日本と海の向こうをつなぐのは、山口智充。
今回の配達先は、ミクロネシアに浮かぶ楽園・パラオ。
イルカのトレーナーとして奮闘する根津美保さん(29)と京都市に暮らす父・栄七さん(56)、母・悦子さん(50)をつなぐ。
「もともと動物好きなお子さんだったんですか?」と山口が聞くと、「動物は好きだったけど、運動音痴で水泳が苦手な子。浮き輪が取れなかったので水に入る仕事をするとは思わなかった。」とお父さん。実はお父さん、美保さんが海外で暮らすことには猛反対したという。
パラオへは、グアムを経由して8時間、3000キロの旅。
美保さんが働くのは、「ドルフィンズ・パシフィック」というイルカと触れ合える施設。スタッフは、パラオ人6名、日本人7名の計13名。美保さんは、トレーナーを束ねるリーダーとして現場を任されている。
7頭のイルカたちは「ドルフィン・ベイ」と呼ばれるロックアイランド(古代の珊瑚礁が隆起して出来た石灰岩の島)に囲まれた手付かずの自然の中で暮らしている。
「ドルフィン・ベイ」では、イルカに餌をやったり、一緒に泳いだりとさまざまなプログラムがあり、それを楽しみに世界各国からたくさんのお客さんがやってくる。
リーダーである美保さんは仕事が終わってからも、後輩トレーナー育成のための勉強会を開いている。そんな美保さんを上司のビリーさんは「勉強熱心。そんな姿勢が国籍関係なくみんなから尊敬されている」と。
美保さんが日本を離れて6年。当初は現地スタッフとの間に壁を感じることもあったという美保さんだが、自分の殻を破ることで少しずつパラオでの生活に自信を深めていったという。しかし、昨年2月にショックな出来事が。大好きだったおばあちゃんが亡くなったのだ。日本から遠く離れたパラオで知ったおばあちゃんの死。家族と離れ、海外で暮らすことの本当の意味を痛感した美保さんは日本に帰ることを本気で考えたという。そんな美保さんをパラオに踏みとどまらせたのも、やはりおばあちゃんへの想いだった。
そんな美保さんへ、日本の両親からの届け物は、「おばあちゃんが生前に漬けた、最後の梅干」。幼い頃からよく口にした、大好きだったおばあちゃんの味。「仕事で大変なこともあると思うけど、これを食べて元気を出してほしい」という両親の想いがこめられていた。