今回のお届け先はアメリカ・ニューヨーク。この地でマイク1本を手に客を笑わせるスタンダップコメディアンとして奮闘する小池良介さん(42)と、愛知県に住む父・孝さん(74)、母・いつ子さん(68)をつなぐ。アメリカに渡って12年。以来1度も日本に帰っていない良介さん。父は「長男なので、できれば家業を継いで欲しい」と願っているのだが…。
現在5軒のコメディーハウスでレギュラーをもち、毎夜その舞台を掛けもちで飛び回る良介さん。日本人ながら、笑いにシビアなニューヨーカーたちをみごとな話術で爆笑の渦に巻き込んでいる。出演するクラブのマネジャーも「日本人であることを上手くネタにしているのが彼の強み」と高く評価する。
現在、良介さんはニューヨークの一軒家を6人でシェアして暮している。週4日はここからコメディーハウスに通う日々だが、実は良介さんは既婚者。自宅はニュージャージー州にあり、残りの3日は一昨年に結婚した妻・雅子さん(43)と自宅で過す。ニューヨークでダンスを通じて知り合ったという雅子さんは「売れないコメディアンです」と笑いながらも「彼のしたいようにやってもらえればいい」と、良介さんを大きな心で見守っているようだ。
今やコメディー一筋の良介さんだが、きっかけは偶然だった。元々社交ダンスを勉強するため16年前にアメリカに渡ったが、挫折。新たな道を模索していた時、気分転換に通い始めたコメディー教室で良介さんのネタが大受けし、その魅力にはまっていった。コメディーの道を本格的に歩み始めたのが30才の頃。だがまったくお金をもらえない日々が5年間も続いたという。
日本を離れて12年。今ではテレビのコントやCMの仕事も入るようになり、ようやくその名も知られるようになってきた。だが1日でもステージを空ければ誰かがそこを埋めてしまう厳しい世界。だからこれまで一度も日本に帰ることなくステージに立ち続けた。ただ、ひとつだけ後悔していることがあるという。「大好きなおばあちゃんが3年前に93才で亡くなった。そのおばあちゃんの葬式に出られなかったのが残念」と良介さんは悔やむ。幼い頃から良介さんの笑いを一番理解し、苦しい下積み時代もずっと応援してくれたのが祖母だった。
良介さんは、エディ・マーフィーらを排出した名門コメディーハウスのレギュラーの座を賭けたオーディションを翌日に控えていた。400人が受けても合格者ゼロということもある超難関だ。1次審査にパスしてから今回のチャンスを手にするまで4年もかかったという。その前日、両親から良介さんへ、かつて祖母が高校生だった良介さんのために編んでくれたセーターが届けられる。良介さんが「勝負の時や"これだ"いう時に必ず着て行った」というものだ。良介さんはそのセーターを着てオーディションのステージに挑む。結果、レギュラーの座を射止めることはできなかったものの、今後もオーディションのステージに立ち続けてレギュラーを目指すチャンスを手にするのだった。