今回のお届け先は南米・ペルー共和国の高山都市クスコ。ここでフォトジャーナリストとして活動する鈴木智子さん(39)と、東京に住む父・隆雄さん(67)、母・喜代子さん(67)をつなぐ。高校卒業後、海外へ飛び出した智子さん。両親は「反対でした。苦しかった。女の子だから心配でした」と当時の気持ちを語り、2年前に現地の男性と結婚したことについても「5年間ぐらい反対していました。近くに住んでほしかった…」と、切ない気持ちがあふれ出す。
日本を飛び出した智子さんは世界各地を回り、13年前にペルーへ。そこでアンデス文化のすばらしさに触れ、以来ペルー各地の自然や文化を取材し、日本に紹介するフォトジャーナリストとして活動を続けている。智子さんがもっとも魅了されているのがアンデスに伝わるさまざまな祭り。流血のけんか祭りや女性同士が戦うアンデス相撲の祭りなど、地方ごとに独特な奇祭がある。智子さんは「アンデスの祭りは人間の魂が爆発する場所なんです」とその魅力を語る。
そんな智子さんの取材に同行。クスコから車で6時間以上かけてやって来たのは、アンデスの山あいにたたずむコユルキ村。すでに村人たちが集まり、この日のために捕らえた祭りの主役・コンドルを引き連れて、村の闘牛場へ向かっている。羽根を広げると2・5mもある大コンドルだ。智子さんは夢中でシャッターを切り続ける。闘牛場ではなんと背中にコンドルをくくりつけられた牛と闘牛士の対決が始まる。その破天荒さに、見ていた山口智充も「何これ!?」と驚くが、智子さんによると、コンドルはアンデス人を、牛はかつてこの地を征服に来たスペイン人を象徴し、コンドルが牛の背中をつついてやっつけている様子を表しているという。祭りには村人たちの深い想いが込められているのだ。そして智子さんが取材の中で一番大切にしているのが村人とのコミュニケーション。「現地で取材をすることにより、色んなことを学べるというのがすごく面白い。それをお裾分けする形で日本の人に伝えるのがやりがいですね」と智子さんは語る。
ペルーに来て13年。現地で知り合い、両親に長年結婚を反対されていたウォルターさん(43)とは2年前に日本で結婚式を挙げた。「親にしてみれば国際結婚なんて嫌なものですよ」と、智子さんも娘を心配する両親の気持ちは十分に理解している。そんな智子さん夫婦は今、クスコから飛行機で1時間半の、ウォルターさんの実家がある町プエルトマルドナードに土地を買い、自分たちの手で新しい家を建てようと計画している。そこはワニや大蛇などの野生動物がいるジャングル。智子さんは、高さ30m以上の巨木に育つというルプーナの苗木を自らの手で植えながら、ここで家族が増えていく未来に想いを馳せる。「自分らしい家庭を築いていきたい」。それが彼女のもう一つの夢なのだ。
今回、智子さんへ母から届けられたのは、智子さんが生まれて初めて履いたという小さな布製のくつ。20年前に智子さんが日本を離れてから、母は何度もこのくつを眺めては智子さんを思い出していたという。結婚には反対したが、今では娘の幸せを心から願う母。そこには「幸せな家庭を築いてほしい」という願いが込められていた。小さなくつを手にした智子さんはそんな母の想いに、「私もいい家庭を作ります」と涙をこぼす…。