日本と海の向こうをつなぐのは、山口智充。
今回は、東アジアの美しい海に囲まれた国、マレーシア。
海の真ん中にポツンと浮かんだ絶海の孤島タバワンに世界一の真珠を育てるために
暮らしている山川和基さん(43)と、三重県に住む妻・昌美さん(34)、息子・大智くん(6)、都和くん(5)
をつなぐ。
「三重も真珠の産地なのに、なぜご主人は海外に行かれているのですか?」と尋ねる山口に昌美さんは「主人の作っているのは南洋真珠という暖かい地方で育つ真珠なのでマレーシアにいます」と。子供二人が産まれてからも、1年のほとんどを海外で過ごすという和基さん。昌美さんは父の働く姿を子供たちに見せてあげたいという。
日本から飛行機で10時間、クアラルンプールを経由して4200キロ離れたマレーシアのボルネオ島に到着。空港から車で一時間の港町センポルナから、さらに船で一時間。フィリピンとの国境近くのタバワン島に到着。
和基さんたちは、今から8年前、無人島だったタバワンを切り開いて養殖場を作った。今でも、水道も電気も通っていない。電気は全て自家発電。衛星電話はあるものの電波の状態が悪く、つながるのは1週間にほんの数時間。生活用水は雨水を溜めてまかなっている。1つのタンクで約2週間。無くなると我慢するしかないのだという。
和基さんの仕事は、白蝶貝の中に真珠の元になる核と呼ばれるものを挿入すること。この繊細な作業が真珠の大きさ、形、輝きなど全ての出来不出来に関係するのだという。和基さんのように世界中の養殖場から依頼が来る職人は日本でも10人足らずだそう。
世界一の真珠を作るという和基さんの夢をかなえるには、ある犠牲がつきまとうという。それは、きれいな水を求めると人のいないところ、人のいないところに行くので、家族からどんどん離れてしまうということ。「子供たちの思い出の中に自分がいないのが一番辛い」
「子供たちの写真を見るとホロリときてしまうから持ってきていないし、電話で話すと会いたくなるからすぐに切ってしまう」と和基さんは言う。
日本からのお届けものは、和基さんが出席できなかった長男・大智くんの小学校の入学式の写真。息子たちが書いた和基さんの似顔絵の裏には、妻からの本音が書き記されていて…