今回、正装した山口智充がやってきたのは大阪市のコンサートホール「いずみホール」。 以前に番組で紹介した南米・ウルグアイのオペラ歌手・千田栄子さん(42)が、このほど12年ぶりに日本に帰国し、このホールでコンサートを開催することになったのだ。
14年前、ブラジル人の夫と2人の娘を連れて日本を飛び出し、以来ブラジルでオペラ歌手として活動していた栄子さん。日本の家族とはもう12年以上も会っておらず、音信不通になっていた時期もあった。母の時子さん(67)は、栄子さんと孫たちのことを遠く日本からずっと心配していた。
前回の放送では、そんな栄子さんの現在の様子を紹介。今や南米でその名前を知らない人はいないといわれるほど有名なオペラ歌手となっていた栄子さん。ブラジルに渡った後に3人目の娘をもうけたものの、一度も仕事に就かなかったブラジル人の夫とは離婚。裁判の結果、栄子さんが日本人であることなどを理由に、子供の親権を取ることができず、娘たちとは引き裂かれて暮らさざるを得なくなった。
現在は同じオペラ歌手であるウルグアイ人男性と再婚し、男の子をもうけてウルグアイに暮らす栄子さん。だが今も前夫には収入がなく、栄子さんはブラジルで暮す娘たちのために、収入のほとんどを養育費として送り続けている。そのため暮らしは決して楽ではなく、日本に帰国することもままならなかった。そうしたつらく厳しい状況を親に知らせて余計な心配をかけたくない…栄子さんが日本の家族に連絡をすることができなかったのは、そんな理由からだった。
初めて聞く衝撃の事実に、母は「今まで娘を恨んでいましたが、やっと納得できました」と、娘の苦労を思って涙をこぼした。そんな母から、20年前に栄子さんが母から譲り受けた懐かしい着物が届けられ、添えられた手紙には「もう会えないかもしれない。この着物を着て、たまには私たちのことも思い出してください」と、切ない思いが綴られていた。それを読んだ栄子さんは涙を流し、心配する両親のためにも「日本に帰ります」と誓ったのだった…。
そしてこのほど、その言葉どおり、栄子さんが日本に帰国することに。母と妹の訓子さん(37)が栄子さんを空港に出迎え、12年ぶりの再会を果たす。自宅では3年前に脳梗塞で倒れた父・安男さん(67)も娘の帰りを待ちわびていた。栄子さんの身を案じ続けていた父は、前回放送のVTRを毎日見ては泣いていたという。14年ぶりに懐かしい実家に戻った栄子さんは、そんな父と感動の再会、久々に家族水入らずの時間を過ごすのだった。