結界師 ストーリー
昼間の烏森学園。翡葉京一(ひばきょういち)と志々尾限(ししおげん)は校門の近くから校舎を見上げる…。その頃、良守と時音は人に化けた妖が昼間の烏森学園に潜り込んでくる事を警戒し、高校の英語教師で異能者の三能たつみに注意を促す。この後、良守は教室で爆睡している間に田端に髪をイタズラされる。百合奈はアヤノとキョーコに誘われ、隣のクラスの転校生を見学に。その時、百合奈は廊下で限とすれ違い、漂う血の臭いを感じ取る。百合奈は転校生が教室に不在だったため、すれ違った生徒が転校生だと気付く。
授業後、百合奈は怪しい生徒がいると良守に相談する。が、良守は話を聞かずに何処かへ行ってしまう。廊下を歩いていた良守は限に襟首を掴まれ、校舎裏へ連れて行かれる。限は良守の正体を見抜いて顔面を殴りつける。その時、給水塔脇に張った昼寝用の結界で寝ていた良守が目を覚ます。殴られた良守は式神だったのだ。
良守が邪気を感じて校舎裏へ向かうと、既に時音も駆けつけていた。校舎の壁には四筋の爪跡が刻まれ、良守は何者かに式神を消された事に気付く。良守らは人に化けた妖が学園に入り込んでいると判断。良守は偵察用にカラスの姿をした式神を放つと、犯人を捜しに向かう。この後、限は庭園で花に水をやる三能に近づいていく。
その頃、良守は高等部の校舎近くでガラの悪い男子高校生たちが倒れているのを発見。その中の1人に話を聞くと、髪を立たせた背の低い中学生にやられたという。そして、式神のカラスが三能と限の姿を発見。良守は庭園に駆けつけるが、既に三能は限にやられていた。三能によれば、やはり犯人は髪を立たせた小柄な中学生男子だという。
この後、良守は校舎脇で限を発見。限は良守の目の前で式神のカラスを握り潰して逃げていく。良守が後を追いかけると、限は踵を返して良守を蹴り飛ばす。良守は限を結界で囲もうとする。良守は限の素早い動きに翻弄されるが、ようやく結界で囲む事に成功。だが、限は慌てる事なく、右腕の爪で結界を切り裂いてしまう。すると、限は良守、駆けつけた時音に自分の正体を明かす。限は夜行に所属し、烏森の警護および結界師の補佐役として派遣されたのだ…。
志々尾限は自分の正体を明かすが、良守は限の事を人に化けた妖と怪しむ。すると、限は携帯電話で正守に連絡。裏会の限を烏森の地の警護および結界師の補佐役として派遣したのは正守だった。限は組織的な妖の集団が烏森を狙っていると説明。良守は限に頼りないとバカにされ、怒って言い返す。2人は一触即発の状態になり、時音が止めに入る。時音は2人に注意した後、限に自己紹介して握手を求めるが、限は逃げ去ってしまう。
この後、中等部2年2組の教室では、田端と市ヶ谷が限の噂話をする。良守は限が高等部の女子に人気があると知って気を悪くする。良守は決着をつけるため、限のいる1組へ乗り込もうとする。だが、既に限は早退してしまったという。早退した限は裏会の書状を持って雪村家を訪ね、時子にあいさつする。続いて、限は墨村家も訪問するが繁守は不在。その頃、繁守は某大学の名誉教授、松戸平介(まつどへいすけ)の家を訪ねていた。
異界愛好家でもある松戸は助手で妖の加賀美(かがみ)を繁守に紹介する。この後、繁守は松戸に監視者が残した腕の一部を渡して調査を依頼。松戸は採取した日時や状況など、詳しい情報を教えろと繁守に要求する。墨村家では、限が繁守の帰りを待っていた。そこへ良守が帰宅して2人は言い争いを始める。そして、修史が良守を宥めている時に繁守が戻ってくる。繁守は自室に通した限に裏会の勝手な行動について小言を言う。
限が1人暮らしのアパートに帰宅すると、正守から携帯電話に連絡が入る。正守は任務だからと気張らずに学校生活を楽しめと伝え、自分から女子に話しかけられない限をからかう。話の最後に限は烏森の地に自分を派遣した真意を正守に訊ねる。すると、正守は派遣した理由の1つとして、良守と限が合うと思った事を明かす。
夜、烏森学園を警護する良守は限を追い出そうと時音に提案。だが、時音は限の事を何も知らずに追い出す考えに反対する。その時、良守と時音は妖の気配を感知。良守らは林の中で一つ目蜥蜴(ひとつめとかげ)を発見するが、機敏な動きに手間取ってしまう。そして、校舎の方へ逃げた一つ目蜥蜴を限が退治。限は妖を取り逃がした良守に嫌味を言う。その頃、黒芒楼(こくぼうろう)では白(びゃく)と姫(ひめ)が烏森を手に入れようと企んでいた…。
夜の烏森学園。良守が妖の虎鼬(とらいたち)に手間取ると、限は良守をバカにする。時音は熱くなる良守をなだめるが、限の言動に心中穏やかではない。別の日の夜、限の部屋に翡葉京一(ひばきょういち)が様子を窺いにやってくる。この後、時音は烏森学園に姿を現した限に話そうと声をかけるが限は無視してその場を去ってしまう。そこに妖の大首車(おおくびぐるま)が出現。大首車は突然襲いかかり、良守は咄嗟に教室へ飛び込む。
大首車は良守が結界師だと確認すると教室で大暴れ。そこに現れた限は大首車に飛び掛り、激しい攻防を繰り広げる。そして、限のキックが大首車に炸裂。大首車は外に吹っ飛ぶが、ダメージを受けていなかった。大首車は力が発揮できる空中に限を誘き出したのだ。大首車は車輪から鋭い刃を出して攻撃。限は激しく吹っ飛ばされるが、時音が柔らかい結界を成形して限を受け止める。限は体を起そうとするものの激痛に顔を歪めてしまう。
良守は空中に張った結界の上に立ち、次々に結界を放つが大首車にかわされる。そして、大首車が襲い掛かると、良守は堅さを調節しながら防御の結界を張り、限は良守の企みを思案。この後、限が体を起こしたため、時音が注意する。しかし、すでに限の傷は治りかけていた…。その時、大首車は結界に体を食い込ませ、身動きが取れなくなる。良守はこれを狙って防御の結界を張っていたのだ。良守は大首車にダメージを与えて結界で囲む。
だが、大首車は必死に回転して脱出する。限も良守の結界を利用して上空へ行き、大首車に攻撃。白尾は限が体内に妖を宿している人間と気付き、時音に伝える。大首車は回転を縦から横に変え、限を地面に叩きつけた後、結界師に賞金がかけられている事を匂わす独り言を言う。この後、限の強烈なキックが炸裂して大首車は校舎の中へ吹っ飛んでいく。
その瞬間、良守は一瞬の早業で結界を成形。良守は大首車の車輪の中にある本体の顔だけを結界で囲む事に成功する。良守は大首車の顔を滅し、限も良守の実力を認めざるを得ない。戦いの後、良守は何者かが結界師を賞金首にかけている事を時音に伝える。そして、壊れた教室を修復する事になり、時音は手伝うように限に指示を出すが、限は手伝わずにその場を去ってしまう。しかし、時音は限の気持ちが変わり始めている事に気付く…。
塾帰りの神田百合奈と幼馴染みの品川 葵(しながわあおい)は、志々尾限が屋根を飛び越えていく姿を目撃して驚く。烏森学園では、良守が妖の甲牛(かぶとうし)を結界で囲むが、甲牛は結界をぶち破って突進。そこに現れた限は妖爪を使って甲牛を退治する。良守は手柄を横取りされて悔しがる。翌朝、限は登校中に捨てられた子犬を見つけ、ハンバーガーを与える。その様子を偶然見かけた葵は登校後、限に恋した事を百合奈に打ち明ける。
放課後、百合奈は葵が限に好意を持っている事を良守に明かし、アドバイスを求める。良守は限が危険人物だと説明し、やめるように助言。夕方、百合奈は葵を思い止まらせるため、品川邸を訪ねる。だが、葵は拾った子犬を見せ、今朝の出来事を嬉しそうに百合奈に語り始める。結局、百合奈は葵の説得に失敗してしまう。深夜、限が烏森学園を警護していると正守から携帯に連絡が入る。そして携帯を切った直後、限は妖の気配を察知する。
気配を察した良守と時音が学園に駆けつけると、限が粘々した液体に封じ込められていた。妖の妖曲斎(しょうきょくさい)は良守らに気付くと攻撃を開始。妖曲斎が手ぬぐいを振ると兔や鳩の小さい妖が多数出現し、良守らに襲いかかる。良守らは小さい妖を瞬時に滅するが、妖曲斎は竹の杖を振って別の攻撃を仕掛ける。奇術に戸惑う良守と時音は一旦、屋上へ避難して作戦を練る。そして、良守が囮になった隙に時音が限を助ける事に。
この後、良守が妖曲斎の気を逸らした隙に時音が限を救出。怒った妖曲斎は巨大風船を取り出し、また別の攻撃を仕掛ける。校舎の陰に逃げ込んだ良守がプールの陰から飛び出すと、妖曲斎は油揚げを投げつけてくる。すると、限が現れ、油揚げを掴んで妖曲斎に投げつける。時音は油揚げが爆発した時に出る煙を利用する作戦を限に伝える。
時音は次々と妖曲斎の周りの煙を結界で囲み、視界を完全に阻む。妖曲斎は竹の杖を回転させて上昇し、逃げようとするが、良守は上空から結界を張り、妖曲斎を押し潰そうとする。妖曲斎は煙を囲んだ結界を砕き、水平方向に逃げようとする。その瞬間、限が妖曲斎に攻撃してバラバラに粉砕。時音と良守も限の実力を認める。翌日、葵は限に告白するがフラれてしまう。しかし、葵は子犬にゲンと名付けて可愛がり、失恋の痛手を少ない。
夜の烏森学園。良守が妖を結界で囲もうとすると、限がその妖を仕留めてしまう。怒った良守と限は言い争いを始める。この後、限は時音に片付けを指示。その態度にムッとした良守は、時音をバカにするなと限を注意する。限は墨村家と雪村家が対立関係にあるのに時音を気にかける良守を疑問に思う。翌朝、登校中に限は時音の後を追いかける良守を見かける。昼休み、良守は時音の事が好きなのかと限に質問されるが、慌てて否定する。
放課後、高等部に八王子君也(はちおうじきみや)が現れ、女子生徒から歓声が起こる。君也は町で見かけた時音を忘れられずに会いに来たのだ。学園内が騒がしくなり、良守は田端に君也の事を訊ねる。田端によれば、君也は中央東高校の2年生で、地元のアイドルだという。君也に興味のない良守は帰宅しようとする。その時、良守は君也と時音が一緒に歩く姿を見かけて動揺。良守は田端、市ヶ谷を誘い、君也と時音を尾行する事に。
だが、良守らはすぐに2人を見失い、田端と市ヶ谷は帰ってしまう。その時、良守は道の反対側を歩く限を発見。良守は鼻が利く限に時音らの居場所を見つけてもらおうとするが、既に限は2人を追跡中だった。限と追跡を再開した良守は手を繋いで歩く時音と君也を見てヤキモチを焼く。限は君也が気になって追跡していたという。この後、君也と時音は裏路地へと入り、どんどん人気のない所へ。そして君也と時音は廃ビルの一室に入る。
君也は優しい表情で時音に歩み寄り、外から室内を眺める良守は気が気ではない。だが、君也は狂気じみた表情に一変。君也は自分の首筋にガラスを突きつけ、言う事を聞かないと男の命はないと時音を脅す。君也は妖の脳男(のうおとこ)に操られているのだ。脳男が時音に近づいたのは能力が高い体に乗り換えるためだった。
時音は体を提供する代わりに烏森や結界師の事を誰に教わったかを知りたいと交換条件を提示。すると、脳男は黒芒楼(こくぼうろう)から教わった事と明かす。この後、脳男が乗り換えを開始しようとすると、時音は君也もろとも脳男に攻撃を開始。時音は烏森を狙う謎の組織、黒芒楼に関する情報を聞き出した後、脳男を滅する。帰宅した限は黒芒楼の事を携帯で正守に報告。良守と時音もそれぞれ、繁守と時子に黒芒楼の事を報告する…。
黒芒楼では、統括の白を中心に藍緋(あいひ)、紫遠(しおん)、牙銀(がぎん)、江朱(こうしゅ)、壁闇(へきあん)という幹部6人が会議を開く。白は研究部の藍緋に新タイプの人皮の完成を急がせる。そして皆の中心には姫の姿が…。夜の烏森学園では、限と時音ばかりが妖を退治し、良守は斑尾から嫌味を言われる。その時、プールサイドに大きな妖が出現。良守は真っ先に妖を見つけて滅するが、その際にプールへ落下してずぶ濡れになる。
翌日、良守は風邪を引いて学校を休む。黒芒楼の研究室では、藍緋が部下の緋水(ひすい)に頼まれ、旧タイプの人皮を被せる。そこに現れた火黒(かぐろ)は緋水をバカにし、緋水は手柄を取って見返すため、勝手に烏森へ向かう。昼間の烏森学園では、限が姿を見せない良守の様子を窺いに教室へ。百合奈は良守が休んでいる事を限に教える。この後、百合奈は危険な人物が良守を訪ねてきたと時音に相談。限の事だと気付いた時音は心配ないと百合奈を安心させる。この時、時音は良守が学校を休んでいる事を初めて知る。
その夜、良守は烏森学園の警護も休む。代わりに気合が入った繁守が学園に現れ、時音は呆気に取られる。そこに人皮を被った緋水が出現。時音は緋水が黒芒楼から来たと察し、人と変わらない姿に驚く。そして、緋水の被っていた人皮が溶け、本来の凶暴な姿が露になると、繁守は攻撃しようとする。だが、繁守は頭上で印を結んだ瞬間に腰を痛めてしまい、時音と限だけで戦う事に。緋水は口から強酸性の弾を吐いて時音らに攻撃を仕掛ける。
限は背後から飛び掛り、緋水の体をバラバラに切り裂く。しかし、緋水は破片から元の体に再生。限はもう一度、緋水を切り裂くが、また体は再生してしまう。繁守はその様子を木陰から眺める。実は、繁守は腰を痛めていなかった。繁守は自分に頼らず、時音たちだけの力で烏森を守ってほしいと考え、腰を痛めた芝居を打ったのだ。
続いて、時音が結界で囲もうとすると、緋水は自ら体をバラバラに。そして、緋水は滅せられなかった破片から体を再生する。今度は、全ての破片を結界で囲んで滅する時音。だが、見落とした小さな破片から緋水は再生し、背後から時音に迫る。危険を感じた繁守が時音を助けようとしたその時、心配して駆けつけた良守が緋水を結界で囲んで滅する。
正守は喫茶店に夜未を呼び寄せ、自分が裏会の幹部入りする情報を漏らした人物の情報を聞き出す。さらに正守はその人物のバックにいる幹部の情報も集めろと夜未に指示する。烏森学園では、良守が教師の黒須(くろす)に憑依した黒猫の霊に気付き、対処法を思案する。そして正守は裏会最高幹部、十二人会の面々が集まる本部広間へ。正守は幹部たちにあいさつして会員証を意味する七番札を入手。正守は十二人会の第七客に就任したのだ。
黒猫の霊は放っておくと烏森の力で妖になってしまうため、良守は霊が黒須に執着する理由を聞き出して解決しようと考える。早速、良守は廊下で黒須に声をかけ、猫の事を訊ねる。しかし、黒須は猫を飼った事がないという。そこに通りかかった限はいきなり黒猫の霊を狩ろうとする。良守はそれを制止して限を校舎裏に連れて行く。
霊はすぐに消すべきだと主張する限と最善の方法を考える良守は口論になる。そこにやってきた時音は2人の意見を聞き、限が正しい事を認める。だが、時音は結界師である自分たちに任せて欲しいと限を諭す。早速、良守は職員室に行き、黒須に猫の事を訊ねる。すると、黒須は学園に出入りしていた黒猫の事を思い出して語り始める。黒須が見かける度に褒めてあげると黒猫は少しずつ懐いたようだが、最近は見かけていないという。
その頃、繁守は松戸邸に呼び出される。松戸は監視者が残した腕の一部の調査結果を繁守に報告。この時、繁守は正守が裏会の最年少幹部に就任した事を初めて知る。この後、黒須は教師の青木(あおき)から黒猫が学校の前で車に跳ねられ、死んだ事を知らされる。黒須は黒猫と出会った芝生の所へ行き、黒猫との思い出を回想する。
そして、黒須は芝生で黒猫の置き土産らしきスズメの死骸を発見。黒須が黒猫を褒めるように独り言を呟くと、黒猫は満足して静かに成仏していく。良守は何もせずに済んだ事に安堵する。裏会の本部では、扇一郎(おうぎいちろう)が烏森の件を正守に一任して十二人会は解散。正守は化け物のような十二人会の面々に嫌悪感を抱き、烏森の地に連中を近づけないため、問題をぬかりなく片づける事を心に誓う…。
朝、良守の部屋に母、守美子(すみこ)の式神鳥が伝言を持って現れる。驚いた良守は居間に集まる皆に報告するが、繁守、修史、利守の所にも守美子の式神は来ていた。良守は烏森に来る大きな敵に慌てずに対処しなさいと守美子に注意を促されたという。伝言には正守との協力を促す内容も書かれていたが、良守はその意見には反発。良守は裏会よりも雪村家と協力しようと提案するが、繁守は400年の溝は簡単に埋まらないと怒り出す。
黒芒楼では、藍緋が新作の人皮が完成した事を白に報告。白は部下を使って人皮を試せと藍緋に命令する。すぐに藍緋は研究室に戻り、灰泉(はいぜん)ら自分の部下4人に新作の人皮を着せる。火黒は人間の姿にはしゃぐ灰泉らを冷ややかに見つめる。火黒は結界師にハンデと与えると言って、新作に比べて動きが鈍くなる旧タイプの人皮を敢えて被る。
昼の烏森学園。良守が給水塔の上で時音と仲が良かった頃を回想してニヤついていると、限が現れる。その頃、人皮で気配を消した火黒、灰泉、茶南(さなん)、波緑(はろく)、赤亜(せきあ)は学園に乗り込んで放送室へ。火黒は校内放送を使って自分たちが黒芒楼だと名乗り、放送に気付いた良守と限は急いで放送室へ向かう。火黒は真夜中に話し合おうと良守らにメッセージを送って放送室を後に。良守らは立ち去る火黒らを黙って見送る。
夜、良守と時音、限が気を引き締めて烏森学園に向かうと、火黒らは森の近くで机と椅子を並べていた。声をかける良守に対し、火黒は話し合いの場を作っていると説明。良守が席に着く事を拒むと、茶南は烏森を大人しく受け渡してほしいと一方的に要求してくる。良守がこの要求を拒否すると、説得しても無駄と判断した火黒は限に攻撃を仕掛けてくる。限も火黒に迫っていくが、両者がすれ違った次の瞬間、限の肩から血が噴き上がる。
良守と時音は限が一瞬にしてやられて愕然となる。さらに火黒は斑尾と白尾にも攻撃を仕掛け、後は仲間に任せて屋上へと移動。この後、良守と時音は茶南らに呪力封じの魔方陣に誘い込まれ、結界術が使えなくなってしまう。時音は自分に注意を引きつけ、良守を脱出させようとする。だが、良守はその作戦を拒否して攻撃を仕掛けられる時音を助ける。代わりに良守は別の作戦を時音に伝え、時音を上空へと放り投げる…。
魔方陣の上空へ逃げた時音は灰泉らを結界で囲む。滅する事はできないが、その間に良守も魔方陣から脱出。この後、本当の姿を露わにした茶南は呪力封じの立方体を飛ばして攻撃を仕掛ける。その時、傷を負った限が現れて2人を助ける。捕まっていた限も逃げる事に成功したのだ。限は波緑に攻撃を仕掛けるが、屋上から降りてきた火黒がそれを阻止する。火黒は限の肩の傷口を攻撃。そして、火黒がその場を離れると、限もその後を追う。
灰泉は下の口から煙幕、上の口から液体を散布。良守は結界で身を守るが、液体は結界を溶かしていく。この後、良守は時音が身を隠している立方体の下に避難。だが、茶南の指示の下、灰泉らは容赦ない攻撃を行う。校舎脇では火黒の攻撃が限を命中。限はその場に倒れ込むが、余裕の火黒は止めを刺さずに屋上へ戻っていく。灰泉らの執拗な攻撃は続き、窮地に追い込まれた時音は良守にある作戦を提案する。
その直後、時音らは三重の塔のような結界を作る作戦を実行。そして時音は槍状の結界で灰泉の体を貫き、良守が結界で囲んで滅する。勢いづいた良守は波緑も滅する。一方、校舎脇では、限が立ち上がり、すごい邪気を立ち上らせる。結界の塔の上に立つ良守と時音が上空の茶南の様子を窺っていると、煙幕の中から赤亜の触手が時音の足に伸びる。時音は煙幕の中に引きずり込まれてしまう。怒りに満ちた限は獣のような姿になり、屋上の火黒を睨み付ける。その時、翡葉のナイフが限の背中に突き刺さり、限は意識を失う。
赤亜は触手で時音を縛り付けて人質に。茶南は刃物のような翼を時音の喉元に運び、降伏しろと良守に迫る。すると、怒った良守は無意識のまま絶界を発動し、茶南らに歩み寄る。その時、火黒が茶南と赤亜を殺害。火黒は女性を人質にとる卑怯な行為が許せなかったのだ。余裕の火黒は良守の実力を認め、敢えて戦わずに烏森を去っていく。良守は時音の首にできた傷を見て、自分に責任があると感じて謝罪する。
この後、2人の前に限を抱えた翡葉が現れる。翡葉は夜行に所属している事を明かし、限が禁を破ろうとしたために眠らせたと説明。禁を破った事を上に報告すれば、限は解任されるという。限は自分の過去について話し始めた翡葉の言葉を遮り、寂しそうにその場を去っていく。
翡葉は代わりの結界師補佐が派遣されると良守、時音に伝えて去っていく。限はアパートに戻って補佐役に任命された時の事を振り返る…。夜行の仲間は限が補佐役に任命された事に不満を持ち、すぐに失敗すると陰口を叩く。自信を無くした限が1人でいると、正守が現れる。限は完全変化しないように自分をコントロールする自信がないと正守に弱音を吐く。その時、正守からお前を選んだ俺を信じろと励まされた事を限は思い出す…。
翌日、昼の烏森学園。良守は廊下で限を見かけて声をかけるが、限は無視して素通りしていく。良守は限の態度にショックを受ける。そして夜の烏森学園。良守はいつもより早く学園に向かうが、限は姿を現さない。良守と時音が限について話していると、そこに妖のはぜむくりが出現。良守はのろい動きのはぜむくりを結界で囲もうとする。すると、はぜむくりは体を分解させ、無数のむくり玉に変化する。
むくり玉は素早い動きで弾け飛びながら良守らに攻撃を仕掛ける。斑尾は急所の頭を狙えとアドバイスするが、良守はむくり玉の素早い動きに手こずり、触角のある頭を何とか判別したものの結界は空振り。そこに限が現れ、むくり玉の頭を一撃で仕留める。限は解任まで補佐役を務める事を告げると、呼び止める良守を無視して帰ってしまう。時音は出会った頃の素っ気ない限に戻ってしまった事に落胆する。
校舎の裏では、翡葉が正守に限の様子を携帯で報告。正守は監視を続けるように翡葉に指示して電話を切る。式神が学園を修復する間、良守と時音は限について話し合う。そして良守は限の事を正守に聞こうと思い立つ。帰宅後、良守は正守の携帯に連絡するが繋がらない。その時、良守は背後から声をかけられる。そこには帰宅したばかりの正守がいた。
皆で夕食を食べた後、正守は繁守の部屋へ向かう。繁守は裏会に深入りするなという忠告を守らず、裏会の幹部になった正守に憤怒。すると、正守は烏森を守るためだと主張する。この後、良守は限が解任されるかを正守に訊ねる。正守がお茶を濁すと、良守は助けてくれた借りを返す前に解任されては困ると訴える。さらに、良守は翡葉が話そうとしていた限の過去を正守に問い質す。正守は限が実の姉を殺しかけた事を良守に明かす。
正守は限の経歴を良守に語り始める…。限は妖混じりとして生まれたため、家族や周囲に溶け込めなかったが、ただ1人、姉の涼(りょう)だけは別だった。涼は限をかわいがり、限が友人を殴った時は一緒に相手の家まで謝りに行った。だが、限はその友人を大ケガさせる事件を起こし、父親はある団体に限を引き取って貰う事を決断。父親が考えた末に出した決断だったため、涼もそれを受け入れる。その時、限は10歳だった。
話を聞いた限は家を飛び出し、翡葉がその様子を携帯で正守に報告。限を引き取る団体は夜行だった。涼が守ってくれなかった事にショックを受けた限は、森で暴れ回り、制止しようとする翡葉を振り切る。この後、涼は森の中にいた限に謝罪し、どこにも連れて行かないと約束。だが、興奮した限は近づいてきた涼に爪を振り下ろしてしまう。駆け付けた正守は救護班を手配して限の後を追う。限は声をかけてきた正守に攻撃を仕掛ける。
正守は肩に傷を負うが、絶界を発動して限は閃光に包まれる…。夜行の屋敷で目覚めた限は、自分の体につけられた炎縄印に気付く。この炎縄印は正守がつけたもの。正守は力を解放しようとすると体中が炎で焼けるような痛みが走ると限に説明する。続けて、正守は涼が一命をとりとめた事を限に伝え、力の使い方を訓練する事を命じる。夜行の面々は限を温かく迎え入れ、花島亜十羅(はなしまあとら)が限の指導役を務める事に。
だが、亜十羅の何気ない一言に反応した限は部屋を飛び出す。正守が後を追って叱りつけると、限は変身し始める。だが、燃え上がる炎縄印の苦痛に変身を断念。その後も限は自分を制御できない事が時々あったが、正守は周囲の反対を押し切って限を烏森に派遣。良守なら限とうまくやれると考えたのだ…。良守は限の過去を知って動揺する。
この後、正守は夜行に戻る事に。そして、夜の烏森学園。良守が時音に限の過去を話した直後、限が姿を現す。良守が過去の事を聞いたと伝えると、限はその場を去ろうとする。そして2人は言い争いを始め、激しいケンカに発展。限に攻撃される中、良守はお前が必要だと訴える。その時、翡葉が限の残留が決定した事を伝えるためにやってくる。限が礼を言うと、翡葉は正守が残留を決めた事を明かす。良守と時音は限の残留に大喜びする。
良守は差し入れを持って限のアパートを訪ねる。そこに亜十羅が時音を連れてやってくる。夜行所属の妖怪使いで、限の指導係の亜十羅は自己紹介した後、テストのために来た事を良守らに明かす。亜十羅は3人のチームワークを確かめたいという。そして夜、良守らが待つ烏森学園に妖獣の雷蔵(らいぞう)に乗った亜十羅が現れる。亜十羅はテストに合格したら裏会に帰ると限に約束。だが、不合格なら限を裏会に連れて帰るという。
そして、亜十羅はテストの内容を発表し、そのままテストが始まる。3人に与えられた課題は30分以内に亜十羅を無傷で捕まえる事。雷蔵を始めとする妖獣たちが3人の邪魔をするという。この後、雷蔵は口から雷雲を吐き出し、亜十羅はその中に姿を消す。時音は闇雲に追いかける限、良守を集めて作戦会議を開く。時音は亜十羅たちの情報を求め、限は知っている事を伝える。そして、時音は雷雲を吐き出す雷蔵を先に倒そうと提案する。
この後、時音が放った結界が雷蔵の後ろ足に僅かに絡む。その隙に限は雷蔵に蹴りを入れ、頭に血が上った雷蔵は限に突進。その時、良守は行く手に結界を放ち、カウンターとなって突進する雷蔵に炸裂する。魔耳郎(まじろう)は雷蔵がやられた事を亜十羅に伝える。亜十羅は制限時間が8分を切った事を確認すると、翼になった魔耳郎の力を借りて上空へ飛んでいく。限によれば、魔耳郎は翼、レーダーの役割を果たすという。
時音は限の動きに合わせて結界を作り、限が足場の結界を跳び回って亜十羅を捕まえる作戦を考える。だが、限は躾けられた亜十羅の声には体が反応して逆らえないと告白。すると、良守は亜十羅の声を聞かないように耳にテッシュを詰めろと提案する。限は良守、時音の声も聞こえなくなる事を心配するが、良守は自分たちを信じろと限を納得させる。
3人は作戦を実行に移し、亜十羅は声も掛け合わずにお互いを信頼して動く3人に驚く。そして残り10秒になった時、限は猛スピードで良守に突進。そのまま限は良守を抱え、亜十羅に向かって放り投げる。だが、良守が亜十羅を抱えようとした瞬間にタイムアップ。良守が掴んだのは亜十羅が付けていたバンダナだけだった。良守、時音、限は悔しがるが、バンダナを取られた亜十羅は少しだけ捕まったと言って3人に合格を告げる。
松戸平介は繁守を家に招き、黒芒楼のアジトの場所を突き止めたと報告する。ただし、黒芒楼のアジトは異界にあり、行くのは極めて困難だという。松戸は黒芒楼の仲間を抱き込み、アジトに招いてもらおうと計画するが失敗。助手2人がやられてしまったという。繁守は深入りする松戸に手を引くように忠告するが、すでに松戸は黒芒楼から目を付けられているという。烏森学園では、良守が授業で「走れメロス」について勉強する。
夕方、繁守は正守に連絡を入れ、護衛してほしい人がいると頼む。そして夜の烏森学園。時音と限は張り合いがないとぼやきながら小さい妖を退治し、良守は斑尾と共に黒芒楼の狙いが何かを考える。その頃、松戸邸では、加賀見が松戸に敵が来た事を報告。刺客の紫遠としもべたちは松戸邸の目の前に来ていた。この後、寝ている繁守の元に松戸の使いが手紙を持って現れる。松戸の危機を察した繁守は、魔除けができる修史に応援を頼む。
この後、松戸邸に向かおうとする繁守と修史の前に夜行の蜈蚣(むかで)が現れる。正守の指示を受けたという蜈蚣は巨大な虫を作り出すと、その上に繁守らを乗せて松戸邸へ急ぐ。松戸邸では、紫遠としもべたちが松戸の助手たちに襲いかかっていた。この後、紫遠は松戸が貼ったおいたお札を溶かして書斎の中へ入っていく。松戸はお札付きのダーツでしもべたちを退治するが、反撃はここまで。松戸は紫遠に徐々に追い詰められてしまう。
この後、コンサバトリーに逃げ込んだ松戸は、紫遠に向けて銃を構える。そして、繁守らが松戸邸に到着した直後、辺りに銃声が鳴り響く。繁守らがコンサバトリーに駆け付けると、そこには松戸が倒れ、床には銃が落ちていた。繁守は親友の死にショックを受ける。しばらく後、黒芒楼では紫遠が松戸を倒した事を白に報告し、当時の状況を回想する。紫遠は蜘蛛の糸を使って松戸の体を操り、銃口を松戸自身の頭に向けさせたのだ…。
翌朝、修史から事情を聞いた良守は繁守に慰めの言葉をかけ、繁守は松戸を守れなかった事を悔やむ。その日の夜、ビルの屋上に松戸と加賀見の姿。実は、松戸は生きていた。殺されたのは人の皮を被った偽者。松戸は事前に正守に偽装工作の協力を要請していたのだ。死んだと思われ、自由になった松戸は、加賀見と共に黒芒楼がある異界へと旅立つ…。
白は黒芒楼で会議を開き、姫を烏森の主にする計画を幹部たちに伝える。そして、白は姫の延命方法を考える事に専念しろと藍緋に命じ、体に蟲を入れられた藍緋は逆らう事ができない。その頃、墨村家では、修史が限に料理を振る舞い、食事が終わった頃に外出していた繁守が帰宅。繁守は正守に連絡して異界について話し合う。繁守が正守と頻繁に連絡を取り合う事を不満に思う良守は、限を道場に呼び出し、正守の話題を切り出す。
良守は正守が信用できないと限に告白。今後、黒芒楼が本気で襲ってきて夜行が出てきた時、正守の事を信じていいのか、良守は限に訊ねる。限は正守を信じていると伝え、良守は限の言葉を信じて正守を信用する事に。別の日、下校する限を火黒が待ち伏せする。火黒は、黒芒楼に入るように誘うが限は拒絶。すると、火黒は蟲の卵を限に手渡し、持ち主そっくりの姿をした忠実なしもべが生まれてくると言って去っていく。
帰宅後、限が卵を捨てようと考えると、卵は全く同じ事をしゃべり出す。限は卵に自分の心を読み取られたと思って動揺する。その時、正守から携帯に連絡が入る。限は黒芒楼に自分の情報が漏れている事を伝える。すると、正守は裏会の情報を黒芒楼に流している人物がいる事を明かし、限に注意を促す。限は卵の事を正守に言えずに電話を切る。
そして夜の烏森学園に妖、鈴鳴らしが出現。鈴鳴らしが呪具を振ると不快な共鳴音が鳴り、良守、時音、限は苦悶する。良守と時音は協力して呪具を滅する。この後、卵の言葉によって迷いが生じた限は連携を乱してしまい、良守が鈴鳴らしを滅する。良守はいつもと違う限に気付いて心配する。そして、限がアパートに戻ると、懐に入れてあった卵が話しかけてくる。限は卵の言葉に動揺して取り乱してしまう。
その頃、黒芒楼では、延命装置を付けている姫の容態が悪化。藍緋は姫の容態が限界に近づいていると察する。藍緋は姫の妖力を取り戻すため、烏森に連れて行こうと白に提案。軽量化した延命装置を付ければ姫の移動は可能だと説明する藍緋に対し、白は軽量化した延命装置の作成を命じる。白は装置が完成次第、姫を連れて烏森へ発つ事を決断する。翌朝、良守は火黒と一緒にいる限の姿を目撃してしまう…。
登校中、良守は火黒と一緒にいる限の姿を目撃する。限は良守の視線に気付き、火黒を爪で切り裂こうとするが、火黒はそれをかわして去っていく。混乱した限は近づいてきた良守を思わず爪で切りつけてしまう。良守は慄然とし、限は自分の反応に驚く。雪村家では、時子が異界にある黒芒楼への道を探るために旅立つ。時子は自分そっくりの式神に留守番をさせる。黒芒楼では、既に白らが時子の動きを察知していた。
この後、登校した良守は火黒と一緒にいた限の事を時音に相談。2人は学校を休んだ限の事を心配する。その頃、町をふらついていた限は、火黒に渡された蟲の卵の言葉に気持ちをかき乱される。限は卵に黒芒楼への寝返りを促されて苦悩する。黒芒楼では、白と火黒が限に渡した卵の話題を話していた。白らが卵を渡した本当の狙いは、限を混乱させる事。卵の言葉で限を混乱させ、烏森の守りの要である3人の結束を壊すのが狙いだった。
裏会本部では、扇が東北での任務を正守に命じる。烏森の任務に専念したい正守は困惑するが、総帥から推薦があったと聞いて任務を引き受ける。この後、亜十羅は限に連絡し、正守を始めとする夜行の多くがしばらく別の任務に就く事になったと伝える。黒芒楼では、藍緋が烏森へ向かう準備が全て整った事を白に報告。いよいよ姫を烏森へ移動させる日がやってきたのだ。姫は烏森へ行けば昔のような力を取り戻せると信じて喜ぶ。
この後、黒芒楼の発着場から玉座に乗った姫を始めとする白、牙銀、紫遠、火黒らが烏森に向けて出発。碧闇、藍緋、江朱らは黒芒楼からそれを見送る。夜の烏森学園では、良守が様子のおかしい限の事を心配。その頃、木の上にいた限は正守から連絡を受ける。東北の任務が終わるまで烏森に行けない正守は、限に烏森の警護を頼んで電話を切る。すると、再び卵が限を混乱させるような言葉をかけてくる。
限が卵の言葉を遮ろうとしたその時、良守が木の下から声をかけてくる。すると、限は良守から逃げてしまう。限を見失った良守は、大きな声で悩み事なんて気にするなと話しかける。良守の言葉を聞いた限は卵を潰そうとするが、どうしても潰す事ができない。その時、斑尾と白尾が異変を察知。ついに黒芒楼の妖の群れが烏森に襲来したのだ。
無数の妖たちが烏森の地に襲いかかってきた頃、墨村家は紫遠の手下に囲まれてしまい、繁守は外に出て手下たちと戦う。限は卵の言葉を遮って妖に攻撃を仕掛け、良守と時音も結界で妖を滅していく。白と紫遠は上空の巨大蟲からその様子を窺う。この後、校庭が爆発し、勝手に暴れていた弱い妖たちが焼き尽くされる。そして、その中心に牙銀が現れる。目障りな妖を焼き尽くした牙銀は、残りの妖も追い払ってしまう。
牙銀は烏森を守るのが若い3人だけと知って呆れる。そして、牙銀は両手から火球を打ち出して攻撃を開始し、良守と時音は結界で何とか防御。この後、良守と時音は結界で火球を牙銀の方へ跳ね返し、その間に限は背後から牙銀に巨木を投げつける。牙銀はどちらの攻撃も防ぐが3人の実力に感心。すると牙銀は本来の馬体の姿へと変化して激しい攻撃を仕掛ける。限は右足の蹴りを叩き込もうとするが、牙銀はそれを左手で掴んでしまう。
限の右足は燃え上がるが、時音が板状の結界を牙銀の腕にぶち当て助ける。この後、良守は牙銀を巨大な結界で囲むが、炎に弾かれて滅する事ができない。良守らは牙銀の熱気とスピードに圧倒される。すると今度は、牙銀が限に集中攻撃。良守と時音は限をサポートするため、結界を張って牙銀が放つ火球を弾き返していく。
巨大蟲から様子を窺う白らは、牙銀の攻撃をかわす限の動きが悪い事に気付く。限は蟲の卵に混乱する言葉をかけられていたのだ。この後、牙銀は本気の攻撃を仕掛け、火球を受けた限の両腕は千切れてしまう。だが、限はすぐに両腕を再生し、良守と時音はその光景に呆気にとられる。続いて、牙銀は凄まじい連続攻撃を3人に仕掛けてくる。良守と時音が必死に耐える中、限は完全変化しようと考える。
すると、卵が完全変化したら良守と時音に嫌われると限に声をかける。さらに卵は黒芒楼なら完全変化しても温かく迎えると囁き、限を動揺させる。この後、斑尾と白尾が牙銀に突進。良守たちへの攻撃が止むと、その隙に卵の言葉に屈した限が完全変化を始めてしまう。その様子を眺めていた白は、限が自分たちの仲間に寝返ったと判断。そして、完全変化した限は、唖然とする良守に向かって爪を振り下ろす…。
限は自らを化け物だと言って蔑むが、良守は化け物じゃないと否定。良守と時音は完全変化しても仲間として限に接する。2人の対応に限は驚きと喜びが混じった複雑な表情を浮かべる。そして、限は完全変化しても暴走しない自分に驚く。その時、卵からかえった蟲が飛び出してくる。すると、限は動じる事なく、蟲を潰して投げ捨てる。この展開にも白はあまり驚かず、限の退治を牙銀に託す。
良守は一瞬だけ弱気になるが、時音に声をかけられて自信を取り戻す。この後、牙銀は上空から巨大な炎球を3人に向かって放つ。限は結界を使って上空へ行き、牙銀を切り裂く。そして、良守は巨大な板状結界を張り、放たれた炎球を真正面で受け止める。時音は真正面で受けた良守に呆れるが、良守は命を張る限に刺激を受けて敢えて命を張ったのだ。
墨村家では、繁守が部下たちと戦いながらも姿を現さない時子を心配。そして、繁守は雪村家に行き、式神に時子が黒芒楼の道を探しに行った事を教えられる。すると、繁守は自分に似た式神を出した後、巨大な結界で墨村家と雪村家を囲み、烏森学園へと向かう。途中、繁守は同じように学園に向かう翡葉と合流する。その頃、正守たちも学園へと急ぐ。
学園では、限が炎縄印に痛みに堪えながら牙銀に攻撃。牙銀は限の攻撃を受け、良守が弾き返した炎球も食らってボロボロに。そして、限が牙銀にとどめを刺そうとしたその時、それまで静観していた火黒が背後から2本の剣で限を貫く。良守と時音は落ちてくる限を受け止める。良守らが限に呼びかけていると、火黒は限が寝返るか悩んでいたと言って良守の神経を逆撫でする。怒った良守が火黒に迫ると、牙銀がその間に割ってはいる。
すると、良守は牙銀を一瞬で滅してしまう。火黒は良守の結界をかわして上空へと姿を消していく。限の所に戻った良守が呼びかけを続けていると、限はうっすらと目を開ける。その時、突然、姫が変調をきたし、白は狼狽える。限は薄れ行く意識の中、誰かを傷つけるためではなく、誰かを守るために爪を使えた事に満足。そして限はすうっと目を閉じる。この後、白は姫の容態が悪化したため、烏森からの撤収を決断。良守は限の命を奪った黒芒楼を潰すと決意を新たにする・・・。
黒芒楼の会議室では、白が烏森をさらに詳しく調査するように壁闇に指示を出す。そして、牙銀亡き後の実行一部は牙銀の手下だった左金(さこん)が指揮する事に決まる。左近は牙銀の無念を晴らすため、烏森奇襲の許しを請うが、白は許可を出さない。この後、火黒は会議室を出た左金の前に現れる。火黒は烏森を襲撃するように左金を煽るが、良守だけは自分の獲物なので手を出すなと告げる。
夜行では、正守、亜十羅らが棺を囲んで限の死を悼む。この後、限と同年代の秋津秀(あきつしゅう)と八重樫大(やえがしだい)は最後の別れに現れなかった影宮閃(かげみやせん)を見つけて声をかける。だが、影宮は素っ気ない態度を取る。影宮は限が過去に仲間の章樹(しょうき)を必要以上に痛めつけた事を快く思っていないのだ。影宮は限が妖退治の時に自分たちの意見を無視し、勝手な行動を取った事を回想する。
正守は良守を連れ、限の葬儀が営まれる志々尾家を訪問。だが、姉の涼は2人の弔問を拒絶して追い返す。立ち去る前、正守は涼が送り続けていた限への手紙を涼に手渡す。限は涼の手紙を受け取る事ができず、正守が預かっていたのだ。涼は限に謝罪の気持ちが伝わっていなかった事にショックを受ける。帰り際、良守は、限が姉に謝りたいと話していた事を号泣する涼に伝える。さらに良守は限のやさしさを熱心に語る。すると、涼に限の友達かと良守に質問。良守ははっきり肯定すると、その場を走り去っていく。
その夜、白は扇一郎の別邸を訪ねる。扇は夜行の足止めしたにもかかわらず、限を倒しただけで退却した事に失望する。だが、白は戦力に引けを取った訳ではないと主張。そして、白は夜行に関する新たな企みを扇に依頼する。烏森学園では、斑尾が意気消沈する良守を気遣う。良守は限が死にたいと思ったため、烏森の力が加わって限は亡くなったと判断。良守は限に生きたいと思わせる事ができなかったと悔やんで涙を流す。時音は涙を流す良守をからかわずに慰めの言葉をかける。良守は時音の真剣な表情を見て、涙を拭うと、強くなると自分に言い聞かせる。
左金は牙銀の部屋で実行一部のトップになった喜びを噛みしめる。その時、左金は部屋の中にいる何者かの気配を察知。左金の前に現れたのは紫遠だった。紫遠は左金の実力を疑い、白は甘くないと忠告して去っていく。碧闇は部屋にいる白を訪ね、烏森の前の主の居場所がわかったと報告し、調査の許可をもらう。そして夜、碧闇は左金、手下と共に無色沼へ向かう。左金は野守(のもり)に沼の水を飲み干すように指示を出す。
昼の烏森学園。時音も良守も限を失った痛手を引きずって元気がない。田端は良守を元気付けようと、近くで起きた事件を扱う携帯映像を見せる。それは無色沼の水が一晩で涸れるという怪奇現象を報じる番組だった。すぐに良守は時音と共に無色沼へ向かう。良守が涸れた沼の底でウロ様の名を呼ぶと、豆蔵が現れる。豆蔵はウロ様が無事だと良守に伝え、良守は黒芒楼の仕業と睨む。すると、豆蔵は黒芒楼という良守の言葉に反応。良守は豆蔵から黒芒(くろすすき)の化け狐の話を聞く。
帰宅した良守はウロ様が無事だった事を繁守に報告する。黒芒楼では、碧闇が無色沼の事を白に報告。左金が渦闇を放って無色沼の底に巨大な穴を作ったが、主は見つからなかったと説明する碧闇。だが、碧闇らは近くに隠れ住む妖を発見し、色々聞き出したという。碧闇は無色沼に引き続き、今度は烏森の地下に何があるかを調査すると白に伝える。
夜の烏森学園。良守と時音は妖の矢影(やかげ)を結界で囲んで滅する。その時、良守らは別の妖の気配を察知。良守が気配のある場所へ向かうと、そこには碧闇が佇んでいた。良守は結界で囲もうとするが、碧闇は影縫いを使い、良守らの動きを止める。碧闇は無色沼で何もわからなかったので烏森を調べに来たと良守らに教える。そして、碧闇は千珠眼で烏森の地下を調査すると、良守らに危害を加えずに去っていく。 黒芒楼では、白が碧闇の調査結果を姫に報告。烏森の地下に異界がある事、烏森の謎を解く鍵は結界師が握っている事を告げる。白は結界師の中でも方印のある正統継承者は烏森と何らかの共鳴、または協力関係にあり、烏森は結界師が作ったと推測する。話を聞いた姫は白に正統継承者を消すように指示。白は左金に烏森に向かう準備をしろと命令する。
黒芒楼への道を探して黒芒に旅立っていた時子が雪村家に帰ってくる。下見を済ませた時子は道具を揃えて明後日に再び旅立つと時音、静江に伝える。時音は留守中に黒芒楼がやってきた事、限が亡くなった事を時子に報告する。そして夜の烏森学園。時音は時子が帰ってきた事を良守に教える。時子はこれから黒芒楼の城への道を密かに作るという。斑尾と白尾が異界への道を開く事の大変さを話していると、良守は何やら考えを巡らせる。
翌朝、時音は時子とお茶の稽古をする。稽古中、時子は開祖の時守が烏森の地を守り始めた時期と茶道が確立された時期が同じだと時音に教える。さらに時子は異界の怖さを時音に訴える。そして烏森学園の昼休み。時音はきららと一緒に外でお弁当を食べる事に。食べる場所を探す時音は這いつくばった良守を発見。良守は時音に声をかけ、黒芒への行き方を訊ねる。時音は良守が黒芒に行く気だと見抜くと、良守は火黒を倒して限の仇をとると訴える。だが、時音は黒芒への道の事は時子に任せるしかないと良守を説得する。
裏会本部では、正守が扇一郎に呼び出される。扇は烏森が黒芒楼に制圧されかかった責任をとれと正守に迫る。だが、正守は限を派遣したからこそ撃退できたと反論。続けて、正守は夜行の本拠地を烏森へ移動させる事を扇に明言。扇は許可なく勝手に移動を決めた正守に激怒するが、正守は誰の指示も無用と扇に逆らい、2人は一触即発の状態になる。そして、夜行に戻った正守は刃鳥美希(はとりみき)に移動の準備をするように命じる。
翌朝、時子は時音、静江に見送られる中、黒芒に向けて出発する。良守はそんな時子の尾行を開始。諦めきれない良守は黒芒までつけていこうと考えているのだ。だが、すぐに時子は気配を察知して良守をまく。だが、良守は逃げる時子を見つけて必死に追い、黒芒に連れて行って欲しいと直談判。だが、時子は今の良守には異界へ渡る力がないと指摘し、諦めるように諭す。そして、時子は烏森を守る事、力を自分のものにする事を考えろと良守に言い残して黒芒へと向かう・・・。