日本と海の向こうをつなぐのは、山口智充。
今回の配達先は、アメリカ・カリフォルニア州、ロサンゼルス。
世界チャンピオンを目指す女子プロボクサー・中村千香さん(30)と三重県に暮らす母・睦子さん(56)をつなぐ。
「東京でモデルとして活躍していた千香さんがボクシングに転向されたときはどう思いましたか?」という山口の質問に、「初めは体型維持のためのボクササイズだと思っていた。本当のボクシングだと知った時は驚いた」とお母さん。
アメリカへは、飛行機で12時間、9200キロの旅。
千香さんは、現在世界ライト級10位。渡米3年でアマチュアの大会で優勝したものの、その後チャンスに恵まれず下積生活を続けている。今年、新たな活躍の場を求めて、世界チャンピオンも輩出した有名なジムに移籍した。
三日後に1年ぶりの試合を控えている千香さん。スパーリングで勝負の勘を取り戻していく。千香さんがこのジムに移った一番の理由がフレディ・ローチさんの存在だという。フレディさんは、マイクタイソンのトレーナーも務めていた超一流のトレーナー。千香さんをスカウトした理由をフレディさんに聞いてみると「千香は練習熱心なのが気に入った。チャンピオンになれる」と。
ボクシングに集中するために、アルバイトをせず貯金を切り崩して生活をしている千香さん。節約のため、アメリカに来てからはずっと友人の家を渡り歩いている。千香さんの日課は有機野菜をたっぷり使った野菜ジュースを飲むこと。台所に立つたびに母を思い出すという千香さんは、「母は、家のきれいな日本庭園を全て耕して無農薬野菜を作ってくれた。その野菜で毎日違う献立でおいしい料理を作ってくれた。」と思い出を語る。
試合を明日に控えた千香さんにお母さんからの届け物は「メッセージが書かれたバンテージ」。何も迷わずベストを尽くしてほしいというお母さんの思いが込められていた。千香さんは、「世界チャンピオンになりたいという夢をかなえるために家族との時間を犠牲にしていることを寂しく思っている。」と涙を見せる。
そして迎えた試合当日。対戦相手は、タミー・フランク選手。これまでKOされたことがないというタフな選手。人生をかけた世界チャンピオンという夢、家族への思いを背負い千香さんはリングに上る。