日本と海の向こうをつなぐのは、山口智充。
今回の配達先は、アメリカ東海岸に位置するニューヨーク。
世界最高峰のバスケットリーグ「NBA」を目指す金井善哲さん(27)と大阪市に住む父・金井知栄さん(59)、母・金井美知子さん(58)をつなぐ。
「息子さんは、やっぱり憧れがあったんですか?」と山口が聞くと、「ずっと夢だったみたい。マイケルジョーダンに憧れていました」と母。しかし善哲さんがアメリカ行きを決意した矢先、父がクモ膜下出血に倒れ、生死の境をさまよった。善哲さんは、看病のためアメリカ行きを断念したが、「人生は一度だから、アメリカに行ってみたら」と母の後押し受けアメリカ行きを決意したのだ。
日本から飛行機でサンフランシスコを経由して9時間、11000キロ離れたニューヨークに到着。善哲さんの住むのは、マンハッタンの北部に位置する世界最大の黒人の街、ハーレム。
善哲さんがバスケを始めたのは、中学生の時。高校ではチームを初めて全国大会に導き、大学でもトッププレイヤーとして活躍した。「NBA」でプレーするという中学時代からの夢をかなえるため、24歳のときにたった一人でアメリカへやってきた。「NBA」とは、数々のスタープレーヤーを生み出した世界最高峰のプロバスケットリーグだ。
善哲さんは、英語も話せず、伝手も無いまま、バスケットボール一つ持ってアメリカにやってきた。ストリートバスケで名前を売りながらチャンスを広げていき、ついに一昨年マイナー独立リーグのチームと念願のプロ契約を結んだ。今年は「USBL」というリーグでプレーする予定だったが、リーグの運営自体無くなり、サマーリーグで名前を売ることになった。
サマーリーグとは、夏の間、2ヶ月かけて全米各地で行われるバスケットボールの大会。中でもニューヨークのストリートバスケの大会は、世界トップレベルと言われており、現役NBA選手が参戦することもあればNBAのスカウトマンが来ることもあるという。善哲さんの目標は「自分が活躍して勝つこと」。
善哲さんの収入はアルバイト代の10万円だけ。家賃は5万円。生活は決して楽ではない。唯一買うのは、バスケットシューズ。部屋には数々のバスケットシューズが並べられていた。大事な試合には新しいバスケットシューズで挑むのが、アメリカ流なのだとか。「日本を思うことは?」というスタッフの質問に、善哲さんは「病気で倒れた父のことが気がかり」という。
ご両親からのお届けものは、まっさらなバスケットシューズと善哲さんのユニフォームを着た両親の写真。「我々のことは心配しないでいい。思い切り夢に向かって突き進んでほしい」という両親の思いが込められていた。