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『アニメ村のステキな住民たち』アニ民199人目
- 2013.09.05
今週のアニ民は監督の立川譲さんです。ここでは立川さんのことを何時ものようにたっちんと呼ばせてもらいます。
僕がたっちんと初めて会ったのはまだ7ヶ月ちょっと前のことです。2013年2月、アニメミライ完成披露試写会の後のオールスタッフ懇親パーティー会場でした。シナリオや絵コンテは見ていたものの、アニメミライの4作品の完成品を見るのはこの試写会が初めてで、粒ぞろいの4作品の中でも僕にとってひときわ印象に残ったのが「デスビリヤード」。監督・脚本・絵コンテ 立川譲とのクレジットに、ぜひこの人に会いたいと思い、その場でマッドハウスの岡田社長に紹介してもらったのです。
その時は挨拶程度でしたが、ぜひ食事を一緒にという約束を取り付け、それから1ケ月たたないうちに渋谷で食事をすることになります。これは僕の行動の中ではかなり早いもので、僕にとってたっちんという人間の中に何か感じるモノがあったとしか言いようがありません。
「デスビリヤード」という企画は2012年5月にあったアニメミライ作品選考会で初めて目にしました。「命を賭けてビリヤードで勝負する」「ビリヤードの玉にはお互いの心臓や脳などが入っていてその玉を落とすと相手に影響する」など書かれた企画書は、そのイラストのエグさもあいまって選考時に物議をかもします。でも気鋭の監督・立川譲さんの出した企画のオリジナリティと斬新さ、マッドハウス制作という作品に予想された肌触りに期待が持てるということで見事に選出されることになったのです。
その企画書を読んだ者だけが予想できる、完成作品の味わいというものがあります。「デスビリヤード」で言えば勝負する二人の心情や叫び、そしてシーンの中やつなぎに見えてくるドラマです。企画書では想像するしかなかった、もしくは想像さえしなかった展開やアクション、その一つひとつにしびれたりしていく、もうそれは快感としか言いようがありません。
今年20周年を迎えたアメリカはボルチモアで開催されるアニメイベントOTAKON。3年目を迎えたアニメミライも海外に向けてその意義を発信するタイミングを迎えたようで、今年の4作品の英語字幕版を持って参加してきました。そして同行してくれたのがたっちんです。僕もアニメミライという企画意図、日本での具体的なプロジェクト活動などを丁寧に伝えた上で、たっちん本人に「デスビリヤード」制作の舞台裏、演出ポイント、新人アニメーターへの指導ポイントなどを語ってもらいました。
明らかに初見となるアニメ映像を鑑賞、そしてその作り手のお話を聞くなんてアメリカの方々にとってとっても立体的なアニメ体験ですよね。「監督の伝えたいことがセリフの中外ににじみ出ていて、本当に作品を深く楽しめました」と英語で語ってくれた若いコスプレ女性もいたりして、パネル会場に来てくれた大勢のアメリカ人は大いに満足してくれたようです。
最近のたっちんは「進撃の巨人」各話演出を担当したり、10月アニメにも関わっていくそうです。もういくつもの制作会社から引き合いがあり、そう言えば僕なんかよりアメリカのお客さまの方が、よっぽどたっちんの仕事情報をつかんでいて、本人も思わず「それどこで聞いてきたの?」と聞き返す始末。OTAKONでずっと一緒に過ごさせてもらい、等身大のノーマルな目線をベースに、たびたび飛び出るトンがったセンスを常に感じさせてもらいました。
実はたっちんと僕との年齢差は20歳以上!その若さと対等に張り合えるかどうかわかりませんが、今後はアニメミライ選考委員の仲間としてはもちろん、僕らの目指す面白いアニメ作りにも一緒にできると本当に嬉しいです。これからもまさに日本のアニメミライを歩んでいきましょうね。写真はOTAKONで二人でサイン会をした時のものです。