今回の配達先は、芸術を支える町、イタリア・カッラーラ。この町で、ホテルを経営する大木和子さん(40)と大阪府泉大津市に暮らす父・相吉さん(73)、母・高子さん(66)をつなぐ。
「イタリア行きに反対はされなかったんですか?」と山口が聞くと、「反対をしたかったが、一人で勝手に計画を立てて行ってしまった。」とお母さん。
イタリアへは、10000キロ、およそ14時間の旅。カッラーラは、斜塔で有名なピサの町から、北におよそ30キロのところにある。
ピサの斜塔をはじめ、イタリアの各地に残っている建造物や彫刻の大理石のほとんどを産出しているのがこのカッラーラだという。
そのカッラーラの山々を一望できる場所で和子さんは、B&Bと呼ばれるホテルをたった一人で経営している。B&Bとは、「ベッド&ブレックファスト」、海外では一般的な宿泊に朝食のみがついている宿のことだ。和子さんがこのホテルを始めるきっかけとなったのは、名のある彫刻家だった亡き夫にあった…。
和子さんは、30歳のときに20歳年上の夫と結婚。夫はこのカッラーラを心から愛し、創作活動のため、夫婦でこの町を度々訪れていたという。しかし結婚してわずか3年、夫は患っていた病によりこの世を去ってしまった。夫に先立たれ、失意の内に日々を暮らしていた和子さん。そんなある日、「夫が愛したカッラーラの町で、畑つきの家が売りに出されている」という知らせが入る。直感に導かれ、カッラーラを訪れた和子さんは目前に広がる大理石の山々に息を呑んだ。「夫が愛した大理石の山々を一望できるこの場所は夫が残した作品を展示するのに最も相応しい場所だ」そう感じた和子さんは、夫が残した遺産でこの土地を購入。ここで頑張ることが和子さんの新たな人生を踏み出すための生きがいに変わったのだ。
和子さんは今、7000坪もある広大な敷地の中でブドウ作りに挑戦している。昨年からは、この畑で収穫したブドウで自家製のワイン作りも始めたという。新たな人生を前向きに逞しく歩き始めている和子さん…。
そんな和子さんにお母さんからの届け物は「芋まんじゅう」。和子さんが子供の頃、お母さんがよく作ってくれた素朴で懐かしい味。そこには家族と共に過ごした楽しい思い出がたくさん詰まっていた。「これからは私たちをもっと頼ってほしい」そんなお母さんの想いが込められていた。芋まんじゅうを口にした和子さんは涙を流し「これから、新しい関係が作っていけると思う…」と家族への想いを語る…。