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#134「イタリア/ボローニャ」 1月16日(日) 午前10:25〜10:55


 今回のお届け先はイタリア・ボローニャ。この町で、40歳にして現役のチアリーダーとして奮闘する宮村陽子さんと、京都に住む母・俊恵さん(73)をつなぐ。3年前にイタリア人と結婚したのを機にボローニャに移住した娘を、母は心配しながらも「何があっても帰ってくるな…と送り出した。家庭とチア、両立できていたらいいのですが…どちらも中途半端と言われないように頑張ってほしい」と、厳しい目で見守っている。

 大学時代はチアリーダーのキャプテンを務め、カリスマ・チアリーダーと呼ばれた陽子さん。卒業後も一生チアに関わりたいと、日本チアリーディング協会に所属した。だが人間関係が理由で4年後、突然退団。チアを断念することに。その後、有名劇団に入団して芝居に熱中。ヒロインを演じるまでになったが、足を負傷し、10年間の女優生活に幕を下ろした。陽子さんは「全部が途中で終わってしまった人生。後悔はしていないが、何も成し遂げられなかったことに落ち込んだ」と振り返る。

 そんな時、イタリア人のラウルさん(40)と出会い、スピード結婚。そして移住したボローニャで、プロのアメリカンフットボールチームのチアリーダーと出会った。メンバーは16〜21歳。当時38歳だった陽子さんは、迷わずその中に飛び込んだ。イタリアではまだチアがあまり知られておらず、陽子さんはその経験を生かして、すぐに指導者としての活動を始めることに。当初はイタリア語をまったく話せなかったが、夫のサポートで言葉の壁も乗り越え、まだチアのチームがほとんど無かったイタリアで、63ものアマチュアチームを育て上げた。

 チアの講習会で忙しく飛び回る陽子さんだが、日本の母にはほとんど現在の活動について話してないという。「幸せに楽しく暮らしているつもりでも、言葉の問題など大変なこともあり、母の声を聞いたら弱音を吐いてしまいそうで…」と陽子さんは語る。

 イタリアへ渡って3年。陽子さんの指導のもと、イタリアでも徐々にチアリーディングが浸透してきた。そして現在はチアのさらなる普及を目指し、学校教育に導入してもらうよう精力的に活動も行っている。そんな娘の姿に母は、「ここまでしっかり仕事をやっているとは思わなかったので驚いた。娘のことは人一倍心配しているが、電話では優しいことが言えず、つい叱ったり、きついことを言ってしまう」といい、陽子さんも「自分で選んだ道。親には泣きつけない」と話す。母娘は互いに、今まで弱音や素直な気持ちを言い合えないまま来たのだ。

 そんな母から届けられたのは、使い込まれた土鍋。チアの練習で夜遅くなる陽子さんのために、母がいつも鍋料理を作って待っていてくれた思い出の品だ。添えられた手紙には「いつまでもチアの仕事と家庭が幸せに続くように…。悔いのないよう、イタリアでやりきってください」と、母の想いが綴られていた。涙が止らない陽子さんは「そばにいてあげることができなくてごめんなさい」と母をいたわり、お互いに初めて素直な気持ちを明かす。