞にある井戸から出てきた妖怪によって井戸の中に引きずり込まれてしまう。その落ちた先にあったのは未だ妖怪うごめく戦国時代であった。井戸からはいでたかごめは、周りの風景が違うことに驚くと同時に、古びた矢によって張りつけにされている犬夜叉を見つける。これが、かごめと犬夜叉の初めての出会いであった。
そこに老婆が現れ、かごめの姿を見て驚き自分の村へ連れて帰る。老婆は50年前、犬夜叉を封印して死んだ桔梗の妹・楓だった。楓はかごめが桔梗とあまりにも似ていることに驚いたのだ。 まもなく突然の静寂を破って村にいくつもの悲鳴がとどろく。かごめを井戸に引きずり込んだ妖怪"百足上臓(むかでじょうろう)"が、かごめを追って村に現れたのだ。村人たちを襲っている妖怪が自分を狙っていることを知ったかごめは、妖怪を村の外に連れ出すため自分を回にして犬夜叉の封印されている森へと向かった。その時、かごめが常人には見えぬはずの森の瘴気が見えることを知った楓は驚愕する。 いっぽう、森に逃げたかごめは必死になって助けを呼ぶ。その声に反応したかのように永遠に封印されているはずの犬夜叉が目を覚ました。
かごめに襲いかかった百足上臓は、左の脇腹を食い破る。すると吹き出る血と一緒に現れたのは、凛然と輝く四魂の玉であった。百足上臓はかごめの身体の中にある四魂の玉を狙っていたのだ。かごめは自分の身体の中から四魂の玉がでてきたことに戸惑い驚く。そのすきをついて百足上臓は犬夜叉の張りつけられている御神木にかごめを巻き付けた。そして余裕を持って四魂の玉を長い舌で拾い上げ、一気に飲み込んだ。すると百足上臓は妖力がみなぎり、さらに凶悪な姿に変貌する。「百足のエサになりたくなければ、この矢を抜け」という犬夜叉の言葉に思い悩んだ末、かごめは犬夜叉を封印している矢に手をかける。
神社の娘・かごめは、15歳の誕生日に境内の祠にある井戸から戦国時代へタイムスリップしてしまう。そこで封印された半妖の少年・犬夜叉と出会う。その地で妖怪"百足上臓(むかでじょうろう)"に襲われたかごめは"四魂の玉(しこんのたま)"を奪われてしまい悩んだ末、犬夜叉の封印を解いてしまう。復活した犬夜叉は百足上臓を一撃で倒すが、四魂の玉を渡せとかごめに襲いかかる。
犬夜叉の鋭い爪は、かごめの立っていた地面を5m程えぐり取った。あわやのところで避けたかごめに再び犬夜叉が迫りくる。その時、楓(かえで)の投げた念珠が犬夜叉の首にかかった。さらに「魂鎮(たましず)めの言霊を!」と促されたかごめは、思わず「おすわり!」と。すると犬夜叉の身体は地上に叩き伏せられてしまう。しかも念珠は犬夜叉の力では外すことはできなかった。
翌朝、かごめを村に連れ帰った楓は、四魂の玉が現世に出てしまった以上、それを狙う悪しき者たちが群がってくるであろうと教える。さらに楓は、犬夜叉に自分が桔梗(ききょう)の妹・楓だと明かす。そして桔梗は50年前、犬夜叉を封印した同じ日に死んだと打ち明けた。「せいせいしたぜ」と言う犬夜叉に楓は、かごめが姉・桔梗の生まれ変わりであると語る。姿形が似ているばかりでなく、神通力が使えること、四魂の玉を体内に持っていたことが何よりの証と。そうである以上、四魂の玉を守らねばならないとかごめを諭した。
翌日、かごめは1人で"骨喰いの井戸"のある森へ向かった。自分が出てきた井戸なら現代に戻れるだろうと推理したのだ。しかし、途中で野武士にさらわれ彼らのアジトである古寺に連れ去られてしまう。そこで待っていたのは「四魂の玉をよこせ~」とかごめに斬りかかってきた野武士のお頭だった。だが、何かおかしい動きを見せる巨漢のお頭は仲間であるはずの野武士たちにも刀を降り下ろしていた。 かごめはお頭に追い詰められ絶体絶命のピンチ。そこへ壁をぶち破って犬夜叉が現れる。死肉の臭いから犬夜叉は妖鳥"屍舞烏(しぶがらす)"がお頭の身体にとりつき死体を操っていると看破する。犬夜叉の攻撃にお頭の身体から飛び出した屍舞烏は、かごめの投げた四魂の玉をくわえ飛び立っていってしまった。間もなく四魂の玉を飲み込んだ屍舞烏は凶悪な姿に変化し、人間を襲い始める。その瞬間を狙って犬夜叉の攻撃が屍舞烏を引き裂いた。しかし四魂の玉を飲み込んでいる屍舞烏はすぐに再生してしまう。かごめの放った破魔の矢は見事、屍舞烏に命中するが、その瞬間、上空にまばゆいばかりの光が流星のように広がっていった。
神社の井戸を抜け、現代から戦国時代へタイムスリップしてしまった中学3年の少女・かごめは半妖の少年・犬夜叉と出会う。2人で協力して"四魂の玉(しこんのたま)"を飲み込んだ妖鳥"屍舞烏(しぶがらす)"を退治するが、屍舞烏から取り戻したのはわずか、一片の破片だけだった。かごめが放った破魔の矢は屍舞烏と一緒に四魂の玉までも打ち砕き、玉はばらばらに飛び散ってしまったのだった。
巫女の老婆・楓は「たとえひとかけでも、強い物の怪の手に渡れば災いの元となろう」と案じ、かごめと犬夜叉に2人で協力して四魂の玉のかけらを集めるように命じる。
しかし、幼稚で喧嘩腰の犬夜叉に怒ったかごめは現代に帰る決心を固め、1人で"骨喰いの井戸"へ向かった。そこへ四魂の玉を狙う妖魔"逆髪の結羅(さかさがみのゆら)"が現れ、かごめに襲いかかってきた。結羅は数本の髪の毛をあやとりのように弄びながら、かごめの懐から髪の毛を使って四魂の玉を奪い取る。かごめは結羅の振りかざす刀を間一髪でよけるが、バランスを崩して井戸の中へ。止めを刺そうとした結羅だが、井戸の中にいるはずのかごめの姿を見失ってしまう。
楓は村の女親に呼ばれ、いきなり倒れたという彼女の娘の元へ。すると突如、娘が起き上がり操り人形のように不自然な振る舞いで包丁を手に襲いかかってきた。結羅が村人を髪の毛で操り、破片の在り処を探ろうとしたのだ。
いっぽう山道で村の娘たちに襲われた犬夜叉は娘たちに手をかけようとした。しかし、そこへ怪我をした楓が現れ「娘たちを傷つけてはならん!」と。みな何者かに操られているだけなので、陰で操っている者を倒さねばならないと言う。まもなく結羅が両手を広げ髪の毛の結び目をギュッと締め上げた。その途端、犬夜叉は背後の大木に縛りつけられてしまう。犬夜叉の首を髪の毛がギリギリと締めつけていく。
「うがぁーッ!」掛け声とともに犬夜叉は髪の毛をプチプチと切断していった。結羅の髪の攻撃を逃れた犬夜叉は、楓を落ち葉の中に隠すと、かごめを探して走り出した。結羅の髪の毛を見極められるのは巫女・桔梗(ききょう)の生まれ変わり、かごめだけだった。 そのころ、結羅に襲われ井戸に落ちたかごめは現代に舞い戻っていた。かごめが自宅の風呂に入り至福の時を過ごしている間、犬夜叉はかごめを探して走り続けていた。
現代から戦国時代へタイムスリップしてしまったかごめは、中学3年生の普通の少女。半妖の少年・犬夜叉と出会い、彼の封印を解いたことから2人で協力して砕け散ってしまった"四魂の玉"を集めることになる。そこへ四魂の玉を狙って妖魔"逆髪の結羅(さかさがみのゆら)"が出現する。しかし、かごめは結羅に襲われ"骨喰いの井戸"に落ち、現代の世界へ戻ってしまっていた。結羅の髪の毛を見極めることができるのはかごめ唯一人。犬夜叉はかごめを探して走りまわった。
その頃、久しぶりに現代の我が家へ帰ったかごめは家でくつろいでいた。かごめは犬夜叉と自分を襲った妖魔・結羅のことが気にかかるが、全てを忘れてしまおうと家族と一緒に夕食のおでんを食べる。そこへ井戸を通って戦国時代から犬夜叉がかごめを連れ戻しにやってきた。しかし、その肩には結羅の操る髪の毛が。現代世界に妖怪の攻撃が及ぶのをくい止めるため、かごめは再び戦国時代へ戻る決心をする。そんなかごめに犬夜叉は鎧よりも強いという火鼠(ひねずみ)の毛で織った衣を貸してやった。井戸の中に飛び込むと、2人をまばゆい閃光と漆黒の闇が包み込んでいった。
戦国時代に戻った犬夜叉とかごめは、森の中に張りめぐらされた結羅の髪の中から、光る髪をたどって結羅の巣にたどり着く。2人を待ち構えていた結羅は、犬夜叉の攻撃をさけると残忍な笑みを浮かべて刀で犬夜叉を斬りつけた。それを見たかごめは、途中で拾った弓矢で反撃を開始。その矢は結羅の髪の毛を消してしまう効力を発揮した。かごめの不思議な力を恐れた結羅は、かごめに向けて鬼火櫛(おにびぐし)を放つと、紅蓮の炎が櫛から放たれ、かごめは炎に包まれてしまう。かごめが死んだと思った犬夜叉は血の刃"飛刃血爪(ひじんけっそう)"を結羅に叩きつけた。さらに攻撃を続けるが、結羅は倒れない。不死身かと思われたその時、髪束を駆け登っていく赤い衣があった。火鼠の衣に守られたかごめが、結羅の弱点を突き止めたのだ。あせった結羅は、かごめの首に髪の毛を巻き付け、じりじりと締めつける。その瞬間、血の刃がかごめの周囲の毛と結羅を切り裂いた。ほっと一安心した犬夜叉の背後に刀を持つ結羅の右手が髪の毛に操られ迫っていた。胸を刺され、苦痛に顔をゆがめた犬夜叉が振り向くと、そこには致命傷を負いながらもたっている不死身の結羅の姿があった。
野営の陣幕の中でひときわ大きな声をあげている侍がいる。剛力無双で知られる侍たちの大将だ。突然その大将の身体が宙に舞い上がった。背後からその首をつかむ影・・・。妖怪"殺生丸(せっしょうまる)"が、父の墓を探してこの地を訪れたのだ。足軽雑兵も集まり、殺生丸を退治しようとするが、手下の妖怪"邪見(じゃけん)"が"人頭杖(じんとうじょう)"をかざすと兵たちは杖から出た炎に飲み込まれてしまう。殺生丸の父の墓探しは困難を極めていた。そこへ邪見が犬夜叉なら墓の在り処を知っているのではないか?しかも50年前に封印された犬夜叉だったが、最近になって封印が解かれ廷ったと殺生丸に提言する。 その犬夜叉は楓の住む村にいた。"四魂の玉"のかけらを持つ妖怪を退治するため、骨喰いの井戸を通って現代と戦国時代を行き来するかごめを待っていたのだ。現代から自転車を持ち込んだかごめは、野良仕事をする農民たちを尻目に自転車に乗って走り抜けていく。
楓の村につくと妖魔"逆髪の結羅(さかさがみのゆら)"によって斬られた傷の手当てをしようとかごめは犬夜叉に迫る。しかし、すでに刀傷は跡形もなかった。そこへ指の先ほどしかないノミじじいの"冥加(みょうが)"が現れる。冥加は犬夜叉の父の墓守をしていたが、最近、その墓を暴こうとする者がいると知らせにきたのだ。犬夜叉の父は、西国を根城にしていた化け犬の大妖怪。犬夜叉の母親のことが気になったかごめは、そのことを聞くと「死んだよ。とっくの昔に」と答え、犬夜叉はその場を立ち去ってしまった。父親が大妖怪で犬夜叉が半妖ということは・・・、かごめは犬夜叉の母親も、もしかしたら人間ではないかと考え始める。
その時、怪しげな雲がただよい、カラカラと車輪の回る音を響かせ空飛ぶ牛車が強大な妖気と共に現れた。その牛車の御簾がひるがえると、中には死んだはずの犬夜叉の母の姿があった。その途端、暗雲を切り裂いて巨大な腕が伸びてくる。腕は牛車を握り潰し、巨大な鬼がその全貌を現した。その左手には犬夜叉の母を握りしめている。さらに巨大な鬼の首筋には殺生丸の姿があった。鬼を操っていたのは殺生丸だったのだ。犬夜叉の腹違いの兄である殺生丸が父の墓の在り処を聞き出すため、冥界(めいかい)から犬夜叉の母を呼び出したのだ。半妖の犬夜叉を蔑み、母を苦しめる殺生丸に怒った犬夜叉は鬼の手から母を奪い返そうと、鬼に立ち向かっていく。「かごめ!おふくろを連れて逃げろ!」かごめと鬼の間に立ちはだかる犬夜叉。その瞬間、母の手からまばゆいばかりの光りが発すると同時に、3人の姿は消えていた。彼女は犬夜叉とかごめを連れ、その場を逃れた。しかし、すべては邪見がもくろむ罠だったのだ。
殺生丸から母を奪い返し、犬夜叉はこの世とあの世の境で母との別れを惜しんでいた。いっぽう、目を覚ましたかごめは水面に映る犬夜叉と母の2人の姿を見て驚く。なんと、母親の顔には目鼻がなかったのだ。すべては殺生丸の手下・邪見が、犬夜叉の父の墓の手掛かりを探るために仕掛けた罠だったのだ。妖怪"無女"は正体を現し犬夜叉を身体に取り込もうとする。かごめは冥加に金縛りを解いてもらい、邪見の隙をうかがうのだった。 無女を操る邪見は、犬夜叉から「右の黒真珠」という言葉を聞き出す。その隙をついてかごめは邪見の頭を踏みつけ"人頭杖"を奪い取った。
しかし、なおも犬夜叉は無女に吸い込まれ続け、かごめにはどうすることもできない。そこに冥加が現れ「犬夜叉様の魂をお起こしせい!」と叫ぶ。かごめは水面に映る無女に向かって人頭杖を投げつけた。すると、水面の像がかき消え無女の身体から犬夜叉は脱出する。そこに殺生丸が現れ犬夜叉の右目を妖術で抜き出してしまう。"黒真珠"は犬夜叉の右目に封じ込まれていたのだ。怒りに我を忘れて殺生丸に飛びかかる犬夜叉だが、軽くかわされ逆に反撃を食らってしまう。 殺生丸が黒真珠に人頭杖を振り下ろすと、黒真珠を起点に黒い光りが渦巻くようにほとばしる。父の墓への入り口が開いたのだ。殺生丸を追って犬夜叉とかごめは、渦の中へ飛び込んでいく。
その中は明るい冥界のような世界が広がっており、巨大な妖怪の骨があった。大妖怪の父が変化(へんげ)を解いた真の姿である。殺生丸の狙いはは亡骸(なきがら)の中におさめられた宝刀"鉄砕牙"にあった。父の骸(むくろ)の体内に入った殺生丸は台座に突き刺さっている古びた剣を見つける。それこそが一振りで百匹の妖怪をなぎ倒すという牙の剣・鉄砕牙であった。殺生丸は剣を抜こうと柄(つか)に手をかけるが、閃光が走り鉄砕牙を抜くことはできない。そこへ犬夜叉が現れ殺生丸への嫌がらせのため自分も鉄砕牙を抜こうとするが、やはり剣を抜くことはできなかった。殺生丸が犬夜叉に襲いかかった瞬間、思わず飛び出したかごめだが、逆に邪見に投げ飛ばされてしまう。よろめきながら立ち上がり無意識のうちに鉄砕牙の柄(つか)に手をかけたかごめは、難なく鉄砕牙を抜いてしまう。
犬夜叉と殺生丸の父の墓におさめられていた妖刀・鉄砕牙。2人でも抜けなかった剣をかごめは、難なく抜いてしまう。そんなかごめを冷やかに見つめる殺生丸は、犬夜叉の攻撃をかわすと、毒の爪でかごめに襲いかかった。犬夜叉があわてて飛び込んでくるが、すでにかごめの姿はなく、ただ鉄砕牙だけが転がっていた。かごめが殺されたと思った犬夜叉は怒りに我を忘れ、殺生丸に突っ込んでいく。
犬夜叉の一撃が殺生丸の腹を突き胴鎧が砕け落ちる。今までかすりもしなかった犬夜叉の攻撃が初めて殺生丸に当たったのだ。いっぽう、死んだと思われていたかごめは鉄砕牙の結界に守られ生きていた。かごめから鉄砕牙を渡された犬夜叉が剣を構えると、殺生丸は全身からおびただしい妖気を発散させて、みるみるうちに変化していった。現れいでたのは巨大な犬の姿をした、妖犬殺生丸だった。 犬夜叉は妖犬殺生丸に鉄砕牙を振り下ろすが、傷一つつけることができない。殺生丸の攻撃をかわしながら鉄砕牙で斬りつけるが、何度やっても跳ね返されるだけである。それを見ていたかごめは「やっぱり・・・駄目なの?」と言い大粒の涙を流す。あわてた犬夜叉が「おれがおまえを守るっ」と叫ぶと、それに呼応するかのように鉄砕牙の脈打つような鼓動が始まった。犬夜叉の心に反応し、鉄砕牙が巨大な牙のような姿に変わった。犬夜叉が鉄砕牙を一閃させると、妖犬殺生丸が崩れ落ちた。さらに2度目の攻撃を胸にうけた妖犬殺生丸は、そのまま姿を消してしまう。
黒真珠から黒い光りの渦が吹き上がり、犬夜叉たちが姿を表す。元の世界に舞い戻ってきたのだ。 翌朝、楓の家で囲炉裏を囲み、かごめと冥加は楓と話し合った。なぜ、かごめに鉄砕牙が抜けたのか?すると冥加が、鉄砕牙は犬夜叉の父君が、人間である母君の身を守るために作った妖刀だと、剣のできた経緯を話す。また、だからこそ人間のかごめが鉄砕牙を抜くことができたのではないか、もともと人間を慈しみ守る心がなければ、使うことはできない刀なのだから。そのため人間に対して慈悲の心を一切持たぬ殺生丸には、鉄砕牙を使うことができなかったと推理する。そうとは知らない犬夜叉は、元のボロ刀に戻った鉄砕牙の使い方がわからずに刀を振り回していた。
犬夜叉、かごめ、冥加は四魂の玉を探す旅の途中に武田家の若侍、甘利信長と出会う。一見うつけ者のように見える信長だったが、彼には重大な使命があった。武田家から嫁いだ露姫の夫の殿様が乱心したという噂を聞きつけ真偽を確かめるべく駆けつけてきたのだ。まもなく、城の殿様が物の怪に爆かれていると噂話を聞きつけた犬夜叉の一行は、妖怪退治に乗り出す。そこへ信長もついてきた。犬夜叉たちが城内に忍び込むと、城の者は全て妖術で眠らされていた。露姫の身を案じて懸命に探す信長は、ついに姫を見つけ出す。
そこへ包帯だらけの城主が現れた。大夜叉が鋭い爪を振り下ろすと城主の顔に巻かれていた包帯が宙を舞い中から蛙の顔が現れる。この蛙こそ齢(よわい)三百年の妖怪"九十九の蝦蟇"であった。蝦蟇が口から瘴気を吐くと、犬夜叉は喉を抑えて床に倒れ込んでしまう。その間に蝦蟇は露姫を抱いて逃げようとする。露姫を慕っている信長は姫を奪い返そうと刀を抜くが、蝦蟇は信長に大怪我を負わせ姫を担いで逃げ出してしまう。 蝦蟇が逃げ込んだ部屋には巨大な蛙の卵がいくつも積み上げられ、中には村の娘達が入っていた。その部屋に飛び込んだ犬夜叉は、鉄砕牙を抜き瘴気を吹き飛ばしながら一閃させる。しかし、斬られた蝦蟇は卵から飛び出した娘の魂を食らって傷を治してしまう。信長が卵の中から露姫を助け出そうとすると、蝦蟇が信長に襲いかかってきた。犬夜叉が鉄砕牙の峰を蝦蟇の頭に振り下ろすと、蝦蟇の意識が昏倒したのか、中から殿様の心が表に現れ出た。まもなく身も心も物の怪に奪われ、このままでは露姫を食らってしまうと心配した殿様は自分ごと蝦蟇を斬れと言う。しかし、信長はそんな殿様をかばうのだった。 冥加から蝦蟇は熱いものに苦手だと聞いたかごめは、猿の日吉丸が持ってきた油皿の火に、ヘアスプレーを吹きつける。
すると霧が炎となって蝦蟇の顔面に襲いかかった。城主の身体から飛び出した蝦蟇を、犬夜叉は一刀で退治してしまう。 元に戻った城主と仲むつまじい露姫を見た信長は気を落とすが、そんな信長をかごめと犬夜叉は元気づけてやるのだった。
かごめは現代と戦国時代を骨喰いの井戸を通って自由に行き来していた。犬夜叉がかごめが現代から持ってきたカップラーメンを食べていると、突然青白い炎が現れ、間抜けなまんまるい妖怪が現れる。犬夜叉がその妖怪を張り飛ばすと、途端に弱々しい炎となり子狐妖怪・七宝が姿を現した。七宝は雷獣兄弟に殺された父親の仇を討つため、かごめの持っている四魂の玉を狙っていたのだ。犬夜叉を"手乗り地蔵の術"で金縛りにした七宝はかごめから、まんまと四魂のかけらを盗み出す。 かごめは犬夜叉を置き去りにして、一人で七宝を追いかける。
そこへ、四魂の玉の気配を嗅ぎつけた雷獣兄弟の弟・満天が草むらから現れる。親の仇を目の前にした七宝は果敢にも満天に飛びかかるが、簡単に弾き飛ばされてしまう。四魂のかけらをよこせと詰め寄る満天。絶体絶命のピンチに陥った七宝だったが、かごめの放った破魔の矢に危ういところで救われる。大事な髪の毛をかごめに吹き飛ばされた満天は激怒し、かごめに雷獣波を放つ。紙一重でかわしたかごめだったが、その余波で気絶してしまう。かごめの無防備な姿を見た満天は、あまりのかわいさにかごめを小脇に抱え連れ去ってしまう。 命の恩人のかごめを置いて逃げてしまい、負い目を感じる七宝は犬夜叉の元に戻って金縛りの術を解き、かごめを助けてくれるように頼み込む。はじめは横柄な態度を取っていた犬夜叉だったが、意外にあっさりとかごめの救出に向かうのだった。
雷獣兄弟の根城で目が覚めたかごめは、満天が自分を毛生え薬にするつもりだと知り驚く。まもなく兄の飛天が女を連れて戻ってきた。人間の姿に似た飛天を見たかごめは、始め安心するが、飛天も何気ないことで連れの女を灰にしてしまうさらに危ない妖怪だと知る。満天に殺されそうになったかごめは、雷獣兄弟が四魂の玉のかけらを欲しがっていると知り2人に嘘をついて犬夜叉を探させる。 一方、犬夜叉と七宝、そして冥加の3人はかごめを救うため、雷獣兄弟が棲むという山へむかっていた。
雷獣兄弟の弟、満天に連れ去られたかごめを救うため、犬夜叉と七宝、冥加の3人は雷獣の棲む山へ向かっていた。そこで、かごめを連れた雷獣兄弟と遭遇する。兄・飛天の振るう雷撃を放つ槍・雷撃刃を鉄砕牙で受けとめた犬夜叉は強敵を前にして緊迫する。しかし、犬夜叉はかごめに気を取られ苦戦を強いられるのだった。
七宝の活躍で一度は満天の手を逃れたかごめだったが、最後の髪の毛を吹き飛ばされた満天は大激怒し、目茶苦茶に雷撃を放つ。かごめに化けた七宝は満天の動きを封じ、その間にかごめは満天の鼻先に刺さった矢を抜こうとするが、激怒している満天は七宝を弾き飛ばし、かごめを絞め殺そうとした。 犬夜叉はかごめが気になって飛天との戦いに集中できない。それにも増して雷獣兄弟の卑劣さに怒りを覚えた犬夜叉は、飛天めがけて鉄砕牙を投げつけた。が、犬夜叉は飛天を狙うと見せかけて、満天を狙っていたのだ。鉄砕牙は満天を貫き、かごめと七宝はピンチを脱する。弟を殺された飛天は慟哭し、満天の額にあった四魂のかけらを取り込んだ。かけらが5つになった飛天は、パワーアップした雷撃を犬夜叉に放つ。
空気全体が震えるような膨大な量の雷撃が犬夜叉に襲いかかった。さけられないと見た犬夜叉は、冥加の助言を聞き鉄砕牙の鞘で雷撃を防いだ。鉄砕牙の鞘には妖力を封じる力が備わっていたのだ。鞘を楯にして飛天に突っ込む犬夜叉だが、飛天は空中に飛んでかわし犬夜叉を翻弄する。かごめは弓に化けた七宝で飛天に矢を放ち犬夜叉に加勢する。その刹那、飛天の懐に飛び込んだ犬夜叉は鞘を捨て、飛天の顔を殴りつけた。
雷撃波に包まれた2人は焼き殺されたように見えた。そして、雷撃刃を受け止める大刃の鞘が今にも折れようとしたその瞬間、鞘の妖力は鉄砕牙を呼ぶのだった。
高校受験をひかえる中学3年のかごめは学校の定期テストを受けるため、500年前の戦国時代から現代へ戻ってきた。 その日、かごめが学校へテストを受けに行っている間に日暮神社の倉庫で火事騒ぎが起こる。境内で掃除をしていたかごめの祖父が、倉庫の入り口から煙があがっているのを発見し倉庫へ向かうと、"肉づきの面"と呼ばれる能面が封印の札を焼いて暴れ出し、祖父に襲いかかづてきた。能面の攻撃に祖父は御札を持って構えるが、火がまわって焼け落ちてくる柱に頭を直撃され気絶してしまう。
かごめが学校から帰ってくると、自宅の神社の前に何台もの消防車が止まっていた。驚いたかごめはあわてて母親のもとに行くが、すでに消火活動も終わり火事はおさまっていた。しかし、肉づきの面は誰にも悟られることなく消防隊員に取り憑き、消防車を暴走させて逃走した。そして何人もの犠牲者を身体に取り込み能面の身体は膨れ上がっていった。
入院した祖父の付き添いで母親は病院に泊まり、かごめは弟の草太と留守を守ることになった。まもなく、かごめは一連の騒ぎは"四魂の玉"のかけらを現代に持ってきてから異変が起こったことに気づく。 そこへ、肉づきの面が四魂のかけらを狙って襲いかかってきた。かごめは四魂のかけらを持った自分を囮にして草太を逃がし、祠の井戸から犬夜叉を呼んでくるように言う。草太は思い切って井戸に飛び込むが、かごめのように戦国時代に行くことはできない。草太が半べそをかいていると突然、犬夜叉が目の前に現れる。 草太を背中に乗せて、犬夜叉は猛スピードで血のにおいを頼りにかごめを追いかける。いっぽうかごめは、能面に追われ工事現場に息を切らせて駆け込んでいた。逃げ場を失ったかごめは建設中のビルに登るが、あっと言う間に追いつかれてしまう。危機一髪のところで犬夜叉が現れ、能面の肉体を切り刻むが、能面の身体はまだ身動きを続けていた。
数百年前に四魂のかけらを受けた大桂の木から掘り出され、以来人を食い続けてきたと語る能面。四魂のかけらが埋め込まれている額が弱点だとかごめから聞いた犬夜叉は、能面めがけて拳を放つ。しかし、能面の顔は拳を受ける前に縦に真っ二つに裂け、犬夜叉の腕を飲み込んでしまうのだった。
戦国時代から1週間ぶりに現代にもどってきたかごめは学校の帰り道、公園で花火をしている親子たちを見かける。すると1人の女の子が彼らの花火の束に火のついたネズミ花火を投げかけたのを目撃する。悪質なイタズラにかごめはその女の子に注意をしようとするが、一瞬のうちにその姿は消えてしまった。
翌日、弟の草太が入院している友達の見舞いに行くというので付き添うことになった。草太の友達・悟は半年前の火事以来、ずっと眠り続けていた。その病室でかごめは、昨日イタズラをした少女を再び目撃する。彼女は、半年前の火事で死んだ悟の姉・真由の幽霊だった。真由は恨みか未練があるのか、弟の悟の命を狙い続けていた。真由の悲しそうな目を見たかごめは彼女に放っておけないものを感じる。また、真由に寄り添う赤子のような妖怪も気になり、戦国時代に行き冥加(みょうが)にその妖怪のことを尋ねてみた。 その妖怪はタタリモッケと言い、本来は子供の魂を鎮める優しい妖怪で子供が無事に成仏するまで見守ってやるのだが、現世に災いをもたらすような魂は地獄に運ぶ役割を持っていた。幽霊は妖怪よりもやっかいなため関わるなという犬夜叉の制止も聞かず、かごめは真由を救うため急いで現代へ舞い戻った。
半年前の火事の日、真由が帰宅したことを知らなかった母親は悟を救い出すだけで精一杯だった。だが、真由は自分だけ助けてもらえなかったと誤解して悟を狙い続けていたのだ。 再び、真由が悟を狙って病室に現れた。かごめがドアを開けて駆け込むと、悟の寝ているベッドが持ち上がっていた。かごめと一緒に病室に飛び込んだ母親は真由の姿を見て驚く。見えない力に押されてストレッチャーは母親めがけて突進し、ストレッチャーに当たった母親は気を失ってしまう。火事を引き起こした原因はすべて自分にあり、母も悟も悪くないと判っている真由だが、自分だけ死んでしまったことに納得いかず理不尽な怒りが爆発する。ポルターガイスト現象が起こり、悟が窓の外に放り投げられた。そこにタイミングよく現れた犬夜叉が悟をキャッチして助け出す。真由は悪霊寸前にまでなってしまった。
タタリモッケは悪霊になってしまった子供の魂を、死んだ場所と時間に戻し、そこから地獄に引きずり込む。悪霊の一歩手前にまでなってしまった真由の魂をタタリモッケは地獄に引きずり込もうとしていた。悲しげにふりむく真由の姿を見たかごめは真由を助けるため、犬夜叉の背中に乗ってタタリモッケの後を追うのだった。
小舟に乗って四魂のかけらを探す旅にでかけたかごめたちは川を下る途中、妖怪嫌いの少女・なずなと出会う。彼女は最近、頻繁にこのあたりに出没する妖怪"蜘蛛頭"に追われていた。なずなによると、蜘蛛頭は春先からこの山に住み着き、死体の頭に巣くって人を襲ってまわっているらしい。犬夜叉たちはなずなを送って彼女が身を寄せている寺を訪れた。寺の和尚は、なずなは両親を蜘蛛頭に殺されたため、妖怪嫌いになったと言う。犬夜叉の一行は和尚の法力で守られている寺に泊めてもらうことになった。
その夜、和尚の結界が破られ、蜘蛛頭たちが一斉に襲ってきた。犬夜叉の活躍かと思われたが、半妖である犬夜叉は1月に1度、妖力を失ってしまう時がある。それが今日、朔の日(新月)であった。蜘蛛頭から危うく逃げてきたなずなが、寺に残っている和尚の救出を頼むが、人間になってしまった犬夜叉は断ってしまう。しかし、かごめが寺に四魂のかけらを忘れたと聞いて、犬夜叉は七宝を連れて寺へ戻って行った。
犬夜叉と七宝は蜘蛛頭たちを蹴散らしながら、寺の本堂々へ向かった。犬夜叉たちが本堂に着くと和尚が、かごめのリュックを開け四魂のかけらを手にしていた。和尚は邪悪な本性を現し突然、蜘蛛和尚となった。和尚こそが蜘蛛頭の親玉だったのだ。そしていくつかの四魂のかけらを取り込んでしまう。
かごめと七宝の加勢で犬夜叉は何とか鉄砕牙の結界に逃げ込むが、蜘蛛和尚の毒にやられ意識を失っていた。かごめたちが閉じこもった部屋の戸を蜘蛛和尚は破ろうとするが、鉄砕牙の結界にはばまれて開けることはできない。その間に、冥加は死んだように横たわる犬夜叉の首に吸いつき毒を吸い出した。泣きじゃくるかごめを前にして犬夜叉は一瞬、目を覚ますが再び眠りについてしまう。
長く太く伸びた蜘蛛和尚の手足が本堂を締めつけ、ついには壁も屋根も吹き飛ばしてしまう。残りの四魂のかけらを奪った蜘蛛和尚はパワーアップし、かごめたちが絶体絶命かと思われたとき・・・。
楓の村が鬼女・裏陶によって襲われ、桔梗の骨と墓土が持ち去られた。楓は裏陶に向かって矢を放つが、難なくかわされ逆に楓は吹き飛ばされてしまう。
同じ頃、夢を見て桔梗を思い出していた犬夜叉は、大鎌を持ちつづらを背負った裏陶が田んぼの上を飛び去っていくのを目撃する。裏陶から楓の血の臭いを嗅ぎ出した犬夜叉はかごめと七宝をうながして、楓の村に急いだ。
犬夜叉たちを出迎えた手負いの楓は、盗まれた桔梗の骨を裏陶から取り戻してほしいと犬夜叉に頼む。桔梗は巫女の中でも並はずれた力を持っていたため、その骨が妖怪の手に渡って悪用されることを恐れたのだ。50年前に自分を封印した桔梗を敵と憎んでいる犬夜叉は一度は断るが、結局、楓、かごめたちと共に桔梗の骨を取り戻しに向かうのだった。
裏陶は桔梗の骨と墓土を使い人形の人器を作って鬼窯で焼いていた。窯の煙突からは白い煙が立ちのぼる。裏陶の住処に近づくかごめは、道中、桔梗のことになると犬夜叉の態度が変わることに気づく。そして、もしかしたら犬夜叉は本当は桔梗のことが好きだったのではないかと思い始める。 いっぽう、焼き上がった人器の中から桔梗の身体が現れた。裏陶は桔梗を使って四魂のかけらを集め、その力を使って闇の世界に君臨しようとしていた。しかし、桔梗の身体には魂が入っておらず、ただの抜け殻であることから、桔梗の魂はすでに転生しほかの身体に生まれ変わっていることを知る。 裏陶の住処へ通じている吊り橋にたどりついた犬夜叉たちは、土人形たちの襲撃を受ける。闘いの様子を対岸の崖の上からながめていた裏陶は、かごめが桔梗にそっくりなことから、かごめが桔梗の転生した姿だと見抜く。そこで吊り橋を切って、大夜叉たちを谷底に落とし、かごめ1人をさらって住処へ帰って行った。
両手を縛られ石の棺に入れられたかごめに、裏陶は薬草の入った水を注ぎ込む。その薬草は魂を身体から引き離す力を持っていた。
楓の村を襲った鬼女の裏陶は、奪った骨と墓土で桔梗を復活させた。桔梗を自分のしもべにして四魂のかけらを集めさせようとしたのだが、再生された桔梗は魂がなく抜け殻であった。かごめを見つけた裏陶は、かごめを桔梗の転生した生まれ変わりだと見抜き、かごめをさらって住処へと戻って行った。
いっぽう、谷底へ落とされた犬夜叉だったが、裏陶の兵隊である土人形がクッションになり難を逃れた。楓も七宝の木の葉の術で無事に地上に着陸した。 住処に戻った裏陶はかごめを薬湯に浸けて魂を取り出そうとするが、結界が生じて出てこようとする魂を押さえ込む。そこへ現れた犬夜叉が抜け殻の桔梗を見て、思わず名前を叫んだ。その瞬間、桔梗の魂は結界を破ってかごめから離れ、再生した桔梗の身体に流れ込む。裏陶は復活した桔梗を使って犬夜叉たちを始末しようとするが、桔梗は裏陶の体をバラバラに吹き飛ばし、さらに犬夜叉を見て憎悪の力を放った。
50年前、人間になると誓った犬夜叉を信じた桔梗は、四魂の玉を渡そうと決意する。しかし約束の朝、現れた犬夜叉に襲われ玉を奪われてしまう。そして末期の力をふりしぼって桔梗は犬夜叉を封印したのだ。 犬夜叉を憎んで死んだ桔梗は、犬夜叉が生きている限り救われないと、犬夜叉を殺そうと迫る。姉の悲しい姿に心を痛めた楓は、鬼術でよみがえらされたまがいものの身体を壊し、桔梗の魂をそこから出してやってくれと頼むが、犬夜叉には桔梗を殺すことはできなかった。 反撃できぬ犬夜叉に、桔梗の破魔の矢が迫った瞬間、意識のないかごめの目が見開かれた。それに呼応するかのように、桔梗の身体は力が抜け、膝から崩れ落ちていった。同時に桔梗の身体からいくつもの光の玉が飛び出し、かごめの身体に戻っていく。が、陰の気に満ちた怨念だけが桔梗の身体に残り、その場を逃れた。
そして追ってきた犬夜叉が電撃を放って桔梗は霧深い谷底へ落ちて行くのだった。 犬夜叉は50年前、四魂の玉を狙う妖怪を次々に倒しながら、犬夜叉にはとどめを刺さなかった桔梗のことを思い浮かべる。四魂の玉で本物の妖怪になろうとしていた犬夜叉に桔梗は玉の力を使って人間になることを勧めた。犬夜叉は桔梗となら人間になっても共に生きて行けると思っていたのだ。しかし、約束の日…。
若き法師・弥勒は法力はあるが、女好きが玉にきずの不良法師である。茶屋で領主の姫が妖怪に取り憑かれているという噂を聞いた弥勤は、姫を化けイタチから救ってやるが、ちゃっかり金目の物まで奪って遁走した。
その場を逃げた弥勒は化けイタチを退治した際、手に入れた、"四魂のかけら"を見ながら温泉の露天風呂に浸かっていた。すると、背後の岩場で女の声が聞こえてくる。岩場の陰から覗いた弥勒は、四魂のかけらのペンダントをしているかごめを発見する。そして四魂のかけらの奪取を目論むのだった。風呂からあがった弥勒は仲間の八衛門狸に犬夜叉を襲わせ、かごめの誘拐に成功する。しかし、かごめに答められるとあっさりと解放し、自転車と四魂のかけらを盗んで去って行った。
犬夜叉はかごめと七宝を背中に乗せ、弥勒の臭いを追って猛然と追いかける。一方追いかけられているとは知らない弥勒は遊女をはべらせ、近くの宿場で宴会を開いていた。そこへ弥勒を追ってきた犬夜叉が乱入する。 庭に逃げ出した弥勒に犬夜叉の振り降ろす鉄砕牙が迫った。弥勤はとっさに錫杖で受けとめる。その後も鉄砕牙を難なく受け流す弥勒は、自分は法力で人を助ける法師だと名乗り、妖怪に四魂のかけらを渡すわけにはいかないと言う。 鉄砕牙の波状攻撃をことごとく受けとめていた弥勒だが、足をすべらせ錫杖を弾き飛ばされてしまう。弥勒は見物していた人たちを遠ざけ、右掌の篭手を外し、犬夜叉に向かって右手をかざした。すると、掌に向かって凄まじい風が噴き出す。犬夜叉は地面に突き刺さった鉄砕牙にしがみつき、吸い寄せられるのを耐えた。その両脇を馬小屋の瓦礫や、馬が吸い寄せられ、弥勒の右掌に開いた風穴へ吸い込まれていく。
しかし、人間を吸い込まないようにしている弥勒が悪い人間ではないと悟ったかごめは風穴に自ら飛び込み、弥勒の風穴を閉じさせることに成功する。 犬夜叉とかごめは、目を覚ました弥勒から四魂のかけらを集めている事情を聞いた。右手の風穴は奈落という妖怪の呪いでうがたれたものだと。そして奈落は50年前、弥勒の祖父と戦い、また四魂の玉を守っていた巫女をも殺したと打ち明けた。それを聞いた犬夜叉は、5O年前に自分の姿に扮し桔梗を傷つけた妖怪が奈落だったことを知る。
落武者の無残な屍を見つけた犬夜叉たちは、四魂のかけらを持った妖怪の仕業と見抜く。さらに犬夜叉は屍から血の臭いだけではなく墨の匂いも交じっていることに気付く。いっぽう、犬夜叉たちと別れた法師・弥勒は京から流れてきた絵師・紅達(こうたつ)を見て何かに取り憑かれていると感じるが、病弱そうな姫が気になり彼女の後を追う。 屍から匂った墨の匂いを手がかりに妖怪を捜す犬夜叉たちは、怪しい絵師・紅達を見つける。しかし、紅達が胸元から一枚の巻物を取り出すと、そこに描かれていた黒鬼が実体化し犬夜叉の前に立ちはだかった。犬夜叉は黒鬼を鉄砕牙で一刀両断するが、紅達を取り逃がしてしまう。そして鼻の利く犬夜叉は黒鬼から弾け飛んだ臭気に当たって目を回してしまうのだった。
姫の後を追い御祓いを請け負った弥勒が、毎夜迎えに来るという妖怪を待ち伏せていると、そこへ墨の匂いを嗅ぎつけた犬夜叉たちが現れる。弥勒から話を聞いたかごめたちは姫に化けた七宝を囮にして、妖怪を待ち受けた。しばらくすると、牛車を中心にして地獄の妖怪軍団が出現し、姫を連れて夜空の満月に消えていった。 紅達は姫がくるのを家で今か今かと待っていた。
すると、夜空に連れられて姫と一緒に彼女を追って弥勒が現れる。紅達は2人を前にして姫をさらった経緯を語り始める。以前、地獄絵師を務めていた紅達は戦場で偶然、四魂のかけらを手に入れ、かけらを溶かした墨で鬼を描くと生命が宿ったこと、さらに墨に混ぜるのは人の生き肝が最もよいことなどを見つけ、京では多くの人々を殺し過ぎたため逃げてきたことなどを話した。そして紅達は自分だけの姫を得るために、姫を写そうとさらっては毎晩、描いていたと告白する。 弥勒は四魂のかけらを渡せと迫るが、紅達は鬼の軍勢を絵図から実体化させて差し向けた。そこへ洗濯挟みを鼻にはさんだ犬夜叉が現れるが、あまりの数の多さに臭気を押さえきれず犬夜叉はまたも気絶してしまう。
弥勒は右手の風穴を開き、鬼の軍勢をすべて吸い込んでしまうが、あまりの邪気の多さに疲労困憊する。その刹那、紅達は三つ首の蛇にまたがり空へ舞い上がっていく。意識を取り戻した犬夜叉はすかさず紅達を追う。弥勒は犬夜叉に紅達は人間だから殺してはならないと呼びかけるが、大夜叉は・・・。
鉄砕牙をめぐる闘いで、犬夜叉に左腕を切り落とされてしまった兄の殺生丸は、代わりとなる妖怪の腕を欲していた。そこへ狒狒の皮で顔と身体を隠した得体の知れない男が現れ、四魂のかけらを仕込んだ人間の腕を差し出した。奈落と名乗るその男は、妖刀・鉄砕牙を掴むことができる腕を提供する替わりに、犬夜叉を殺してくれという。不遜な申し出に手下の邪見は気色ばむが、殺生丸は素直に腕を受け取った。この奈落こそ、犬夜叉と行動を共にする法師・弥勒の仇敵だった。
その頃、犬夜叉とかごめたち一行は、弥勒の御祓いのおかげで立派な屋敷に宿をとった。しかし、御祓いがインチキと知った犬夜叉は弥勒に突っかかる。その途端、大きな衝撃と共に四魂のかけらが近づいてくる気配をかごめは感じ取る。屋敷から出た犬夜叉たちは、巨大な鬼に驚いた。しかも鬼の肩には殺生丸の姿があった。 挑発する殺生丸に犬夜叉は鉄砕牙で斬りかかるが、太刀筋を読まれ難なく腕をつかまれる。鉄砕牙を手放せと促す殺生丸。反発した犬夜叉は力任せに殺生丸を押し返すが、虚を衝かれ鉄砕牙を手放してしまう。その鉄砕牙の柄を殺生丸が掴み取る。以前、鉄砕牙の結界に阻まれた殺生丸が、鉄砕牙を掴めることに犬夜叉は愕然とする。
殺生丸は犬夜叉に"鉄砕牙の真の威力を教えてやる"と言うと、邪見に合図して山の妖怪をすべて追い出させた。すると山中のこずえを鳴らして、無数の妖怪たちが一斉に天に向かって飛び出していく。殺生丸が全身の気をみなぎらせ、鉄砕牙を振り切ると百匹程いた妖怪たちは一瞬にしてなぎ倒されてしまった。
犬夜叉に加勢しようと前に飛び出した弥勒は、風穴で対抗しようとする。しかし、奈落は弥勒封じの秘策までも殺生丸に授けていた。殺生丸が投げた蜂の巣のようなものの中から飛び出した地獄の虫・最猛勝は自ら弥勒の風穴に飛び込み、その毒を持って弥勒の動きを封じてしまう。 苦しげにうずくまっている弥勒に肩を貸した犬夜叉は、物陰へ隠れた。そこへ殺生丸が悠然と近づいてくる。さらに気をみなぎらせて静かに鉄砕牙を掲げると、キラリと光った鉄砕牙はすさまじて勢いで振り抜かれた。するとゴォーッと大気が鳴り、弥勒の風穴に半分吸い込まれた鬼のむくろが一挙に吹き飛んだ。犬夜叉たちが吹き飛ばされ、殺生丸がきびすをかえそうとした、その時…。
殺生丸が犬夜叉めがけて鉄砕牙を振り下ろそうとした瞬間、かごめの放った矢が命中し鉄砕牙の変化をといてしまぅ。いっぽう最猛勝(さいみょうしょう)の毒で衰弱していく弥勒は邪見から殺生丸に毒虫・最猛勝を授けたのが奈落であることを聞き出す。かごめは弥勒に現代から持ってきた解毒剤を与えるのだが・・・。
四魂のかけらを仕込んだ人間の腕によって鉄砕牙をつかむことができるよになった殺生丸は気をみなぎらせて、鉄砕牙を振り下ろそうとする。そのとき、かごめの放った矢が命中して、鉄砕牙の変化(へんげ)をといてしまう。なおも矢を射るかごめだが、殺生丸は矢をかわしつつかごめに殺到する。そこで辛くもかごめを守った犬夜叉は、かごめに逃げろと促す。
一方、最猛勝の毒で衰弱していた弥勒は捕まえた邪見から"奈落"という名前を聞き出す。奈落が殺生丸の裏で糸を引いていたのだ。そしてこの奈落こそ、弥勒が長年追いかけている仇敵であった。そこへ駆けつけたかごめは現代から持ってきた解毒剤を弥勒に与えるが、闘いが長引けば弥勒の命も危ないと悟る。かごめは犬夜叉に加勢して、再び矢を殺生丸に放った。かごめをうっとうしく思った殺生丸は犬夜叉をつかんでかごめに投げつけた。
かごめが昏倒してしまったことに激しく動揺してしまった犬夜叉は、弥勒にかごめを託し遠くへ逃げるように頼む。殺生丸は再び変化した鉄砕牙の真の力を放とうと気をみなぎらせ、鉄砕牙を振るった。その懐に飛び込んで剣圧を止めようと犬夜叉は殺生丸の左腕を渾身の力で押し戻す。その刹那、殺生丸は右腕の鋭い毒爪で犬夜叉の背を一気に貫く。だが、それは犬夜叉の作戦であった。犬夜叉は殺生丸の腕に付けられた人間の手ごと鉄砕牙をもぎ取ると、膝を落として刀を上段に構えたまま身じろぎもしなくなってしまう。犬夜叉の間合いに踏み込めば刀を振り切ると悟った殺生丸は、あっさりと撤退していった。
奈落から授けられた最猛勝が、殺生丸の腕に仕込まれた四魂のかけらを回収していく。その後を追った殺生丸だが、再び殺生丸の前に現れると言い残し奈落は去って行った。 大怪我を負った犬夜叉とかごめたちが楓の村に帰ってくると、犬夜叉はかごめを骨喰いの井戸に呼び出した。そこで、かごめが闘いの中で死ぬのが怖いと告白する。そう言ってかごめを抱き締めると、四魂のかけらを奪って井戸に突き落とす。現代に帰ってしまったかごめは、もう一度井戸に飛び込むが、何故か犬夜叉たちのいる戦国時代に戻れなくなってしまっていた。
犬夜叉に井戸に突き落とされ現代に戻ってしまったかごめは戦国時代にタイムスリップできなくなる。奈落の出現でかごめに危機が及ぶのを案じた犬夜叉が、井戸に木を丸々一本突き刺してしまったせいだ。犬夜叉は弥勒と共に奈落を捜し出して倒そうとするが、奈落に関する手掛かりは一切なかった。
犬夜叉から50年前の話を聞いた弥勒は当時、奈落はもともと犬夜叉に恨みを抱いていたのではなく桔梗と関わりがあったのではないかと推理する。 楓によると50年前、桔梗が四魂の玉を浄化していたのだが、桔梗の心が汚れて玉も汚れ邪悪な力が増すことを望んでいた者が一人だけいたという。その男は鬼蜘蛛と名乗る野盗であった。全身ひどい火傷を負って動けないところを桔梗が見つけかくまっていたのだ。しかし、鬼蜘味は桔梗にあさましい邪念を抱いていた。当時、桔梗が犬夜叉を封印して死んだ数日後、かくまわれていた洞窟で火災が起き焼け死んだと思われていた。だが、犬夜叉たちがその洞窟へ行ってみると、人間とは思えないすさまじい妖怪の邪気が残っていた。
そこへ四魂のかけらを追う妖怪・狼野干が襲撃してきた。殺生丸との死闘で負った怪我が回復していない犬夜叉は口から狼を吐き出す狼野干にてこずる。楓と七宝では犬夜叉を守り切れないと悟った弥勒は風穴を開き、一気に勝負に出る。弥勒の風穴に吸い殺されるのを恐れた狼野干は逃げ去っていった。 その頃、犬夜叉たちの危機を知らぬかごめは同学年の男の子・北条にデートに誘われていた。そして家に帰り、井戸に飛び込むが、やはり戦国時代に行くことはできない。
いっぽう、奈落はおびえる狼野干にさらに四魂のかけらを埋め込み狂わせ、犬夜叉たちを再び襲撃させる。 弥勒と楓は手負いの犬夜叉を封印し、結界を張って待ち受ける。奈落に埋め込まれた四魂のかけらのせいで、身体も大きくなった狼野干は結界の前で立ち往生してしまう。結界を張っているため、妖怪の目には犬夜叉のかくまっている小屋が見えないのだ。しかし、奈落によって結界も破られてしまう。弥勒は風穴で対抗しようとするが、毒虫・最猛勝も出現し風穴までも封じられ…。