日本と海の向こうをつなぐのは、山口智充。
今回の配達先は、グァム島の南東にあるミクロネシア連邦、チューク諸島。チュークの美しい海に魅了され、日本人で初めてチュークのダイビングガイドになった横田圭介さん(36)と兵庫県宝塚市に暮らす父・侃さん(67)、母・弘子さん(62)をつなぐ。圭介さんは、2年前に一大決心をし、34歳にして12年間務めた銀行を辞めてチュークへ移住した。
「会社を辞めてチュークへ行くと聞かされた時は、どう思われましたか?」と山口が聞くと、「何を考えているのか?と反対をした」とご両親。
チュークへは、グァムを経由しておよそ8時間。チュークには、主立った産業が無い事もあり、多くの失業者がいると言われている。現在、経済的には決して豊かな国ではない。
圭介さんは、2年前にチュークへと移住し、幼馴染の友人とともにダイビングショップを立ち上げた。チュークの年間平均気温は28度。世界最大級の環礁「チュークラグーン」で知られ太平洋屈指の海の美しさを誇る。太平洋戦争時の日本の船や戦闘機が数多く沈んでいることから、アメリカやヨーロッパでは有名なダイビングスポットとなっている。しかし残念ながら日本ではほとんど知られていないのが現状だ。もっと多くの日本人ダイバーにチュークの海を知ってほしい、それが圭介さんの原動力になっている。
圭介さんのダイビングショップは、住居も兼ねている。チュークは電力の供給が安定していないため、停電は日常茶飯事。そのため、冷蔵庫も使えず食事は主にインスタントラーメンや缶詰という毎日。さらに水道もないため、雨水を貯めて生活用水にしている。
お客さんは、多いときでも月に10人ほど。決して経営状態は良くない。現在、貯金を切り崩していて生活している状態だ。圭介さんは、空いている時間に、政府観光局を訪れてチュークを日本人に知ってもらう活動をしたり、リピーターを飽きさせないために新しいダイビングスポットを探し出したりしている。
水道も電気も無く、あるのは美しい海だけ。決して恵まれているとはいえない環境で、日々奮闘を続ける圭介さんへ、日本の両親からの届け物は、「圭介さんが子供のころから大好きだった肉じゃが」。久しぶりにおふくろの味を食べた圭介さんは…