今回の配達先は、世界中の旅人を魅了する神秘の国、インド。
聖なる川、ガンジスのほとりに位置するバラナシで、インド人と結婚し日本食レストランを切り盛りする久田恵美さん(36)と神戸市に暮らす父・克巳さん(67)、母・美智子さん(67)をつなぐ。
「恵美さんがご結婚されるとお聞きになったときは?」と山口が聞くと、「大反対した。今も忸怩たる思いがある」とお父さん。「レストランを見たことがないので、見てみたい」とお母さん。
インドへは、5700キロ、15時間の旅。恵美さんは、ガンジス川のほとり、バラナシの日本食レストラン「メグカフェ」のオーナー兼シェフ。ご主人のサンジェイさん(34)と二人でお店を切り盛りしている。3年前にオープンし、クチコミで評判が広がったメグカフェは、今では韓国や欧米のガイドブックにも載っている人気のお店だ。バラナシの町には、他にも日本食を扱うレストランがあるが、ほとんどの店が日本食を知らない外国人が作っているので、日本人がイメージする日本食とは違うものが出てくるという。そんなバラナシの食生活に恵美さん自身が困った経験がお店をオープンさせるきっかけだった。
高校を卒業し、地元の大企業で働いていた恵美さん。忙しく過ぎるだけの毎日に疑問を感じ22歳で、会社を退職。調理師のアルバイトをしながら、自分が自分らしくいられる場所を求め、海外へ一人旅をするようになった。そんな中、恵美さんの心をつかんだのがインドだった。インドに長期滞在中、CDショップのオーナーをしていたサンジェイさんに一目ぼれし、恵美さんから猛アタック、両親は大反対したものの、サンジェイさんとともにインドで生きることを決意した。
毎日朝9時から夜の10時まで休み無く働く恵美さんだが、今、新しい夢に挑戦しようとしている。それは、日本にあるようなベーカリーショップをオープンさせるとこと。
恵美さんがインドで暮らし始めて、早6年。両親に反対されてもこの国で生きていくことを決めた恵美さんだが、日本が恋しくなることがあるという。「冬の寒い日は、お風呂に入りたい…お寿司を食べたい…両親に会いたい…」。今まで口にすることがなかった恵美さんの素直な言葉だった。
恵美さんへ、両親からの届け物は「お母さん手作りのパンとケーキ」。 幼い頃、いつもお母さんにくっついてパン作りの手伝いをしていた恵美さん。懐かしいあの頃の家族の味だ。パンとともに届けられたのは、 恵美さんが新しくベーカリーショップを始めると聞いたお母さんが作った手書きのレシピ帳。そして最後のページには、面と向かって語り合うことの無かったお父さんからのメッセージが。そこには「みんなに愛されて、幸せな一生を送ってほしい」と…。