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#154「アメリカ/オクラホマシティ」 6月26(日)午前10:25〜10:55


 今回の配達先はアメリカ・オクラホマシティ。米プロバスケットボールの最高峰NBAで働きたいと3年前に渡米し、スタッフとしてNBAの地元チームを支える森岡浩志さん(26)と、岡山県に住む父・雅夫さん(63)、母・滋子さん(60)をつなぐ。「子供の頃から何かにつけて“バスケット…バスケット”だった。でもまさかアメリカまで行くとは思わなかった」と、両親は当時の浩志さんを振り返る。

 オクラホマシティでは3年前、NBAの地元チーム「オクラホマシティ・サンダー」が誕生し、市民を熱狂させている。そんなチームのスタッフとして働く浩志さん。所属するのは、試合を盛り上げるイベント企画や、会場で流す映像作りを行う花形部署。正社員ではなく、原則、試合当日だけの契約社員だが、浩志さんは試合がなくてもオフィスに顔を出し、積極的に自分で仕事を見つけるようにしている。そんな中、浩志さんは上司から、翌日の試合で使う応援グッズの製作を指示され、さっそく材料の買い出しに出掛ける。「たまたま先週、手作りした応援グッズを上司に見せたら“いいじゃないか”と言ってもらえて…」。客席で観客を煽るパフォーマーたちに持たせるグッズで、まとまった数を作らなければならず、浩志さんは自宅に帰ってからも、一人で夜を徹してグッズを作り続けた。「小さい頃、うちは裕福ではなかったので、おもちゃを買ってもらえず、なんでも自分で作って遊んでいた。そういうことがなかったら、こういうものはできなかったかも…」と浩志さんはいう。

 小学校でバスケットを始め、いつかはNBAでプレーすることを夢見ていた浩志さん。高校時代に選手としての限界を感じたその後も、NBAへの憧れは消えなかった。「大学の時、NBAを生で観戦し、スタッフとして働きたいと思うようになった」。その思いだけで渡米し、NBA全30チームに自らを売り込んだものの、結果は不採用だった。「ボランティアでもいいから、もう一度考えて欲しい…と再度手紙を送りました。“もう現地まで来ていて、家も借りているから”と嘘をついて(笑)」。その熱意が通じ、200倍の競争率を勝ち抜いて、昨年今のチームに採用された。

 表舞台の華やかさとは裏腹に、浩志さんの仕事は客席のセッティングや小道具の準備など地味な作業が多い。イベントを盛り上げるパフォーマーたちを監督するのも浩志さんの仕事だ。試合中も客席を盛り上げるために忙しく走り回る。「目標は来年も契約してもらい、正社員のポジションを狙いたい」と浩志さん。そのために、チームに認められようと日々さまざまな企画を提案し続けている。「その先の目標は、日本バスケ界をもっと盛り上げ、いずれは日本のチームを経営したい。バスケで生きていきたい」と浩志さんは夢を語る。

 そんな浩志さんに両親から、小学生の時に自分で手作りしたバスケットゴールが届けられる。一番お気に入りの遊び道具だったという。ふとん屋を営む父が、ふとん生地の切れ端で作ってくれたボールには「焦らず、慌てず、諦めず…Chase your Dream(夢を追いかけろ)」の文字が書かれていた。小さい頃もよくこうしてボールを作ってくれたという。浩志さんは「ありがたいし、嬉しいですね。父と母の応援があったから、ここまで来られた」と両親に感謝する。