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#097「アメリカ/アラスカ」 3月28日(日) 午前10:25〜10:55


今回のお届け先は、真冬には−50℃にもなるという極寒の地、アメリカ・アラスカ州のフェアバンクス。この町で活動する日本人に人気のツアーガイド・河内真樹子さん(47)と、東京小平市に住む父・信一さん(81)、母・成子さん(76)をつなぐ。アラスカの大自然に魅せられ、16年前に永住ビザを取得してこの地に移住した真樹子さん。両親は「家には電気もガスも水道も通っていないと聞いている。娘の体が心配。近くにいてほしい」と案じるが…。

真樹子さんはこのフェアバンクスで、日本から来た旅行者のためのオプショナルツアーを企画している。犬ぞり体験や凍った湖上でのアイスフィッシングなど、アラスカの大自然を堪能できるツアーと、少人数制でお客さんとの対話を大切にする細やかな対応が人気で、リピーターの多い人気ガイドなのだ。

25歳の時、ワーキングホリデーで1年間カナダに滞在した真樹子さんは、その大自然に魅せられ、6年後、勤めていた会社を辞めてアラスカに移住した。12年前にはカヤックの川下りに来ていたご主人と知り合い結婚。現在6才になる一人息子と3人で暮らしている。これまで便利なアパート住まいだったが、昨年5月、およそ600万円で5万坪の広大な土地とログハウスを購入。電気やガスは通っていないため、薪ストーブや発電機を使って生活している。生活水も30分離れた井戸から汲んでくる。風呂は週3回、近所のガソリンスタンドに併設されたシャワールームに通っている。不便ではあるが、厳しい大自然の中で暮らすことを選んだ真樹子さんは、「アラスカは何もないところに、すごくたくさんのものがある」とその魅力を語る。そして、そんな自然を愛する心は、自然が好きだった父親譲りだと真樹子さんはいう。

真冬の季節。アラスカに来るほとんどの観光客の目的はオーロラ観測だ。真樹子さんたちは家の裏手に広がる森を、オーロラツアーの観測地として切り開いた。自然現象だけに、連日連夜待ち続けてもまったく見られないこともあるが、それでも真樹子さん夫妻の温かいガイドに惹かれ、訪れるリピーターが後を絶たない。この日は観測を初めて3時間。見事なオーロラが夜空に現れ、お客さんたちの顔に大満足の笑顔がこぼれた。真樹子さんが一番やりがいを感じる瞬間だ。

「将来はうちの森をネイチャーサイトとして、旅行者も地元の人も大人も子供も楽しめる場所にしていきたい」と夢を語る真樹子さん。生き生きとした娘の姿に、父は安心しながらも、「もう日本に帰っては来ないですね…」と淋しそうにつぶやく。そんな父から娘に届けられたのは、毎年冬になると父が丸1日かけて手作りするという甘酒。本当は日本に帰ってきて欲しいのに、その気持ちを口には出せない父。そこには、極寒の地で暮らす娘の体を思いやる気持ちが込められていた。その懐かしい味に、真樹子さんは「距離を考えれば遠いけど、心が通じ合っていれば…。でもなるべく日本に帰ってあげたい」と言って涙をこぼす。