アメリカ/ニューヨーク 日本の心をリスペクトするニューヨーカーたち
今回は、ニューヨークで鮮魚・飲食店経営する原口雄次さんを取材させていただきました。
鮮魚店・ラーメン&定食店・寿司店・鮮魚販売専門店と4つの店舗をニューヨークで経営する雄次さん。
素材である”魚"を各店舗で無駄なく使い、「もったいない」をコンセプトに魚ビジネスを展開しています。
その日本らしいコンセプトがニューヨーカーの心を掴み、お店は連日お客さんで大にぎわい。
お店で働くスタッフもそのコンセプトに惹かれて集まってきたアメリカ人ばかりです。
「ニューヨークに住む日本人よりも、ニューヨーカーの方がより日本好きが多いように思います」と雄次さん。
現在は順風満帆そのものですが、始めたばかりの頃は経済的にも苦しかったといいます。
当時、キッチン設備に必要な30万円を集めるため、クラウドファンディングに挑戦。
オリジナルのメニューを企画し、出資を募りました。
その時のメニューが、なんと・・・「ラーメンのコースメニュー」!
小ぶりなラーメンを何種類も楽しめるコースメニューを発案したと言います。
そんなコース料理、た、食べたいに決まってる。。
ラーメンにしては高い値段設定に感じましたが、コース料理として考えると安い方なので、
結果としてニューヨーカーの人気を集めたといいます。
うーん、アイデアがすごい。。
今では珍しくなくなったクラウドファンディングですが、
雄次さんが挑戦した当時は、まだまだ世間に浸透しておらず
雄次さんが日本人初めての成功者らしいです。
和の心を持ちながら常に新しいことに挑戦する雄次さん。
「ニューヨークという街は、挑戦する人間を当たり前のように受け入れてくれるんです。
この街だからこそ僕は挑戦できた。」
雄次さんの思いに共感するニューヨーカーが自然と集まり
お店のスタッフも熱意のある人たちばかり。
取材期間中、ラーメンの出張ケータリングをしていたのですが、
そこでの主役は雄次さんではなく、お店のスタッフ。
普段のラーメンではなく、スタッフたちが考えた新しいラーメンを出展していました。
スタッフたちが忙しい日々の中、いつか店に出したいと試行錯誤し考えたラーメン。
そのスタッフの熱い思いを知っていた雄次さんは味付けに口を出さず、
思いのままやらせてあげたのだとか。
「最終的な成果はコントロールしつつも、できる限りスタッフのやりたいことをやらせてあげる。
そうすると、みんなモチベーション高くついてきてくれるんです。
僕の父も、僕がやりたいと言ったことを一度も否定することはなかった。
信じて任せることがその人の成長につながると思うんです。」
と雄次さん。
心に染み入る言葉です。
雄次さんの名前の「雄」は、お父さんの「睦雄」という名前から引き継いだのだとか。
そして、雄次さんの長男は「雄一朗」くん。
「僕にとって、代々『名前』と『思い』を受け継いでいくことが、人生であり家族のような気がして」
亡きお父さんへの思いを胸に抱きながら、今日もニューヨークの空の下、魚をさばきます。
天国のお父さんが見守る中、どこまでも挑戦し続ける雄次さんを応援しています。
ディレクター:市井