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案件2

小寺 清美(主婦)雛形 あきこ
夫の浮気に憤る美人主婦。
浮気の証拠集めをするうちに、ダブル不倫が発覚。
幸せな家庭がありながら、夫と不倫する女・戸川裕子を同じ女として許せない。
不貞行為を認めない裕子に慰謝料請求を決意する。

不貞行為を認めた夫を味方につけ、裁判所に陳述書を提出した結果、慰謝料200万円で勝訴。
証拠ねつ造など被告側の悪あがきも功を奏した。 判決後、夫に離婚を切り出し、離婚に至る不貞行為として夫からも慰謝料を取ることに成功。

第2話 「浮気主婦の逆襲!W不倫ドロドロ裁判」

“望遠カメラを構え、シャッターを切る主婦・小寺清美(雛形あきこ)。清美は袴田法律事務所のクライアントで、夫・文也(村杉蝉之介)の浮気現場を押さえていた。

清美はこれら写真を手に袴田法律事務所へ。袴田は、前話の依頼人でこの事務所で働き始めた駆け出しの漫画家・野々村香苗(矢田亜希子)にパン作りを手伝わせていた。清美の話は袴田に香苗、フリー調査員・梅本くるみ(渡辺直美)、アルバイト・篠塚里奈(岩﨑名美)、そして、当たり前のように大家の遠山芳江(美保純)もいて、みんなで聞いた。清美によると、夫の浮気相手・戸川裕子(ちすん)は既婚者で、夫とはいわゆるダブル不倫だった。夫も子供もいる、見るからに幸せな主婦がどうして…? 清美は同じ女として許せない。すると、袴田はこう言った。「慰謝料って、浮気相手からも取れるんですよ」

しかし、清美は逡巡する。裕子の夫や子供を傷つけてしまう気がして…。ところが…。 数日後、袴田は文也と裕子が一緒にいるところに踏み込んだ。文也はすぐに浮気を認めたが、裕子はシラを切る。文也とラブホテルに入る写真を突きつけられても、いけしゃあしゃあと「その先の店でランチをしただけだ」と否定する。

この話を聞いた清美は裕子を相手取り、裁判に踏み切る決意をする。ところが、袴田から、裁判に勝つためには憎き夫を味方につけろと言われて……。

その夜の小寺家。「清美、すまなかった!」土下座して浮気を謝る文也。土下座ごときで許すことは出来ない清美だったが、ここは袴田の指示通り、夫を許した振りをする。早速、パソコンを開いて夫から浮気の経緯を聞き出す。裁判所に提出する陳述書を作成するのだ。文也によると、裕子とは高校時代、同じ演劇部に所属していて、同窓会で再会して以来の関係だった。ずっと私を騙してたんだ…。苦々しくキーボードを叩く清美。スタンプがびっしりと押されたラブホテルのポイントカードを見せられても、自宅で関係を持ったことを告白されても、怒りを押し殺して理解ある妻を装う…。

そして、袴田に指示された通り、「裕子の方が浮気に積極的だった」という証言も文也から導き出し、陳述書に署名と捺印させる。これで裁判は楽勝と思われたが…。

数日後、地方裁判所で裁判は始まった。夫婦間の慰謝料請求は家庭裁判所で行われるが、浮気相手を相手取る場合、地方裁判所での裁判が必要となる。ここで裕子は思わぬ証言をする。「文也さんに無理やり誘われて……レイプされたんです! 私!」

愕然とする清美。袴田法律事務所に戻って不満をぶちまけるが、袴田はほくそ笑む。袴田によると、我々が裁判で戦う相手は裕子ではなく、裁判官。裁判は嘘をついているのは誰か、どちらの主張を信じるか、アピール合戦の場だという。今回のレイプ証言は「裕子の方が浮気に積極的だった」という文也の陳述書に過剰な反発を示したもので、証拠もなく、裁判官の信用を失うだけ。袴田の思うツボだった。

一方、文也は清美から裕子の証言を聞き、憤慨する。裕子が積極的だった証拠として、2人がラブホテルで学生服を着たコスプレ画像を出してきた。清美はその画像にドン引きしながらも、これなら裁判も有利に進むだろうと安堵する。ところが…。

裕子は袴田からコスプレ画像を突きつけられても、「脅迫された」という前回の主張を曲げなかった。しかも、新証拠として音声データを出してきた。それは、文也が清美を脅迫する場面のもので、紛れもなく2人の声だった…。

窮地に陥る清美側。香苗は慰謝料が目的ならば裁判にしないで、夫の文也から貰った方が高い額を得られたのではないかと、袴田に意見する。だが、彼には彼の考えがあるようで…。袴田は深夜、音声データを聞きながら、パンをこねる。ところが…。

裕子は次の裁判でも、さらなる証拠として文也からの脅迫メールを提出した。裕子は不安な表情を浮かべ、傍聴席の香苗も心配そうに袴田を見るが、袴田は歯牙にもかけない。先日、証拠として提出された音声データは、高校時代の演劇部の公演台本を2人が読み合わせしていたものだと証明する。実は先日、袴田が音声データを聞きながらパンをこねていた際、くるみがやってきて解決のヒントを得たのだった。「いいですか、裕子さん。この音声データも先程の脅迫メールも偽物であることを証明するのはさほど難しいことではありません。ちなみに、民事裁判の場でも、証拠をねつ造すれば、偽証罪が成立します。これ以上の悪あがきは、自分の首を絞めるだけですよ」「……」裕子はぐうの音も出ない。

清美はついに勝訴する。文也は自分のことのように喜ぶが、清美はそんな彼に離婚を切り出し、慰謝料の請求をする。「俺のことを騙したのか」と激高する文也。しかし、裁判に提出した彼自身の陳述書が大きな証拠となって、こちらもぐうの音も出ない…。

数日後の袴田法律事務所。香苗は袴田に「最初から旦那さんからも慰謝料を取るつもりだったんですね」と尋ねる。本来、慰謝料は配偶者と浮気相手の一方から全額を回収すると、もう一方から取ることが出来ない。しかし、不貞行為によって離婚に至る場合とそうでない場合だと、離婚に至る場合の方が慰謝料の額が多くなる。今回の裁判で決められた慰謝料は夫婦が離婚に至らないことを前提とした額で、その差額を夫側から請求できたのだ。香苗は思う。憎い2人から慰謝料を勝ち取り、清美はずいぶん救われただろう。袴田は清美のそんな気持ちを見越して、裁判に踏み切ったのではないか。離婚訴訟の弁護は手間の割には実入りが少ないと、先日、編集者の田畑美里(高嶋香帆)から聞いたが…。香苗は袴田に再び尋ねる。「先生はどうして、離婚専門の弁護士になったんですか?」