今回の配達先は、職人の国、ドイツ。
ドイツの首都、ベルリンで家具作りの修業をしている山本滋己さん(29)と大阪府堺市に暮らす父・誠司さん(65)、母・洋子さん(60)をつなぐ。
「どんなところが見てみたいですか?」と山口が聞くと、「どんな生活をしているのか、そしてどんな作品を作っているかが見たいです」とお母さん。
ドイツへは、9200キロ、15時間の旅。滋己さんは、首都・ベルリンにある家具工房「サワデーデザイン」で修業をしている。地元ベルリンの木の風合いをそのまま生かした作品が特徴で、デザインから製作まで全ての工程をこの工房で行っている。滋己さんはここで木工技術を学びながら、自分の作品作りに取り組んでいる。
滋己さんはドイツに渡って3年。幼い頃からモノ作りが大好きだった滋己さんは、高校卒業後、デザイン専門学校へ進学。金属の家具作りを学び、個展を開くまでになった。しかし、金属だけの表現に限界を感じた滋己さんはヨーロッパへ。2年間、様々な家具を見て回る中で出会ったのがサワデーデザインの木工家具だった。
サワデーデザインでの仕事を終えた後、滋己さんは一人残って作業を続ける。滋己さんが作っているのは本棚に飾ることをイメージしたオリジナルのランプ。「ベルリンは冬が長く曇りの日が多いので、人々が光を求めている感じがした」という理由からだ。実は滋己さん、アーティストビザでドイツに滞在しているため、サワデーデザインから給料をもらうことができない。その代わり、仕事を終えた後、工房の機械を自由に使わせてもらっている。アーティストビザで許されるのは、自分の作品を売って収入を得ることだけ。滋己さんの夢はいつか自分のブランドを立ち上げることだ。
滋己さんがドイツに渡って3年、その間一切収入はナシ。貯金も底を尽きかけている。お店に自分のランプを置いてもらおうと飛び込みで営業をする滋己さん。しかし一日中歩き回ったが、結局どの店も取り合ってくれなかった。
そんな滋己さんを日本から見守るお父さんからの届け物は「滋己さんが高校3年生のときに作り、賞をとった壷」。初めて人に評価され、自信を強めた滋己さんがモノ作りを志すきっかけとなったものだ。壷を見た滋己さんは笑顔で「これを糧に頑張ります」と決意を新たにする。そんな中、突然明るい知らせが舞い込む。以前、営業に行った店から、ランプを取り扱いたいと連絡が入ったのだ。ドイツに渡って3年、初めて滋己さんオリジナルの商品が店頭に並ぶことになる。