今回の配達先は、マレー半島の西、アンダマン海に浮かぶ、ランカウイ島。ここでマレーシアNO1と称される日本料理店を営む武林克二さん(38)と、大阪府八尾市に暮らす母・幼子さん(65)をつなぐ。
中学卒業と同時に両親が離婚した克二さんは、15歳で家を飛び出し料理人の世界へ。以来、連絡を取ることはほとんど無く、昨年産まれた孫の顔も見せたことがないという。
「心配なことはありますか?」と山口が聞くと、「息子の仕事は、本人に任せている。昨年産まれた孫のことが心配」とお母さん。
マレーシア・ランカウイ島へは、5300キロ、およそ9時間の旅。
克二さんが営む日本料理店「雲海山」はオープンして7年。観光客だけでなく、地元の人たちにも高い人気を誇り、マレーシアのレストランガイドブックで5年連続ナンバーワン日本食レストランに輝いている。
「ナンバーワンに選ばれたときはどんな気分でしたか?」という質問に、「中卒でずっと弱い立場で頑張ってきたが、やっと大企業のエリートの方にも勝てたという気持ちでした。人より5年自立が早かった分、人より5年早く成功を収めたいという気持ちがありました」と克二さん。
実は克二さん、両親が離婚した当時は荒れた生活を送っていたという。しかし、15歳で家を飛び出して始めた料理人修業で生きがいを見つけた克二さんは、海外でも修業を重ね、腕一本で突き進んできた。高校に進学しなかったことに対して、「母は申し訳なく思っているみたいだけど、あの環境においてくれたからこそ今の自分がある。家の問題が無くても、僕の頭では高校にいけなかったと思うので、気にしないでください」と克二さんは話す。
克二さんの家族は、5年前に結婚した妻のめぐみさんと、今年1歳になった長男の龍賢くん。克二さんの休みは月に一日しかないため、子育てのほとんどを奥さんに任せている。夫婦共働きのため、せめて夜中ぐらいは奥さんをゆっくり休ませてあげたいと、夜中から朝までは克二さんが子守をしている。
克二さんが15歳で家を飛び出してから23年、ほとんど家族としての時間を持てなかったというお母さんからの届け物は、『こいのぼり』。「これまで息子に何もしてやれなかった」と悔やんでいるお母さんが、孫の成長はもちろん、克二さんの成功を祈る想いを込めて贈ったものだ。届け物を見た克二さんは、「逆です。僕が母に何も出来てないです。早く孫の顔を見せに帰らないと…」と。翌日、克二さんはさっそく家族揃ってこいのぼりを上げて…