• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民92人目
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  • 2011.05.26

 今週は小学館常務取締役・亀井修さんです。

 前回講談社の五十嵐さんについて書いたので、これはどうしても亀井さんに触れない訳にはいきません。編集者、編集長として数多くの傑作名作マンガを生み出す原動力となった亀井さんに初めて出会ったのは「YAWARA!」のアニメ化の頃です。ただ「YAWARA!」連載の頃のビッグコミックスピリッツは白井編集長(近く書きます)から植田編集長あたりの時期でした。その時期に少年サンデーで、いやもっと前の少年ビッグで活躍されていた亀井さんとは、最初は接点があまり無い状態だったように記憶しています。

 それが1990年頃、ある小学館パーティーの2次会か3次会のこと、赤坂のルーレットバーだかビリヤードバーだかで、ビールをかなり飲んでいた僕があるトラブルに巻き込まれてしまった事があったのです。あのビリヤード台にひいてある緑色のラシャって結構貴重なもので高価らしいのですが、そこにお酒をこぼしたので弁償しろ、と言われたのです。僕としてはどう考えても隣の見知らぬヤツがやったので、徹底的に抵抗しようと思い、果てはそいつと大ゲンカになる寸前でした。いつの間にかその場にいた亀井さんがポンとお札を出し、キッパリと大岡越前守よろしく「三方一両損で行こう」。結局店の人がその亀井さんをみて態度を変え、何も無かった事になったことがあったのです。

 今考えれば若気の至りとは言え、人様の会社のパーティーに参加して、酒の席で勝手にトラブルなんて言語道断!恥ずかしくて穴があったら入りたい、くらいの心境でした。…その会場のあとになぜか近くのうどん屋に入り、亀井さんと並んでうどんを食べた時には涙が止まらなかったのを覚えています。

 その人のお酒の飲み方やお店での雰囲気には自然と人柄がにじむもので、それに同調する関係会社やライバル会社の友人が多いのも亀井さんらしいですね。講談社の五十嵐さんはもちろんそうだし、僕にとってはYTVで上司である位寄さんと仲が良いのがすごくありがたく素敵でした。だいたい50歳を超えるオジさん同士がネクタイを交換したりするなんて、なかなか出来る(というか、する)ことではありません。でもちょっと羨ましかったりもする何かがこの二人には確かにあります。

 名探偵コナンや犬夜叉などのアニメの進行にあたっても、小学館としての判断を基本的にほとんどしてくれたのは亀井さんでした。とにかくその作品にとって何が良いのかを的確に判断して、小学館のみならず僕ら外部会社スタッフにも迅速に指示をしてくれます。で、その言動の源は結局マンガや作品に対する愛情なんですよね。それがブレないからみんながついて行く。今も作品を作り続ける裏ではさまざまな難題が次から次へと生じています。どうかこれからもまだまだ未熟な僕たちに、大局的な判断、指導の継続をお願いします。僕たちも作品に対する愛情だけは、誰にも負けないように持ち続けていきますから!