今回の配達先は、アフリカ大陸の東にある赤道直下の国、ケニア。
野生動物が群れをなし、マサイ族を始めとする42もの部族が暮らすケニアに魅了され、勤めていた会社を辞めてやってきた羽月雅さん(32)と、大阪市西成区に暮らす父・福根さん(60)、母・由貴江さん(54)をつなぐ。
「雅さんのどんなところが心配ですか?」と山口が尋ねると、「病気とかが心配。2年だけという約束で行ったが私は大反対。」とお母さん。逆にお父さんは「反対はしてない。本人がしたいようにしたらいいと思う」と。
ケニアへは、11000キロ、およそ20時間の旅。
雅さんは、7ヶ月前に日本で勤めていた会社を辞めて、ケニアにやってきた。雅さんが勤めているのは、ケニアの首都ナイロビで最も大きい旅行会社。200人が働く中、雅さんは唯一人の日本人。日本からの観光客は、全て雅さんが担当する。新しいツアーの開拓から、観光客の送迎まで
、仕事内容は多岐に渡る。
雅さんが暮らすのは、1LDKのアパート。会社が借りているので家賃はかからないが、収入はたったの500ドル。生活は決して楽ではない。しかし、少しでも多くの人にアフリカを知って、見て、感じて欲しいという夢があるため、雅さんはがんばっている。
雅さんがツアーの下見にやってきたのは、マサイマラ国立保護区。時期によって野生動物が現れる場所が違うために、ツアー前のこうした下見は欠かせないと言う。現れたのは、アフリカゾウやマサイキリン、トムソンガゼル、チーター。雅さんが子供の頃から憧れていた光景が目の前に広がる。
雅さんのケニアでのお気に入りの場所は、トイマーケットというスラムの人たちが営む市場。最初は居心地が悪かったが、顔見知りの人ができたりして、なんとなくまた来たくなる場所だという。今や雅さんを魅了しているのは大自然だけではないのだ。
ケニアに来て以来、お母さんと雅さんは電話で話しても口論ばかりだという。「あれしないで、これしないで」とそんな言葉の羅列に雅さんは疲れてしまい、すぐに電話を切ってしまう。今、雅さんがお母さんに望むことは、「一人の大人として私を見て欲しい」ということ。
雅さんにはお母さんに話していない覚悟があった。「母に心配はかけているけど、私は万が一のことがある事を承知の上でケニアにやってきた。そんな危険があっても、それでも知りたい、見たい世界がここにある」と。「ケニアに来て7ヶ月はあっという間だった。母との約束の2年が来た時は、きっとこれからよいう時なのに日本に帰るのは、もったいない。さらに期間を延ばしたい」と本音を打ち明ける。
そんな雅さんへ両親からの届け物は、お母さんが一番大切にしている雅さんの写真。雅さんが模擬挙式のモデルをした時に撮影されたウエディング姿の写真だ。お母さんからの手紙にはずっと伝えることができなかった雅さんへの思いが綴られていた。それを読んだ雅さんは「初めて母の本当の気持ちを知った」と今までに言えなかった思いを口にして…