今回の配達先は、南太平洋に浮かぶ2つの島からなるニュージーランド。ここで。戦隊ヒーローのスタントマンとして働く岩上弘数さん(32)と、高槻市に暮らす父・勝さん(67)、母・幸子さん(67)をつなぐ。
「スタントマンのお仕事には反対されているということですが?」と山口が聞くと、「安定した生活が送れるサラリーマンになってほしかった。ケガなども心配…」とお母さん。
ニュージーランドへは、8900キロ、およそ12時間の旅。街の中心部から少し離れた採石場で弘数さんたちの撮影が行われていた。撮影しているのは、アメリカ版戦隊シリーズ「パワーレンジャー」。日本の「ゴーオンジャー」を始めとする、スーパー戦隊シリーズをリメイクしたヒーロー番組で、全米はおろか世界中で放送され、子供たちに大人気の番組。弘数さんはここで、子供たちの憧れの的「レッドレンジャー」のスタントをしている。実は妻の純さん(31)もスタントマンで、「イエローレンジャー」を担当している。撮影現場で出会い、6年越しの恋を実らせ、昨年結婚した。
メインとなるパワーレンジャーのスタントマンは全員日本人なのだという。戦隊ヒーローの動きは歌舞伎や時代劇からくる日本人にしかできない独特の動き。そのためパワーレンジャーのスタントはここ15年はずっと日本人が担当しているのだ。
弘数さんが、スタントマンになったきっかけは、高校時代に経験したヒーローショーのアルバイト。「子供に見て楽しんでもらえることにやりがいを感じた。」と弘数さん。高校卒業後も就職はせず、ヒーローショーのアルバイトを続けた。その後プロになったものの弘数さんには、両親に対して申し訳ないという気持ちもあるという。「親の世代にとってはなかなか理解しにくい職業だとは思う。なんとか両親を安心させたいという気持ちはある」と弘数さんは語る。
「いつか両親にこの仕事を認めてほしい」、そんな思いで頑張ってきた弘数さんへのお母さんからの届けものは「日本でアルバイトをしていた時のスケジュールメモ」。弘数さんが日本を離れた後、お母さんが部屋で偶然見つけ、大事にとっていたもの。添えられた手紙には、「部屋を片付けていて、この小さなメモ用紙を見つけました。1枚1枚出して読んでいるとお母さんは感動して涙が出ました。自分を大切に頑張ってください。応援しています」と綴られていた。それを見た弘数さんは、「普段一緒にはいられないけれど、支えてもらっているということを改めて実感します」と男泣きする。