• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民60人目
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  • 2010.09.30

 今週はAT-X 代表取締役社長 岩田圭介さんです。

 今は表記の通り、テレビ東京グループの会社の社長さんになられましたが、テレビ東京のアニメーションプロデューサーと言えば文句なく岩田さんでした。そんな岩田さんと初めて出会ったのは1992年頃でしたか。たぶん出版社のパーティで紹介され、同じ様な立場のメンバーで食事会をしましょうという事になったんですね。CXやTBSのメンバーもいて、当時の各局ごとのアニメの状況、いろんな悩みやそれからの展望などをお互いの参考するためにけっこう何度か語り合ったものです。

 告白しますと僕と岩田さんとの共通項は、新聞ネタになる様な大きな事件の正に当事者になってしまった事です。僕の場合は1995年に「シティーハンター3」での某宗教団体がらみの“異種画挿入”事件。岩田さんは2000年「ポケットモンスター」でのいわゆる“パカパカ”事件。これは現在のアニメ制作における演出ルールに反映されるものとなっています。両者ともセル画をひとコマひとコマフィルム撮影するアニメならではの制作手法で当時はよく使われていました。

 これは言い訳にはなりませんが、ノーマルスピードの試写ではわからないものです。当時のクリエーターたちが限られた予算と時間の中で、視聴者にとってインパクトのある面白いアニメを届ける手法を懸命に開発して来た結果のことではありました。いずれにしろお互いに番組責任者としてかなり苦い水を飲んだことは事実です。いろいろな意味で強く反省いたしました。

 こう書いていくと、2人とも似た仕事をしているようですが実は会社が違えば状況は全然異なります。たまに電話をしあい、新しい情報を教えあったり、お互いのスポンサーや編成事情について、「こーゆー時はどんな対応をしているの?」とか「あの企画知ってる?感触はどう?」など“2人だけの秘密”めいて話すのも、ちょっと楽しかったりしましたね。

 それにしても遅くまで一緒に過ごして、どう考えてもタクシーで帰るより近くのホテルに泊まった方が経済的だよね、という郊外にお住まいの岩田さん。思い出すのはこの前の前のワールドカップ(一つも勝てなかった時のです)をみんなで見たときのコト。見終わってとにかく悔しくて悔しくて、やっぱりハメを外して岩田さんはなぜかシャツが泥だらけ、オマケに定期も忘れて吉祥寺から1時間半かけてお帰りになった時は楽しくすごかったですね。でもお互い翌朝ちゃんと出勤、定期もその朝お渡しできちゃいました。そんな岩田さんは異常にタフマンでもあります。

 どんどん出世された岩田さんですが、一緒に食事などをする回数は減っていませんね。いろんなパーティではもちろん、僕の仕込んだ集まりにも良く来てもらってちょっぴり新情報も含んだお話をしちゃったりします。共通の友人も多く、TV局関係では一番近いお人かも知れません。それだけに同時に残念な訃報に接したりもします。

 やんちゃな大人5人ほどのグループのひとり、グループタックの田代さんのそれは大きくショックでした。出会ったのは明らかに仕事関係でも、その後ほとんどお互いの利害を越えてつきあえる人間関係が明らかに存在します。田代さんについては確実に後日お話させていただきます。

 テレビ東京では岩田さんの多くの後輩たちが、びっくりする様な数のアニメ制作を見事にこなしていますし、AT-Xにも素晴らしいスタッフが何人もいます。岩田さんのおかげで彼らの仕事以外の才能を先に知ってしまいますが、そんなチームを率いる社長という立場を“単なる雇われマスター”ですから、と笑顔でおっしゃる岩田さん。長年の経験と笑顔の人柄、レアな才能が成す絶妙なバランスを持って、個々の作品はもちろん、社長としても行政チック?にこれからもTVとアニメ業界を支えて行って下さいね。で、次は来週にもお会いするんでしたっけ?