結界師 ストーリー
良守は力を自分のものにするため、大好きなケーキ作りを封印する事を決意。この決断に利守が驚くと、良守は黒芒楼との戦いに備えて特訓する事を明かす。だが、良守は何をすれば良いのかわからないと告白。すると、利守は繁守に聞けば良いと意見を出す。利守は、黒芒楼が襲来した夜の繁守がどれだけすごかったかを良守に教える。すると、そこに繁守が現れる。だが、良守は繁守に助言を求めず、何をするかを自分で考える。
良守は道場へ行き、火黒を倒すための修業方法を考えるが、良い案は思い浮かばない。すると、良守は近くにある山へ移動し、中腹にある寺へ続く階段を全力で駆け上がっていく。その時、顔見知りの和尚が良守に声をかけてくる。良守が悩んでいる事を明かすと、和尚は繁守も昔同じように悩んでいたと教える。この後、良守は裏山に移動し、がむしゃらに体を動かす。そんな良守の前にカラスの群れが現れる。
良守はカラスを結界で囲もうとするが、逆にカラスの群れに攻撃を受ける。その時、良守は機敏なカラス相手の特訓を思いつく。良守は近くにいる全てのカラスを大きな結界の中に閉じ込めた後、カラスを1匹ずつ囲む特訓を開始。そして夕方、訓練を終えた良守はボロボロになって帰宅する。翌朝、良守は庭で特訓を行い、隣りの雪村家まで良守の叫び声は響く。時音は朝から特訓する良守に刺激を受け、自分も頑張ろうと気合いを入れる。
良守は烏森学園に登校すると、すぐに爆睡する。昼休み、時音は良守に声をかける。良守はカラス相手に特訓している事を明かすが、はっきり言わなかったため、時音はゴキブリ相手の特訓と勘違い。時音はゴキブリ対策の必勝法を良守に教えた後、自分の勘違いに気付く。黒芒楼では、城が少しずつ崩壊し、白はその光景を心配そうに見つめる。火黒は烏森に行きたがるが、白はまだ出番ではないと許可を出さない。
良守はカラス相手の特訓を続ける。この後、ボロボロになった良守は掃除中の和尚と偶然会う。和尚の言葉からヒントを掴んだ良守は裏山に戻って特訓を再開し、何かを掴み始める。その夜、良守と時音は烏森学園を警護中に何者かの気配を察知。時音は結界術のスピードと精度をアップさせた良守に驚く。だが、良守らは謎の集団に包囲されてしまう…。
良守、時音は烏森学園に現れた謎の集団に囲まれてしまう。特訓によってスピード、精度をアップさせた良守は飛び回る影を次々に包囲し、一気に滅却しようとするが、何者かに阻止される。そこに現れたのはムカデに乗った正守。謎の集団の正体は正守率いる夜行の面々だった。正守は夜行の本拠地を烏森に移して活動する事を良守に明かす。続けて、正守は夜行のメンバーが墨村家と雪村家の世話になる事を報告する。
良守は個性的な夜行メンバーとの共同生活に戸惑い、自分のペースを崩されてしまう。一方、雪村家では、夜行の女性陣と子供たちが世話になっていた。羽鳥らは世話になる礼として大掃除を手伝い、静江は上機嫌になる。時音は亜十羅がいない事に気付き、羽鳥に居場所を訊ねる。羽鳥によれば、亜十羅は限が住んでいたアパートで暮らすという。
この後、良守は気分転換に庭へ出るが、すでに轟(とどろき)、巻緒(まきお)、武光(たけみつ)らが体を動かしていた。良守は夜行メンバーの能力を目の当たりにして驚く。続いて、良守は道場へ移動するが、そこでは黄道(おうどう)らが瞑想をしていた。居場所のない良守は、夜行が家にいる期間を正守に質問。良守はペースを乱されると文句を言うが、正守は黒芒楼に1人で勝てるのかと良守を諭し、我慢して共同生活するように促す。
夜、調子が狂いっぱなしの良守は斑尾と共に気合いを入れて烏森学園の警護に向かう。だが、烏森学園には、すでに夜行の面々、戸惑った表情の時音、白尾の姿。箱田(はこた)、巻緒は夜行メンバーが警護と実戦訓練を兼ねて順番に学園に来る事になったと良守に説明。正守の命令らしく、武光は補佐役として良守らを援護する事を強調する。良守はすっかりペースを崩され、ふて腐れる。その時、烏森学園に妖の龍蜂(りゅうばち)が出現する。
時音は夜行メンバーと協力して戦う事に。そこに秀、閃、大がやってくる。3人は良守の実力を確かめに来たのだ。良守は自分の実力を夜行の面々に見せつけようとするが、時音、巻緒、武光、轟に龍蜂を倒されてしまう。後日、良守は限のアパート前を通り、亜十羅に声をかけられる。良守は亜十羅との会話で何かが吹っ切れる。この後、アパートを出た良守は尾行されている事に気付く。良守を尾行していたのは秀、閃、大の3人だった…。
時子は人里離れた渓谷で密かに黒芒への道を作る…。良守は尾行してきた秋津秀、影宮閃、八重樫大を寺の裏山に連れて行く。良守が用件を聞くと、影宮は手合わせしたいと言い出す。正統継承者の実力を知りたいという。この後、影宮らは3人で良守に攻撃を仕掛ける。良守は3人に翻弄され、最後は影宮が良守の首に爪を巻き付けて勝負がつく。勝負に勝った影宮は弱くてつまらないと良守を挑発し、怒った良守の体に絶界の気配が漂う。
良守は黒芒楼との戦いを控えた時期にふざける影宮らに激怒。3人は豹変してオーラを放つ良守に狼狽える。秋津はふざけた事を謝罪するが、影宮は真面目にやれないと良守に食ってかかる。続けて、影宮はケタ違いに強かった限が負ける相手に敵うはずがないと本音を吐露。影宮は最前線で戦う限の背中を見ているだけで何もできなかったと告白し、良守も何もできなかったと推測。良守は責任を感じ、限の仇をとると3人に約束する。
翌日、正守は良守が特訓している事を利守から教えられる。そして、良守が裏山で特訓していると、そこに正守が現れる。正守は今度の戦いでは暴走せずに指揮に従ってもらうと良守に忠告。良守は限との約束を守り、正守に従う事を受け入れる。ただし、良守は火黒だけは自分が倒すと正守に訴える。この後、良守は変な事があったと言って、絶界を発動した時の事を伝える。正守は何も知らず、カンだけで絶界を発動した良守に驚く。
黒芒楼では、白が左金を部屋に呼び、出撃の準備ができているかを確認。左金は出撃の時が来たと察する。左金が部屋を出た後、物陰から紫遠が現れる。紫遠は信頼のない左金を烏森に行かせる事に疑問を持つ。すると、白は本当の目的を紫遠に明かす。白の真の狙いは烏森制圧ではなかった…。その頃、正守は黒芒楼の出撃が近いという報告を受ける。
翌朝、良守は黒芒楼が攻めてくる事を時音に報告。時音は烏森を守れるのかと不安になる。繁守は家を守るため、烏森は正守に託す事に。そして夜、烏森学園に良守、時音、夜行の面々が集結する。この後、黒芒楼の動きを知らされた正守は、刃鳥に皆を集めるように指示。正守は決戦の時がきた事を告げ、皆の士気を高める。亜十羅は限の事を考え、怒りに燃える。そんな中、烏森学園の上空に暗雲と共に左金率いる妖軍団が現れる…。
烏森学園の上空に黒芒楼の暗雲が立ち込めると、夜行の黄道、轟は炎陽玉をその黒雲へと放って戦いの狼煙を上げる。この後、正守は皆に声をかけ、夜行の面々が一斉に黒芒楼へ攻撃を仕掛ける。良守は上空で戦いながら火黒の姿を探し、時音は正確さを増した良守の結界術に感心。この後、屋上で戦っていた時音は影斬(かげきり)に袖を斬られてしまう。危険を察知した良守は時音を助けると、影斬へ向けて次々に結界を放っていく。
だが、良守は床を自由自在に走る影を結界で囲む事ができない。この後、時音のアドバイスを聞いた良守は影斬を結界で囲む事に成功する。すると、良守は火黒の居場所を影斬に確認し、火黒が烏森にいる事を聞き出す。黒雲の上にいる左金は酒を飲みながら、モニター蟲を通して戦いの様子を静観。正守は黒芒楼の弱さに違和感を覚え、黒芒楼の狙いは別にあると考える。この後、左金はようやく腰を上げ、正守はただならぬ気配を察知する。
左金は巨大な竜巻を起こしながら姿を現し、良守は圧倒的な妖気を感じ取る。白道は月刃、黄道は炎陽玉、刃鳥は翼を左金に放つが、バリアーのような渦巻きが全ての攻撃を防御。そして、左金が夜行を挑発した直後、斑尾は良守に火黒の人皮の匂いがすると伝える。良守は限の仇をとる事を優先して斑尾とその場を離れ、時音と白尾もその後を追う。
良守は屋根の上にいる火黒を発見するが、これは良守らを誘き出すための罠。火黒の人皮をまとっているのは紫遠だった。良守はすぐに火黒でないと気付き、紫遠に火黒の居場所を訊く。紫遠が火黒は黒芒楼にいると明かすと、良守は黒芒楼へ連れて行けと要求。白から結界師2人を連れ帰れと命令されていた紫遠はその要求を受け入れ、良守に無数の糸を絡ませる。紫遠は別の屋根の影から様子を窺う影宮に気付き、影宮にも無数の糸を放つ。
紫遠は時音の代わりに影宮を連れ帰って誤魔化そうと考える。そして、紫遠は良守と影宮を巨大な糸玉に包み込んで烏森を後にする。良守を見失ってしまった時音は、巨大な糸玉に包まれて運ばれる良守を発見。その頃、黒芒楼では、白が結界師を連れ帰るという今回の本当の狙いを姫に明かす。烏森学園では、左金が亜十羅を人質にとり、正守は手を出す事ができない。時音は傷ついた蟲を捕まえ、黒芒楼へ連れて行けと命令する…。
亜十羅を人質にとった左金は、烏森を明け渡せと正守に要求した後、烏森の力によって巨大化する。その頃、時音は良守らを連れて行く黒雲を追って山の中へ。すると、渓谷にある古びた門の内側に空間が口を開く。黒雲は空間に吸い込まれていき、時音も中に飲み込まれる。空間は異界へと続き、黒雲は黒芒楼に向かう。時音は黒芒楼の大きさに驚きつつも良守の事を捜し始める。その頃、黒芒楼の一室では紫遠が良守を縛りつけていた。
巨大化した左金は、烏森を明け渡せと再度要求。しかし、巨大化した事によって狙いが定めやすくなり、正守は左金の腕を結界で囲んで亜十羅の救出に成功する。すると、正守は絶界を発動して左金を簡単にやっつけ、黒芒楼の妖たちは烏森から退散してしまう。黒芒楼では、良守が縛られながらも絶界のようなオーラを放ち、紫遠、碧闇は良守の扱いに苦労する。そんな中、碧闇は異界の空間の補修に良守を利用しようと思案を巡らせる。
この後、良守が拘束される部屋に白が現れる。良守は火黒を出せと白に要求。白は自分の置かれた状況を無視した良守の発言に呆れた後、ぐるぐる巻きにした影宮を連れてくる。良守が影宮と知り合いだと確認すると、白は2人組の妖に合図を送る。すると、2人組の妖は、手から伸びた剣のような物を影宮の首筋に突きつける。白は影宮を人質にすると、良守に大人しく従えと命令。続いて、蟲が良守へと近づき、食らいつこうとする。
だが、良守は全身からエネルギーを放って蟲を消し飛ばすと、白の要求を拒絶する。白は考えを変え、良守を地下牢に閉じ込め、体力を消耗させろと紫遠に指示を出す。烏森学園では、正守らが良守らの行方を捜索。そこに斑尾を連れた繁守が現れる。繁守は良守らが黒芒楼に連れて行かれた事を明かし、正守はすぐに黒芒に向かう手配を刃鳥に命じる。
黒芒楼の紫遠は、良守を地下牢へ移動させるため、部下たちに指示を出す。その時、天井を突き破って松戸と加賀見が現れる。紫遠は松戸が生きていた事に驚く。加賀見は紫遠の部下たちを次々と退治し、紫遠はその場から逃げ出す。松戸は良守が繁守の孫だと気付くと、黒芒から立ち去る事を条件に助けようとする。だが、良守は火黒を倒さなければならないと断る。だが、松戸は自分が狙う白に手出ししなければ良いと言って良守を助ける。
松戸と加賀見は黒芒楼を破壊していき、良守を捜して黒芒楼に潜入した時音は出くわした妖を槍結界で次々に貫いていく。そして、開放された良守は影宮の救出に向かう途中、屋根の上にいる火黒を発見する。だが、良守は怒りを堪え、影宮の救出を優先する事に。この後、時音は江朱と遭遇。時音の態度に激怒した江朱はタコのような本来の姿になって時音に襲いかかる。だが、時音は攻撃をあっさりと交わし、江朱を槍結界で貫く。
その頃、正守、繁守らはムカデに乗って黒芒へ続く山に向かい、山のふもとで瞑想する時子は異界が崩れかかっている事を感じ取る。黒芒楼の寝所にいた姫は、城の異変に気付いて不安になり、大量のコードを引きずりながら廊下に出て行く。そこで姫は良守とバッタリ出くわす。良守は姫が黒芒楼に囚われていると勘違いし、首輪と足かせを外してしまう。姫は良守がただの人間ではないと察知し、良守を知るために尾で包み込む。
姫は良守が城を潰そうと考えている事を読み取る。良守は姫の尾に包まれ、意識が朦朧としてしまう。すると、姫は良守の額に指を押し当て、光が良守の体内に吸い込まれていく。この後、姫は放心状態の良守を解放し、良守は何かに導かれるように走り出す。良守は大量の妖たちを滅しながら導かれるように城の中を進む。その頃、時音は楼閣辺りが爆発した事に気付く。松戸と加賀見は楼閣を破壊しながら白の事を捜していた。
地下牢に囚われている影宮は恐怖に怯えながら、限の事を回想する。影宮は傷つきながらも必死に戦っていた限の姿を思い出す。そして、影宮は限が覚悟を持って戦いに臨んでいた事、良守がいくつもの修羅場を潜り抜けてきた事を悟り、2人に比べて自分が浅はかだった事に初めて気付く。この後、影宮は必死に爪を伸ばし、足を縛る糸を切ろうとする。
だが、糸は全く切れる気配がなく、影宮は悔しさに涙をにじませる。その時、地下牢の壁が粉々に崩れて良守が姿を現す。良守は迷わずに地下牢まで来られた自分に感心した後、影宮を助けて地下牢を出ていく。その頃、白は寝所から姫が消えた事に気付く。そんな白に松戸と加賀見は背後から近づいて声をかける。松戸と白は睨み合いながら対峙する…。
松戸は逃げる白を地下広間へと追い詰め、白沼と声をかける。この後、人の姿に戻った加賀見を見た白は、人の女房の姿を勝手に使うなと怒り出す。2人の確執は50年前にさかのぼる…。50年前、松戸は白沼(白)が妻のリサに愛情の欠片も見せない事に心を痛めていた。松戸はリサに想いを寄せていたのだ。その後、松戸は亡くなった白沼とリサの墓を掘り起こして愕然とする。白沼の死体だけ消えていたのだ。
その時、松戸はリサが白沼の実験台にされて死んだと確信。リサの蘇生に失敗した松戸は、奇跡を起こすために悪魔(加賀見)と契約し、禁術に手を出してしまう…。回想後、白はリサが死んだのは事故だと言い訳するが、松戸は聞く耳を持たない。すると、白は蟲たちに指示を出し、蟲たちは松戸らに襲いかかる。だが、妖形態に変化した加賀見が蟲たちを返り討ちにする。松戸は妻を実験台にしてまで得たものは何かを白に問う。
さらに松戸は、お前には求めるものが何もないと白に言い放つ。だが、白は体に変化を求めたと反論。リサが中身のない白沼に惚れた事が理解できないという松戸に対し、白はリサが醜い女だった事を明かす。リサは都合の良いように白を動かし、欲しいものを手に入れていたという。結婚後も望みの尽きないリサは最終的に不老不死を望み、白はそのために奔走したと訴える。そして、ある日の実験が失敗し、リサは自ら死を選んだという。
白はリサの実験に付き合わされたと主張するが、松戸は白沼を繋ぎ止めるためにリサが不老不死を求めたと指摘。この後、白は松戸を操るため、蟲を体に寄生させようとする。加賀見は蟲たちを退治するが、松戸の額や体に数匹の蟲が直撃し、蟲を送り込むルートができてしまう。松戸は呪いの手法に詳しい加賀見が黙っていたため、裏切られたと勘繰る。
追い詰められた松戸は右腕を渡すと条件を提示し、加賀見に助けを求める。すると、加賀見は白に攻撃を仕掛ける。加賀見の触手は白を貫き、松戸は蟲に侵入されずに済む。この後、加賀見は死ぬまで先生の味方だと微笑み、裏切られたと思っていた松戸は困惑する。松戸は倒れた白にリサを愛していたかを確認。白が人を愛した事などないと答えると、松戸はステッキを白に突き立てる・・・。
城郭が崩れる中、良守を捜し続ける時音は、サル妖、カッパ妖、ブタ妖を発見する。その頃、良守は影宮と地下牢から抜け出し、部屋にいる大量の妖に気付かれないように注意しながら移動する。良守は部屋に妖がいる事を誰に教わったかと考えるが、実は姫が良守の脳裏に力を授けていたのだ。この後、良守らは大量の妖の蟲と遭遇する。
時音はサル妖らを脅し、良守が地下牢に囚われている事を聞き出す。良守は大量の蟲を怖がる影宮を連れて上の階へと逃れる。足手まとい扱いされた影宮は怒り、良守と同じ態度をとった限の事を思い出す。この後、良守は影宮を連れて外回廊へ出ると、火黒の事を捜し始める。山の岸壁では、箱田らが時子の姿を発見。黒芒楼への抜け道は完成したようだが、時子は黒芒が崩れ始めている事を繁守らに教える。
正守は時音、良守、影宮が黒芒にいる事を時子に説明。正守は3人を助けるために必要な最小限の人数を連れて黒芒へ行く事を決め、時子は抜け道を保持するために残る事に。そして、正守、繁守らは黒芒に向けて出発する。その頃、時音は地下牢に辿り着くが、すでに中はもぬけの殻になっていた。火黒を捜している良守に対し、影宮は火黒を見つけてやると告げる。影宮は強い妖の妖気を辿る能力を持っているのだ。
集中できる場所へ移動した後、影宮は火黒の妖気を見つけ出そうとするが、良守は火黒が人皮を身にまとっていた事を思い出す。人皮は妖気を遮断してしまうのだ。結局、影宮は火黒を見つけ出す事を断念し、良守は影宮に帰るように勧める。すると、影宮は限の仇をとる事の意味を良守に訊ねる。良守は限に借りを返すと言って楼閣の屋根へと消えていく。この後、影宮は回廊で時音とばったり遭遇。時音は影宮も捕まっていた事に驚く。
影宮は良守が火黒を捜しに行った事を伝える。すると、時音は良守を心配して捜しに行こうとする。影宮は危険を顧みない時音に呆れながらも、良守の気配を追って居場所を見つけ出してあげる事に。良守の気配を捜し始めた影宮は、ものすごい妖気を持った妖の存在を感じ取る。そして、影宮は一番高い屋根の上に良守の気配を感知。良守はまっすぐ火黒に向かっていた。その時、時音と影宮がいた楼閣が倒壊してしまう…。
時音と影宮がいた楼閣が倒壊し、崩れた欄干にぶら下がる影宮。瓦礫と共に落下した時音は下方にある橋にクッションの結界を作って着地する。この後、時音は橋の向こう側から来る藍緋と遭遇。その時、壊れた橋がさらに崩れると、藍緋は時音を助ける。白が仕込んだ蟲から開放され、黒芒楼を離れようとしていた藍緋は一旦研究室に戻ってから時音を解放。時音が助けた理由を聞くと、藍緋は久しぶりの人間の匂いに血迷ったと答える。
藍緋は黒芒楼から逃げる事を勧めるが、時音は仲間を助けるため、逃げる訳にはいかないと答える。人間の絆を感じた藍緋は昔会った人間の男の事を思い出す…。50年前、人を襲った藍緋は妖花から人に化けるところを1人の男に目撃される。腹が満たされていた藍緋は男を見逃してやるが、男は藍緋との再会を望み、同じ場所に度々やってくる。そして、体が弱くて外出できないという男に頼まれ、藍緋は男の家で一緒に暮らし始める。
藍緋はその生活を心地良いと感じ始めるが、その矢先に男の兄が亡くなってしまう。それから、体が弱くて仕事をしなかった男は家族を支えるために必死に働き、次第に体も丈夫になっていったという…。回想後、藍緋は何もできない男が他人のために身を削る事ができた理由が知りたくて人間を研究したと告白。時音は藍緋がその男を好きだった事に気付き、人を動かすのはその気持ちだと教える。そんな2人の会話は火黒に盗み聞きされる。
この後、良守と時音を捜していた影宮は良守を見つけると、時音が黒芒楼に来ている事を教える。時音が楼閣から落ちた話を聞いた良守は急いで救出に向かう。時音が出ていった後、火黒は研究室を出て行こうとする藍緋を制止。火黒は培養槽の人皮が50年前の男の顔だと確かめてからその人皮を破壊し、藍緋はその行為に怒りを露わにする。
巨大な妖花へ変身した藍緋は火黒に攻撃を仕掛ける。だが、火黒には全く効かず、動揺する藍緋。火黒は妖花のツタを刀で次々に斬り落とし、最後は茎を切断。この後、藍緋は部屋の外まで這っていくが欄干の所で息絶える。その頃、時音は良守を捜して回廊を走り回り、良守も時音を捜して続ける。そして、時音が呼びかける声に気付いた良守は声がする別の楼閣へ向かう。そして、時音と良守はようやく再会を果たす…。
良守と時音は出会ってすぐに口論を始める。時音は1人で限の仇を討とうとする良守に自分も仲間だと訴える。すると、良守は時音を結界で囲み、頼っていたら火黒は倒せないと言って、走り去っていく。この後、良守は楼閣にいる火黒を発見。良守は話しかけてくる火黒の言葉を遮り、次々に結界を放つ。だが、人皮を着ていない火黒は軽々と良守の攻撃をかわしていく。結界に閉じ込められた時音は手間取りながらも結界から脱出する。
火黒は良守の攻撃をかわしながら結界の分析を始める。続けて、火黒は友人がやられて悔しいかと良守を挑発し、剣を使って攻撃を仕掛ける。良守は2撃目を防いだものの1撃目は見切れず、横腹に傷を負ってしまう。この後、時音は火黒と戦っている良守を発見。時音は加勢しようとするが、突然現れた影宮に制止される。影宮は自分たちの出る幕ではないと時音を説得。時音が巻き込まれれば良守は戦えなくなってしまうからだ。
その頃、離れた屋根の上には2人の戦いを見つめる紫遠の姿。紫遠は遊び半分だった火黒が本気になり始めている事に気付く。火黒は手応えがないと感じつつ良守に攻撃を加える。その時、火黒が振り上げた剣の切っ先がパキンと折れる。良守は絶界を発動したのだ。絶界を待ち望んでいた火黒は興奮しながらも絶界が完成の域に達していないと察する。火黒は過去に完成した絶界を見た事があると良守に告白し、時守の事を思い浮かべる。
この後、火黒は一気に間合いを詰め、良守を斬りつける。良守は絶界で何とか防御。火黒は剣が折れても新たな剣で攻撃を続け、絶界が未完成だと再確認。すると、火黒は限の話題を切り出して良守を動揺させる。火黒は限が自分に似ていたと告白。続いて、火黒は自分が人間だった事を明かし、昔の事を回想する…。黒田(火黒)は友人の坂井と道場で対戦するが、敗れて落ち込む。坂井は木刀ではなく、真剣なら黒田の方が強いと慰める。
その後、黒田は武士を斬って御用に。数年後、黒田は山で時守と出会う。時守は修羅の道に落ちた黒田に絶界を発動するが、黒田は隙を突いて逃げ出す。そして、黒田は待ちかまえていた坂井を斬りつけ、妖への仲間入りを果たす。回想後、火黒は自分のように自由になれと良守に勧める。良守が断ると、火黒はパワーを上げ、渾身の一撃を良守に放つ。
火黒は渾身の一撃を放つが、良守は辛くも防御する。すると火黒は戦いを止めようと提案。火黒は良守がもう少し成長してから戦いたいと余裕を見せる。さらに火黒は良守を自分と同じタイプと分析。火黒は大事な人や物を失い、完璧な一人になれば、もっと強くなると良守に助言し、こっちの世界へ来いと勧める。だが、良守は仲間が欲しいのかと火黒を挑発。怒った火黒は右手から光を放ち、その光は良守の頭ギリギリをかすめていく。
この攻撃によって楼閣は崩れ始め、良守は巻き込まれそうになるが、時音、影宮に救出される。その頃、正守、繁守らは異界を包む亜空間を移動、良守らのもとへと急ぐ。時音と影宮は勝算もなく、向こう見ずに戦いを挑んだ良守に呆れる。そして、時音は結界に刺さった火黒の刀の切っ先3本を比べ、切れ味が徐々に鋭くなっている事に気付く。火黒はどんどんパワーアップしているのだ。影宮は今度こそ火黒は本気でくると良守に忠告する。
この後、影宮は正守が発動した絶界を見た事があると告白。良守の絶界は触ると弾け飛ぶレベルだが、正守の絶界は触ると全て消え去る程のすごい威力があったという。完璧な絶界でなければ火黒に勝てないと判断した影宮は戦いを止めさせようとする。だが、火黒を倒すという意志が強い良守は言う事を聞かない。良守は影宮に時音の事を頼むと、前方にいる火黒を見据えながら絶界を発動。良守は真正面から火黒にぶつかっていく。
良守をサポートしようと考えた影宮は時間を稼ぐため、良守と火黒の間に割ってはいる。そして影宮が火黒の剣を受けた直後、良守を中心に爆発のような閃光が広がる。球状になった光の中で火黒は自分が負けると直感。直後、火黒は崩れて粒子になっていく。その頃、大広間で倒れていた白が起き上がる。姫が松戸にやられた傷を治したのだ。黒芒楼へ辿り着いた正守らは時音と合流。時音は球状の光の中に良守たちがいると正守らに説明する。
正守らはムカデに乗って光へと近づき、影宮と良守を発見。良守は自分が発動した光の中で意識を失っていた。正守は光に穴を開けて2人を救出しようと絶界を発動。だが、良守が作った球状の光は凄まじく、なかなか穴を開ける事ができない。時音は呼びかけても良守に反応がないため、ある事を決断。この後、時音は球状の光の中へ向かっていく。
意を決した時音は良守が作った球状の光の中へ入っていく。時音に気付いた良守が手を伸ばすと、時音も手を差し出し、2人の手が触れ合う。そして、影宮が良守の額に爪を突き立てた瞬間、正守は光の中にいる3人を救出する。この後、ムカデに乗った正守らは崩れゆく黒芒楼を見つめる。その頃、白は部屋にいた姫を外へと連れ出す。碧闇は一緒に黒芒から出て行こうと紫遠を誘う。すると紫遠は安全な出口へ案内しろと碧闇に命令する。
白は姫を背負って岩場を歩いていく。白が小さくなった姫を気遣うと、姫はもう少し位はすごい事ができると言って尻尾を動かす。すると、崩れた黒芒楼が消え、黄金色の大地が広がっていく。正守は辺りに広がるススキ野原を見て、姫の正体は黒芒の化け狐だと気付く。この後、正守、気絶した良守らを乗せたムカデは空間の裂け目から黒芒の外へ。
姫はススキを1本取ってほしいと白に頼む。白は1本のススキを手渡した後、姫との出会いを振り返る…。白は蟲たちと共に黒芒楼にいる姫に戦いを挑むが、返り討ちに遭ってしまう。妖になりたいと願い、力を求めて姫を襲った白。だが、姫は別の望みがあるはずだと白に忠告。以来、白は自分の望みを探し続けていた。白は回想後、妖になりきれなかった理由、自分が何を求めていたかをようやく悟る。白は人間になりたかったのだ。
ムカデに乗って亜空間を移動中、良守は時音の声で目を覚ます。良守はすぐに火黒の事を訊ね、影宮は良守の絶界のような光で消し飛んだと報告する。良守と影宮が話していると、黒芒の崩壊によって生まれた黒い気配が背後から接近。ムカデが飲み込まれそうになると、繁守はムカデを光で包み込み、黒い気配から保護する。この後、渓谷で待つ時子が亜空間にいるムカデを引っ張りあげ、良守、正守らは辛くも生還する。
時音は心配をかけた良守の頬を叩いて激怒。時音は良守が傷つく事で傷つく人もいると訴え、もっと自分を大事にしてと泣きながら頼む。良守は時音に謝った後、眠りに落ちてしまう。そして夜、良守は墨村家を去る正守、夜行の面々を見送った後、いつものように烏森学園の警護に向かう。良守が遅れてきた時音と話していると、大きな妖が出現。良守と時音は妖へ攻撃を仕掛ける。烏森を守る良守と時音の戦いはこれからも続く…。