次回予告 バックナンバー 地球便マップ ディレクターの取材こぼれ話 募集
今回の放送今回の放送

#136「フランス/パリ」 1月30日(日) 午前10:25〜10:55


 今回のお届け先はエステサロン発祥の地でもあるフランス。そんな本場のパリでホームエステサロンを営むエステティシャンの中野純子さん(30)と、大阪・箕面市に住む父・英ニさん(61)、母・清子さん(56)をつなぐ。4年前、フランス人男性と恋に落ち、パリに渡った純子さん。だが結婚が決まった直後、彼が難病に侵されていることが分かった。それでも純子さんは結婚し、夫を支えて生きていくことを決意した。そんな娘を温かく見守りながらも、母は「気持ちとしては、すぐにでも帰ってきてもらいたいけど…」と複雑な思いをのぞかせる。

 純子さんは、夫ジョナサン(30)と暮らすアパートで、1年前からアットホームな雰囲気の完全予約制プライベートエステサロンを営んでいる。看板も出していないサロンだが、日本で身につけた指圧などのマッサージも提供するなど、お客さん一人一人の要望に細やかな技術で応え、現地在住の日本人の間で評判を呼び、今では地元パリジェンヌたちもやってくるようになった。

 ヘアメイクの専門学校を卒業したあと、オーストラリアでウェディングのヘアメイクの仕事をしていた純子さん。その後、元々美容には興味があったこともあり、エステの技術も身につけようとエステサロンで働き始めた。その頃、ジョナサンと恋に落ち、結婚を誓い合った。そんな幸せの絶頂の中で、彼が病に侵されていることが発覚したのだ。末梢神経の異常から疲れやすくなり、徐々に筋力が低下していく難病だった。長時間歩いたり、立ち続けるのが困難で、症状を和らげるため、この先も大量の薬を飲み続けなければならないという。「最初は二人でずっと泣いてました。でも彼が、自分たちのできる範囲で人生を楽しめばいいといってくれて…。できる限り彼を支えてあげようと思いました」と純子さんはその時のことを振り返る。

 家では、料理を作るのはジョナサンの役目だ。元々料理人だったジョナサンは、病気のせいでその道も絶たれてしまい、現在はハンディキャップを抱える人たちの職業訓練校に通っている。「彼は生活のいろんな面で我慢を強いられている。どういう形であっても、彼の好きなことを楽しませてあげたい。料理が好きなら、どんどんやってもらって楽しんで欲しい。彼の生きる喜びでもあるから…」と語る純子さん。ジョナサンも「純子は僕に元気を与えてくれる。彼女のことをとても愛している…」という。お互いがかけがえのない存在なのだ。両親が心配してくれていることには心から感謝しているという純子さんだが「母に父が必要なように、父にも母が必要で、私にも彼が必要だし、彼にも私が必要なんです。そこを理解してもらえると嬉しい」と想いを語る。

 月に一度はジョナサンの実家を訪ねる純子さん。ジョナサンの母は、純子さんが悩みを打ち明けられる数少ない相手だ。フランスに来た当初は英語しか喋れなかった純子さんのために、義母は自ら英語を一から勉強し、話し相手になってくれた。義母を本当の母のように慕う純子さんは、その優しさに触れるたびに日本の母を思い出すという。

 そんな純子さんに、日本の両親から届けられたのは浴衣。生地は純子さんが20歳の時に母と二人で買いに行ったものだ。以来10年間、手付かずだった生地を、母が縫い上げてくれたのだ。添えられた父の手紙には、母が和裁教室に通い、老眼鏡をかけて苦労しながら縫い上げたこと、そして"純子が後悔しない人生を送ればいい。お父さんはそれが一番嬉しい"と綴られていた。その文面に「お父さんとお母さんの子でよかった…」と感動で涙をこぼす純子さん。さっそくその浴衣を着て、母が縫ってくれたことを夫に報告するのだった…。