今回の配達先は、オーストラリアの北東に位置する、ケアンズ。東海岸有数のリゾート地で、アクアマリンの海と深いグリーンの熱帯雨林に囲まれ、ここでしか見られない数多くの野生動物と出会うことができる。この大自然の中でバードウォッチングのガイドとして頑張っている太田祐さん(29)と名古屋市に暮らす母・典子さん(56)をつなぐ。
女手一つで祐さんを育てたお母さんに「オーストラリアに行かれたことはあるのですか?」と山口が尋ねると、「仕事が忙しく、行ったことが無い。だから、どんなところに住んで、どんな風に仕事をしているのか全く知らない。」と。
オーストラリアへは、5900キロ、およそ9時間の旅。現在、祐さんはケアンズでフリーのバードウォッチングガイドをしている。祐さんがオーストラリアに来た当初は、バードウォッチングを目当てに来るお客さんはほとんどいなかったが、祐さんの噂を聞きつけ、最近、除々に増えてきているのだそう。バードウォッチングの楽しさは?とスタッフが聞くと、「鳥は建物や花と違い、いつもそこにあるわけじゃない。それだけにうまく鳥を見つけて、お客さんに喜んでもらえるとうれしい」と祐さん。
祐さんは、大学生の頃から交際していた奥さんと、昨年7月に入籍。家賃6万円の部屋で、もう一人の家族ユウグレインコの「アサヒ」と暮らしている。
祐さんが鳥に魅せられたきっかけは、子供のころにお母さんがもらってきたセキセイインコ。以来、鳥への情熱は強まるばかりで、ついには、勤めていた会社を辞めてケアンズに渡ってきたのだ。
実は、祐さんはバードウォッチング以外のガイドの仕事もしている。ケアンズを訪れる観光客に最も人気があるのは、カンガルーやワラビーなどを観察するツアー。バードウォッチングの人気はまだまだ低く、生活のためにこうした仕事をしなければならないのが実状。祐さんは「鳥の魅力をもっと多くの人に伝えたい」と、地元のタウン誌に記事を書くなど裾野を広げる活動もしている。
毎日、大好きな鳥と共に生きる祐さんだが、心によぎるのは「女手一つで育ててくれたお母さんに親孝行がしたい」という想い。そんな祐さんへお母さんからの届け物は「リュックサック」。両親の離婚後、決して裕福とは言えない暮らしの中、欲しいものは何でも自分でアルバイトをして買っていた祐さん。息子に何もしてやれなかった、というお母さんが祐さんのために初めて選んだプレゼントだ。届けものを手にした祐さんは感激して…。