#11
警察庁特殊防犯課と対立するツルイ警備の鶴井浩二(吉田鋼太郎)が、朝倉草平(伊原剛志)に接近。独裁者のごとく世直しを目論む鶴井は、朝倉から大きな損失を強いられながらも、朝倉の政治家としての素質を見出し、仲間に引き入れようとしていた。だが朝倉は、これまで以上の圧力や妨害を覚悟し、鶴井と闘うことを決意。上司の叶美由紀(安達祐実)に報告する。さらに、鶴井に捨てられた森田勝利(川野直輝)に対して償うことも心に決める。
一方、豊島署の巡査・辻恵一(松下洸平)は、北柴田法務大臣の令嬢・マリエから朝倉と婚約したと聞かされる。辻にとっては信じ難いことであたったが、警視庁の警視・伊達鉄人(川平慈英)は、朝倉の相手が叶でなかったことに一人喜んで……。
叶の使いでスイーツ店へ赴く朝倉。その背後に男の影が忍び寄る──森田だ。気配を感じた朝倉は振り払おうとするが、そこに現れたのは伊達であった。早速、婚約の件を確かめに来たのだ。だが、朝倉と伊達の話はいつものごとく、まったくかみ合わない……。その時、近くで悲鳴があがる!
人々が散り散りに逃げる中、一人の女性が奇声をあげながらバットを振り回している。すでに殴られた人たちが、何人か倒れていた。朝倉が駆けつけ、女性を取り押える!
その女性は、夫と二歳の息子と暮らす専業主婦の深田麻由(黒坂真美)。近所の人たちによると、おとなしくて一生懸命に子育てをする麻由は、とてもバットを持って暴れるような人間ではないという。
一名が頭蓋骨骨折の重体、三名が打撲による重症を負っているにもかかわらず、辻と伊達の取り調べに対して、麻由は何も覚えていないと供述する。一方、単独行動をしていた朝倉が麻由の足取りを掴む。麻由は事件を起こす直前に『アロマの天使』というオイルマッサージ店で、マッサージを受けていたのだ。
「吸わせすぎなんだよ!それであの女は事件起こしたんだぞ!」事件をニュースで知った『アロマの天使』の店長・西崎良介(石垣佑磨)は、セラピストの安藤留奈(立花彩野)を激しく責め立てる。「警察に目をつけられたら意味がないんだよ!マッサージでカモフラージュしてるのはなんのためだと思ってんだ!」
麻由にしつこくハーブを要求されたと弁解する留奈。育児ノイローゼの一歩手前の麻由は、精神的に追い詰められて、ハーブに救いを求めていたようだ。
通り魔事件を調べる朝倉の元に、大藪公平の秘書・西村(祖父江進)が訪ねて来た。「大藪先生の容態が芳しくないんです。お父様は、今でもあなたに跡を継いで欲しいと願っています」と西村は告げるが、大藪には二度と会わないと決めた朝倉の気持ちが揺らぐことはなかった。
この時、朝倉を付け回していた森田は、二人の会話を耳にする。「朝倉草平は……大藪公平の隠し子?……なのに、なぜ……」
辻の捜査で、麻由が『アロマの天使』で入手したハーブを吸引したせいで、事件を起こしたことが明らかになる。だが分析の結果、規制対象外の脱法ハーブと判明。悔しがる辻は「やっぱり矯正執行ですよね!」と自ら『アロマの天使』へ潜入すると意気込む。
「男でも雇ってもらえるの?私が潜入してもいいわよ」と叶も協力を買って出るが、「叶さんにそんな危険なことはさせられない」と、結局は伊達が潜入捜査を行うことになる。アメリカで経験を積んだセラピストとして『アロマの天使』に雇われた伊達は、一躍客の人気者に。同時に、西崎店長の信頼も勝ち取る。「お前もそろそろいいだろ。希望した常連にこっそり売ってくれ」とスペシャルハーブを差し出す西崎。それは、一袋一万円で販売している脱法ハーブだ。そこへ客を装った朝倉が訪れて……。
西崎は、朝倉と伊達が警察の人間と分かると「このハーブは違法じゃない。育児で疲れ果てたあの女を、俺が助けてやったんだ」と弁明を始めるが……。朝倉は「お前が彼女を狂わせた。夫と子供の人生も狂わせたんだ!」と麻由の敵を取るべく、矯正執行に入る!