原告本人の証言により、本条夫妻の夫婦関係は詩織と出会う前から破綻していた事が証明され、詩織に対する訴えは取り下げられた。 一方、義人から妻の浮気相手への慰謝料請求は認められ、勝訴となった。
慰謝料弁護士・袴田幸男(田中直樹)に、一人で元夫・倉沢義人(永井大)とその妻・詩織(野村麻純)の慰謝料問題を解決すると宣言してしまった野々村香苗(矢田亜希子)。この1年、袴田の下で学んだことをもとに、義人と調査を始める。
ところが、詩織からは2人の仲を疑われ、キレられてしまう。詩織の口撃に黙ったままの義人…。香苗は溜まらず、「ふざけんじゃないわよ!」と声を荒らげる。
「浮気をした人間がまず最初にすべきことは謝る事。そして、2番目にすることも謝る事、3番目にすることもそう、とにかくあなたは謝りつづけなきゃいけない。それなのに私が知る限り、あなたは一度だって、義人さんに謝罪してない! 過去から学ぼうとしないあなたは……」
この時、香苗の脳裏に以前、袴田が義人に言い放った言葉も蘇ってきて、
「私が出会った中でも、トップクラスのバカ女のその中でもトップクラスのキングオブ大バカ女よ!」
「!?」呆気に取られる詩織。香苗はなおも続けて、
「でも…そんなあなたでもこの人にとっては大切なんだって。義人さんは、あなたと離婚しないって言ったのよ。今度こそちゃんと夫婦になりたいって。あなたにとって何が大切なのかちゃんと考えて」
思わず、感情的になった香苗だったが、彼女の言葉が詩織の頑なな心を動かせた…。
詩織は、これまでの浮気の経緯をすべて告白する。
袴田はその告白をもとに、反撃を開始することに。
先日、元カノの弁護士・烏丸恵子(とよた真帆)に宣戦布告をした袴田だが、彼は詩織の浮気相手・本条隆司(渡辺裕之)から慰謝料を請求するつもりでいた。
また、袴田の推測ではあるが、隆司とその妻・やよい(大路恵美)の夫婦関係は詩織と出会う前から破綻し、離婚話も出ていたのではないか。その際、隆司が会社の顧問弁護士である恵子に相談し、離婚の慰謝料を浮気相手の詩織を訴えることで賄う指南を受けた。すべては恵子の指示通り。だからこそ、隆司が浮気に積極的だった証拠が一つとしてなかったのだ。袴田は本条夫妻の夫婦関係が破綻していた証拠を集めるよう、改めてフリー調査員・梅本くるみ(渡辺直美)に依頼をする。だが、今回の敵はなかなかの強者。調査には袴田も加わることに。いつもの袴田に戻ってくれて、嬉しい香苗だったが…。
調査は案の定、困難を極める。会社や近所でも緘口令が敷かれているようだ。隆司は女癖が悪く、詩織以外にも過去に浮気をしていたという噂は入ってくるが、決定的な証拠も、証人も出てこない……。おそらく恵子が先手を打ったのだろう。苦々しい袴田たち…。
一方、大人しい性格のやよいは袴田たちの動きに、不安を覚えていた。すると、夫・隆司から「お前は私達の言う事を素直に聞いてればいいんだ」と怒鳴られる。恵子も夫婦のそんな様子を見ても、歯牙にも掛けない。袴田の推測通り、本条夫妻はすでに夫婦関係が破綻していて、恵子の書いたシナリオで行動していたのだった。
数日後。恵子が袴田法律事務所を訪ねてきた。今回の案件を裁判所に訴えたという。袴田側からすでに隆司への訴訟提起も行っているため、この2つの案件は併合され、1つの裁判で同時に争うことに。このまま証拠が見つからなければ、裁判では負けてしまう…。
袴田はやよいと直接話したいと本条家の近くまで赴くが、恵子の同席や了解なくやよいと接触することは禁止されている。これを破った場合には、袴田は弁護士会から懲戒を受けることになり…もどかしい袴田…。
そんな中、有力な証人が名乗り出てくれたと、くるみから朗報が入る!
証人は、詩織と隆司のデート現場を目撃していたバーテンダー(大沢樹生)。彼によると、隆司は詩織に「うちの夫婦はとっくに終わってて、離婚も時間の問題だから」と言って、口説いていたらしい。これで裁判は勝てると、香苗とくるみは歓喜するが…。
袴田はどこか引っかかる……。そして、彼の引っかかりは奇しくも的中してしまう。
バーテンダーの証言が、恵子に裁判であっさり覆されたのだ。どうやら、バーテンダーと恵子はグルだったようだ。袴田側に有力な手がかりを掴ませておけば、それ以上の調査は行わない。それを見越して、あえて証人として名乗り出るように仕向けられたのだった。そんな初歩的なトラップに引っかかって、悔しいくるみ。袴田は引き続き、調査を依頼し、自らも一人、調査に出る。しかも、大切な弁護士バッジをはずして…。
次回の裁判。結局、くるみは新証拠を見つけることは出来なかった。落ち込む彼女を、香苗は「袴田先生を信じましょう」と励ます。今日の袴田はいつになく気合が入っているように見えた。裁判は始まり、恵子は口頭弁論でいかに本条夫妻が仲睦まじかったか、とうとうと語り上げる。憎々しい香苗たち。だが、袴田は冷静だった。挙手して、「そちらが主張したことはすべて間違いです」と反論に入る。「隆司さんの不貞行為は今回が初めてではありません。過去に別の相手と何度も浮気を繰り返してきたんです。その度に隆司さんは奥さんのやよいさんを傷つけてきた。夫婦関係はとっくに破たんしていたんです!」
そう言って、袴田は証人としてやよいの名を挙げる。呆気に取られる香苗、そして恵子。
実は先日、袴田は弁護士のタブーを犯し、やよいに会いに行っていた。しかし、彼女は袴田の話を聞こうとせず、家の中に入ってしまう。それでも、袴田は訴える。
「このまま傍観者のままでいいんですか? 今回の裁判はあなたの未来を決める大切な裁判なんです。裁判であなた方が勝てば、隆司さんの浮気相手から慰謝料を取ることが出来ます。でも、それで、あなたの傷は癒えるんですか? あなたが慰謝料を取りたい人は誰ですか? あなたが本当に謝ってほしい相手は誰なんですか?」
やよいの心はこの言葉に大いに動かされ、彼女は遂に証言を決意する。
「弁護士さんの言う通りです。私達、夫婦の絆はとっくに冷め切っていました。(中略)私が本当に憎いのはこの人(隆司)なんです」
結局、詩織の訴えは取り下げられ、裁判は終わる。袴田のアドバイスで、やよいは隆司から慰謝料を請求することに。と同時に、恵子を自身の代理人から解任した。
「あなたは一度だって私の言葉に耳を傾けようとしなかった。そんな人に私の未来を託す訳にはいきません」
「そんな…」納得行かない恵子。袴田が自分に無断でやよいと接触したのではないかと袴田に詰め寄るが、やよいはそれを庇う。
「あなたは勝ちにこだわって、弁護士が一番向き合うべき依頼人の意志をないがしろにした。その結果がこれです」
袴田の言葉にムッとする恵子。「さぞかし満足でしょうね。裁判では見事勝利、10年前の借りを返すことができたんですから」と、去っていく袴田の背に嫌味を言い放つ。
「見くびらないでください。私は、そんな事のためにこの裁判を闘っていた訳ではありません。あの時も今も、私があなたにしてもらいたい事は一つしかありません」
だが、恵子にはそれが何なのかわからない。香苗に「傷つけた相手に、一番最初にしなきゃいけない事は一つしかないでしょう」と言われても…。
――数日後。倉沢夫妻の問題も一件落着し、いつもの袴田法律事務所に戻っていた。袴田はパンをこね、香苗や大家・遠山芳江(美保純)、くるみ、アルバイト・篠塚里奈(岩﨑名美)ら女性陣がお喋りしている。くるみは、香苗が人気週刊漫画誌の連載を断ったこがいまだに残念そう……。だが、香苗は意気揚々だった。慰謝料漫画の単行本発売も決まり、連載の方も主人公が離婚専門の弁護士になった謎も明らかになり、どんどん盛り上がっていく、と。ところが、その時、袴田が香苗の話に水を差す。袴田が離婚専門の弁護士になったのは、恵子との別れが理由ではなかったと言うのだ。驚く香苗たち。
果たして、袴田が慰謝料弁護士にきっかけとは…!?