薔薇十字館殺人事件
File.1
はじめは地獄の傀儡師、高遠遙一に呼び出されて頼みごとをされる。薔薇十字館で開かれる青薔薇の完成披露会に招待された高遠。青い薔薇が添えられた招待状には「出席しない場合は異母妹の命を奪う」と書かれていたという。招待状を送ってきたのはドイツ語で薔薇十字という意味のローゼンクロイツという人物。高遠は異母妹の存在すら知らなかったが、その異母妹も披露会に招待されているという。犯罪を未然に防いだり人を守ったりするのが苦手な高遠は異母妹を守ってほしいとはじめに頼み、異母妹が無事に十字館を出る事ができたら警察に出頭すると約束。はじめはこの取引を受ける事に。
数日後、はじめと美雪は高遠と共に薔薇十字館にやってくる。館はバラのアーチの先にあり、世話人の毛利御門ははじめたちを館内へと案内する。はじめは招待客の中に不動高校の生物教諭の白樹紅音がいる事に驚く。先日、はじめたちは白樹の授業で青い薔薇はまだ作られてないと習ったばかりだった。白樹がはじめと美雪も招待された事に驚いていると、高遠はフラワーアレンジメントをしている遠山遥治と偽名を使い、友人のはじめと美雪を誘ったと説明する。
館には写真家の佐久羅京、バイオ・フェス社長の祭沢一心、ブリザーブドフラワーアーティストの冬野八重姫、花詠みの歌人の月読ジゼル、薔薇園経営の小金井睦、繊物師の禅田みるくが来ていた。いわくありげな薔薇愛好家の面々も高遠と同じようにローゼンクロイツに招待されたという。遠山(高遠)がはじめを名探偵の孫、美雪をその助手と皆に紹介すると緊迫した異様な空気が漂う。はじめは皆に何か後ろめたい事があると察する。この後、毛利は皆を部屋に案内する。十字の形をした館は構造上、通過できない区域があり、地下に降りないと入れない部屋もある迷宮だった。
夜、皆は夕食をとるため、ダイニングルームに集まる。毛利はローストチキンを用意。クロッシュで蓋がされた皿には開いた黒薔薇(黒く染めた蓮花:薔薇の品種)と深いピンク色の蕾(美咲:薔薇の品種)が接ぎ木されて添えられていた。皆は祈りを捧げた後、クロッシュを取る。その瞬間、黒薔薇が爆発のように無数に弾け飛ぶ。テーブルには黒薔薇が敷き詰められ、その上には絶命した大手生花チェーン社長の皇翔が一輪の黒薔薇を抱いて横たわっていた。ジゼルは「花開いた薔薇と2つの蕾…花言葉は永遠の秘密」と唐突に歌いだす。黒薔薇には死ぬまで憎む、そして復讐の亡霊という花言葉もあった…。
登場人物
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月読ジゼル
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白樹紅音
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毛利御門
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佐久羅京
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祭沢一心
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冬野八重姫
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小金井睦
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禅田みるく
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皇翔