• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民54人目
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  • 2010.08.19

 今週はアセンションプロデューサー・茂木仁史さんです。

 TMS吉岡さん、サンライズ富岡さんと並んで僕と同学年である茂木ちゃんはもとシンエイ動画のプロデューサー。この4人がつるんで飲んでいたのはまだ20世紀のころ。思いだせばこの4人で飲んだ時には毎度、見事にバラバラなキャラがぶつかり合っていた気がします。でも全然いやじゃない、ってな感じ。

 で、茂木ちゃんと初めて食事したのがまさにこのメンバー最初の時。第一印象は何だか冷静な話し方をするやつだな、でした。あまり語り口が強くありません。でもその後すぐ打ち解けていろんな場面で面白い発想をしてくる、ちょっと突っ張り的な性格が妙に合う気がして、何かと連絡を取り合うことになります。

 茂木ちゃんが「クレヨンしんちゃん」のプロデューサーになったのはいつだったでしょうか。僕はおそらくその直後に「コボちゃん」をするのですが、同じ月曜日に前後して放送し、同じ5才児を主人公にしていたこの両作品。なので僕は勝手に?’しんちゃんコボちゃん’なんて呼び方を流行らせようとして、パブリシティにひっかけよう盛り上げようとがんばったのです。しかしご存知のようなあちらの爆発的なヒットにはかなわず、ちょっとグチって飲んだ時にも茂木ちゃんが暖かく相手をしてくれた記憶があります。

 送り手として同世代の僕も感動した名作「クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲」の原恵一監督とは盟友だそうですね。1度お店でご一緒させてもらったことがあります。そんな彼と、長年勤めたシンエイ動画を飛び出す決意を聞いた時には正直かなり驚きました。外から見た僕に茂木ちゃんの立ち位置は悪くなさそうでしたから。でも直接話を聞き、冒頭書いたような冷静な話し方に触れ、これは茂木ちゃんの行く末を見てやろうと思ったのは事実です。

 その行く末のひとつが映画「Colorful(カラフル)」です。今週土曜日、8月21日公開のこのアニメーション映画、舞台を二子玉川にもってきたのが意外でした。ジブリ的世界観がもてはやされる中で、リアルな郷愁と哀愁にポイントを置いた、誠実なストーリーとじっくりとした映像の創り方に好感が持てました。すぐ近い将来、この景色に対してこんな描き方をしてこんな想いを込めることができるんだ、といういくつものメッセージを受け取ってニコタマのあのロケ地を歩くだろう自分が見えます。

 かなりの武闘派で今も身体を鍛えてる、物事やトラブルにほとんど動じない、色黒いタヌキのような笑顔がいい、50才近くなって独立しちゃう、など僕には備わっていないキャラクターがうらやましい茂木ちゃん。見えている部分よりそうじゃない面に、よほどいろんな物事や無理難題があるのだろうけど、ぜひ自分のペースを守ってください。そして正直に言います。とにかく一緒に仕事をしましょう、作品を創りましょう。お互いが持つこの50代の10年を茂木ちゃんとなら、標高高く面白く過ごせそうです。