日本と海の向こうをつなぐのは、山口智充。
今回は、兵庫県川西市に住む芝原邦夫さん(63)、知子さん(64)ご夫婦と、
イタリアのフィレンツェで一流のオペラ歌手を目指している娘・芝原美紀さん(38)をつなぐ。
幼い頃から歌うことが大好きだった美紀さんは、大好きなお父さんといつも一緒に歌を歌っていた。しかし、美紀さんの思春期に親子関係がぎくしゃくしはじめ、20年間関係は悪化したままだという。その後、美紀さんは音楽大学で出会ったオペラに魅了され、一流のオペラ歌手を目指してイタリア・フィレンツェへ移住。
何があったんですか?と聞く山口に父は「娘が思春期の頃に、仕事が忙しくなったのもあり、酒を飲む機会が増えた。毎日飲んで帰り、あまり口をきかなくなった。そんな私がいやになったのかも」と。
日本から13時間、9900ロ離れたイタリアに到着。文化と芸術の中心地フィレンツェで美紀さんは7年前に結婚したイタリア人の夫リッカルドさんと暮らしている。オペラ歌手としての収入は殆ど無く朝の10時から19時半までブティックの店員として働きながら生計をたてている。
オペラ歌手としてステージに立つのは、年に10回ほど。
しかし美紀さんは、ステージに立つたびに超えられない壁を感じるという、
それは自分が東洋人だということ。
「イタリア人の役を演じても、私は背も高いし、遠目で見ればわからないと思っていたが、ビデオで見るとどうしても違和感があると。」そんな厳しい状況に身をおきながら一流のオペラ歌手を目指して歌を歌い続けている。
翌日、3ヶ月ぶりに舞台に立つという美紀さんに両親について聞いてみると「母には、自分が歌っているところを見せたい。父は、私に興味が無いと思う。でも私が歌っているのを見たらどんな反応をするのか見てみたい」と。
当日、いつも通り仕事をしてから舞台に立つ美紀さん。
もう何年も美紀さんの舞台を見ている常連のお客さんは厳しいけれど率直な感想を言ってくれるありがたい存在だという。
そんな美紀さんへ、父からのお届けものは、かつて美紀さんとよく一緒に歌った曲のレコード。仲の良かったあの頃に戻りたいという父の思いからだ。受け取った瞬間は笑って見せた美紀さんだが、カーペンターズの「イエスタディワンスモア」が流れだすと…