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#099「フランス/パリ」 4月11日(日) 午前10:25〜10:55


今回の配達先は、パリコレクションまっただ中のフランス・パリ。そのパリコレでヘア・アーティストとして活躍する谷口佑輔さん(33)と、宮崎県都城市に住む父・敏昭さん(66)、母・あや子さん(57)をつなぐ。佑輔さんの実家は祖父の代から続く理髪店。だが佑輔さんが跡を継がなければ父の代で終わってしまうという。父は「本当は寂しいけど、本人が今の仕事をやりたいのなら、自分の道を進めばいいと思っている」というが、佑輔さんと将来についてちゃんと話し合ったことはないという。

今回のパリコレ2010年・11年秋冬コレクションでは、ポルトガルのデザイナー「ファティマ・ロペス」のヘアを担当する佑輔さん。本番前日、ヘアの最終チェックをするためデザイナーの元へ。衣装のテーマは「未来の北極」。その抽象的なイメージから、佑輔さんは髪全体をランダムに編み込み、仕上げに羽根飾りをあしらった独創的なスタイルを提案する。40分かけてそのヘアスタイルを完成させると、デザイナーも「オリジナリティーにあふれている。今回はパーフェクト」と一発でOKを出した。ヘア・アーティストは技術と想像力で勝負する仕事なのだ。それでも佑輔さんは「たぶん死ぬまで自信は持てないと思う。だから努力を怠らない」と、真摯な姿勢を見せる。

「幼い頃は父の仕事を見ていて、自分はこの道には進まないだろうと思っていた」という佑輔さん。だがある時、パリコレの華やかな世界を知り、"いつかここでヘア・アーティストとして活動したい"という夢を抱き、東京で美容師の技術を習得。8年前にパリへ渡り、念願のヘア・アーティストに転向した。2年前にはエルメスのカタログを担当し、去年春のパリコレではヘアメイクのチーフに大抜擢。ヘア・アーティストとして生きていく決意をした佑輔さんだが、「父は本心では僕に跡を継いで欲しがっていると思う…」といい、実家のことを考えると、まだ父に言い出せないのだ。

いよいよショー当日。佑輔さんはヘアメイクのチーフとして14人のモデルのヘアの仕上げをしなければならない。時間と戦いながら作業を進める佑輔さんに、突然の変更が伝えられる。スタイルを左右する大事な髪飾りを、衣装を着けたあとに取り付けなければならなくなったのだ。モデルが衣装に着替えるのは本番寸前。そのわずかな時間で14人全員の仕上げをしなければならない。刻々とショー開始時間が迫る中でも一切妥協はしない佑輔さん。モデルが衣装に着替え始めても、まだセットが終わらない。ショー開始まであとわずか。ようやく最後の髪飾りに取りかかるが、なんと全員を取り付ける前にショーがスタートし、モデルは次々とステージへ。最後のモデルは髪飾りが完成するやいなやステージへ飛び出し、間一髪で間に合った。VTRを見ていた両親もホッとして思わず拍手する。父は「息子が帰ってきても、ほとんど仕事の話はしないから…」といい、今回その仕事ぶりを見て安心したようだ。さらに「自分は親から言われて店を継いだが、それが窮屈だった。だから息子には絶対に"継げ"とは言わないようにしている」と、胸の内を明かす。

そんな父から佑輔さんに届けられたのは、父が20年以上に渡って愛用し、一家を養ってきたスキばさみ。佑輔さんがずっと欲しがっていたものだという。そこには「父さんも若い頃は日本一を目指したことがあった。父さんができなかった夢を実現してください」と、佑輔さんの夢を応援するメッセージが添えられていた。父の深い想いに佑輔さんは感激する…。