今回の配達先はハワイ・オアフ島ホノルル市。ここに自分のネイルサロンを開業することを目指して奮闘するネイリストの安住ウィリアムズさん(30)と、東大阪市に住む父・勝さん(61)、母・美幸さん(54)をつなぐ。両親は「春には店をオープンすると聞いましたが…いろいろトラブルが起こっているようです。頑張り屋なので無理をしていなければいいですが…」と心配している。
ハワイはネイルアートが盛んなところで、ホノルルだけでも150軒以上のサロンがあるといわれている。そんな激戦区でネイリストをしている安住さんの自宅を訪ねると、トロフィーがズラリ。安住さんはこれまで数々のネイルコンテストで優勝し、今年は全米ネイリストランキング第2位に輝いた。今はネイリストとして腕を磨きながら、サロン開店の準備に忙しい日々を送っている。
実は当初、2月にオープン予定だったのが5月に延び、さらに遅れて、ようやく10日後のオープンまでこぎつけた。それでもまだ内装も完成していない状態だ。原因は設計士のミス。扉が注文と違っていたり、付けてはいけない場所に電源が設置されていたり…。「やり直しに8週間かかるといわれました。しかも費用はこちら持ち。裁判をして勝っても、やり直しの費用が出るだけ。弁護士費用の方が高い。だから相手は強気なんです」と、安住さんは諦め顔だ。予定していた開店資金は膨らみ、すでに1500万円近くになった。ペンキ塗りなどは夫のブライアンさん(29)に手伝ってもらいながら、自分でやらざるを得ない状態。さすがのブライアンさんも「のんびりしたハワイでは、こういうことが起こるのはわかっていたけど…経済的な負担は大きい」と不満を漏らす。
そんな合間にネイルの個人レッスンも行う安住さん。彼女が教えているのはアメリカ本土で主流のネイル「フレンチ・スカルプチュア」だ。ハワイのサロンでは、既に形の出来上がったネイルチップを貼り付けることが多いが、安住さんはお客の爪の形に合わせ、アクリルで一から作り上げる。彼女の高度な技術を学ぼうと多くの生徒が集まってくるのだ。
子供の頃から絵を描くのが得意だった安住さんだが、ネイリストを志したきっかけは祖母だった。大学生の頃、大好きな祖母が入院。寝たきりで楽しみのない祖母のために、安住さんはネイルアートを施してあげていたという。その祖母が亡くなった後、担当看護師から「“あの子にはこういう仕事が向いている”と自慢をしていた」と聞かされ、ネイリストになることを決意。以来、日本とアメリカで7年間の修業を積み、ようやく自分の店を持つ夢を叶えようとしていた。
サロンのオープンが迫り、発注していた家具が届く日。運び込まれてみると、注文していたいくつかの家具が、業者の手違いで届いてないことが判明。さらに家具を設置しようとしたところ、建物の床と壁が垂直でないことも分かった。これには安住さんも「あれもこれも…もう何といっていいか分かりません」と落胆の色が隠せない。
日々トラブルの連続で、心の休まる日がない安住さんだが、「両親には心配をかけたくないから、ネガティブなことは報告しないようにしている」という。そんな安住さんに両親から届けられたのは、祖母が生前、安住さんのために編んでくれたマフラー。懐かしさに涙をこぼす安住さんは、「こたつで一生懸命編んでくれていました。もっと頑張らなきゃいけないと思います」と、力を得たようだ。そして両親には安住さんから、その後、無事オープンした店の様子を撮影した映像が届けられ、両親を安心させる。
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