日本と海の向こうをつなぐのは、山口智充。
今回の配達先は、イギリスのノーザンプトンシャー。
この町にあるモータースポーツの聖地、シルバーストーンサーキットに単身乗り込み、レーシングドライバーとして頑張る山本龍司さん(19)と、大阪府堺市に暮らす父・英太郎さん(51)、母・敦路さん(49)をつなぐ。
幼い頃から二人三脚でレースの道を歩んできた父と息子。「龍司さんがイギリスに行かれて、正直寂しいのでは?」と山口が聞くと、「もうちょっと一緒にレースをやりたかった」と父は本音を漏らす。
イギリスへは、飛行機で13時間、9800キロの旅。首都ロンドンから100キロ、広大な田舎風景が広がるノーザンプトンシャーで龍司さんは暮らしている。龍司さんは8歳でカートデビューし、以来父と二人三脚で数々のレースでチャンピオンに輝き、2004年にはアジアの頂点に立った。その才能を見出され、昨年からニッサンの援助を受けながら本格的なフォーミュラーカーレースに参戦している。
現在、龍司さんが参戦しているのは「フォーミュラー・ルノーUK」という世界中の有望な若手ドライバーがしのぎを削るレース。トップレーサーへの登竜門と言われている。日本人でこのレースに参戦しているのは龍司さんただ一人だ。全ての車は同じ車体で同じエンジン。ドライバーとメカニックの腕の差が勝敗につながる。外国人にも負けないほどの攻撃的な走りが龍司さんの持ち味。しかし、最近は龍司さん本来の走りができず不調が続いているという。実は、今年5月に行われたレース中、アグレッシブに責めた結果、大クラッシュ。幸い怪我はなかったもののそれ以来、長いスランプに陥ってしまっているのだ。
迎えた、フォーミュラールノーUK、シルバーストーン第18戦。龍司さんは5列目、9番グリッドからのスタート。レース直前に降り出した雨で、アクシデントが続出。うまくすりぬけた龍司さんは2位まで順位をあげるも、残すはあと2周のところでまさかのアクシデント…。
日本のお父さんから、龍司さんへの届けものは「DVD」。お父さんと二人三脚で頑張っていたカートレース時代の映像だった。「強い龍司を思い出してほしい」というお父さんの想いが込められていた。