今回の配達先は、インドシナ半島の南部に位置するカンボジア。
激しい内戦で断絶の危機にあった伝統織物の復活を目指し、職人たちが集まった村で、現地の村人と共に奮闘する加藤尚子さん(24)と横浜に暮らす祖父・省吾さん(90)、祖母:栄さん(84)をつなぐ
「お二人はカンボジアに行かれたことがありますか?」と山口が聞くと、「行けないので、テレビでカンボジアの映像が流れると目を皿にして見入っています。尚子の日常生活が見たいです。どうゆう生活をしているかが知りたい」とおばあちゃん。
カンボジアへは、3900キロ、ベトナムを経由して7時間半の旅。クメール建築の傑作アンコールワットに代表される世界遺産・アンコール遺跡群が広がるカンボジア。尚子さんはその北西部にある小さな町、シェムリアップにあるクメール伝統織物研究所で働いている。「クメール織物」とは、カンボジアの伝統絹織物のことで、その特徴は、人間の手が加わっていない原種の蚕が生み出す黄金の生糸「クメールシルク」を使うこと。1200年前のクメール王朝時代から受け継がれてきたこの伝統技術が、実は最近まで断絶の危機にあったという。
その危機を救ったのが、尚子さんが師と仰ぐ森本喜久男さん(60)。京都で手書き友禅の職人だった森本さんが、1995年にユネスコの依頼で内戦により途絶えかけていたクメール織物を調査し、壊滅的な状況をなんとかしたいと、この研究所を設立。尚子さんは現地の職人たちに交じって、ここで織物の修行をしている。
尚子さんが織物の興味を持ったきっかけは、おばあちゃん。和裁の先生だったおばあちゃんの影響で小さな頃から布に触れてきたのだという。
この日が誕生日だった尚子さんに、祖父母からの届けものは「おばあちゃん手作りの洋服」。尚子さんがずっと欲しがっていたおばあちゃんのワンピース。おばあちゃんは「お揃いの柄の服を尚子ちゃんにも作ってあげるね」と約束していたものの、ずっと果たせないでいた。80歳を超えて、裁縫をする機会がめっきり減ったおばあちゃんが10日間、夜なべして縫い上げたバースデープレゼントだ。そこに添えられていたおじいちゃんからの手紙には「なおちゃんは、おじいさんおばあさんの宝です」と綴られていた。
それを読んだ尚子さんは、涙を浮かべて「おじいちゃんとおばあちゃんの孫でよかった」と話す。